孤帆の遠影碧空に尽き

年に3回ほどアジアの国を中心に旅行、それが時間の流れに刻む印となっています。そんな私の思うこといろいろ。

朝鮮半島・ドイツ 民族分断・・・統一とその後

2007-10-02 17:46:02 | 国際情勢

(1990年 ベルリンの熱狂 “flickr”より By earthwormbill)

北朝鮮の洪水被害で延期されていた7年ぶりの南北首脳会談が開かれています。
「“勝負師”と言われる盧大統領と“政治的演出”を得意とする金正日総書記の「競演」だけに、地味な結果に終わるとは考えにくい。」【10月2日 毎日】と言われています。

盧武鉉大統領は南北分断の象徴である軍事境界線を徒歩で超えました。
「私が越えれば、より多くの人が行き来でき、いつか禁断の線も障壁もなくなるだろう」。
このセレモニーのために、わざわざ黄色いラインを“境界線”として実際に引いたそうで・・・。
金正日総書記も当初予定を変更して、平壌で自ら盧大統領を出迎えるという演出を見せています。
(アルツハイマーではないかとも言われていた金正日総書記ですが、まだ健在のようです。ただ、終始無表情なのが印象的でした。何か薬物の影響でしょうか。)

韓国は12月の大統領選挙、北朝鮮は核問題をめぐる米朝関係改善をにらんで、それぞれが政治的演出に腐心するところでしょうが、また、そのような演出よりもどのような合意が形成されるかが問題であるのは当然ですが、更には、北朝鮮が日本にとっては“拉致”等の問題を抱える国であるのは事実ですが、それでもやはり“大統領が軍事境界線を越え、南北首脳が肩を並べる”という光景は感慨深いものがあります。

ついこの間まで両国が同民族で激しくいがみ合っていた記憶が、自分の頭の中でいまだに消えていません。
いろいろ言うことはできますが、南北が融和するということは基本的には歓迎すべき方向でしょう。
韓国でも融和歓迎ムードが広がっているとも聞きます。
とかく変動しやすい世論の国なので、この先までを保障するものではありませんが。

民族分断に関しては、東西が再統一して17周年(!もうそんなになりますかね・・・)を迎えるドイツから今日こんなニュースも。
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民間調査会社の世論調査結果で、ドイツを28年間にわたり東西に分断してきたベルリンの壁が崩壊して「よかった」と答えた人は全体の75%。一方で、「東西に分断されていた頃の方が良かった」と答えた人は全体の19%にものぼった。
旧東ドイツ圏の住民1670万人のうち実に21%が「旧西ドイツとの国境のコンクリート、有刺鉄線、武装警備隊が懐かしい」と回答。また、同じく74%が、ベルリンの壁の崩壊後に「生活水準が落ちた」と答えた。【10月2日 AFP】
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5人に一人が「ベルリンの壁」の再建を望んでいる・・・という結果ですが、もちろん、実際に壁ができることに、また、民族が分断されることにこの割合で賛成するのかというのはまた別問題でしょう。
この数字の背景には、旧東ドイツ圏では賃金が旧西ドイツ圏より25%低く、失業率も旧西ドイツ圏の約2倍の15%にのぼっているという現実があります。

当然ながらこの事態を放置してきた訳ではなく、旧西ドイツ圏からの援助額はこれまでに1兆ドルを超えているそうです。
それでもなお、格差が解消できずにいます。

民族分断の解消・統一は一時的な熱狂でも達成できますが、それはスタートに過ぎず、そこから地道な統合へ向けての努力が必要になります。
韓国にその強い意思がありやなしや?

ドイツの場合、トルコなどからの多数の移民を受け入れており、この移民文化との統合というもうひとつの厄介、かつ、重要な問題があります。
8月7日の当ブログでも取り上げましたが、この件はまた別の機会に。

下の写真はトルコやエジプトではなく、ベルリンの街角。
後の看板はトルコ人の好むドネルケバブ(アラビア語ではシャワルマ 回転焼肉)です。


(“flickr”より By missis_jones)
コメント
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