ヨーロッパGPが行われるバレンシア市街地サーキットは、海沿いの景観が美しいコースです。
華やかな避暑地のモナコと違い、クレーンや倉庫の見える「働く港湾都市」という感じですが、この記事の文字色のようなブルーグリーンの海や、その上に架けられた橋がコースの一部になっていたりして、毎年見るのが楽しみです。
ここでヨーロッパGPが開催された当初は、あまりにレースが安定して過ぎていて(全車ほぼ予選順位のままフィニッシュという、フォーメーションラップのようなレースでした)、ドライバーからは「レースが単調」「周りに遊ぶところもない」と不評だったそうです。
しかし、今年のヨーロッパGPは、いつもと趣を異にして、荒れ気味でした
1/57 1 ベッテル ←2 ハミルトン ←3 グロージャン ←4 マルドナド ←5 小林可夢偉 ←6 ライコネン ←7 ヒュルケンベルク ←8 アロンソ
スタートの上手いキミ様ですが、今回は順位を一つ落としてしまいました。
可夢偉は2周目で4位に浮上、グロージャンは10周目にハミルトンをパスして2位に上がります。
キミ様は6番手を保ったまま、辛抱のレース
11周目のバトンを皮切りに、そろそろ1度目のピットインが始まります。
みなさん、前回のレースで「ピレリタイヤで1ストップは厳しい」と学習したらしく、今回はほとんどが2ストップのようです。
13/57 アロンソが7位浮上。キミ様のすぐ後ろにつかれたらヤバイなぁ~と思いましたが、キミ様もすかさず5位に上がります。
14/57 ハミルトンがピットイン。12位でコースに戻ります。
15/57 ライコネンもピットイン。10位でコースに戻ります。
16/57 アロンソがピットイン。9位、キミ様の前に戻られてしまいました(T_T)
ベッテルは1位で入って1位で戻ります。
大体1回目のピットインが終わった時点での順位は、
1 ベッテル ←2 グロージャン ←3 ハミルトン ←4 ディ・レスタ ←5 アロンソ ←6 ライコネン ←7 マルドナド ←8 マッサ
今回は先頭からお尻まで、わりと車が数珠つなぎになっていて、車間距離がありません。
あちこちで競り合いが見られます。
接触もちょこちょこ起こっているようで、イエローフラッグが出ます。
29周目にはついに、セーフティーカー(SC)が出ました。
もしかして、このコースでSCが出たのは初めてでは?
SCが戻ってバトルが再開されてからも波乱が起きます。
トップを快走していたベッテルがマシントラブルでリタイア。
涙ぐむベッテルの肩をチームスタッフが抱いて慰めます。優勝とノーポイントの違いが大きいのはもちろんですが、今年は日替わり優勝なので、1勝の重みが違うんですよね。
グロージャンの車もスローダウン。表彰台圏内を走っていただけに悔しそうです。
41/57 1 アロンソ ←2 ハミルトン ←3 ライコネン ←4 マルドナド
「アイスマン」といわれるほどクールなイメージのキミ様ですが、ここでいかなきゃF1ドライバーじゃない!
ハミルトンに果敢にアタック。
コーナーではサイドバイサイドになりますが、ストレートで引き離されます。さすが、マクラーレンのスピードですね。
でも、このままの順位でフィニッシュしても、チャンピオン経験者ばかりのすごい表彰台になりますね
55/57 ついにライコネンがハミルトンをパスして2位に上がります
3位に落ちたハミルトンは、マルドナドにぶつけられて、はじきとばされ、ウォールにヒットしてリタイア。
ハミルトンは完走扱い。
マルドナドは、レース後20秒加算ペナルティを科せられて、12位に降格となりました。
リザルト
1 アロンソ(フェラーリ)
2 ライコネン(ロータス)
3 シューマッハ(メルセデスAMG)
4 ウェバー(レッドブル)
5 ヒュルケンベルグ(フォース・インディア)
6 ロズベルグ(メルセデスAMG)
7 ディ・レスタ(フォース・インディア)
8 バトン(マクラーレン)
9 ペレス(ザウバー)
10 マルドナド(ウィリアムズ)
11 セナ(ウィリアムズ)
12 リカルド(トロ・ロッソ)
13 ペトロフ(ケータハム)
14 コバライネン(ケータハム)
15 ピック(マルシャ)
16 マッサ(フェラーリ)
17 デ・ラ・ロサ(HRT)
18 カーティケヤン(HRT)
19 ハミルトン(マクラーレン)
リタイア…グロージャン(ロータス)、ベッテル(レッドブル)、小林可夢偉(ザウバー)、ベルニュ(トロ・ロッソ)
ファステストラップ:1分42秒163 /ニコ・ロズベルグ(メルセデスAMG)
今季、初めて二勝目をあげたドライバーはアロンソ。
母国グランプリで、感激もひとしおのようです。
キミ様はハミルトンを抜いて2位表彰台ですが、アロンソには水をあけられてしまっていました。
でも、終盤、タイヤもいいかげん摩耗してただろうに、1つでも上の順位に挑んで気迫を見せてくれました。
そして、ハミルトンとマルドナドのクラッシュが思いがけない(といっては失礼ですが)人に表彰台をもたらしました。
F1のクルム伊達公子、あるいはF1の金本兄貴、シューマッハーです。
結局、チャンピオン経験者3人が顔を揃える表彰台になりました。
可夢偉選手は二度のクラッシュでリタイア。
しかも、二度目のマッサとのクラッシュがペナルティの対象になり、次のレースで5グリッド降格になってしまいました。
どうも、予選でトップ10に入ると決勝でアクシデントに見舞われるというめぐりあわせが多いですね。
前の方からのスタートをコンスタントに決勝の結果につなげられたら、表彰台も夢ではないと思うんですが。
珍しく、コースに残った者勝ちのサバイバルレースになったヨーロッパGPでした。