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リョウマくんは愕然とし、次の瞬間、火がついたように泣き出しました
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キョウシロウさんとキョウコさんが驚いてとんできます。
二人が近づこうとすると、リョウマくんはクマさんの頭と胴体を、しっかり両手に抱え込みました。
「捨てちゃや! 捨てちゃやぁ~
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「捨てないよ」
キョウコさんが言いました。
「リョウマくんの大切なクマさんでしょ。捨てたりなんかしないよ。でも、綿が出てきちゃって、体についたらかいかい~になるから、ちょっと隣にベッドをつくって寝かせてあげようね」
キョウコさんはリョウマくんの布団の横に座布団を持ってきて、その上にビニールシートを広げました。
そして、リョウマくんを安心させるために、二人は少し離れて立ちました。
リョウマくんは泣きじゃくりながら、クマさんをその上に寝かせました。
キョウシロウさんは、携帯カメラでクマさんの写真を何枚か撮ると
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「明日直してやるから、今日は辛抱してくれ」
と言いました。
翌日、キョウシロウさんは手作りグッズの店で、布や糸や綿を買ってきました。
キョウシロウさんは手先が器用です。
キョウシロウさんは、リョウマくんの部屋に新聞紙を広げると、言いました。
「今からクマさんを直すけど、綿が入ったままじゃやりにくいから、いったん中身を全部出すぜ。それから、あっちこっち切ったりばらしたりもするけど、そのたんびにいちいちギャーギャー騒ぐんじゃねえぞ」
キョウシロウさんは、次に何をするのか、リョウマくんにいちいち説明しながら作業をすすめてゆきました。
クマさんは右半分がひどく焼け焦げていました。目玉のボタンも溶けて形が崩れています。中の綿は湿気を吸って重くなっています。
キョウシロウさんは、損傷のひどい部分を切り取って、新しい布をはりあわせてゆきました。
リョウマくんはクマさんが心配でじっと見つめています
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晩ご飯の時間になったので、休憩です。
九時頃になると、リョウマくんは眠くなってきましたが、頑張って作業を見守っていました。
キョウコさんがあったかいココアを持ってきてくれました
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10時になると、リョウマくんは我慢できずに眠ってしまいました
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キョウシロウさんは、リョウマくんに布団をかけると、作業を続けました。
真夜中少し前に、ようやく作業が終わりました。
あちこちつぎはぎになっているのは、もとの布地をできるだけ残すようにしたためです。
リョウマくんの様子からして、どうもクマさんはお母さんが作ってくれたもののようなので、少しでももとの材料を残した方がいいと思ったのです。
キョウコさんは、キョウシロウさんの肩や背中をやさしく押してほぐしてあげました。
キョウコさんはマッサージが上手です。自分も凝り性なのでツボがよくわかるのだそうです。
翌朝、リョウマくんが目覚めると、枕元に修理の終わったクマさんが座っていました。
リョウマくんはクマさんを抱きしめました。
綿が新しく入れ替えられたので、ふんわりと柔らかい抱き心地です。
その日の朝ご飯はフレンチトーストでした。
卵と牛乳に浸して焼いた、柔らかいパンです。
ご飯を食べると、お薬を飲んで、ぬりぬりパフパフです。
お腹のぐるぐるは大分良くなりました。
赤い発疹も薄くなってきたようです。
キョウシロウさんが出かけてしばらくすると、キョウコさんが起きだします。
キョウコさんが起きると、お昼です。
お昼ご飯は何だろう。
お母さんがいた頃も、リョウマくんは三度の食事が楽しみでした。
キョウコさんは、あまり子供に慣れていない人です。
リョウマくんにも、正直どう接していいのかよくわかりません。
だから、昼間はリョウマくんがおとなしく寝ているのをいいことに、ほったらかしで部屋で仕事をしています。
でも、リョウマくんも少しずつ元気になってきたようです。
あまりいつまでも寝たきりというのも良くないでしょう。
ある日のこと、キョウコさんは思い切ってリョウマくんを散歩に連れて行くことにしました。
(つづく)