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豊田市新産業振興策素案

2010-12-18 | 市民生活・企業都市
 市役所で第3回豊田市産業振興委員会がありました。はじめに市側のあいさつで、法人税が5%下げられると市の法人市民税が1/6も減ってしまうそうです。最高時の300億円近い法人市民税では、50億円のマイナスとなり大きな損失です。それで海外進出や産業空洞化が止まり、地域の雇用の拡大や景気対策に繋がる保証もありません。新聞でも報道されていたトヨタの下請け単価切り下げの影響調査の未実施と、中小企業の実態調査未実施については報告がありませんでした。先回調査中という報告でしたが、配布された議事録には書かれていませんでした。配られた資料は「中小企業からのヒアリング」というメモ書き程度のもので、日付も作成者の名前もありませんでした。
 メインの議題は豊田市新産業振興策素案の検討です。出された意見の論点は、大企業トヨタに依存した「一本足」の産業構造をどう転換するのか、産業連関分析をして新しい振興策の検討をすべきだという金融委員の意見、自動車が電気に変わる場合の下請けの減少あるいは車の成長の限界、若者の「車離れ」(車が買えないのでは?)、トヨタのロボットの将来性や企業誘致課を作ったらという企業委員の意見、ものづくりを広い視野で考え農業部門も考慮するなど興味深い内容でした。しかし、国の中小企業憲章や労働部門に全く触れていないのは、多様性に欠けるものでした。
 感想としては、結局トヨタ依存の「成長」構造を、「持続的」に「革命的」にどう新・展開するのか、行政支援は何をするのかという方向になりそうな気配でした。構成メンバーが産業界中心では止むを得ない話です。地域への波及効果は人口、雇用、市民所得、生活保護数、財政収入から中小企業の景気、商業、農業など、どの指標をとっても良くありません。これは世界恐慌の2008年までの「いざなぎ景気」超えと言われた時期も、決して良いものではありませんでした。「廉価良品」の国際競争で、大企業と中小企業、地域の共生が可能か、根本的な問題に触れられていません。企業誘致をするなら、車以外の新規産業を市外から呼んだ時に補助金を限定すべきで、当然正社員を条件にすべきです。トヨタが利益をあげても、今はほとんどトリクル・ダウンがないことを見落としています。中小企業の実態調査、産業連関分析、農林業や商業のバランス、定住のための定職政策など地域経済・社会再生の基本理念が欠けているように感じました。(写真は東庁舎の基礎工事です)
 <時の話題>
 諫早湾の潮受け堤防開門訴訟で、菅内閣は上告を断念しました。支持率急落の内閣ですが、この件は支持します。補償、再生など難題も残りますが、無駄な公共事業としての反省をしっかりして欲しいものです。
コメント (4)
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