Con Gas, Sin Hielo

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「アイフィールプリティ! 人生最高のハプニング」

2019年01月10日 08時07分13秒 | 映画(2019)
今年も1年がんばりましょう。


正月は何がおめでたいのかを竹田恒泰氏が調べたところ、「何もめでたいことはない」という結論に至ったそうだ。めでたいから祝うのではなく、おめでとうと声を掛け合うことによって良い空気を醸成することが重要なのである。

そういう意味からすれば、本作は現在映画館で観られる作品の中で最もお正月向きと言えるのかもしれない。お世辞にも器量良しとは言えない女子が、ふとしたことから自分がスーパーモデル級であると勘違いしたことによって人生が一転するポジティブなコメディである。

主人公のレネーは太めの体型から自分に自信が持てず、仕事もプライベートももやもやした毎日を送っていた。ある日、通っていたスポーツジムでの事故で頭を打ったときから鏡に映る自分の姿が一変。「私の夢がかなった」とあらゆることに積極的に取り組むようになると、仕事も彼氏もすべてがうまく回り始める。

設定が設定だけに展開はすべてがベタ。前半はコケたり服が破れたり徹底的に冴えないレネーをさらけ出す。

これがどう変わるのかがこの映画の肝なのだが、おもしろいのは彼女がどんなスーパーな美女になったのかはまったく映し出されないところである。

絵的には、こんな姿に変わったと彼女は思い込んでいるというビジュアルを示した上で、実際周りにはこう見えていると明確に映した方が分かりやすいのだが、それを敢えてせずに主演のA.シューマーの演技だけで観る側に伝えることを選択した。

そしてそれは明らかに成功している。素敵な女性像は人によって異なる。というよりも、誰もがそれぞれ輝く要素を持った人間であるという本作の主題を考えれば、この演出は必然とも言えるだろう。

レネーは確かに一変したのである。それは見かけではなく生きる姿勢という点で。クライマックスのプレゼンシーンはきれいごとと分かっていても、正月ということもあってか清々しい気持ちになることができた。

悪役が出てこないのも良かった。M.ウィリアムズは、地位も美貌もありながら世襲で会社を継いだことへの負い目やどうやっても治らない甲高い声をコンプレックスに持つ社長を好演。最近いろいろな作品で見かけるが芸達者ぶりが際立っている。

一年の計は元旦にあり。明るく楽しく前向きなところに人も運気も集まってくる・・・といいな。

(75点)
コメント
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