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Con Gas, Sin Hielo

細々と続ける最果てのブログへようこそ。

「ヒューゴの不思議な発明」

2012年04月15日 23時09分06秒 | 映画(2012)
一流料理人が丁寧に作り上げた佳作。


この作品、3月1日から公開されていたにも拘らず、最終日の最終回で観ることになった。

というのも、3月は他に観たい作品があって優先度が下に置かれてしまっていたから。

何故下に置かれたかといえば、アカデミー賞の主要部門を獲れなかったこと、3Dであったこと、3D+邦題の印象で別に観なくてもいいかと思ってしまったこと等がその理由だ。

しかし実際に観てみると、それらの先入観が誤りであったことに気付く。

特に3D+邦題の印象のところ。間違っても子供向けの映画ではない。原作の題名をそのまま持ってきているようではあるが、このミスリードは作品にとって実に不運であったと思う。

突然父親を失ったヒューゴ少年は、遺された機械人形に父からのメッセージが込められていると信じて修理に精力を注ぐ。

機械人形が描いた絵は、駅で小さい店を営む老人と彼が愛した創世記の映画文化へと繋がる。

その設定だけ見ても、「ものすごくうるさくて、ありえないほど近い」や「アーティスト」の要素が取り込まれているようで贅沢なのだが、そこへ更にほのかな恋(友情?)物語や映像の美しさ、配役の豪華さが加わる。

映像は緻密な3Dとでも言おうか。ヒューゴが暮らす複雑な駅の構造、時計がある天井裏から見渡すパリの美しい街並み、そしてそれらとリンクするからくり仕掛けの機械。大画面+3Dの利点を巧く引き出している。

配役で光るのは、C.グレース・モレッツS.バロン・コーエンだろう。

クロエちゃんは応援したくなるヒロインとして説明の必要もないが、意外だったのがバロン・コーエンだ。

敢えて原作の設定を肉付けしたらしい人間的な公安官を、時には漫画的に、時には情感を内に秘めて演じるという器用さを見せてくれた。

そんなわけでラストの締め方も含めて楽しめたが、個人的な苦言を言えば、この世界観に入り込めるまで結構な時間を要した。

冒頭で何故この少年は駅の中を走って逃げなければいけないのか?J.ロウの父親の話が出てきてようやく頭の配線が繋がったが、そこで改めて冒頭の場面を観たいと思った。

その辺りを含め、展開が極めてシンプルな「アーティスト」とはある意味対極であり、好みも分かれるのかもしれない。

(85点)
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「アーティスト」

2012年04月07日 23時52分23秒 | 映画(2012)
すぐれた企画、さりげない味付け。


サイレントからトーキーへという変遷は、まさにモノクロからカラーへ移行したのと同じくらい、いやむしろそれ以上の革命的な出来事だったように想像する。

もちろん新しく便利な技術へと世の中が進むのは当たり前の話である。

しかし、常に新しいものを取り入れながらも、時々は昔を思い返すのが人間であって、特に映像に関しては現代でも、敢えてモノクロ処理した映像をよく見かける。

そしてそれは単なる懐古趣味にとどまらず、現代の技術を活かして融合させた新たな技術として私たちの目を楽しませてくれている。

しかしながら音声で同じような事例が何かあるかと問われると、なかなかすぐには浮かんでこない。サイレントにはサイレント独特の味わいがあるのは当然なのに不思議な話である。

そこに突如登場し、ついにはアカデミー賞作品賞まで獲得してしまったのが本作である。

舞台は、まさにどんぴしゃの往年の映画界。時代の流れに乗るのを拒んだ男と、波の先端に乗りあっという間に男を追い抜いた女。

分かりやすい設定ではあるが陳腐ではない。はっきりした設定の下でこそ生きてくる隠し味が散りばめられている。

自らのプライドも手伝ってトーキーへの転身を拒否した男だが、心の奥底に潜む不安が顔を出す。いや、音を出す。

BGMのみの世界から、急に周りの物音が聞こえるようになる場面は、予想外のインパクトがあった。

更にそこでは自分だけが声を発することができない。混乱と焦りは、自分の誇りを根こそぎ掘り返してしまう。

主演男優賞を獲得したJ.デュジャルダンは、絶頂期の自信溢れる表情から何もかも失ったうつろな表情まで器用に幅広く表現。劇中映画の、まさに過度に誇張した演技ぶりも良かった。

また、「クレしん」のシロ並みの優れた働きをする噂の名犬。お抱え運転手とともに、すべての財産を失った男に付いて行く健気な姿は、映画の温かみを倍増させた。

録音技術やスピーカーの品質など音響の世界も進歩しているが、こうした万人が楽しめる音の企画モノも、今までなかっただけにおもしろい。

100分余りの時間で、いかに毎日の生活が喧騒の中に存在しており、私たちがそれに慣れてしまっているかを改めて感じることができたことは、貴重な体験であった。

(90点)
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「ドライヴ」

2012年04月01日 12時03分19秒 | 映画(2012)
プロフェッショナルはいつも寡黙。


ドライバーのキッドは多くを語らない。ときどき後ろに流れるのは、夢うつつのような音楽。

下手すると眠気に襲われそうだが、この作品は逆に静寂が観る側を引きつける。

特に冒頭の警察とのチェイスは実に新鮮だ。

追いかけ合うのではなく姿をくらまし逃げる。「ジョンカーター」の予告でさえ眠くなったのに、闇と静寂の緊張感で目が覚めるとは驚きだった。

隣人への感情も決して噴き上がるわけでなく、時間をかけて、それも一言の言葉であったり、ちょっとした口角の笑みであったり、微かに表にする。

修理工場の上司が「聞いたことない」と言った愛する女性の夫を助ける犯罪も、だからこそありなんの話。おそらく彼の中で筋が通っているのだろうけれど、当然それは語らない。

しかしその犯罪が裏目に出てから話は転がり始める。

そういえばR-15+指定だっけと思い出すような殺害の場面が多くなり、結果的には普通の話に落とし込まれてしまった感があった。

復讐劇をそうそうスマートにするのも難しいだろうけど、登場人物の行く末もさほど意外性のない帰結でやや残念。

R.ゴズリングが黙っていると、全然違う役柄だけど「ラースと、その彼女」を思い出す。

(75点)
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「シャーロックホームズ シャドウゲーム」

2012年04月01日 00時49分24秒 | 映画(2012)
あれもシャドウゲームだったんだ。

広く親しまれたキャラクターを斬新な捉え方で描いて大ヒットした前作の続篇。

19世紀の質感にPV風の技術を駆使した独特の映像やH.ジマーの気品と怪しさが調和した音楽は健在。

前作で特徴的だった、ホームズが次の展開を頭の中で瞬時に計算する様子をスローモーションで映像化する場面も何度も登場。敵が使い出すなど進化した戦いも見どころ。

そして最大の売りであるR.ダウニーJr.J.ロウのコンビは、更に過激さを増して帰ってきた。

今回の敵役は、前作でも謎の黒い影として存在を示していたモリアーティ教授が満を持して登場。

これだけ材料が揃えば盛り上がることに何の疑いもなく、実際手に汗握る場面が矢継ぎ早に出てくるのだが、個人的に好きな作品かと問われれば、ちょっと首を縦に振れないなというのが正直な気持ちであった。

かつて「ダイハード」で、大層立派な思想を語っていたテロリストが単なる泥棒だったという下りがあったが、このモリアーティもとどのつまりは金の亡者。

「ダイハード」は犯人を蔑む意味を込めての的確な設定であった一方で、ホームズが頭脳戦を闘わせる相手としてこれはどうなのかということが一つ。

次は、対決の場面が次々に出るのはいいとして、ちょっと火薬使い過ぎなんじゃないのというのがもう一つである。

これは確か「エクスペンダブルズ」でも言ったと思う。見栄えのいい映像はできるかもしれないけれど、飛び道具に頼って見えるのはマイナスだし、時代背景としてそんなに出てきておかしくないのかなと思った。

そして最後は、驚きのキャラクター使い捨て。前作でホームズが未練たらたらで、言ってみればルパン三世と峰不二子の関係にも見えたアイリーンの扱いがああなるとは。

これは確信的なサプライズだから、観る側の好き好きなのだろうけど、R.マクアダムス好きだから、これはなしでしょう。

娯楽として流して見るかぎりは、アクションから笑いから様々な要素がぎっしり詰まった豪華作品であることは確かだが、ちょっと期待値が高過ぎたのかもしれない。

(65点)
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「おとなのけんか」

2012年03月10日 23時41分31秒 | 映画(2012)
笑えない立場を笑い飛ばす。


傑作舞台劇の映画化との触れ込み。確かに舞台は1軒の家の中で、回想もなく2組の夫婦による会話のみ。脚本の充実度と役者の技量があって初めて成り立つ構成であるが、まあとにかくおもしろい。

ひととおり「おとな」なやり取りを交わして切り上げるつもりだったのに、個性のまったく異なる4人が唯一共有していた方向性に微妙なズレが次々に生じて収拾がつかなくなってしまう。

大人っていうのは、時間を費やす中で成長したつもりになっているものの、逆に単なる面倒な人間になってしまっていることが往々にしてある。更に悪いことには、たいていの大人がそのことに気付いていない。子供もハムスターもそんなこと知ったこっちゃないという、飄々としたエンドロールが洒落ている。

演じる4人は「さすが」という言葉がぴったりだ。体裁を繕うよそ行きの表情、でもその中にどうしても垣間見えてしまう困った要素。4者4様ながら、それぞれが非常にリアルなものだから、身につまされるを通り越して笑いがこみ上げる。

4人もそうだが、現代社会は「謙虚」の大切さが軽んじられている気がしてならない。「学びて然る後に足らざるを知る」などとは考えず、とにかく権利を主張する。何故自分が思うような方向に進まないのかと他者へ矛先を向ける。

本心にそうした思いがある限り、いくらうわべで取り繕うとしても少し掘り下げれば隠れていた刃が顔を出す。そんなひりひりした状態で綱渡りを続けるのが「おとな」の世界なのだ。原題の"Carnage"を調べると、「殺戮」や「虐殺」といったおどろおどろしい言葉が意味として出てくる。

よくよく考えれば絶対笑えない。でも、どうにもならない問題は笑い飛ばすしかない。

(85点)
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「ものすごくうるさくて、ありえないほど近い」

2012年03月04日 01時33分50秒 | 映画(2012)
それは自分にとって極めて大きい何か。


9.11から10年が過ぎた。

しかしそれはあくまで数字でしかなく、実際に感じる時間の長さや濃さは人によって大きく異なる。

特に精神的に大きな傷を受けた人たちは、時間が最大の薬であるとは分かっても、傷が癒えるまでどのくらいの時間が必要なのかは分からない。

太陽がなくなるとき、それから8分は地球に太陽の光と熱は届き続けるという。主人公・オリバーは、最愛の父を失った直後の「8分」を生きていた。

やがて来る完全な喪失を恐れ、彼は、父の部屋に遺された1本の鍵をテーマに調査研究を始める。

おおよそ見つかる当てのない作業でありながら、その細い糸こそが彼が生きている証であった。

一方で、調査に打ち込むほど、それ自体が父と密接に結び付いて悲しみが癒えないという皮肉。これは父とよく遊んだ矛盾言葉あそびそのもの。

とてつもなく大きな存在の喪失。事故や事件や災害は人に簡単には埋まらない穴を開ける。そして誰もがそれぞれの環境の中で様々な経験を経て今の立ち位置にいる。オリバーは、調査研究で知らない人たちに触れる度にそれを学ぶ。

そしてある日、調査に突然終わりが訪れる。

安易な奇跡は勘弁してほしいと思ったが、際立ったのは寧ろ逃れられない現実だった。ある人の穴が少し塞がる代わりに、自分にとっての「8分」が終わったのだ。

それでなくとも時々心が折れかけては初対面の人に心境を吐露していたオリバーは行き場所を失い自暴自棄に。そこで手を差し伸べた人物とは・・・。

明らかに見える心の傷を背負いながらも動き続けるオリバー。観ている側は、彼を見守り続けなければという気持ちが常に張り詰めて、片時も展開から目を離せなかった。

母や祖母をはじめ、映画の中の人物の多くも同じ気持ちを持っていて、それが伝わってくる度に心が温かくなった。

ただ本作の重要な点は、思いだけでどうにかなる問題ではないということを明確に描いていることである。

それを最も体現していたのが「間借り人」だろう。彼が現れたときは父親の穴を埋める救世主になるのかと思いかけたが、彼自身傷を負った一人の人間でもあり、道半ばにしてオリバーの元を離れていった。

母も祖母も、そしておそらく父も、みんな決して万能ではない。支えたり、寄り添ったり、委ねたりを繰り返しながら、結局は自分の足で歩かなければならないということを自然に伝えているのだ。

必要以上にきれいごとにしない姿勢に好感が持てる作品だった。

(90点)
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「トワイライトサーガ/ブレイキングドーンPart1」

2012年03月04日 01時06分47秒 | 映画(2012)
ネタが湯水のごとく。


今年はA.サンドラーという強力なライバルがいるものの、誰もが納得のゴールデンラズベリー賞候補作品である。

話はもう何と言っても漫画だから。それ以上言ってはいけないというか、もっと極めてもいいくらいである。

はじめの30分くらいは、前作のラストで決まっていた結婚式までを長々引っ張るもんだから、さすがに「Part1」では盛り上げようがないのかと思っていたのだが、確かにヴォルトゥーリ族の出番こそなかったものの、1作から連なるヴァンパイアと人狼の対立で見せ場を作る。

とにかくベラとエドワードとジェイコブの主要3人が突っ走る。

これ「ほぼトワイライト」観てるんだっけ?と思うほど、ツッコミどころが満載だ。

ベラはとにかく体を張った一作となった。コケ方(やせる方ね)はホラーかコメディかという感じだったし、子供の名前の下りもかなりの破壊力があった。

エドワードは新婚旅行で何をしたかったのだろう。結婚したからといって危機感がちょっと欠如していたような。

ジェイコブはいちばん混乱していたかもしれない。フラれた相手の結婚式に呼ばれるわ、妊娠中の警護をする羽目になるわで確かに立場ないけど、自分で一族にベラの妊娠しゃべっておいて「俺は守る」ってのもよく分からない。挙げ句の果てには刻印ですから。

やはりこれだからこそおもしろい!って思える人のみが観る作品ってことで、わが国ではあまり人気拡がらないのかな。コアなファンが多い故にグッズはかなりの種類が出てるみたいだけど。

いよいよ12月には最終作が公開。エンドロール始まりの字幕が邪魔だったけど。

(80点)
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「ヤング≒アダルト」

2012年02月26日 00時06分47秒 | 映画(2012)
ふるさとは必ずしもやさしい場所ではない。


ほぼ万人が美しいと認めるC.セロンが限りなくイタい女性を演じていると話題の作品。

おもしろいのは、外見で極端な崩し方をしているわけではないのに、「イタさ」が確実に伝わってくる点だ。

自分は何故幸せになれないのか。一方で、見かけは地味だし、毎日何も考えずに田舎で暮らしているような人が、苦労なく幸せを手に入れられるのはどうしてなのか。

高校時代に周りにちやほやされ、更なる飛躍を求めて「ミニアップル」=ミネアポリスへ旅立ったあの頃の思い出は遠く、アルコール漬けで元カレを追い回す姿に誰もが哀れみの視線を向ける。

故郷を離れた人には、ほぼ必ずと言っていいほど、一定の年月を過ぎると不意に過去に呼び寄せられる時期が来る。

しかし、それが自分の中の弱気に端を発したものであった場合、故郷の歓迎は手厳しい。

そもそも故郷を出ようと思った理由があったはずなのに、行き詰まりを感じたときには地元を頼れば何とかなるのではないかと思う甘え。

田舎を出ずに暮らし続けてきた人たちは、その人たちなりの考えを持って生活しているわけで、安易な甘えの構造は完全に見透かされる。

恥に恥を塗り重ねボロボロになった主人公・メイビスがたどり着く結論は至極真っ当だ。

故郷は時によって厳しいが、もちろん優しく包んでくれることも多い。

本作は、いつかゆとりを持って過去や故郷を振り返れる日が来るようにと、メイビスだけでない、全ての働く人たちへのエールのように思えた。

(80点)
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「TIME/タイム」

2012年02月19日 00時04分21秒 | 映画(2012)
歪んだ秩序はどうすればいい?


時間が通貨となる。

技術の発展が時短や効率化という言葉と密接な関係を持っている以上、この着想は突飛かもしれないが決して非現実的ではない。

と言うより、映画のように整理されていないだけで、本当の世界も既に似たようなものなのかもしれない。

富める者に力が集中する一方で、貧困層は世代を継いでも抜け出すことができない。

それなのに世界人口は爆発的増加の一途。食糧・エネルギーを考慮すれば、持続可能な社会づくりが困難なのは明らかだ。

そんな全体を見れば、力ある者が社会を守るために世界をコントロールしようとするのは実に自然な話である。

コントロールされる側の当事者として、主人公・ウィルは必死に闘う。持てる者の支配を打ち砕き、貧しい者への分配を始める。

この映画のおもしろいところはラストだ。

ウィルの行き着く先をハッピーエンドと捉えることができるか。ここに作中を通して描いてきた世界、つまりは現代社会の病巣の根深さが垣間見えるのだ。

ウィルを追い続けた時間監視局員のレオンは、出自は同じスラムだが、いち早く抜け出た彼は秩序を守り通すことを正義とする。主人公と対照的な人物でありながら、それなりのリスペクトを持って描かれていたのには好感が持てた。

分け合えば解決する問題ではない。かといって、何もせずに不幸が固定化されることも本来あってはいけない。

古い秩序が壊された後には、新しい秩序が作られるか混沌がはびこる。その中には間違いなく新しい不具合が生じる。

最も性質が悪いのは、そうした負の可能性に目を向けようとせずに、きれいごとを押し付けようとする者たちであろう。

それにしても、世界観を画で観るだけでも十分におもしろかった。時間のシェアや奪い合い。小ネタを話の筋に巧く絡ませていた。

基本的に見かけは25歳以上にならないという設定の中で、ちょっと無理のある方も散見されたが、J.ティンバーレイクA.セイフライドは、主役としての華もあって良かった。

(90点)
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「麒麟の翼~劇場版・新参者」

2012年02月18日 01時58分13秒 | 映画(2012)
この選択は後に響くのだろうか?


一度行かなくなると映画館もなかなか行きにくい。

やっと時間が取れて、さて何を観ようかと考えたのだが、やっぱり濃いものは選べず、同じ上映開始時刻の「メランコリア」を避けて選んだのがこの作品だった。

父と子の愛がテーマだとか、JUJUの主題歌が割りと気に入っているとか、気になる作品であったことも事実。

ちゃんとした原作があるので、映画の評価云々というよりは、犯人は?真実は?と小説を読んだりドラマを見たりする感覚に近い。

2時間そこらで本を1冊読むのと同じわけで効率的といえば効率的。こうやって活字から離れて、ますます頭が悪くなっていく気もするが。

肝心の父と子の話は、何も情報がない中でてっきり阿部寛新垣結衣が父娘だと思い込んでいたので、ちょっと肩透かし。

でも、オチは考えさせられる重みのある曲球だったし、意外な人物が最後にやり込められるところはよかった。

ただ、映画としては全体的に薄っぺらい印象が残った。

例えば、事件の後に関係者がメディアの好奇にさらされるという設定があったのだが、都合のいいときだけ家の前にこちゃっといるのは極めて不自然だし画的に安っぽい。

あとそもそも推理ものを見てると思うこととして、主人公の洞察力やら目撃者の記憶力やら何でみんなこんなに超人的なんだ?とどうしても引っ掛かってしまう。

印象に残る行動をしていたと言っても、数か月前に一度会っただけの人の顔を憶えられるものかなと。私の記憶力が劣っているだけかのしれないが。

その辺りは活字として頭に入ってくる場合は感覚が違うのだろう。この類の違和感が拭い去れない限り、作品としての評価は難しいと言わざるを得ない。

(60点)
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