「美しい村」の議員日記

南アルプス山麓・大鹿村在住。自給自足農業、在宅ワーカー、2011年春より村議会議員。

放射能測定伊那谷市民ネットワーク始動

2011年11月29日 | 脱原発


 昨日は放射能測定伊那谷市民ネットワークの開所式に行ってきた。
 福島第一原発事故以来、空間線量は低いここ長野県南部にあっても、内部被曝をもたらす食品の放射能汚染は、特に小さい子どもを育てるお母さんたちにとっては気にせざるを得ない状況だけど、国などの測定体制は全く不十分だ。そのため暫定基準値を超えた食品が市場に出回ってしまっている可能性もあるし、一方で、全く汚染されていないのに、産地だけで避けられてしまう、いわゆる風評被害もある。もちろん国の暫定基準値自体が高いので、例えば499ベクレルかもしれないものは子どもに食べさせたくないということもある。放射能汚染については、どれくらいの値なら安全で、どれくらいなら危険という閾値があるわけではないので、最後の判断はそれぞれの人に委ねられるわけだけど、それにしても、その根拠となる正確な情報を知りたいと思うのは当然だ。国や自治体等の測定体制が不十分であるならば、もっと細かな測定体制を働き掛けるとともに、やはり自衛手段としては自分たちで測定体制を持ちたい。チェルノブイリ事故の後でも、食品などに気をつけた人と、そうでない人のその後の健康状況には明らかに有意差があるという。
 私たちはチェルノブイリの事故後に、R-DANという空間線量(CPM)を測って情報共有する体制は作っていたけれど、R-DANの測定器では食品は測れない。今、空間線量を測る線量計はかなり安価なものもあるけれども、食品を測るとなると、測定器の値段はけたが違ってくる。伊那谷の仲間たちが何度も会合を持ち、検討を重ねて選んだ測定器はベラルーシ製のアトムテックスというもので、送料などの諸経費込みで約200万円かかったそうだ。その費用を市民みんなの出資金で賄いたいという。入会金は、個人5000円、法人5万円。もちろん、別途カンパも歓迎。会員になると、自分で測りたいものを持ち込んで、無料で測定することができる。
 この、基本的に自分で持ち込んで自分で測るというところが、このネットワークのコンセプト。人任せにしないで自分で動く、そして、さらに言えば、自分で測って自分だけ安心というのではなくて、放射能の勉強会等を等して市民の知識の向上、行政への測定体制整備の働きかけや、放射能汚染地域に住む人たちへの支援活動、他の測定室との連携など、いろいろなことに取り組んでいきたいという。昨日の開所式でも、第2部ではチェルノブイリ救援中部の人たちから、チェルノブイリの状況のお話を聞く。
 私も昨日、早速会員になってきた。目標額200万円に対して、今のところ到達度18%だそうです。規約等、詳細はホームページが立ち上がっています。自分の測定結果を知るだけでなく、他の人が測定した結果もホームページ等で公開されます。

赤石岳も冠雪

2011年11月25日 | 山の風景


 一昨日の冷たい雨で、雨雪境界が一気に降りてきて、昨日は大西山の上の方まで白くなっていた。今日は昨日まだ残っていた雪雲も晴れて、ようやく赤石の雪化粧姿を見ることができた。夕立神パノラマ公園付近も雪だったようだけど、下から見上げる限りでは今日は融けていそうだったので登ってみた。道路脇には若干雪が残っていたけれど、アスファルトの路面はすべて融けていたので、ノーマルタイヤで問題なかった。鳥倉林道は夕立神の少し手前で道路補修工事が行われるため、12月1日から全面通行止め。その後は冬季通行止めになるから、行けるのはあと数日限り(もっと下の方でも現在工事中のため、迂回路で)。前に行ったときに撤去された状態だった展望台は、新しいものがほぼ出来上がっていた。

小河内岳方面には少し雲がかかっていた。


中央アルプス方面は、朝はもう少し姿が見えていたけど、すっぽり雲に覆われてしまった。


 この風景の中にリニアは要らないとつくづく思うが、静岡県の南アルプス世界自然遺産登録学術検討委員会が、リニアの方法書に対して出した21項目にわたる意見書の中で、「『国内でも有数の自然環境豊かな地域』とされる南アルプスの山腹に、トンネル本坑に向けた作業坑・斜坑が穿たれ、工事用道路、資材置場、発生土の仮置場のための工事施工ヤードなど、地表部・坑口付近に露出する雑多な人口構造物の存在は、自然景観とともに周辺環境・生態系を著しく損ない、その結果、世界自然遺産登録やユネスコエコパーク登録の阻害要因となることは容易に想像される」と記している。

リニア新幹線、南アルプス世界遺産登録を阻害?(読売)

 もっと言うと、この意見書、新聞記事には触れていないけれども、磁界のところで「福島原発の事故がいま、この国のあり方や人々のライフスタイルを変える大きなインパクトファクターとなっている。こうした時期に、利便性や経済的効率性を理由に、科学技術の世界でも類をみない超高速のリニア新幹線を走らせることが果たして必要なのか」と、リニアの必要性そのものを問うところまで踏み込んでいる。静岡市のホームページに公開されています。

ようやく初冠雪

2011年11月22日 | 山の風景


 例年、まだ紅葉がそこそこきれいなころ、中央アルプスや南アルプスが初冠雪を迎えて、雪山と紅葉の景色を楽しめるのだけれど、今年は雨が降っても暖かい雨で、なかなか雪化粧した山の姿が拝めなかった。先日の雨もやたら暖かく、また高い山も雨かなと思っていたら、昨日の朝は思いがけず、隣の家からよく見える小黒山~樺山~入山~笹山の2000m級の山々がうっすら白くなっていた。中央アルプスも朝は雲の切れ目からうっすら雪化粧している様子がうかがえたけれど、その後雲に隠されてしまった。今朝はよく晴れて、ようやく澄んだ青空に映える中央アルプスの姿を見ることができた。当然、南アルプスも冠雪しているだろうと思ったら、今日見た赤石には雪がなかった。釜沢の友人のfacebookには小河内岳がうっすら白くなっている写真がアップされてたのにな。もう11月下旬だというのに、今年は遅い。
 とはいえ、今朝はしっかり冷え込んだ。季節は確実に進んでいる。



 今日は農業振興地域整備促進協議会という会議があった。協議事項は、北の原にauの携帯基地局が立つために、その部分15.75平米を農業振興地域から除外することについて承認を求めるもの。といっても、既に工事は始まっているのだそうだ。法律で事後承諾でいいことになっているらしい。北の原には既にソフトバンクの基地局があるけれど、電波が干渉するとかで、そこと一緒というわけにはいかないらしい。主に上蔵と北の原や引の田方面がエリアに入るそうだけど、釜沢までは入らないとか。今後また、ソフトバンクのアンテナも幾つか立つらしくて、携帯がつながるのは便利かもしれないけど、あまりあちこちアンテナが立つのもどうかと思ってしまう。ましてや、電磁波に敏感な人は、どんどん住む場所がなくなってしまう。

産業文化祭

2011年11月13日 | 田舎暮らし


 今日は好天に恵まれて、大鹿村産業文化祭が開催された。今年は実行委員会の一員となり、前日の準備から参加。私は文化展の担当で、今日は9時~10時まで大広間の当番だった。ここには小中学生の作品や、村の女性たちのさまざまな手芸品、書などが展示されている。中でも手前のコーナーは、着物をほどいて作られた「ねこ」や袖無しの綿入れ、作務衣、巾着などの作品が格安の値段で販売されていて、9時に行ったら、次々に人が来て買い求めている。特に「ねこ」は、見る間にテーブルに並べてあったうちの半分くらいが売れてしまった。背中から腰だけを覆う綿入れで、軽くて暖かくて、脱ぎ着が簡単で便利だよと勧められて、私も一つ買ってみた。ちなみにお値段は500円。
 また、この部屋には、三六災害から50年ということで、大河原、鹿塩市場、役場付近などの、災害前、災害後、20年後、50年後の写真を並べた展示もあった。貴重な写真。



 農産物の展示は、野菜部門39点、雑穀・果実・その他部門19点が展示され、どれも見事な作物が並んでいた。下の写真の手前はヤーコン。





 あと、農作物で興味深かったのは「中尾早生の里帰り」という展示で、1999年に村で「中尾早生」を復活させようとして調査したときは、従来の中尾早生はもう残っていなかったらしいが、1989年に県の農業試験場とつくばの農業生物資源研究所で収集した「中尾早生」が残っていて、それを今年、信大で試験栽培したものが展示されていた。幻の「中尾早生」の復活なるかな。

 演芸の部では、恒例の大鹿太鼓や美翔連、子どもたちの踊り、フラメンコなどのほかに、産業祭初登場、ファイアーダンスが披露された。写真はフラメンコの人たち。


 あと、第3回になる日本で最も美しい村・大鹿のフォトコンテストの入賞作品も展示されていて、表彰式が行われた。作品にはすべて審査委員長の白籏史朗さんの講評が書かれていて、幾つかの写真はトリミングして展示されていた。役場ホームページにはトリミング前の写真が掲載されているので、どこをどうカットしたかを見るととても興味深く、なるほどなと思った。

長野県環境影響評価技術委員会

2011年11月04日 | リニア新幹線
 今日は長野県環境影響評価技術委員会の人たちによるリニアの現地調査が行われ、その後、大鹿村で方法書についての会議が開催された。会議は傍聴できると聞いていたので、聴きに行った。
 この委員会で、専門的、科学的な見地から方法書について審議して意見をまとめ、その意見に基づいて、知事がJR東海に対して意見を提出することになる。委員会は12月、1月と、3回開催され、知事意見は来年2月ごろ出されるそうだ。ちなみに、今、11月10日までの日程で、広く一般住民からの意見募集が行われているが、JR東海はそれらの意見をまとめたものを県と関係市町村に送付する。それは次のこの委員会で示されるそうで、住民の意見にも配意して審議されることになる。
 初めに事業者から事業概要と方法書の内容説明があった。といっても、一般向けの説明会で使われたナレーション付きのスライドを30分に縮めたもので、当然、方法書を十分読み込んでおられるはずの委員の方々に対する説明として、ふさわしいものなのかと疑問に思ってしまった。さらに若干の補足説明の後、質疑に入ったが、委員の先生方からは方法書の不備を問う指摘が相次いだ。
 まず、昆虫が専門の中村委員が方法書82ページの表4-2-1-64「対象事業実施区域及びその周囲で生息が確認された昆虫類」について、資料が不備だとして、長野県の環境影響評価技術指針のマニュアルにある必要な文献から挙げられていないと指摘された。これまでの環境アセスの方法書で、これほど重要な種が挙げられていないものは初めてだともおっしゃっていた。続いて、大塚委員からも、動植物についても、重要な種が挙げられていないという指摘があり、亀山委員長も、早急に方法書の段階で文献調査をしっかりすべきで、特に猛禽類については、長野県は希少な猛禽類が多いところでもあり、繁殖情報が確認された鳥類ではなく、生息情報でリストアップすべきだと、JR東海側に求めた。
 さらに、片谷委員からは、大気質の現地調査として、連続1週間×4季では明らかに足りない、通年のデータが得られるようにすべきとか、手法として、平地のモデルでは十分ではないという指摘があった。また、塩田委員からはトンネルの工法について、機械で掘るのか、発破をかけるのか、ダイナマイトを使うなら、その影響も含めて評価すべきということや、土砂の運搬に関する質問などがあった。鈴木委員からは、水についてあまり記載がないということで、地下水や水資源、特に温泉など、水量をきちんと現地調査すべきだといった指摘。富樫委員からは、地形地質に関しての評価項目の選定で、工事の実施段階で「工事施工ヤード及び工事用道路の設置」以外の項目は考慮しないことになっているので、評価項目に加えるべきということ、図面集において、表層地質図など図面の半分近くが空白になっており、資料収集不足であること、猿庫の泉を回避するのに集水域を回避するのではないとしたら、それで回避したと言えるのか、実際のルートの線形はいつ決まるのか、それがないと影響をきちんと評価できないといった3点の指摘があった。植物が専門の佐藤委員からは、ここは日本を代表する植物帯であり、山梨県、長野県、岐阜県、生き物は全部違うので、同じ方法では守れないといった指摘、花里委員からは工事による濁水などに関して質問があった。
 そこまでで予定時間を過ぎてしまい、会議は終了。次回は12月14日、長野県庁にて。

 今日の議事録は後日、長野県のホームページで公開される。議事録の公開前にも音声を公開するとのことだった。(テープ起こし屋としては、今日の会場でクリアな録音が取れたか、やや不安)
【追記】当日の会議録・資料

リニア、県環境影響評価技術委がアセス方法の不備指摘(信毎Web)

動植物リスト「不十分」 リニアアセス方法書(中日新聞)

リニア 県環境評価委が現地視察(読売)

県のアセス技術委が大鹿でリニア計画の審議(南信州)

キセノン

2011年11月02日 | 脱原発
福島第1原発で核分裂の可能性 キセノン検出、ホウ酸注入

福島第1原発2号機で核分裂か ホウ酸水を注入

 玄海原発4号機が昨日の午後11時に運転を再開した。3・11の福島第一原発の事故以来、止まっていた原発の再開は初めて。そうした中、今日未明、福島第一2号機のキセノン検出。半減期が9時間のキセノン135が検出されたということは、現在進行形で核分裂が連続して起こる「臨界」が起こっているということ。福島の原発事故が「年内に冷温停止」どころか、いまだ収束には程遠い危険な状態にあることを示すニュースと一緒に、運転再開のニュースが流れ、原発輸出のニュースが流れる。本当に、この国のいまだに原発にしがみついている人たちは、一体どういう感性をしているのかと思う。

 福島、あるいは周辺の東北、関東の放射線量の高くなっている地域では、子どもの健康被害に怯えながら、一方で、家族や友人、仕事などのつながりの中で、逃げる、逃げない、食べる、食べないといった場面場面での選択に心を引き裂かれながら、日々暮らしている人たちが大勢いる。先週、東京の経産省前では、福島の女たちと、それを応援する多くの人たちが座り込み、福島の女たちに続いて全国の女たちが今も(5日まで)座り込みを続けている。9月19日の6万人集まった「さよなら原発5万人集会」での、「ハイロアクション福島」の武藤類子さんのスピーチを紹介しつつ、確とした決意を込めて書かれた池田香代子さんのブログに強く共感。

【追記】キセノンの検出は極微量で、「臨界でなく自発核分裂」ということらしい。でも、いずれにしても、溶けた燃料がどこでどういう状態に状況になっているのかも分からないし、原子炉が依然として不安定な状態であることを示している。