「美しい村」の議員日記

南アルプス山麓・大鹿村在住。自給自足農業、在宅ワーカー、2011年春より村議会議員。

第20回リニア対策委員会

2016年09月27日 | リニア新幹線
 昨日は20回目、最終となるリニア対策委員会が開催された。大鹿村のリニア対策委員会は、前期は2013年9月に準備書で具体的な計画が示されたことを受けて、翌2014年1月に発足し、認可まで毎月1回、計9回開催。認可後の2014年12月には後期が始まり、やはりほぼ月1回で20回開催された。対策委員会はリニア事業そのものの是非を問うものではなく、工事による自然環境や生活環境への影響を回避・低減する対策を事業計画の中に反映させることや、JRの行う影響対策を実効あるものとするため等の協議の場とされていたので、事業そのものに反対の立場からするとフラストレーションの大きい場だった。しかも、影響低減策にしても、繰り返し言っても聞いてもらえない、会を重ねてもほとんど代わり映えのしない部分が多くて、対策委員会としての視察や学習会の提案なども悉く却下され、住民からは推進委員会と言われ、徒労感ばかりが残る委員会だった。

 昨日は、7日から開催されてきた工事説明会で出された住民の質問や意見をまとめた資料が示され、その一部について、JRがどのように答えたかという説明があった。地区別の説明会は釜沢だけまだ行われていないが、それも来週開催見込みとのこと。地区別の説明会は複数回やると前回の委員会で言っていたが、各地区の方から複数回やってほしいという希望はないそうで、村民全体を対象にした公開の説明会を釜沢の説明会後にもう一回開催したいとのこと。これについては、これまでの工事説明会と同じ内容ではなく、説明会で出た意見・質問に対するJR側の考え方を示す説明会にするそうだ。住民主催の説明会をやってほしいという意見も出たが、答える内容は同じだとして、事業者主催になるようだ。 
 そのほか、委員からは発生土仮置き場や最終置き場が決まっていないこと、地権者は賛成でも住民が反対していること、通勤ダンプの問題等々の意見が出た。

 対策委員会は今回限りとなるが、早ければ来月には、村、県、JR、施工会社が入った連絡協議会を立ち上げて、工事期間中を通じての環境影響や住民意見などの情報共有、対策など連絡調整を図るそうだ。協議会の村側の構成は、人数的には各自治会から住民代表を入れて拡充されるように見えるけど、自治会の代表というとある程度年配の男性がどうしても多くなってしまうので、もっと女性や若者、保育所や学校関係、福祉施設などからの代表に入ってほしいところ。対策委員会には入っていた育む会も外されている。
 

9月定例会終わる

2016年09月21日 | 議員活動
 9日に開会した9月定例議会が昨日閉会した。今会は報告2件、議案17件、請願・陳情4件。

 その中でも住民有志からリニア事業への反対を求める陳情書が提出され、そのための特別委員会が設置されて12日に委員会審議が行われたのが村内外から注目を集めた。大鹿村議会の委員会はふだん非公開で行われているけれども、この特別委員会は公開で開催。参考人として陳情者筆頭人の説明を求め、それに対する質疑の後、陳情書に対する意見を各議員がそれぞれ述べた上で採決。議会として事業そのものに反対の決議を求めるハードルの高い陳情だったけれども、賛成3、反対3の同数となり、委員長裁決により不採択となった。昨日の本会議では特別委員会の委員長も採決に加わったため3対4で不採択。この陳情書には昨日までに2054筆もの賛同署名が寄せられた。県内外の沿線住民からたくさんの署名をいただいたようで、討論の中にこの数字を織り込み、リニア工事による迷惑は大鹿村だけの問題ではないことを訴えた。
 採択に反対した人たちも、全く無条件で工事着手OKというわけではないので、議会として要望書提出のような形でJR東海に対する働きかけをしようという話になっているが、要望内容については、来週、最終のリニア対策委員会が開催されるので、そこでの話も踏まえた上で考えることになった。

 特別委員会の日の午前中には一般質問が行われ、6人が質問。初めに伊東議員が道の駅建設について、同報無線屋外局場所見直しについて、秋山議員が防災における自助・共助と村自体の対応、各防災倉庫備蓄品の種類、数量について、私は工事車両の急増に伴う交通弱者対策について、東村議員は松川インター大鹿線トンネル新設工事に関して、北島議員がリニア工事の残土問題と理解と合意について、最後に小沢議員が村長3期目の進退について。村長の進退については検討中との回答。会期中に示してほしいと質問したが、結局昨日の閉会挨拶でも触れなかった。

 私の一般質問の通告内容は、
○工事車両の急増に伴う交通弱者対策について
 先日、県道松川インター大鹿線のトンネル新設、拡幅工事の説明会が行われ、準備工事が始まった。説明会では区間によってはピーク時1日552台もの工事車両が通行することが示され、現状の狭隘な小渋線にこれだけの台数が通ることに不安を感じた村民は少なくない。高齢の方など運転を控えるようになる可能性もあると思われるが、交通弱者対策など何か考えておられるか。村内を通行する工事車両も今後急増していくことが想定される。地域公共交通会議の資料に示されているコミュニティバスの利用促進事業、利用転換事業、認知度向上事業とは、どのような内容を考えておられるか。

リニア工事説明会

2016年09月08日 | リニア新幹線
 昨夜、交流センターにてリニア南アルプストンネル長野工区の工事説明会が行われた。これまで他地域で行われたリニアの工事説明会は非公開だったらしいが、昨日は公開で報道陣も大勢来ていた(来週、地区単位で開かれる説明会は非公開)。出席者は4月の住民説明会と同程度の130人ほど。質疑では19人が質問・意見を述べ、10時半近くまで続いた。

トンネル掘削、年明けにも JR東海、大鹿でリニア説明会(信毎Web)
南アトンネル長野工区 今秋着工(読売)
リニア本体工事秋にも開始方針(NHK長野)

【記事リンク追記】
リニア本線トンネルは年明け着手 大鹿で説明会、24時間体制で掘削(中日新聞)
長野)リニア新幹線、南アルプストンネル工事の説明会(朝日新聞)
南アトンネル JR東海、今秋着工の方針 大鹿の住民ら反発 /長野(毎日新聞)

南信州新聞からは3本のWeb記事がアップされた。
リニア、トンネル工事今秋着工 2018年から本坑
大鹿村リニア説明会、工事車両への不安相次ぐ JR側は「理解が進んだ」
リニアトンネル掘削、坑口の騒音対策示す 除山ヤードに防音ハウス

 信毎のリンク先の記事は紙面では1面トップで、2面には「『住民理解』問う声噴出」「JRと住民 認識ずれ」といった見出しで、JRが工事説明会でたくさん異論が出ても「理解を得られた」として工事着手に向かおうとするやり方への批判の声が多く上がったことが紹介されている。上の記事でも「理解が進んだと考えている」という沢田担当部長の発言で締めくくられているが、昨日の質疑応答の場面でも、どこまで行っても平行線だった。何をもって住民の理解が進んだとするのか、それをJR側が判断するのでは公正な判断にはなり得ない。
 翌日の信毎社説
リニア説明会 誰の理解が進んだのか
 
 具体的な工事計画をめぐっては、国道の迂回ルートができる平成29年度末までの間、保育所や商店、住宅が並ぶ道を工事車両が通ることについて、保育所の保護者会や福祉施設の人たちから、やめてほしいという声が上がった。
 薬液注入の安全性や、発破の振動で土砂災害が誘発される懸念、事故や土砂災害等、工事に起因して生じた問題への補償を問う質問などもあった。

 私は先日の小渋線の工事説明会で、トンネル工事現場より大鹿側の工事車両が19台と示され、今回役場前で68台となっていたので、その差がどこから来るのか疑問だったので質問したのと、生田が残土置き場として示されたことについて松川町から抗議があったことについて質問した。生田については平成26年から協議もしていて環境調査も進めている、あの新聞記事が出た後、松川町長とも話をしていて候補地という言い方で了解を得ているというような返答だったと思う。でも、下流の住民から懸念が出ているからこそああいう町長発言になったと思うし、大鹿から出て行く残土が他地域の人たちの安心・安全を脅かすとしたら看過するわけにいかない。

 説明会の開始前には、リニアに反対する二つの住民グループがビラや署名用紙を配布していた。先日提出された大鹿村議会への陳情書に賛同する署名集めもあり、多くの賛同署名が集まると心強いなと期待している。陳情書の審議は12日。
 

この間の動きと9月定例会の日程など

2016年09月06日 | 議員活動
 前回のブログを書いた翌8月26日、釜沢地区で開催された県道赤石岳公園線の道路改良説明会で、自治会長、副自治会長が求めた地区外のリニア対策委員のオブザーバー出席が拒まれるという一件があった。Facebookでは一連の記事等をシェアしたものの、ブログにまとめる余裕がなく、村外の方がまとめてくださったりしているので、明日のリニア本体工事の説明会の前にこちらにも記事のリンクなどまとめておきたい。

 出席を拒まれたリニア対策委員自身のブログ記事。
 びっくり!釜沢の道路説明会の現場
JR東海の不当な事業説明会についてプレスリリースしました

 その日はちょうどストップリニア訴訟の弁護団合宿が村内で行われていて、沿線ネットの原告団長や事務局の皆さんも来ていて、懇親会が行われている最中にそのニュースがもたらされたため、沿線ネットからもいち早く抗議声明が出された。
JR東海の横暴な大鹿村道路工事説明会に抗議する声明
 リニア対策委員によるプレスリリースを受けて、信濃毎日新聞や朝日新聞長野版などにも批判的な記事が掲載された。
「住民理解」への協議揺らぐ 大鹿村釜沢のリニア関連説明会
長野)大鹿のリニア工事説明会、JR東海と地元住民対立

 特に信濃毎日新聞はこの記事の後もJR東海が副自治会長におわびに行ったとか、知事も「対応悪い」と言ったなど記事になっていて、9月3日には社説でもこの問題に言及している。
リニア説明会 住民置き去りはだめだ

 そしてその間、8月24日に説明会が開催された小渋線では、29日に準備工事が始まり、31日には安全祈願式が行われた。
リニア残土運搬、県道改良で安全祈願式 7日に大鹿で本体工事説明会(南信州新聞)


 また、同じ頃、8月25日のリニア対策委員会で大鹿で出る残土の行き先として、松川町生田地区の名前が上がったことについて、松川町長がまだ決まっていないとして困惑という記事が朝日新聞長野版に載った。
長野)JR東海が予定地を明示 松川町は困惑
 (ここでは「困惑」となっているけど、今朝の信濃毎日によれば、松川町長は「非常に強く疑念を抱きすぐに抗議をした」そうだ)

 信濃毎日では9月2日に阿智村の状況なども含めて「残土行方決まらぬまま」「JR東海10月にも着工へ調整」「なし崩し受け入れ住民懸念」といった見出しで大きく記事が載った。

 そうした中での、明日のリニア工事説明会となる。

 9日から始まる大鹿村議会9月定例会には、住民6名の名前で「リニア事業への反対を求める陳情書」が提出されている。これについては特別委員会を設置して全員で協議することになった。

 9月定例会の日程は
 
 9日 10時~ 本会議開会 委員会
 12日 9時~ 一般質問
 12~16日 委員会
 20日 4時~ 本会議