「美しい村」の議員日記

南アルプス山麓・大鹿村在住。自給自足農業、在宅ワーカー、2011年春より村議会議員。

野党共闘

2016年07月16日 | 非戦・平和・社会
 参院選について書こうと思いつつも落ち着いて書く余裕がないまま、1週間近くたってしまった。選挙の結果は改憲勢力3分の2超、無所属の追加公認で自民党単独過半数にも達してしまい、今後どうなっていくのかと思うと暗澹たる気持ちになってくる。一方で、今回の選挙では画期的な市民と野党の共闘の取り組みにより、全国32の1人区すべてで野党統一候補が実現し、ここ長野県をはじめ11の選挙区で野党の勝利となった。長野県では事前予測では野党統一候補の杉尾ひでやさんリードだったけれど、自民党側のひどいネガキャンや強力な組織固め、安倍総理が3度も来たりで選挙期間中の情勢予測では大接戦、互角と報道された。しかし、最終的には全国一の投票率となり、7万票以上の差で杉尾さんとなり、本当にほっとした。特に自民党側は「落下傘より健太さん」と、地元出身候補かどうかが最大の争点かのような言い方をしていて、移住促進に力を入れている時代に何を時代錯誤なことをと、産経新聞にまで批判的に書かれていたので、(私自身も移住者だし)県民の良識が示された結果に安堵した。比例区の方では脱原発やリニア問題はじめ、いろいろな市民運動でお世話になっている福島みずほさんが当選。社民党としては党首落選という厳しい事態で今後が気になるところだけど、生活の党と統一会派を組む方針とのこと。

 これまで選挙のたびに、野党側がそれぞれ候補を立てることで結果的に自民党が勝ってしまうことにさんざん歯がゆい思いをしていたので、今回の画期的な野党共闘の取り組みは本当に良かったと思うし、働きかけた市民、各地で決まっていた候補者を下ろした共産党をはじめ各政党の方々の努力に心から敬意を表したい。今の小選挙区制が続く限り、自民党に偏りすぎたバランスを取り戻すためにも野党共闘を進めていくしかないと思う。ただ、それには本当に丁寧な話し合いが必要で、一昨日告示された都知事選では、あまりに時間が少なすぎて、釈然としないものをたくさん残したまま選挙戦に入ってしまった。何とか選挙期間を通じて、その辺の溝が埋まっていくと良いなと思う。

 この間読んだWeb記事の中からいくつか。
 
 本当に自民党は大勝したのか?なんだか変なマスコミ報道。(竹村英明の「あきらめない!」)
 三宅洋平さんについては、市民からの要請を一度は断ったものを翻しての出馬にいろいろな評価があったと思うけど、生活の党の比例区での議席獲得には確実に貢献したと思うし、無関心層に目を向けてもらうきっかけが作れたとしたら、ぜひ次につなげてほしいと思う。

民主主義って何だ!?少なくともこれじゃない。ゼロから。これから。(OSHIDORI Mako&Ken Portal/おしどりポータルサイト)
 都知事選に関してはこんな声もあった。

明日に向けて(1279)参院選の結果から見えるもの・・・安倍政権を倒す可能性はここにある!

明日に向けて(1281)参院選の結果から見えるもの・・・平和を守るための与野党共闘を発展させよう!

 山奥の大鹿村では選挙期間中も、自民党候補が一度は来たようだが、街宣車が来ることもなく静かな日々だった。インターネットを使った選挙運動ができるようになり、私自身は応援する候補の情報を日々SNSでシェアするという手軽な方法にかなり依存していた。おかげでタイムラインは杉尾さんと福島さんと三宅さんばかりの日々になってしまった。しかし、SNSは基本的にお友達のネットワークなので、友達同士で盛り上がるだけになってしまって選挙運動としての宣伝効果は弱いなと改めて感じた。やはり大事なのはface to faceで、あるいは電話でも、直接話すことだろう。そして、一人一人が主権者として自ら考え、(同じ考えの人同士だけでなくて)身近な日常の中でもう少し社会のことを話題にできるような世の中にしていかないと、一部の人に任せて文句を言っているだけでは何も変わっていかない。自分のこととして動く人が増えていけばと思う。

【追記】「Rolling Stone」にこんな記事も。
2016年大統領選におけるバーニー・サンダースの静かなる勝利 
 

参議院選挙その4

2013年07月23日 | 非戦・平和・社会
 覚え書き。今回の参院選に際しての朝日・東大矢口研究室共同調査「政策課題 政党・候補者のスタンスは」の中に、環境保護に関する設問があった。「A 環境を守るため、生活水準を犠牲にすることも必要だ」と「B 生活水準を犠牲にするほど、環境問題は重要な問題ではない」のどちらに考えが近いかということを問うもので、比例区候補とのボートマッチでは「Aに近い」が19人、「どちらかと言えばAに近い」が55人、「どちらとも言えない」が71人、「どちらかと言えばBに近い」が3人、「Bに近い」が1人だった。さすがに「Bに近い」はごく少数派。また、選挙区候補で「Aに近い」と回答したのは21人。「Aに近い」の計40人のうち、今回の選挙で当選した方は、自民3人(西田昌司、尾辻秀久、山田俊夫)、民主2人(相原久美子、神本美恵子)、公明1人(矢倉克夫)、社民1人(又市征治)の7人だった。「Bに近い」「どちらかと言えばBに近い」というごく少数派の回答はほとんどが幸福実現党の方で落選しているが、当選された人の中にも「どちらかと言えばBに近い」と回答した方がいた。

参議院選挙その3

2013年07月22日 | 非戦・平和・社会
 今回の参院選は、事前のマスコミの予想どおり投票率は低く、与党の圧勝となった。応援していた「緑の党」は、マスコミ的には最後まで「諸派」扱いのままで、選挙直前の各党の公約みたいな一覧記事などにも全く載らなかった。一方で三宅洋平さんの選挙フェスは連日ものすごいたくさんの人を集め、大勢の若者が真剣に耳を傾ける動画がネットの中でシェアされまくった。その結果、三宅さんの個人得票数は17万6970票に達し、全国比例代表候補者162名中、26番目の得票だったそうだ。しかし、いかんせんマスコミに徹底的に無視され続けて知名度の低い「緑の党」全体の得票数が45万7862票(0.9%)にとどまり、議席獲得には届かなかった。でも、選挙フェスの熱い盛り上がりは大激戦区だった東京で山本太郎さんの当選につながり、何よりも今まで選挙に無関心だった多くの若者たちの心に確実に種をまいたことだろう。ここが始まり。三宅さん自身も3年後をめざすと表明しているし、彼のメッセージを受け止めて、これから地方議会で立候補する若い人たちが増えるといいなと思う。

 もう一つの緑、「みどりの風」の比例得票数も緑の党と似たり寄ったりの43万673票(0.8%)にとどまった。選挙前、何とか合流できればと願っていたけれども、結果的には「緑の党」と「みどりの風」が合流しても、2%、1議席に届かなかったことになる。「みどりの風」は選挙区でも議席を失い、代表の谷岡さんは辞任を表明している。「社民党」は2.4%で1議席だけは何とか確保したものの、「生活の党」も1.8%で議席獲得に至らなかった。この辺も連携の動きが模索されていただけに、本当に残念でならない。次回までには何らかの形で再編なり連携なりを模索しないと存続自体も厳しいのではないか。脱原発、護憲の党派では「共産党」だけが議席を伸ばし、非改選と合わせると11議席となり、法案提出件を回復した。「共産党」はリニアに対しても反対、凍結を求める姿勢なので、ぜひ頑張ってもらいたいもの。
 
 「みどりの風」と「緑の党」を合わせても2%に届かなかったことは、少なからずショックだった。そんな寝不足の朝、高野雅夫さんのブログ記事「きちんと立つということ」に背筋が伸びた。そう、「選挙結果にかかわらず、私たちのやるべきことは何も変わらない。(天と地につながることによって)きちんと立つことからはじめたい」

※大鹿村では投票総数823票(有効787票)のうち三宅洋平さんへの個人票は58票。緑の党への票と合わせて71票で、全体の9%。自民、公明、共産、民主の次だった。

参議院選挙その2

2013年07月15日 | 非戦・平和・社会
 4日の公示日に、脱原発・改憲反対勢力が小政党に分散したまま、合流や選挙協力があまり進まなかったということで、ややネガティブな日記を書いてしまったけれども、その後、緑の党の全国比例区推薦候補、ミュージシャンの三宅洋平さんの選挙戦ならぬ「選挙フェス」の熱さに一筋の希望を見いだして励まされている。相変わらず緑の党は、世論調査の支持政党の選択肢にも、党首討論などの番組にも登場せず、マスコミからは諸派扱いなので、テレビや新聞しか見ない人はほとんど知らないままだろうと思うが、例えばYahoo!のみんなの政治、参院選2013のランキングでは、三宅洋平さんはtwitterフォロワー増加数1位、つぶやかれ数2位、検索数3位と、ネットの世界ではすごく注目を集めている。昨日も東京・渋谷のハチ公前に何千人もの若者たちが、(そしてあまり若くない人たちも)集まり、街頭演説ならぬ街頭ライブ+トークに真剣に耳を傾けている姿をツイキャスの中継で見た。率直でストレートな言葉と音楽の力で、従来のお任せ民主主義から参加型の民主主義を訴え、選挙に無関心だった、特に若い人たちの心に火をつけ、確かなインパクトを与えてくれている様子が伝わってくる。(例えばこちら→参院選全国比例区に出馬する三宅洋平の選挙フェスが熱すぎる件昨日の選挙フェスでの三宅洋平さん
 とはいえ、比例区での当選には120万票が必要と聞くので、何千人集まったところで、facebookなど友達のネットワークの中で「いいね!」や「シェア」をしているだけでは、とても届かないだろう。三宅さん自身が選挙フェスの中で繰り返し言っているように、彼の話を聞いて支持したいと思った人たちが、普段政治の話などしない家族や友達、職場の同僚などと選挙の話をして伝えることができるかにかかっている。投票日まであと1週間を切ったが、どこまで広がりを持てるか。
 今回の選挙で国政初チャレンジの緑の党を応援したいと思ったときに、同時に、これまでずっと支持してきた社民党の票が減ってしまうのも心配だったが(何せ社民党は今回議席を失うようなことになると、存続の危機に陥る)、三宅さんは、これまで政治に失望して選挙に行かなかった人たちの票を掘り起こしてくれているので、脱原発候補の間で票を食い合うのではなく、何とか全体の投票率アップにつながればいいなと思う。
 緑の党とともに、みどりの風も気になっている。名前が似ているので紛らわしいが、何より、みどりの風の人たちが脱原発勢力の結集を目指していたからだ。党首の谷岡くにこさんの公示直前のこの記事では、共闘への期待に応えられなかった無念を「矢は抜かずに闘います」という言葉に示されている。前双葉町長の井戸川克隆さんもみどりの風から全国比例区で立候補され、仮設住宅などを回られて切々と訴えておられる姿を見ると、この方にも何とか当選してほしいと思う。

※緑の党グリーンズジャパンは「緑の党」または「グリーン」。
 みどりの風の略称は「みどり」だが、「みどり」では自民党の石井みどりさんと按分されてしまうようなので、略さず「みどりの風」と書くこと。
 一番いいのは、比例区も応援したい候補者の名前を書くこと。党の票にもなる。

参議院選挙

2013年07月04日 | 非戦・平和・社会
 今日は参院選の公示日で、午前中は友人と一緒に村内の公営掲示板に神津ゆかりさんのポスターを貼って回った。長野選挙区でも、衆院選の結果を受けて、原発、憲法、消費税、TPPなどの課題で一致する勢力の共同候補を出せないかという動きがあったが、社共の政党の壁は厚く、いったんは断念したものの、その後改めて発足した共同の動きの中から神津さんが出てきた。市民派としての立候補だが、社民党が支援する形で、比例区の又市さんと裏表のチラシも回ってきた。「素敵な憲法に乾杯! すべてはいのちのために」というコピーで、憲法9条や96条の改正に反対、原発にNo!、TPPにNo!という主張は、共産党の唐沢ちあきさんと全くダブるし、しかも同じ40代女性ということで女性票も割れてしまうので、一本化できなかったのは本当に残念でならない。

 全国でも脱原発・改憲反対勢力が小政党に分散してしまったままで、合流や選挙協力の動きはあまり進まなかった。衆院選直前にできた未来の党がみどりの風に合流したけれども、みどりの風と緑の党は合流できず、今回もまたどこに入れたらいいのか悩む人が多そうな状況になってしまった。一方で、脱原発政治連盟(緑茶会)という、脱原発候補を選挙区ごとに絞り込んで応援する団体もできた。緑茶会の長野選挙区の推薦候補は神津さんとなっている。しかし、東京選挙区では、みどりの風と緑の党の合流の話がなかなか進まない中で、大河原雅子さんを当選させるために、山本太郎さんに東京選挙区で出ないでくれと言っていたはずの丸子安子さんがみどりの風から立候補、しかも、大河原雅子さんは何と公示2日前に民主党の公認を取り消されてしまい、もちろん山本太郎さんも無所属で立候補しているから、脱原発候補の共倒れが本当に心配な事態になった。こういうことで、有権者はますます誰に投票したらよいか判断がつかず、無力感にさいなまれて、選挙に行く気をなくす原因になってしまう。何とかしてほしいと切に思うけど、とにかく投票率が低すぎるので、そういう無党派の人たちがもっと選挙に行くことで、ある程度は結果は動くはずだとも思う。

 今回も投票マッチングサイトがいくつか開設されている。毎日新聞の「えらぼーと」の設問に答えていったら、私は緑の党、共産党、みどりの風、社民党の順で近かった。でも、日本政治.comの投票マッチングだと、緑の党がその他の政党になって出ていなくて、社民党が最も一致した。設問が違うので、その他の政党との一致度も「えらぼーと」と随分違う結果となった。朝日新聞デジタルでも朝日・東大谷口研究室共同調査というコーナーで政党・候補者のいろいろな課題に対するスタンスを見ることができるほか、政党・比例区候補とのボートマッチもできる。また設問数も多い。朝日のボートマッチでも、やはり緑の党が一番近く、社民・共産、みどりの風の順に一致した。

 緑の党グリーンズジャパンはこれまで各地域で「みどりの未来」として活動してきた人たちが母体となって、世界の緑の党とも連携する市民発の政党として昨年誕生した。世界一高い供託金の壁を乗り越えて、今回が初の国政チャレンジとなる。まだ国会に議席を持つ政党ではないため、マスコミの選挙の記事や世論調査などでも名前が出てこないので、みどりの風とごっちゃになっている人や全く知らない人も多いのではないかと思うけど、公約を見ても、ボートマッチの結果でも、自分の考えに最も近く、何とか応援したいと思っている。

憲法を考える集まり

2013年01月22日 | 非戦・平和・社会
 先週の土曜日、お隣の中川村にて、『靖国問題』『犠牲のシステム福島・沖縄』などの著書がある東京大学の高橋哲哉さんと、「国旗に一礼しない村長」として新聞などでも話題になった中川村の曽我村長の対談による「憲法をかえますか?」という講演会があった。総選挙で自民党が(支持率こそ20%台だが小選挙区制により)圧勝し、憲法改正を掲げる安倍政権が誕生したことで、より関心が高まったこともあってか、会場の文化センター大ホールは200人を超える人で埋まった。
 まず高橋先生から、憲法は他の法律とは違い、国の成り立ち、根本的な理念を定めたものであり、現行の憲法は主権者たる国民から国家権力に対する命令、民が定めて国に守らせるものであるというお話があった。(それに対して、大日本帝国憲法はお上がつくって国民に下賜するものだった)そして、憲法改正というときによく9条のことが挙げられるが、それだけの問題ではない。どの条文をどう変えるのかということで、昨年4月に公表された自民党の憲法改正草案について資料に基づいてお話しいただいた。
 例えば99条に「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ」となっているが、これに対応する改正案の102条では「全て国民は、この憲法を尊重しなければならない」と、まずあって、2項で「国会議員、国務大臣、裁判官その他の公務員は、この憲法を擁護する義務を負う」となっている。天皇は「象徴」から「元首」とされ、「日本国民は」で始まっていた前文は、「日本国は」で始まる。
 そして、9条を含む第2章は「戦争の放棄」から「安全保障」とされ、自衛権が書き込まれ、自衛隊は国防軍とされる。実際、現実の自衛隊は軍と変わりないのだから実態に合った名称にするのだという議論があるが、一方で自衛隊は違憲だとする裁判もあったわけで、正式な軍隊でないことによってあった歯止めがなくなってしまうことは明らかだ。そして、3項には「国際社会の平和と安全を確保するために国際的に協調して行われる活動」を行うことができるとされている。集団的自衛権の行使を認めれば、アメリカの戦争に駆り出されるのは目に見えている。
 高橋先生は、自民党の改憲草案について、この主権者である国民が国家権力を縛る力を後退させることと、海外派兵を可能にすることの2点が特に重要なポイントだとされた。
 次に曽我村長のお話。曽我村長は昨年、議会の一般質問で国旗と国歌に対する認識を問われた際のやりとりをホームページに掲載して話題を呼び、その後、朝日新聞に「国旗に一例しない村長」としてインタビュー記事が大きく掲載された。それに対して、賛意はメールでたくさん来るが、反対の声は電話でぱらぱら来るのだそうだ。村長は日本がどうしたら海外の人からも尊敬してもらえるような国になれるのか、みんなで考え議論しあえることが大事だとされるが、中には、直接民主主義は幼稚で愚かだ、大衆はそんなことに興味はないという声や、心の中で国旗や国歌に対してどう思っていてもいいが、外面だけ、形式的に従えばいいのだという声も寄せられたとか。まさに真逆の考え方。自民党の改正案の前文に「和を尊び」とあるが、これは、分をわきまえよ、差し出がましいことを言ってはいけないという、上の人が下の人に言うことを聞かせるためのものだという言い方もされていた。
 また、原発事故によって専門家の話が信頼できない状況になってきたこと、繰り返されてきた棄民政策、部分と全体、地方自治体は国と比べれば、部分と全体の乖離は少ないといったこと、憲法の改正案についても、国民の中での議論がないうちに、国、自民党から与えられるというのは非常にまずいといったことなど、話は広がる。
 その話を受けて、高橋さんが聖徳太子の17条の憲法でも「和をもって貴しとなし」の後は「さからうことなきを宗とせよ」と続くのだと紹介された。
 福島県の状況、オスプレイの低空飛行訓練のこと、犠牲にされるのは原発や沖縄だけでなく、薬害、ワーキングプア等々、どんどん切り捨てられていく。自分はメジャーの側に立っていると思っていても、いつ切り捨てられる側になるか分からないような状況、それはみんなで守り合っていかなくてはならないといったことなど、お二人の話が続く。
 会場との質疑応答では、年末に亡くなられたベアテ・シロタ・ゴードンさんの名前も出て、押し付けられた憲法というが、ベアテさんの起草された24条の男女平等条項も押しつけかという質問があった。実は2005年の自民党の最初の改正案の際にはこの24条の見直し案も出ていたそうだ。
 翌日はより少人数のゼミ形式でもっと話を深めたそうだが、私はそちらには参加しなかった。

総選挙

2012年12月06日 | 非戦・平和・社会
 突然の総選挙、公示直前まで離党したり合流したり、新しい政党ができたりで、訳が分からなく感じている人も多いのかもしれないが、東日本大震災と原発事故後初めての総選挙、今なお16万人の人が先の見えない避難生活を送り、事故の収束もままならない状況なのだから、何としても脱原発の民意を反映してほしい。しかし、序盤戦のマスコミの世論調査(無作為抽出といっても、固定電話を持っていて自宅にいる人が対象という偏ったサンプル)によれば、原発維持の自民党が単独過半数を占める勢いだという。しかも、自民党は集団的自衛権の行使を可能にするとし、憲法9条を変えて、自衛隊を国民軍にするとまで言っている。本当に国民がそんなことを望んでいるのか疑問に思ってしまうが、昨日の中日新聞の「こんなに怖い選挙はない」と題した記事によれば、比例で自民党に入れるとした人の三割弱が、「憲法九条」の改訂には反対だと答え、実に半数近くが、将来的な「原発ゼロ」を求めているのだそうだ。どうか本番の投票日には、各政党の政策をしっかり吟味した上で1票を投じてほしいものだと切に願わずにおれない。

 2年前の参院選のときにも紹介したが、いろいろな政策についての質問に答えていくことで、自分の考えに近い政党や候補者を選ぶことができるツールが公開されている。Yahoo!の方は6つの政策テーマごとにマニフェストを読み比べて選ぶもの。
毎日ボートマッチ(えらぼーと)
Yahoo!みんなの政治「マニフェストマッチ」
 
 また、全部の選挙区は網羅されていないようだけど、各議員の脱原発度について「脱原発つうしんぼ」というのもある。脱原発を法的にきちんと位置付けていくための脱原発基本法に対する候補者の賛否も参考に。ジェンダー平等政策についての各党の回答を比較するものもある。「ジェンダー平等政策を求めます」キャンペーン

 脱原発を掲げる政党の合流・連携を呼び掛けた日本未来の党も誕生した。嘉田代表の第一声は飯舘村からスタートしたという。原発から30km圏外にありながら全村避難を強いられた「美しい村」。「二度と飯舘のような思いをさせてはいけない」、「これ以上、放射能をばらまくのは、地球倫理として許されない」、本当にそう思う。

中川村TPP参加反対デモ

2011年02月20日 | 非戦・平和・社会


 今日はお隣の中川村で、村長さんが呼び掛けた全村挙げてのTPP参加反対デモが行われた。TPPについては、日本の農業がこれによって壊滅的な打撃を受け、食料自給率が十数パーセントにまで低下するのではないかと言われているし、農業だけの問題ではなく、金融、保健医療などさまざまな分野の規制緩和までも対象になっていて、国内の経済、生活への影響は大変なものになるので、つい先日も長野県のJAで取りまとめている署名用紙が回ってきたので署名したばかり。今回のデモも中川村民だけでなく、広く参加を呼び掛けていたので、隣村で近いこともあって参加してきた。随分大勢の人が集まったなと思っていたら、380人もの人が参加したそうだ。曽我村長の「エジプトに続いて声を!」というツイートが15日。わずかの準備期間ですごいなと思う。こういう動きが全国あちこちに飛び火していくといいな。
 上の写真は役場を出発するときの先頭で、真ん中辺のスーツにエジプトのスカーフ姿の人が曽我村長。


 若い人たちも結構大勢いる。農業っぽく、トラクターや軽トラックも。
 音の出る物を持って参加くださいとのことで、空き缶や太鼓など賑やか。
 (村長さんはカンをたたいていた)
 時々シュプレヒコールあり、そろいのはちまき、のぼりばたなど、古典的なデモっぽい。
 中央アルプスの山々にもみんなの声が届いたろうか。







 最後はショッピングセンターの駐車場で、各団体の人たちのメッセージがあり、
TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)交渉への参加に反対する宣言を読み上げて
解散。
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TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)交渉への参加に反対する宣言

 政府は、「TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)」交渉への参加を検討し、
アジア太平洋貿易圏の構築を目指すと表明し検討を行っている。
 TPPは原則としてすべての品目の関税を撤廃する協定で、BSEの心配のある
牛肉や遺伝子組換作物の自由化、食料自給率低下といった問題に留まらず、
保健医療、政府調達をはじめ24にも及ぶ多くの分野で米国基準が押し付けら
れ、国内法よりTPPが優先されることになる。
 国内経済、国民生活への影響は甚大で、特に農山村では、地域経済・集落
共同体そのものの崩壊(「限界集落」化)が懸念される。
 よって、私たちは中川村全村を挙げてTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)
交渉に参加しないことを、政府に対し求める。
 私たちの「食」「文化」「暮らし」「地域の未来」を変えてしまうTPPへの
参加に断固反対する。
 以上、宣言する。
 2011年2月20日    中川村全村挙げてのTPP参加反対集会

池田香代子さん講演会

2010年12月11日 | 非戦・平和・社会
 今日は下条村の下条大学で池田香代子さんの講演会があるということを、つい3日ほど前に友達のtwitterで知って、ぜひお会いしたいなと思って出掛けてきた。池田香代子さんは『世界がもし100人の村だったら』シリーズで有名だけど、もともと専門はドイツ文学の翻訳で、ベストセラーになった『ソフィーの世界』をはじめ、たくさんの児童書や絵本を出されている。
 『世界がもし100人の村だったら』は、インターネットでいろんなバリエーションで広まっていたメールの内容を池田さんが再話という形でまとめた本で、大ベストセラーになって、シリーズで5冊出て、さらに去年『日本がもし100人の村だったら』も出た。そのメール自体は、当時、私のところにもどこかから回ってきて読んでいたけど、それを池田さんが絵本にしようとしたのは、9・11の後、テロの実行犯とされたアルカイダが潜伏しているという理由でアメリカに攻撃されることになったアフガニスタンで、井戸を掘ったり医療支援をしていた中村哲さんのペシャワール会にまとまった支援をしたいというのが一つの動機だったそうだ。100万円くらい寄付したいと思っていたら、それどころか1億円を超え、半分くらいは税金で取られるけど(高額所得者の最高税率は、今は金持ち優遇策で当時に比べて随分引き下げられてしまった)、残りの何千万円かをすべて、100人村の基金として、難民支援や、さまざまな平和活動をしているNPOやNGOへの寄付に投じたそうだ。一つの本から始まって、こんなにいろいろな広がりが持てるのだという、ちょっと元気の出るお話。

 難民というと、日本は先進国の中にあって非常に難民に対して門戸を閉ざしている国で、アメリカやヨーロッパでは年間万単位で受け入れているのに、何十人というレベルでしか受け入れていないのだそうだ。そうした中、日本にやってきたアフガニスタンの少数民族の難民の方に「どうして日本に逃げてきたの?」と聞いたら、日本のNGOの人たちは、分け隔てをしない、危険が迫ったときに最後まで踏みとどまってくれるという答えだったそうだ。政府は本当にひどいけど、実は海外で活躍しているNGOの人たちがそうやって信頼を得ているのだと知って、本当に頭が下がる思いだし、素晴らしいことだと思って嬉しかった。

 さて、下条村は中山間地にあって子どもが増えていることで有名なところ。話のテーマも子どものことになる。つい先日報道されたPISAの学力調査。上位に来ているのは、かつての日本のように詰め込み教育をしている途上国であって、別に日本の子どもたちの学力が落ちているわけではないとのこと。あるいは、マスメディアで繰り返し凶悪事件が報じられるせいで、近ごろ日本では少年犯罪が増えているような気がしてしまいがちだけど、実は全然そんなことはなくて、少年犯罪も殺人事件なども減っている。また、諸外国と比べても、日本の少年犯罪はずっと少ない。外国の学会で、なぜ日本の子どもたちは非行が少ないのかと話し合われたりもしているそうだ。そこで出た一説として、ケアリングコミュニティがしっかりしているのではないかという話があったそうだ。これは都会はともかく、下条もそうだと思うし、うちの村でも、地域ぐるみで子どもを大切にしていると思う。とかく「近ごろの子どもは、若者は」という言い方をされがちだけど、全然そんなことはなく、日本の子どもたちは学力もあるし、世界の中でもいい子たちなんだと。ただし、自己評価の低い子、自信のない子が多いとも。また、日本は他の先進国に比べて、教育と医療にお金を使っていない。例えば子ども手当満額払って、ようやく先進国の平均くらいだとか。
 
 100人村シリーズの3冊目は食べ物編。日本の食糧自給率は40%とよく言うけど、それはカロリーベースの話で、重量ベースにすると何と20%。そして、食品の廃棄率も20%。といったところから、地産地消の重要性。地産地消は食料だけでなく、小水力や地熱など自然エネルギーを使って、エネルギーの地産地消もできればというお話。これは日本の場合、電力が独占事業になっているので、ここを規制緩和しないとできない。アイスランドは金融危機で大変だけど、地熱や水力でエネルギーを自給している。これは先日、田中優さんの講演でも聞いた話。

 最後に100人村シリーズの最後、子ども編の一部を朗読してくださって、講演を終わる。ドネラ・メドウズさんが言った貧しい人たちが幸せになる五つの条件、「1つめは、きれいな空気と土と水。2つめは、戦争や災害のためにふるさとをはなれなくてすむこと。3つめは、予防をふくむ基礎的な医療をうけられること。4つめは、基礎的な教育をうけられること。そして5つめは、伝統文化に誇りをもち、それらを楽しむことができること」。別に貧しい人に限らず、これが満たされれば、十分幸せではないかと思う。(でも、実は一見豊かな都市には1つめが欠如しているかもしれない)
 朗読のバックには、池田さんと高校の同級生だった鎌田實さんが「がんばらない」レーベルで制作した坂田明さんの「ひまわり」。このCDの売り上げはチェルノブイリやイラクで白血病に苦しむ子どもたちの薬代になるとのことで、購入してきた。初めて行った下条村は結構遠かったけど、いいお話を聞けて行ったかいがあった。しっかりミーハーで持参した本にサインもいただいてきた。

ベーシックインカム講演会

2010年11月27日 | 非戦・平和・社会
 今日は隣の中川村で、『ベーシックインカム入門』の著者、山森亮先生と、ブラジルの小さな農村コミュニティでベーシックインカムの給付を始めたNPOの方のお話があるとのことで、出掛けてきた。ベーシックインカムというのは、すべての個人に無条件で生活に必要な最低限のお金を給付するという、最近よく耳にするようになった考え方で、中川村の村長さんが村のホームページの村長からのメッセージで時々書かれている。貧困問題や農山村の過疎高齢化の問題など、今の世の中のいろいろな閉塞状況に対して、一つの突破口になり得るのではないかという期待がある一方で、そんな財源が一体どこにあるのか、あるいは、「働かざる者食うべからず」的な、そんなことをしたらみんな働かなくなってしまうのではないかという疑問など、さまざまな議論があるみたいだ。でも、私自身、農作業や動物の世話、家事・育児で、365日休みなく働き続けても、現金収入にはほとんど結び付かないという生活を結構長くしていたので、やはりベーシックインカムはすごく魅力的な考え方だと思うし、ぜひそういう誰もが基本的な生存権を保障された世の中になってほしいものだと思う。
 ブラジルでは実は2004年にベーシックインカムについての法律ができているのだそうだ。そして、ベーシックインカムを直ちに実施するまでには至っていないけれども、第1段階として「ボウサ・ファミリア」という低所得者向けの条件付き子ども手当のようなものが、人口の3分の1、6000万人を超える人々に給付されているのだそうだ。
 とはいえ、完全なベーシックインカムの実施には税制の大改革も必要で、見通しは立っていない中で、2008年に住民100人ほどの小さな農村コミュニティでNPOによる給付が始まったのだそうだ。財源は寄付によっているそうで、一人当たり月1500円程度。最初は27人で始まったけど、今は77人になっているとか。規模的にも本当に小さな一歩ではあるけれど、まずは子どもたちの栄養状態が改善されたり、いろいろよい変化が見られるとのことで、今後の推移に注目したいと思った。

 今日はとても天気が良かったので、会場に行く前にちょこっと陣馬形に寄ってきた。