「美しい村」の議員日記

南アルプス山麓・大鹿村在住。自給自足農業、在宅ワーカー、2011年春より村議会議員。

リニア連絡協議会(続き)

2017年12月22日 | リニア新幹線
 昨日のリニア連絡協議会は盛りだくさんな内容だった。村民の関心が高かった小渋線の崩落関係で時間を使ったが、他にもいくつか新たな内容があった。最後は時間も押しているので早く終わりたいという空気が流れていて、とにかく説明を聞くだけになってしまった。

 JR東海からは、まず小渋線について、半の沢の道路改良案が示された。ここは大型車がすれ違えない狭い橋のため以前のリニア対策委員会で架け替え要望をしていたが、橋の架け替えはできないとのことで、それならば沢を埋めて道路にできないかという提案が大鹿村の委員から出ていたもの。しかし、沢を埋めてしまうというのは、今、豊丘村でも松川町生田でも問題になっているように、土砂災害が下流域に及ぶ危険がある。そのため、ずっと協議中という話のまま、しかし小渋線のトンネル残土は半の沢下部の河川敷に仮置きされてきた。今回初めて、どのように積むかというイメージ図が示された。道路となる部分では約30メートルもの高さになり、相当な盛土が必要。現在積まれている小渋線のトンネル残土の量が18~20万立米程度で、掘削はほとんど終了しているので、相当量のリニア残土も運ばれることになりそう。今後、関係箇所で協議の上、詳細設計を進めるとのこと。
 南アルプストンネルの工事状況では、小渋川非常口でのこの間の発破掘削に伴う騒音測定結果がグラフで示された。トンネルは現在350m程度まで掘り進んでおり、トンネルの進行に伴って騒音も低減されていることから計測は終了するそうだ。大体40dB台前半に収まってきているようだった。
 除山非常口では11月から機械掘削が始まっており、今日22日から発破掘削が開始されるとのこと。ちょうど小渋線の崩落があった15日に、この除山非常口の現場見学があり、釜沢自治会の皆さんと村長、議会、連絡協議会の会長などで防音ハウスの内部なども見てきた。坑口から残土仮置き場全体が覆われているが、先進坑、本坑それぞれ3つのピットが用意されているので、計6つの仮置き場があり、長さ110mにもなる巨大な防音ハウスができている。また、除山非常口の対岸になる釜沢非常口の整備に向けて、桟橋の工事も始まっている。
 釜沢の残土仮置き場としては、除山に隣接した発生土置き場Aと三正坊のBが既に仮囲い等も設置されているが、前から話が出ていた荒川荘のところが新たな発生土置き場として図面が示された。ここは仮置きではなく道路の高さまで盛土をして、県道が拡幅される計画。「補強盛土工法により安定した構造にします」とあるけど、示された図では斜面が相当切り立った感じで心配になる。ここには3万立米ほど。
 また大西公園の総合グラウンドをリニア残土で5メートル嵩上げして整備するという話になっているが、それについて1月以降にボーリング調査、設計協議、6月以降に工事着手とのこと。
 あと、青木川工区の事務所予定地についても説明があった。

 次に中部電力から送電線計画について、進捗状況と今後の予定について説明があった。村内に9基の鉄塔が建つ計画。いつ架空で正式決定したんだっけ? ヘリやモノレールで資材を運搬する話。自主環境調査は終わり、30年度に報告。希少種ではクマタカ、ヘイケボタル、ツチガエル、イナトウヒレンなど。

 そして、最後に事務局からの報告があったが、そのまた最後に「小渋川流域の環境整備について」という文書の説明があった。小渋川流域公園の整備という一見きれいな言葉が並んでいるのだけど、要は鳶ヶ巣下部の盛土にリニア残土を使う話。これは9月議会の一般質問に出てきて、早速10月の全員協議会で話が出て、こんな崩壊地に盛土というのはあまりに危険ではないかと懸念を述べたが、そのときはどこにどう盛るという話は全くなくて、一昨日の全員協議会で翌日の連絡協議会に出すというイメージ図が出てきた。崩壊地の最下部に盛土を行い安定地形にするそうで、流路工、盛土工、護岸工を施工するという。村では小渋線を通る残土運搬ダンプを少しでも減らすために村内で残土を置ける場所を探していて、その一つ。それにしても、鳶ヶ巣にというのは委員の中からも疑問の声が出ると思っていたけど、夜の会議で時間も押していた最後の最後で疲れていたせいか、何の反応もなかった。図面と現地を見ながら専門家の意見も聞いて、しっかり精査しなくては。

残土は崩落地の盛り土に…骨材への活用も(読売新聞)

県道の崩落事故とリニア連絡協議会

2017年12月22日 | リニア新幹線


 先週12月15日の午前3時半頃、大鹿村と隣町を結ぶ県道松川インター大鹿線(通称小渋線)で土砂崩落があって、今も全面通行止めが続いている。迂回路は県道松川大鹿線(通称岩洞)となっているけど、この道の大鹿側は狭くて急な坂道が続き、朝など凍結していると、とても怖い。大型車同士のすれ違いは困難で、現在大型車は時間規制で片側通行になっている。なるべく大型車とすれ違わない時間帯を選んで通るようにしたいけど、行き帰りとも時間を合わせるのもなかなか難しくて、運転が不安な高齢者や女性ドライバーにとっては買い物に出るのも控えたくなるような状況が続いている。観光関係では宿泊のキャンセルが出たり、村内2か所のガソリンスタンドではタンクローリーが入ってくるのが難しく、分杭峠越えで何とか入ってきたり、ドラム缶で運んだりもしているそうだ。本当に改めて小渋線がいかに重要な大鹿村の生命線であるかということが実感され、一日も早い復旧を願う日々。
 この間の信濃毎日新聞のWeb記事。

中川 県道で土砂崩落 県などリニア関連影響調査http://www.shinmai.co.jp/news/nagano/20171215/KT171215FSI090006000.php

中川の崩落「原因調べる」 リニア関連工事 JR東海会見

 記事にあるように、この県道はリニア工事で発生する残土の運搬路となることが見込まれており、拡幅のため2か所でトンネル工事が行われている。そのうちの(仮称)四徳渡トンネルの大鹿側坑口のすぐ近くで発生したため、トンネル工事の発破作業の影響が疑われた。週が明けて19日火曜日の夕方、ようやくJR東海の記者発表が行われ、トンネル工事の発破作業が影響したことを認め、応急復旧措置などが示された。

中川の崩落 リニア関連工事原因 JR「振動で発生」

 この記事は住民にとって一番肝心な応急復旧措置について書かれていないが、年内めどに掘削中だったトンネルを貫通させ、トンネル内を仮回し道路として片側通行で通れるようにする計画が示された。(復旧は3段階で、年内にトンネル内仮回し道路による応急復旧、1月中めどに土砂を撤去し、法面対策、仮土留めを設置して県道を片側通行で通れるようにする、その後、本復旧工事)
 JR東海の記者発表資料はこちら。

主要地方道松川インター大鹿線道路への土砂流入の原因及び応急復旧計画について


 そして、昨日21日にリニア連絡協議会があり、まずJR東海の謝罪で始まった。そこでは記者発表資料にある「流入」ではなく「崩落」と言っていた。
中川 県道の土砂崩落 JR東海 住民に陳謝

 住民からは記事にあるようにまずは一日も早い復旧を求める声とともに、観光シーズン前の本復旧を求める声や、もともとクラックが多く岩盤が弱いことは分かっていたはず、工期を急いだせいではないかという質問があった。これに対しては、土砂崩れの多い場所と認識していたし、坑口はどんなトンネルでも慎重に施工しなければならないところで、慌ててやったということはないという返答。薬液注入でトンネル上部を固める作業や軽量盛土で地山を押さえる工事をしていたそうで、上部の崩落があったわけだけど、トンネル内部に変状はなく健全とのこと。その上部についても目視で見ていたそうだが、それでは足りず防げなかったわけで、今後は計測管理していくことを考えているという説明だった。
 そのほか、仮回し道路のトンネル内の照明についてや、住民にとっては先が見えないことが不安なので、応急復旧の進捗状況を知らせてほしいという要望、冬場は実質、小渋線だけに近い状態であることが今回改めて実感されたことから、岩洞をもう少し整備してほしいという要望などもあった。
 
 この崩落についてはリニア関連のトンネル工事になるわけだけど、リニア工事が原因みたいな見出しのネット記事もあった。ちょうどゼネコンの談合で騒がれている折でもあり、Facebookでリンクした記事にリニア本体工事と直接関係があるように誤解したと思われるコメントもいただいた。その辺のことを南信リニア通信では「間違ったイメージは伝えないで欲しいです」として補足的に書いてくださっている。

 談合問題について言えば、大鹿村ではずっと以前から鹿島建設だと噂されていた。そういえば昨日の連絡協議会では小渋線崩落の問題に村民の関心が集中していて、談合問題については誰も全く触れなかった。
(連絡協議会については続く