「美しい村」の議員日記

南アルプス山麓・大鹿村在住。自給自足農業、在宅ワーカー、2011年春より村議会議員。

議員研修会

2012年07月26日 | 議員活動
 月曜日に松本で長野県の町村議会議員研修会があり、長野県中の町村の議員たちが集まって、二つの講演を聞いた。
 初めに明大の牛山久仁彦先生から「議会改革の展望と課題」と題した講演。町村の置かれている現状は大変厳しいものがあるが、やはり住民の本当の支援ができるのは市町村であり、基礎自治体が重要であること、そのためには住民と一緒になって、地域の力をつけていかなくてはいけない。そこにおいて、住民の代表である議会の役割はどんどん大きくなってきているといった観点から、いろいろなお話をいただいた。大鹿村でも議会のあり方研究会というものが一応あって、この1年間にも何回か話し合いはしているけれども、議会改革という面ではまだまだ端緒についたばかりという感じだ。
 後半は首都大の山下祐介先生から「地域活性化の課題と展望」と題した講演。山下先生は今年の1月に『限界集落の真実―村は消えるか?』という本を出されていて、主にその内容についての講演だった。私もこの本は読んでいて、純粋に過疎で人口が減っていって消滅した村は(これまでは)ないとか、限界集落といわれているところを訪ねてインタビューしても、高齢者もみな元気で、特に困っていることもないという答えが返ってきたとか、限界集落の問題は高齢者の問題というよりも世代間の地域継承問題だといった切り口など、とても興味深い内容だったので、この講演も楽しみにしていた。山下先生は今、東北の原発事故被災地をフィールドにして、もう一つの限界集落論として、福島第一原発事故の避難者コミュニティのゆくえを追っている。今月初めころの朝日新聞の書評に出ていた赤坂憲雄・小熊英二編著『「辺境」からはじまる 東京/東北論』にも名前があって、「山下祐介は『議事原発群』というキーワードで、中央から地方に持ち込まれるあらゆる地域開発の意味を暴く。大規模リゾート、ダム、道路、福祉や教育に至るまで、常に主導権は中央にあり、利益の大半が東京に還流し、失敗の責任は立地の人々がとらされる。その欺瞞性は明らかになってしまった。しかしリスクは今や東京そのものにある、と喝破する」と紹介されている。これも読まなくては。

 明日は今度は下伊那北部ブロックの議員研修会。
 

さようなら原発10万人集会

2012年07月16日 | 脱原発
 今日は東京の代々木公園で行われた「さようなら原発10万人集会」に行ってきた。今回は脱原発・自然エネルギーへの転換を求める飯伊地域連絡会、飯伊民医連でバスを2台チャーターして、1台は松川インター発、しかも参加費2000円で昼食付きと格安だったので、そのバスに乗せていただいて一緒に行くことにした。車内では車長の健和会の方の司会で、自己紹介などしながら、また原発問題のビデオなども見ながら交流。10万人規模の集会の中で、これだけの集団、はぐれたら合流するのが大変だし、会場内を自由に見て歩くことはできないかなと思っていたけど、リニア市民ネットの人がアピールすることになっている第4案内カーに行くという人がいたので、私も同行して、まずはそちらに行く。第4案内カーは、メインステージから一番離れた場所で、原宿駅から来るとメインステージに向かう途中に当たる。写真はリニア市民ネットのアピール。ここでリニア新幹線を考える東京・神奈川連絡会の方と会う。


 第4案内カー周辺に集まっている、いろいろな市民グループの人たち。


 飯伊地域連絡会では、メインステージに参加、集会途中の1時半ごろから新宿コースのデモ行進に出発と聞いていたので、1時過ぎ頃そこを離れてメインステージ方面に向かう。
 途中の第3案内カー。見えづらいけど、ライブをやっていた。


 メインステージ付近は人がごったがえしていて、とても中に入れそうな感じではなかったので、デモ行進出発地点で待つことにする。ステージの声は聞こえてきて、落合恵子さんの途中ぐらいから聞いていた。新宿コースのデモ行進は労組関係が中心みたいで、のぼり旗がたくさん。デモの順番が、中央団体、北海道、東北、中国・四国、九州、東京土建、東海・北陸、近畿、関東・甲信越・・・と決まっていて、なかなか出発できず、かなり待たされることになった。結局、出発したのは3時半くらいだったろうか。ある程度のブロックごとに宣伝カーが先導して、アピール、みんなでシュプレヒコールをする普通のデモスタイル。






 参加できなかった人の思いも一緒に。大鹿村の友人たちの寄せ書き。


 知人の娘さんが描かれたとか。


 帰り道、休憩に寄ったサービスエリアで。


 バスの中で、早速twitterでニュースを確認。
坂本龍一さん「電気のため、なぜ命を」都心で脱原発デモ(朝日)

脱原発集会:17万人参加、最大規模に 東京・代々木公園(毎日)

 自分はメインステージの様子を見られなかったけど、写真を見ても本当にすごい人だった。飯伊のバスツアーを企画・統括してくださった民医連の方々、あれこれ気を配っていただき、大変お世話になり、本当にありがとうございました。

リニア説明会

2012年07月12日 | リニア新幹線
 今日は飯田市でリニア新幹線計画についての説明会が開催された。平日の日中だったけれども、600名を超える参加者があり、関心の高さをうかがわせた。
 最初に建設主体のJR東海より、パワーポイントを使った1時間くらいの説明があった。簡単な概要説明の後、特に去年の説明会や方法書への意見などで疑問の声が多く上がっているリニアの消費電力、磁界、地震や火災等異常時の対応について説明があり、最後に最近の状況ということで、環境アセスメントの状況や山梨リニア実験線更新・延伸工事の状況等について説明があった。
 消費電力については、2027年首都圏~中京圏開業時の想定、ピーク時に1時間当たり5本、所要時間40分として、約27万キロワット、2045年首都圏~関西圏開業時の想定、ピーク時1時間当たり8本、所要時間67分として、約74万キロワットという、去年の国交省の審議会の最後のときに出された数字を示して、電力会社のこの夏の供給力見込みの数字(東電5771万kW、中電2785万kW、関電2542万kW)に比べて十分小さいという説明。さらに、リニアの消費電力をオフィスビルや食品スーパー、ホテル・旅館など他業種の数字と並べ、さらにピーク時間が他のものは14時が多いけれども、リニアは朝夕にピークがあるということで、十分小さいという説明もあった。柏崎刈羽原発の出力(110~136万kW)も示しながら、リニアは原発の電力を前提としているのではという疑問に対して、そんなことはないという説明。しかし、その表を見ながら、私は逆に、東電管内のすべてのスーパーやホテル・旅館、飲食店などと、リニアだけの数字が一けたしか違わないということに、改めてリニアは大量の電力を消費する乗り物なのだなという印象を強くした。
 磁界については、今までの説明よりはだいぶ詳しい説明だったと思う。リニアの磁界は0~12Hzの超低周波であること。超電導磁石の磁界が大きいわけだが、リニアは16両編成で400メートルあり、500km/hで走行していると、先頭から最後尾まで通過するのに3秒かかる。1本の列車に17個の超電導磁石が付いていて、1秒間に6回磁界の強弱を繰り返すので6Hzということになるそうだ。車内に乗っている人からすると、相対速度は1000km/hになるので12Hz。停止時は0Hz。周波数が大きくなると、人体への影響も大きくなり、ICNIRPのガイドラインの数字も小さくなる。山梨実験線の実測値は線路脇4メートルで0.19ミリテスラ、高架下8メートルで0.02ミリテスラで、それぞれICNIRPのガイドライン(6Hzで1.22ミリテスラ)の約6分の1、50分の1となり、健康影響はないという説明だった。しかし、電磁波の影響についても、放射線の影響と同じで、研究者によっていろいろな説があるみたいで、素人には果たして国際ガイドラインそのものが信用できるのかどうか、疑問はぬぐえない。ただ、よくいわれる携帯電話は高周波。
 地震については、地下では地上のように振動の増幅が生じないので、トンネルは揺れにくいとのこと。また、東日本大震災などを受けて耐震基準が改定されたり、新たな知見があったときには、必要な対応をしていくとのこと。中越地震でトンネルに変状が生じたところは、震源断層の5km以内、地山の悪いところ、覆工背面に空隙などがあるところという共通点があるそうで、リニアでは空隙のできないNATMという工法を用いる、また地質の悪いところはロックボルトの本数を増やす、コンクリートの厚みを増やす等々の対応をするといった説明もあった。
 火災のときは、次の駅かトンネルの外まで走行して避難する。トンネル内で停車した場合は、斜坑などを避難通路として用いるとのことで、岩手の一戸トンネルの事例が紹介された。

 質疑では、やはり慎重・反対派の質問が多く、そもそも論から、人口減少時代、これだけの高コスト事業でJR東海の経営が大丈夫なのかといった話、磁界の問題等々。また、笛吹市を視察された豊丘村の方が、実験線工事で想定外の水がれが起きている実態を踏まえて、どのように参考にしていくのかという、沿線住民の不安を代弁するとても良い質問をされていた。私も幾つか質問項目を考えていって、一つは残土処理・運搬の問題について。二つ目に、ガスタービン発電機を搭載するのをやめて誘導集電方式を採用することで、消費電力はどう変わるのか。新幹線の改修工事の際にはリニアの本数がもっと増えるのではないか。三つ目に、実験線延伸工事完了後に実用仕様で走行試験をすることになっているが、それでは準備書に反映されないのではないかということを聞いた。二重系化といっても、東海地震の際にはリニアも大きな被害があるのではという質問もしたかったけど、質問は三つまでといわれていたので、選択を間違えたかも。

飯田でJR東海リニア説明会 残土の活用強調(中日新聞)

JRとリニア促進県協議会の説明会(南信州)

リニア説明会に600人 磁界や電力消費、工事などに質問 長野(msn産経)

山梨リニア実験線視察

2012年07月11日 | リニア新幹線
 昨日は、大鹿村議会議員・事務局で山梨リニア実験線の視察に出かけた。村長も同行。既に行っている人も何人もいるけれども、まだの人もおり、やはり議会としてみんなで視察に行ってイメージを共有しようという話になった。私自身は昨年夏に行って以来。
 まずは山梨県立のリニア見学センターへ。前に行ったときは休館日だったので、今回は中を見ることができた。実験線先行区間の走行試験は昨年9月に終了していて、現在はここでは設備の更新工事が行われていた。延伸工事は来年度中に完了する予定で、その後、新型車両にて実用化仕様などの確認を行う走行試験が行われることになっている。でも、そうなると、来年秋に出される環境アセスの準備書には、そうした走行試験の結果が反映されないことになってしまう。





 これが超電導磁石。上に載っているのが液体ヘリウムのタンク。


 次に都留市大平の、平成9年にリニアのトンネル残土で谷を埋めて造成したという場所へ行く。広さ約8ヘクタール、55万立米の残土が運び込まれ、盛り土の高さは高いところで12メートルあるそうだ。


 以前はこの谷の真ん中に川が流れていたそうだが、今は山際を流れている。下の写真のガードレール左側。右側は造成地。田んぼになっているところが多いものの、リニア工事の近辺は遊休地も目立つ。大鹿村の急峻な地形の中に果たしてこのような埋め立てが可能な谷があるものだろうか?


 次に、去年も行った宮川橋梁。長さ130メートル。既に工事は完了していて、人もいなかった。明かり部分といっても、騒音対策のためにこういうコンクリートのフードで覆われているので、乗っている人にはトンネルと同じ。


 都留市から今度は笛吹市へ移動して、リニアの橋梁を一望できる花鳥展望台へ。去年は橋脚の工事中で、それぞれがまだつながっていなかったけれども、既に南アルプスに向かって一直線につながっていた。本当にすぐそばに民家がある。天竜川を渡るところの前後はこういう状況になる。


 最後に境川の土捨て場の横を通り、車内から見る。ここは広さ約22ヘクタール、付近の三つのトンネル分、約160万立米、東京ドーム1.3倍の残土が運び込まれていて、盛り土の高さは40メートルにもなるそうだ。ちなみにここは当初、宅地開発する計画だったらしいが頓挫して、いまだに活用策は決まっていない。トンネル掘削は終わったと前に報道されていたけれども、ダンプは次々にやってくる。これらのダンプはみんな、フロントガラスのところにリニアの工事車両であることが表示されている。また、工事現場付近には要所要所に警備員が配置され、交通整理を行っていた。


 初めて現場を見た議員たちも、みな工事の規模に目をみはり、小さな村の中が大変な状況になりそうなことを実感されたのではないかと思う。
 ちょうど今日の信濃毎日新聞にリニアの残土問題に関する記事が出ていた。松川町議会の6月定例会の一般質問で、リニア建設に伴う県内残土量について、深津町長は「約500万立米」と答えたそうだ。受け入れを表明しているところもあるが、とてもそれで収まりきる量ではない。明日、飯田で開催されるリニア説明会でも、質疑などできっと話題になるに違いない重要な課題のひとつ。

「エネルギー・環境に関する選択肢」パブリックコメント

2012年07月09日 | 脱原発
 先々週参加した首相官邸前の再稼働反対の抗議行動、先週の金曜日も雨の中、多くの人が集まって抗議行動が行われた。原発再稼働にかくも多くの人たちが反対の声を上げ続けているのは、安全対策がみんな先送りのまま、原発事故以前と何ら変わらぬ体制・体質のままの拙速な再稼働であることとともに、脱原発依存のロードマップが示されないままの再稼働で、このままなし崩し的に次々に再稼働されていくのではないかという懸念も大きい。
 そのロードマップといえる2030年を見据えた日本のエネルギー政策について、政府の「エネルギー・環境会議」が6月29日に「エネルギー・環境に関する選択肢」として三つのシナリオを提示した。2030年時点の原発の割合を「0%」「15%」「20~25%」とする三つで、これについて、この7~8月に「国民的議論」を経て決定するという。「国民的議論」の方法として、一つはホームページの整備で、「話そう“エネルギーと環境のみらい”」と題した情報提供のページが7月7日に開設された。二つ目が全国11か所で意見聴取会を開催。三つ目に7月2日~8月12日にパブリックコメントを募集。四つ目に「討論型世論調査」というものを初めて実施するそうだ。というわけで、政府が国民に広くエネルギー政策についての意見を求めている。

 この三つの選択肢には、原発の割合だけでなくて、使用済み核燃料の処理問題もセットされている。原発ゼロシナリオでは、再処理はせず、全量直接処分となっているけれども、15%、20~25%のシナリオでは再処理と直接処分の両方となっていて、非常に問題の多い再処理をやめない。また、15%シナリオというのは、40年たった原発を廃炉にしていくと大体15%くらいになるという数字で、恐らく政府はここを落としどころとしたいのだと思うけれども、このシナリオでは2030年以後の原発については何も言っていないので、その後も15%程度で維持するとすれば新設もあり得ることになってしまう。2030年なんて悠長なことは言ってられない、このまま再稼働しないで全部の原発を廃炉なんていう選択肢はないが、それはゼロシナリオを選んだ上で意見を書けばよいと思う。

 パブリックコメントは、官邸前まで出かけていかなくても、直接国民の声を届けられる機会。ホームページ上からも送信できるし、FAXや郵送でも送れる。リニアのパブコメは、反対の声がとても多かったにもかかわらず、総数も少なかったし、一応意見を聞いたという形式的なものだけで、全く無視されてしまった。期間は今月末までなので、あと3週間しかないけれども、ぜひ政府が無視できないだけの多くの声を寄せたいものだと思う。「お任せ民主主義」から脱して、一人一人が自分で考えて意見を言おう。

 パブリックコメントの案内はこちら
 政府の特設ページのほか、脱原発の立場からは「原発ゼロの未来をつくる。国民的議論の場 NO NUKES」というfacebookページが早速できているし、パブコメの書き方やみんなのパブコメが紹介されている「パブコメで未来を変えよう」というサイトもとても参考になる。自分の書いたパブコメもシェアできる。

※パブコメの期限が8月12日18時までに延長されました。