「美しい村」の議員日記

南アルプス山麓・大鹿村在住。自給自足農業、在宅ワーカー、2011年春より村議会議員。

工事着手に同意

2016年10月22日 | リニア新幹線
 14日の工事説明会後にJR東海は「理解が得られた」として、週明けの17日に「工事用車両通行等に関する確認書(案)」を役場に持ってきた。そして、翌18日の全員協議会において、これについて協議。大体はこれまでの説明会等で示されてきた内容だし、議会の意見書で要望した点もある程度取り入れた内容になってはいるものの、その場でいきなり承認を求められても、じっくり精査する時間が持てない。残土置き場に関することなど幾つか意見が出たけど、却下される。私としては「環境基準の適合性を調査する」という文言が引っかかり、環境基準以下だから良いとするのでなく、できるだけ影響低減に努めるという話になっているはずなので、何かそういう文言を入れられないかと思ったけど難色を示される。その中で、議会の意見書へのJRの回答にあった「追加の環境保全措置をとる」という文言なら追加可能ではないかということで、そこを修正してもらう話になった。しかし、修正される前提で採決することになってしまい、4対3で確認書が承認されてしまった。さらに、確認書の承認をもって着工への同意もという話になったが、さすがにこれは賛否同数+保留と意見が分かれ、確認書を村民に周知した上で改めて話し合うことになる。

「工事用車両通行等に関する確認書」

 しかし、その再度の日程がわずか3日後に設定され、修正された確認書が村ホームページで公表されて中1日置いただけで、昨日、確認書締結後の対応について協議が行われた。18日の全員協議会も非公開だったが、この日も非公開の協議で、確認書と同様、4対3で大鹿村議会はリニア工事着工に同意することになってしまった。14日の説明会以降の動きはあまりに性急としか言い様がない。恐らく起工式の日程が先に決まっていて、村はそれに合わせるように強く求められていたのだと思うが、せっかく意見書で村と議会の「工事開始への同意」表明後の着工を求めたものが、本当に形だけのものになってしまった。
 
 リニア着手、大鹿村同意 南アトンネル 県内初、本体工事(信毎Web)

リニアに同意 民意をくみとったのか(信毎社説) 

大鹿議会が南アトンネル工事着手へ同意(南信州新聞)

長野側トンネル1日着工 リニア最難関、大鹿村が同意(中日新聞)

“密室”で僅差の賛成 リニア工事着工、大鹿村議会同意(中日新聞)

JR、11月1日起工式発表 リニア長野工区(信毎Web)

 


 

2度目の全村工事説明会

2016年10月16日 | リニア新幹線
 10月14日に2度目の全村を対象としたリニア工事説明会があった。9月7日の全村対象説明会、9月13~15日の自治会単位の説明会、さらに10月11日に行われた釜沢での説明会を受け、住民の関心が高い工事車両の運行計画等の再度の説明と、これまでの説明会での住民の主な質問とJRの回答について説明があった。今回の参加者は新聞報道では約70人と、7日の説明会に比べるとだいぶ少なくなったものの、質疑では15人ほどが質問・意見を述べ、やはり10時半頃まで続いた。質問・意見は「理解できない」「歩みよりがない」といった厳しい声が多かったわけだけど、説明会が終了した後の記者取材に対して、今回は「理解が進んだ」ではなくて「理解が得られた」と答えたらしい。翌朝、昨日の信濃毎日新聞の1面トップの見出しは「JR「住民理解得られた」「本体工事開始へ大詰め」といったものだった。住民が帰った後の記者取材で答えた内容が翌日の見出しになるというのは、住民からすると本当に釈然としない思い。今回の説明会では特に、反対する住民とJRとの溝がより深まった感じがした。

 夜7時からの説明会の前に、4時から議会とJRとの懇談の時間も設けられ、先日の意見書への回答があった。8項目の要望事項に対して、確認書を交わすこと、要望事項を確認書に記載することなど、こちらの要望に添う回答もあったが、例えば最終的な発生土置き場の見通しを示すように求めたことについては、「慎重に手順を踏んで進めている」「できるだけ早期に確定できるよう努める」として、トンネル掘削前に確定することは難しいという回答だったし、基準値超えの自然由来重金属を含む発生土の対策についても、法令に則り適切な方法を選択すると言われても、具体的にどうするのか分からず不安を残す回答だった。村長と議会の「同意」後の工事着手を求めたことについては、着工への理解が整ったとJRが判断したら、村と確認書の締結などについて相談させていただくという回答。村長の同意なく始められないとは言うものの、最終的に決めるのはやはり事業者というこれまでと同様の言い方。

 また、昨日は飯田で「リニアのふあんを語る集い」が開催され、大鹿村からの報告を私と釜沢自治会長の谷口さん、大鹿リニアを止める実行委員会の宗像さんからさせていただいた。また、豊丘村、喬木村、飯田市上郷からの報告があった。

大鹿でリニア説明会 JR「住民理解得られた」(信毎Web)

JR東海が大鹿で工事説明会(南信州新聞)

JR、トンネル着工判断 大鹿村民は反発 説明会で「理解得た」 /長野(毎日新聞)

リニア関連工事「住民の理解得た」 JR側、大鹿で説明会(中日新聞)

リニア、各地の懸念を共有 飯田で7人が不安語る(信毎Web)

 今日の大鹿歌舞伎の定期公演には沢田担当部長が来ていた。大鹿村では今後、確認書の協議というステージに進むことになる。




リニア意見書

2016年10月06日 | 議員活動
 10月3日に大鹿村議会としてリニア事業に対する意見書をJR東海に提出した。これは9月定例会に出されたリニア反対を求める陳情書をめぐる審議の中で、陳情書の採択に反対した議員も工事に対する不安はあるし、現在のJRの対応等に全く無条件でOKというわけではないので、議会として要望書等の働きかけをしようという話になっていたもの。9月26日の対策委員会でのやり取りを受け、28日に要望内容を詰めて、3日に提出した。大鹿村議会としてリニア事業に対する意見書は2回目で、2年前の認可直前に国交大臣あてにも提出している。JR東海に対しては初めて。この日は飯田で飯田・下伊那、中川村、南木曾町の首長と県、JRの意見交換会が行われ、首長たちからJRに対して厳しい意見がたくさん出されたこともあって、マスコミ各社の注目も集めた。南信州新聞ではその日のうちにWeb記事が出ていたし、翌日の信濃毎日新聞では1面、2面に紹介され、さらに次の日の社説にも取り上げられた。

大鹿村議会がJRにリニア意見書(南信州新聞)

大鹿村会、JRに意見書 「リニア工事開始 同意後に」(信毎Web)

リニア、工事は「同意」後に 大鹿村議会がJRに意見書(中日新聞)

リニア意見書 JRは重く受け止めよ(信毎社説)

工事開始同意後の着工を求め意見書 大鹿村議会、JR東海に /長野(毎日新聞)

 各社が注目したのは、要望事項の1項目目に掲げた村民の「理解と同意」の判断について。JR側が住民の理解と同意が得られなければ着工しないと言いつつも、理解と同意が得られたかどうかの判断は、住民や村や議会ではなくJRが行うという、誰が考えても理不尽な言い方を繰り返してきたため、説明会では常にその言葉をめぐる質問が出ていたし、対策委員会や議会の一般質問などでも問われてきた。これに対して、阿智村では議会が判断するのだという姿勢を示している。それにならい、大鹿村でも、事業者が理解が得られたと判断したとしても、最終的な判断は村の側(住民に選ばれた村長と議会)にあるべきことを示した。

 意見書全体としては、反対陳情不採択という結果を受けて、リニアを前向きにとらえ受け入れていく中で村のメリットにつなげるという姿勢を前提にしつつ、村民の不安要素を一刻も早く解消するためとして、8項目の要望事項を挙げている。