「美しい村」の議員日記

南アルプス山麓・大鹿村在住。自給自足農業、在宅ワーカー、2011年春より村議会議員。

リニア計画認可申請

2014年08月27日 | リニア新幹線
 昨日の午後、JR東海がリニアの工事実施計画を国交省に提出、工事の認可申請をした。国交省意見を受けて補正した環境影響評価書も提出され、夕方にはJR東海のホームページ上で公開された。近く補正評価書が出て、間を置かず縦覧期間中にも工事実施計画の申請を行うつもりらしいことは何かの記事で読んでいたけど、まさか同時とは思わなかった。最終的な評価書の縦覧までが環境アセスの手続きだろうし、アセスの手続きを終えて工事実施計画の申請を行うのが筋だと思うが、ひたすらスケジュールありきで地域住民無視の姿勢には本当にあきれてしまう。
 その補正評価書も、国交省意見ではより精度の高い水収支解析を行うことなど誠実に対応しようと思えばそれなりに時間を要するものも含まれていたけど、そうした意見はほぼ無視。長野県知事意見で求め、4月の評価書後も環境省、国交省に出向いて求めていた非常口の削減、小渋川橋梁の地中化、協定に関することなど、ほぼ「ゼロ回答」の内容。「作成のポイント」には4点あって、一つは長野県内の残土置き場の候補地情報が以前新聞にも出た表が一つ載っていること、二つ目は大鹿村の地形・地質調査結果の詳細について、資料編の9章に38ページにわたって記載されていること、三つ目は釜沢の調査範囲が不足していた部分、ミゾゴイ、ブッポウソウ、沢調査の結果が記載されていること、四つ目は猛禽類の保全措置の取り組みを具体的に記載したとあること。でも、「回避や営巣期における工事を避ける」保全措置は採用されていない。
 大鹿村の住民が一番心配している発生土運搬等の大型車両が1日1736台の件については、村が求めている道路改良や代替ルートの検討等は全く何も触れられていない。4月の評価書に書かれていたストックヤードを活用して台数を調整するという話だけで、「あらまし図を追加し分かりやすく記載した」と書かれているけど、この図も住民をばかにしているとしか思えない簡単な絵だけ。一方で、やはり資料編に「南アルプスユネスコエコパークについて」という章があるが、そこに「発生土置き場(仮置き場を含む)」について、「極力、移行地域への設置は回避する」と書いてあって唖然とした。大鹿村は全域がユネスコエコパークのエリアになっている。片方で「ストックヤードを活用」と書いてあって、もう片方では「極力、回避する」とあるのは全く矛盾する話だ。

 今日はちょうどリニア対策委員会の8回目の会合もあった。村でも補正評価書と同時の認可申請は全く予期していなかったようで、本当に困ったものだと憤っていた。このまま認可が出されてしまえば、次の事業説明会でも相変わらず具体性を欠いたパワポの絵を見せられるだけになりかねない。そんな説明会では、到底、地域住民の理解には程遠い。

 一昨日は、10月に韓国の平昌で開催される国連生物多様性条約第12回締約国会議(COP12)に向けたミーティングが甲府であって、伊那谷からCOP12に参加する若者と一緒に行ってきた。国連生物多様性の10年市民ネットワークの坂田さん、静岡市議の松谷さんたちと、コーヒー一杯で10時半から3時半過ぎまで空腹も忘れて延々と話し続けた。2010年に名古屋で開かれたCOP10で採択された「生物多様性戦略計画2011-2020」や「愛知ターゲット」(生物多様性保全のための20の世界目標)からすれば、南アルプスの生態系を破壊するリニアは明らかに逆行する。リニアはいろいろな観点から問題山積だけど、生物多様性保全という面からも国際社会にうまくアピールできるといいなと願う。
 

福島みずほ参議院議員視察

2014年08月01日 | リニア新幹線
 昨日は「福島みずほと共に40分の距離を2日かけて辿るリニアツアー」という形で、社民党副党首の福島瑞穂参議院議員と一緒に総勢12人の皆さんが大鹿村にリニアの視察に来られた。前日には神奈川県の津久井車両基地予定地や山梨県のリニア見学センター、実験線などを視察されたそうだ。

 まずは役場の協議会室で村長、副村長、議会から議長以下4人と、福島議員、東京の狛江市議の市原さん、三鷹市議の野村さんらで懇談。村が抱える課題などについて、小1時間ほど率直な意見交換が行われた。役場の前で記念撮影。この間、ほかの皆さんには大西公園を見ていただいた。



 お昼はするぎ農園で、大鹿からNo!リニア連絡会、釜沢や青木の工事予定地付近に住む人たち、飯田からもリニアの会の人たちが参加。全員に発言してもらって、工事への不安などの思いを聞いていただいた。



 午後は村長、副村長の案内で、釜沢地区と上蔵の変電所、非常口が予定されている付近を視察し、最後に中央構造線博物館でリニア工事の地形地質上の課題、活断層や地震などの説明を聞いていただく。行政、地域住民、地質の専門的な見地など、いろいろな立場からの話を聞いていただくことができたかなと思う。

 リニアは膨大な残土の行方など工事の全貌がちっとも明らかにならないまま、国会でもほとんど議論されないまま、あとはJR東海の補正評価書で環境アセスも終わり、秋にも着工といわれている。しかし、現地の人たち以外には、リニアがどれほど問題だらけなのか、ほとんど知られていないのだと思う。何とか国会で問題点をもっと取り上げて追及してほしい。