「美しい村」の議員日記

南アルプス山麓・大鹿村在住。自給自足農業、在宅ワーカー、2011年春より村議会議員。

第18回リニア連絡協議会

2020年12月13日 | リニア新幹線
 一昨日になってしまったが、12月11日に18回目のリニア連絡協議会が開かれた。今回は松川インター大鹿線(小渋線)の迂回路となる河川内道路の復旧と、それに伴う飯田市、喬木村への発生土運搬が絡むことから、いつもは定例議会月の下旬に開かれていたけど、早めの開催となった。
 7月豪雨で4か所で道路崩壊や路肩崩落など被災して通行止めになっていた小渋線の河川内迂回路が、12月1日より通れるようになった。利用時間は7時~17時まで。以前、連絡協議会で要望して18時までに延ばしていただいた経過があったが、今は冬季で日が短く暗いため、当面は17時までとし、日が長くなったら、また18時までにしていただけるようだ。
 続いて、飯田市と喬木村の代替地造成にリニア発生土を運搬する計画についての説明があった。河川内道路が通れない間は計画の半分の50台で飯田市に運んでいたが、今後は喬木村への運搬も始まる。喬木村は農業振興地域の除外の許可を得るのに「地域未来投資促進法」を使う関係で、年度内に実施しなければならないことから、台数は当初の計画より増えて片道最大150台。12月は40台、1月は90~150台と増やしていき、2月、3月は150台となるそうだ。6月に説明があったときは、飯田市と喬木村合わせて150台と言っていたが、河川内道路の被災で飯田市への運搬台数が半減して遅れていたことから、喬木村だけで150台、飯田市への運搬は72台ずつとして、6月まで延長されるという。両方合わせると最大片道222台、往復で444台になり、この他にリニア工事の資機材運搬の大型工事車両も46.9台通るそうなので、役場前の台数では往復500台近くになるようだ。
 釜沢地区の地すべり対策工事は集水管6か所が工事完了、集水井2か所が工事中または発注済み、集水井1か所が今後実施。川沿いは押さえ盛土は工事完了し、今後洗掘防止工が実施される。除山ヤード通路部の復旧工事も行われており、休止している除山・釜沢非常口のトンネル掘削再開はこうした工事が終わって、工事車両通行の安全性が確認できたらとなる。具体的な日程は関係する方にお知らせしますとのこと。
 小渋川非常口では先進坑の4割の掘削が完了。隣接する発生土仮置き場に、シートをかぶせた残土が置いてあって、あれは何だろうと気になっていたが、溶出試験で基準超のヒ素が確認されたそうだ。もともとヒ素等が出ることは想定されており、仮置き場内の要対策土仮置き場に仮置きしているとのこと。前に報告のあった蛇紋岩やホウ素を含む発生土はトンネル内に仮置きのまま。要対策土の搬出計画については改めてご説明しますとのことだったので、早期に示していただくよう求めた。
 青木川非常口では斜坑延長(約600m)の約3割が掘削完了。青木川非常口の残土は当面、深ヶ沢の発生土置き場に運搬することになっているが、喬木村の造成工事に青木川工区の発生土を活用したいそうで、拡幅工事の進捗に合わせて(施工中の箇所が終わったら)、喬木村に運搬したいという話があった。南アルプストンネルの発生土は粒径が大きく、隙間を埋めるのに小さい粒径の物が必要で、破砕して使うという話が前回もあったが、喬木の工事は急いでいるため、青木川工区の発生土を使いたいのだそうだ。メインは南アルプストンネルの物になるが、往復で0~100台青木川工区からも運搬するという説明があった。老朽化した下榑渡橋を心配する声を伝えたが、通れるのは通れる、1台ずつ、儀内路への運搬台数を上回らないようにするといった返答。
 送電線工事では、モノレールの設置が完了したという報告や、ヘリコプターの試験飛行の計画について説明があった。ブナの木については、現在再調査をしてレイアウトの見直しなどを行っているが、まだ結果を報告できる段階ではないということだった。
 村からは、鳶ヶ巣沢の盛土について、追加の設計照査を委託している説明があった。4か所で土を採取して液状化現象の調査をするそうだ。これについては8月の臨時議会で287万1000円、今回12月定例会で84万7000円、追加照査の予算が盛られていた。


第17回リニア連絡協議会

2020年09月30日 | リニア新幹線
 昨日は第17回リニア連絡協議会が開催された。6月の協議会の後、6月末から7月にかけて、大鹿村では三六災を超える記録的な大雨が降り、人的被害はなかったものの、村内各所で道路等が被災した。リニア工事関連でも、飯田市への発生土運搬が始まっていた小渋線の河川内迂回路が被災して通行止めになり、釜沢地区では地すべりが発生して、二つの非常口へ通じる道が陥没したり、大きく亀裂が入ったりして通行止めになり、釜沢地区での工事はストップしている。中電の送電線工事も、豊丘村でヘリポートに通じる道路が被災し、村内3基の鉄塔工事が1~2年先送りになるそうだ。
 まずは県から小渋線関係の説明。飯田市への残土運搬は現在、計画の半数の50台で行われている。河川内道路の復旧はできるだけ早く、遅くとも年内とのこと。復旧の見通しが立った後に、喬木村と調整した上で、再度運搬期間や運搬台数について連絡協議会で諮られるそうだ。河川内道路の復旧にもリニア残土が使われ、岩ズリを細粒化する必要があり、半の沢の迂回路沿いに破砕作業ヤードを設けるとのこと。この破砕のための運搬が最大50台、飯田市への運搬50台に加わる。
 JR東海からは各工事箇所の状況説明。小渋川非常口では先進坑の延長約1600mのうち、約3割の掘削が完了。前回も3割と言っていたので、全然進捗していないのでは?と思ったが、蛇紋岩地帯を慎重に掘っているためとのこと。この蛇紋岩の発生土から、溶出試験で基準値を超えるホウ素が確認されたそうで、これまでの蛇紋岩と同様トンネル内に「区分土」として仮置きしているそうだ。委員からホウ素が流出した場合の影響について質問があったが、今は雨が当たらないトンネル坑内に仮置きしている、搬出する際は改めて説明するとのこと。
 釜沢では県道(と林道)はまず仮復旧工事が行われ、水抜きボーリングや押え盛土などの復旧工事が行われている。今後さらに地すべり対策事業として、集水井なども施工される。非常口ヤードも通路部が被災したようで、トンネル掘削がいつ頃再開するのかという時期的な見通しの話はなかった。掘削再開にあたっては、関係者に知らせるとだけ。
 伊那山地トンネル青木川非常口も掘削が始まっている。ここは掘り始めてすぐに硬い鹿塩マイロナイトに当たり、防音扉設置前に発破作業が始まった。人家も近く、かなりの騒音だったが、現在は防音扉が付いて、騒音はある程度軽減されたようだ。
 そして、中部電力から送電線工事の説明。鉄塔工事で伐採予定とされていたブナの巨木について、前回の協議会では1本は伐らなくては工事ができない、もう1本はさらに検討するという話だったが、その後、村民有志から2本とも伐らないでほしいという伐採の延期・中止を求める要望書が8月に署名217筆を添えて提出された。それに対し、ブナの木は来年7月まで伐採しないという回答が得られたと聞いていた。中電からの最初の説明の中ではブナの話は特になかったものの、委員からの質問に答えて、改めて2本のブナの木は来年7月までは伐らない、再度検討するという回答があった。何とか残してほしいものだ。
 この件については現在オンライン署名も行われている。若い人たちを中心に、改めてリニアを問う動きが始まっていて、こんなポスターもできた。


 


第16回リニア連絡協議会

2020年06月25日 | リニア新幹線
 第16回リニア連絡協議会が昨夜開催された。3月の時もそうだったが、コロナ対策で入り口に消毒薬、全員マスク着用で、広い会場で開催された。
 まずは小渋線について。5月11日とから運用開始されている河川内迂回路について、利用時間が朝7時から夕方5時までとなっていたのを、前回、前々回の連絡協議会での要望を受けて、7月1日から7時までとする。退勤の交通量の多い時間帯に通行できるようになる。また7月の連休については同じ時間で開放するとのことだった。この迂回路は一方通行なので対向車もなく、カーブが少ないので走りやすいと好評だ。
 南アルプストンネルについては、小渋川非常口は先進坑1600mのうち3割、除山非常口については斜坑1870mの約7割、釜沢非常口は斜坑約350mの約2割の進捗。
 小渋川左岸の迂回路は、7月27日供用開始予定。この辺も造成により景色が変わっている。
 伊那山地トンネルは準備工事が進み、先日、地元自治会への工事説明会が行われた。ここは青木川のすぐ下を通るし、地質の非常に脆弱な所を掘るので難工事が予想される所。他の箇所もそうだったが、最初は昼間作業で機械掘削。防音扉設置後に発破掘削。発破掘削開始時期は改めて回覧等でお知らせ。ちなみに釜沢では騒音について何度も住民立ち会いのもとで測定して、防音扉を増やしてから発破を開始するなどのやりとりをしている。残土運搬先までの道路がとても狭いが、一般車両が通行する際は、誘導員の指示でダンプは待避所で待機して、一般車両が優先できるようにするそうだ。ヤード手前の老朽化した下榑渡橋は県のJRの費用負担で架け替えることになっているが、現在の橋を撤去してから工事になるため、今年度中に仮橋設置まで行いたいとのこと。
 飯田市の代替地整備のために小渋川非常口からの発生土を運搬しているが、運搬開始時期が河川内道路の供用開始を待って、当初3月といってたのが5月からとなったため、また土砂(というより岩ずり)の比重が想定より重く、運搬台数が増加しているため、9月までが来年1月までとなるそうだ。
 また、喬木村でも移転企業の代替地造成のため、リニア発生土を使いたいとのことで、12月から3月まで。飯田市への運搬は最大片道100台だったが、12月は両者合わせて120台、1月からは150台となるという。どちらも日曜日のみ休みで、土曜日も祝日も運搬するという。観光に配慮して土曜日は休んでほしいという意見が出た。
 中部電力の送電鉄塔工事の進捗状況の説明もあった。12月に要望していたブナの巨木について、鉄塔に近い1本は根元から切らないと工事ができない、もう1本についてはさらに検討するとのこと。あの立派なブナが切られてしまうのは何とも悲しい。


 村からは、鳶ヶ巣沢の盛土についての照査結果を6月25日に村ホームページに掲載するとのことで、早速掲載されている。


リニア連絡協議会

2020年03月26日 | リニア新幹線
 昨夜、15回目のリニア連絡協議会が開催された。連絡協議会は概ね3か月に1回、議会月の議会終了後の最終週くらいに開催されている。
 前回の12月の協議会で、飯田市の駅周辺整備に伴い移転を余儀なくされる住民の代替地整備のため、南アルプストンネルの発生土を使いたい、運搬を3月から始めたいという話だったが、小渋線の河川内道路整備が終わったらという確認をした上で協議会として了解していた。ところが、河川内道路の整備がいっこうに進む様子が見えないのに、3月3日に中川村渡場で行われたこの事業の説明会を報じる記事の中に、今月中旬から運ぶと書かれていて、あれ?約束が違うと思っていた。
 このことについて、まず飯田市からおわびがあった。その場で決定したわけでなく、大鹿村の了解が得られれば、河川内道路整備前に少しでも運びたいと言ったものが、あたかも決定のような報道が一部なされてしまったとのことだった。
 河川内道路の整備は道路区域変更等の手続きに時間がかかって、供用開始は5月の連休明けになるとのこと。
 当初の約束どおり、運搬はこの河川内道路整備完了後にしていただきたいと意見を言ったところ、特に異論もなく、飯田市への残土運搬は河川内道路完了後、連休明けからとなった。
 しかし、議会の全員協議会で聞いた説明によれば、小渋線の拡幅工事が始まると、災害復旧工事、防災工事と合わせて、最大8か所で片側通行になる可能性があるという。河川内道路の利用時間が平日の朝7時から夕方5時までとされており、前回の連絡協議会でも路線バスの運行時間は通れるようにしてほしいとか、休日も通れるようにしてほしいという意見が出ていたけれども、意見を汲んで変更されてはいなかった。改めて、退勤時間の車が多いので6時までにしてほしいとか、終日通れるようにしてほしいといった意見が強く出た。しかしながら、夜間は安全面等の課題もあり、検討はするが、スタートは5時にさせてほしいとのことだった。このことについては、今後も強く求めていく必要があると思う。
 南アルプストンネルの方は、小渋川非常口は、先進坑約1600mのうち2割の掘削が完了、除山非常口は斜坑延長の約6割、釜沢非常口は3月3日に掘削開始とのこと。(後で前回の資料を見たら、除山非常口は前回も6割となっていたので、あまり進んでないみたいだ。聞いてみれば良かった)
 小渋川非常口から掘っている先進坑では、先進ボーリングで蛇紋岩が出たそうだ。蛇紋岩は石綿鉱物を含むことから飛散防止の対策が必要となる。当面の間、坑内に仮置きという。今後も本坑や伊那山地トンネルでも出ると思われるので、扱いをどうするのか質問。
 大河原中心部の国道を避ける迂回路については、仮桟橋の設置は完了したが、桟橋から新小渋橋までの道路整備は着手したばかりで、完了予定は6月末、供用開始時期は7月初めの見込みとのこと。そのときの迂回路の車両台数は往復300台くらいになるという!
 委員から、当初の計画より随分遅れていること、静岡で着工できずにいることの影響などについて質問があった。重ねて、静岡の方で、工事が遅れた場合に工区を変更して、山梨側、長野側からも掘削する可能性について言及されていたのをニュースで見たので、その点を確認。現時点では、長野工区は長野工区というような言い方をされたので、現時点でなくても、とにかく静岡工区の分まで掘るのはやめていただきたいと言った。
 中部電力からは送電線工事の進捗状況。前回切らないでほしいとお願いしたブナについては、冬季間だったため、まだ調査していないとのこと。
 最後に村から、鳶ヶ巣沢環境対策事業について、昨年12月末に委託先の砂防フロンティアから設計照査結果をもらったということで、その内容について概要の説明があった。照査結果内容については村のホームページで公表されるそうなので、それを見た上で、また考えなくては。何しろ、この計画の上部は前回のブログに紹介しているとおり、長年ずっと治山事業が行われている大崩壊地だ。

リニア連絡協議会

2019年12月19日 | リニア新幹線
 昨夜、14回目のリニア連絡協議会が開催された。
 最初に県道松川インター大鹿線(通称小渋線)の改良工事についてということで、県の方から説明があった。今、小渋線では国土強靱化か何かで予算が付いて、法面防災工事を複数箇所で実施していて、4か所ぐらい片側通行になっている。1か所3分以上の信号もあり、信号待ちが10分くらいになってしまうこともある。防災工事の未施行箇所もあるし、拡幅改良工事が4か所で始まってくることもあり、半の沢から松川寄りの区間、河川内の管理道路を迂回路として利用できるように関係機関と協議しているそうだ。平日7~17時の間で、これにより、この区間は大鹿から松川へ行くときは河川内道路、松川から大鹿に来るときは小渋線と一方通行になり、信号待ちや大型車とのすれ違いが避けられるようになるとのこと。
 それは良いことだと思うが、次に飯田市から、リニア駅周辺の整備で移転を余儀なくされる住民の代替地の造成に、リニア発生土を利用したいという説明があった。他から持ってくる検討もしたが、固い岩を砕いたリニア発生土が良いとのこと。造成地を早く住民に提示したいので、来年3月から9月くらいまで、3万~3万5000立米を運ぶ、台数としては片道100台ということだった。これはリニア発生土の運搬は小渋線の改良が済んだ後としていた確認書の約束と違う話になってしまう。いくつか質問はしたが、他に特に意見もなく、大鹿の連絡協議会としては承認した形になった。これについては、傍聴席から今日突然提示されて、自治会長だけで決めてしまうのはおかしいのではないかという声があったが、それに対して、自治会長さんたちから特に意見は出なかった。
 次にJR東海から赤石岳公園線改良工事、南アルプストンネル工事、伊那山地トンネル工事の進捗状況などの説明。小渋川非常口から掘削している先進坑は約1600mのうち約1割完了。除山非常口からは斜坑延長の約6割が掘削完了、釜沢非常口はヤード造成工事が完了し、準備工事を行っていて、今年度中(3月)に掘削開始予定とのこと。また、除山非常口に隣接した発生土仮置き場Aは山側に拡幅を検討している、4000平米から6500平米に、これまで緩い勾配で盛土高10mだったのを、急勾配で15mも積んで、容量5000立米を39000立米にしたいという説明。今後地元と協議するとのこと。釜沢では発生土置き場が不足していて、三正坊も増やしたし、どんどん増やそうとしている。しかも、補強土壁とやらで、川沿いにすごい急勾配にしてたくさん積もうとしているので、本当に心配になる。
 国道の迂回ルートについては前回の協議会の終了直後に地権者との契約が交わされ、現在河川内の工事を行っている、来年3月末頃の完了予定とのこと。ここで、地権者の方からJR東海と交わした賃貸契約書の内容について説明いただく。その中で、そもそも村が地権者の同意なく事業者に土地を斡旋する内容の確認書を締結したことの非をまず言われた。地権者の方は通行台数の削減など環境負荷の低減を求めて交渉してこられたわけだが、台数については譲歩が得られなかったものの、土曜日の通行について、午後3時までとすることになったそうだ。そのほか、最高速度、3方向の幌がけ、タイヤ洗浄装置、過積載予防のための重量計設置などの対策をとることになったそうだ。また、こうした対策に関連して疑義や不都合が生じた場合は事前協議の上、修正や変更ができるものとするという特記事項の条項が設けられていることを強調されておられた。
 伊那山地トンネル青木川工区の説明では、ここでもヤードの造成にリニア発生土を使う話があった。来年1月上旬から1か月程度、往復100台。また、深ヶ沢の発生土置き場について図面が出てきた。池をつぶして、護岸は入れるものの、やはり急勾配で7万立米も積むという。そして、非常に狭隘な国道を往復240台もの大型工事車両が通行するという。住民の生活や観光客への影響が懸念されるが、待避所の設置位置など協議中とのこと。池に生息する希少生物についての質問もあった。
 JRの説明の後は、中部電力から送電線工事の状況について説明があった。既に北の原では基礎工事が行われている。また、前回の協議会で住民から要望書が出されていたことについて、対応状況について話があった。私も先月、その住民の方たちの案内で、実際に鉄塔が建つ現地を見に行った。すごい急傾斜地で、付近に崩壊地があったり、こうした場所に80mもの鉄塔が建つことに不安を感じた。鉄塔のために伐採される樹木には印が付けてあったが、その中に根回り4m前後のブナの大木が2本あり、こんな立派な木までも切ってしまうのかと心に痛みを感じた。そんな内容の発言をしたら、ブナについては切らずに済むかどうか検討するとの返答。また、ヘリコプターによる作業の騒音が懸念されているが、来年上期にデモ飛行を行うそうだ。
 鳶ヶ巣もそうだし、除山、深ヶ沢と、川沿いに急勾配で残土を積み上げる話が次々に出てくることに関して、委員の中からも安全性を懸念する意見が出された。とはいえ、今回も全体として委員からの発言は少なく、連絡協議会の形がこのままで良いのか、もう少し考え直さなくてはいけない気がする。




9月のリニア連絡協議会

2019年10月02日 | リニア新幹線

 いろいろ重なって怒濤の9月が終わった。9月議会は一般質問は4名で、私はオスプレイの村内飛行についてと山岳遭難救助隊について質問した。議会については「議会だより」が村ホームページから見られるようになったので、村外の方はそちらをご参照ください。

 30日にはリニア連絡協議会が開催され、リニア工事および関連工事の進捗状況や、第三者委員会で検討されていた鳶ヶ巣沢環境対策事業、中電の送電線工事等について説明があった。

 初めに長野県から松川インター大鹿線(小渋線)の拡幅改良工事について、区間3と4は9月12日に保安林解除予定告示が出て、工事発注準備中、区間1と2はまだ審査中とのこと。また、区間5の拡張工事終了箇所、大鹿側から行くと西下トンネルを出て道が大きくカーブしているところになるが、通常のガードレールでは怖いという要望が前回出ていたことに対して、眩光防止網を設置するという説明があった。時期は未定。それと、半の沢の盛土による道路改良について、新聞報道で時間雨量20ミリで住民避難や通行止めと読める記事が掲載されていて、その件についての説明があった。検討委員会に示した資料の中に管理基準値(案)があって、その内容が時間雨量20ミリ、累積雨量100ミリで厳重警戒というものだけど、それが直ちに避難とか通行止めという話ではないこと、その値は長野県の土木現場必携によるもので、これ自体は施工中の管理基準だという説明だった。(と書いたところ、中川村では施工後の安全管理計画として説明があったとご指摘いただいた)

 次にJR東海から、小渋川非常口では8月23日から先進坑の掘削に着手、村営グラウンドの造成については北側は概ね完了とのこと。ちなみに、グラウンドについては既に設計コンペが行われ、9月議会の補正予算で設計監理委託料や管理棟などの工事費が計上されている。除山非常口では斜坑延長の約半分の掘削が完了、釜沢非常口では7月から伐採等の準備工事が始まっており、今年の冬頃に斜坑掘削開始予定。旧荒川荘の残土置場は概ね完了、三正坊の仮置き場については環境保全計画が8月2日に更新され、つい最近、県の助言が出された。この助言では盛土の構造見直しが求められていた。10月から造成工事に着手となっていたけど、県の助言への対応方針を25日までに出すことになっているので、その後と考えてよいのだろうか。確認するのを忘れた。

 国道152号線の迂回路については、9月末を期限として地権者との協議を進めると前回言っていたが、本当にぎりぎりで、この協議会終了後に契約を交わすことになっているという話だった。地権者の方は車両通行台数等、環境負荷の低減を求めて協議されてきたわけだけど、最終的にどのような条件で妥結したのかは今のところ不明。

 青木川非常口ヤードの既存残土の搬出は11月下旬頃まで、搬出先の儀内路3か所のうち1か所は農地に復旧することになっているけど、耕土が足りないので、喬木村から運ぶとのこと。堰下ガイドウェイヤードから運ぶみたいだ。

 JR東海の説明の最後の方は、JR東海ツアーズによる観光旅行商品の宣伝など。

 その次に鳶ヶ巣沢環境対策事業に関して、技術検討委員会の経過等について説明があった。盛土下部は半の沢と同様、セメントを混ぜた改良盛土を用いること、水平ボーリングと地下排水管を設置し、盛土内浸透水等を排水すること、盛土の押さえに土留め壁を設置すること、上部の治山工事エリア下流から流出する土砂を捕捉可能な流路工を設置することなど、図面と共に説明があった。盛土が崩壊した際のシミュレーションというのもあって、小渋川が55%閉塞された状態で計画高水流量を流すと、対岸の村道において越水可能性があるものの、下流域には影響がないという説明だった。また、安全管理の考え方として、施工時、施工後のいずれもJR東海が盛土等の安全管理を行う、施工後の盛土表面の目視点検、排水側溝の点検清掃等の簡易の日常点検については大鹿村が行うとのこと。これはあくまでも検討経過であり、最終案ではない、照査結果の報告書が出てから、それを精査した上で最終案を作成し、改めて最終案の説明を行うとのことだった。

 次に中部電力の送電線工事について、住民説明会での主な質問(意見)と回答について説明があった。送電鉄塔については、これまで平面図での説明はあったわけだけど、実際に景観の中でどう見えるかというフォトモンタージュは遠景のものしか出されてこなかった。しかし、最近になって中電が個別に説明に来て、本当に間近に、それも村内では一番高い80mもの鉄塔が建つことが分かった住民から鉄塔の位置変更についての要望書が出てきていて、丁寧に対応していくとのことだった。

 Web版にはないけど、南信州と信毎に記事が掲載されています。また、村内では連絡協議会の概要について翌月の全戸配布で「リニア新幹線情報」が出されており、これはホームページですべて公開されています。


リニア連絡協議会

2019年06月26日 | リニア新幹線

 昨日、リニア連絡協議会が開催された。連絡協議会は以前の対策委員会とは性格が違って発言する人は少なく、工事の進捗状況や今後の工事計画についての連絡事項を聞く場になってしまっている。

 松川インター大鹿線の改良工事はトンネル2本が完成、拡幅工事5か所のうち1か所が完成、残りの4か所は保安林解除の手続き中。その他、防災工事として法面対策工事を7か所で施工するそうだ(1か所、昨年崩落があった箇所で施工中)。リニア残土の運搬はこの拡幅工事終了後となっている。

 小渋川非常口では4月5日に斜坑の掘削が完了、先進坑の掘削に向けた準備中で、秋頃から先進坑の掘削に入るという。ここの残土は大西総合グラウンドに運ばれている。(6mくらい嵩上げして造成)

 除山非常口は斜坑延長1870mの約半分程度の掘削が進んでいて、ここの残土は除山非常口のすぐ近くの発生土仮置き場Aと三正坊と呼ばれているBと旧荒川荘跡に運ばれている。既にAとBは満杯で、Bは農地の一時転用で3年となっていたが、3年で撤去できないのと、残土置場が足りないので、三正坊の現在残土が置かれていない南側へも置きたいとのこと。現在の仮置きが4.7万立米で、さらに7万立米仮置き。そして、仮置き残土搬出後に農地復旧することで、地権者や釜沢地区の人たちと協議が続けられている。

 そして、ずっと保安林解除手続き中とされていた釜沢非常口について準備工事を開始したいという説明があった。どうやらヤードの面積を縮小して工事着手するようで、計画図面を見ると重金属判定用の仮置き場が設けられていなかった。(除山非常口の土砂ピットを使うらしい)

 釜沢に仮置きしている残土の搬出は、小渋川非常口と釜沢非常口との間の先進坑を工事用道路として使う計画なので、とにかく先進坑が掘れないと搬出できない。さらに工事用道路となる国道迂回ルートもまだ暫定ルートのままだし、村外の残土置場も決まっていないので、農地に復旧するといっても一体いつの話になるのか全く見えない。

 迂回ルートは調停が打ち切りとなったが、JRは9月末を期限に地権者との協議を行いたいという説明があった。9月末までに協議がうまくいかなかった場合どうするのかという質問に対しては、今の県道の通行を考えている、まずは上市場の人たちと話し合うとの回答。しかし、県道を1000台もの工事車両が通るのは無理があるので、何らかの別の手段を考えてほしいという意見が出る。

 環境調査の年次報告が昨日公表された。今のところ発生土について、自然由来の重金属等の調査で基準値を超えるものはないとのこと。また、仮置き場A近傍の地下水の水質測定箇所において、フッ素とホウ素が基準値を超えているけど、これは仮置き場として使用する前から越えているので、リニア工事のせいではないとの説明。

 また、昨日は中部電力の送電線工事の説明もあった。上蔵の変電所まで15万4000ボルトの高圧送電線と鉄塔が村内に9基建つ。7~8月に地区・住民説明会を行って、10月に工事着手したいとのこと。大西山方面の資材運搬にはヘリも使うようなので、騒音も気になりそう。今年の秋から始まって、2024年の前半までのスケジュールで、工事車両のピークは来年秋頃との想定で、そのときの工事車両の最大通行台数は62台。トンネル工事の台数にこれが加わることになる。

 


リニア連絡協議会等

2018年10月05日 | リニア新幹線
 リニア連絡協議会のことくらいはFacebookではなくブログに記録しておこうと思いつつ、諸事情で多忙につき、すっかりブログの更新が滞ってしまっていた。
 8月5日~9月6日の1か月間、大鹿村役場において、中部電力によるリニア変電所への送電設備の自主環境調査結果報告書の閲覧が行われた。これは「日本で最も美しい村」の看板である赤石岳を望む景観の中に送電鉄塔が建ち並ぶことから、当初から地中化を求める声が強かったが、中電側はさまざまな理由から架空送電線とするものとして自主環境調査が行われていたもの。Web上での公開もなく、報告書のコピーも写真撮影もできず、役場で閲覧するのみだったので、閲覧者はごく少数だったようだ。村内の住民グループがアセスの専門家である日本自然保護協会の辻村千尋さんを招いて学習会が行われたので、話を聞きに行ったが、いくら自主アセスだからといっても、この公開方法はアセスの趣旨からいっても不適切であるとの指摘があった。
 8月29日には、大鹿村のリニア工事としては2か所目となる、伊那山地トンネル青木川工区の工事説明会が地元自治会対象に非公開で開催された。また、9月6日にリニア連絡協議会が開催され、この青木川工区の工事説明会と同内容のパワポと、地元説明会で出た意見とそれに対する回答について説明があった。
 この工区では中央構造線の破砕帯や蛇紋岩地帯等、地質の脆弱な場所を通ること、青木川の下を35mの浅い土被りで通ること、新たな残土置き場候補地への道路が非常に狭いこと等々、さまざまな懸念事項があり、地元説明会では青木川の減水予測、また減水が生じた場合の対応や、薬液注入の水資源への影響、老朽化した橋梁や狭隘な道路の改良等々、さまざまな質問が出たそうだ。

 9月7日からは9月定例議会が始まり、10日の一般質問では、私は中電の自主環境調査報告書について質問した。公開方法についてや、閲覧者がどの程度いたのか、出された意見に対する事業者の見解がいつ示されるのか等、また工事用車両通行道路が国道になっていたので、迂回路通行を求める質問をした。
 9月議会は、7月豪雨の災害復旧費の専決処分の報告に始まり、また議会直前の4~5日に台風21号により村内各所に大きな被害があり、最終日には約7億円もの災害復旧費が追加上程されて即決される等、役場の皆さんも災害対応で大変な中での議会だった。全員協議会では、村内の被災状況の説明や、今後の災害時の避難手順についての説明等々があった。
 リニア関連では、前日に長野県よりプレスリリースが出た鳶ヶ巣沢地籍の盛土計画についての設計照査実施のお知らせがあった。これは26日に現地視察が行われた。

リニア 残土による中川・大鹿の沢埋め立て 検討へ第三者委発足(信毎Web)

 9月21日には青木川工区の全村民対象の公開の工事説明会が開催された。

 昨日10月4日には、リニア連絡協議会が開催され、6月の連絡協で商工会から出されたリニア工事関係車両(大型車以外)の国道通行について、8月からの試験通行を受けて意見交換が行われた。普通車等の通行についてと、大型車が迂回路を通るようになったため誘導員を配置しないという2点についての意見集約結果のペーパーが配布され、賛成意見、反対意見それぞれあったが、商工会からの提案どおり普通車は国道を通行、誘導員は配置しないという意見が多数で、当面、現状の通行台数においてはそのようになった。

 また、中部電力から送電線計画について、自主環境調査結果概要と工事概要について説明があり、自主環境調査への意見と回答についても説明があった。今までの中電の説明では、フォトモンタージュ等が配布された紙資料には含まれなかったが、今回初めて、映したパワポすべて紙資料としても配付された。また報告書でフォトモンタージュが小さくて分かりにくいという意見を出しておいたら、会場に大きな写真も掲示してあった。
 ちなみにコピーやWebでの公開がされなかったことについては、「報告書は当社が著作権を有しており、また当社のノウハウを含んだ技術資料であることから、これらの流出の防止および環境保全の見地からの意見書作成という目的以外での利用を防止するため、コピーおよびWebでの公開は行わないこととしております」という回答。
 調査結果は、今後、関係自治会への説明が行われるとのこと。

 小渋線トンネルは西下トンネルが年内の開通予定、四徳渡トンネルが年度内の開通予定。南アルプストンネルの進捗状況は、除山非常口からが450mくらい、小渋川非常口からは750mくらい。除山でも夜間発破が始まった。
 観光協会からも強く要望が出ていた土曜日の休工については、紅葉シーズンとなる歌舞伎の前日の土曜日から、11月の勤労感謝の日の連休まで、場内作業+大型資材搬入車両10台/日のみとするそうだ。

 9月29日付け南信州新聞Web、30日信毎で、大鹿村から出る残土の行き先とされてきた松川町生田の候補地3か所について、地元の会合で、2か所を取り下げることが決定されたと報道された。時間が押している中だったけど、最後にこのことについても聞いてみた。

松川町の残土処分候補地が難航(南信州新聞)

6月議会とリニア連絡協

2018年06月29日 | リニア新幹線
 前回ブログで紹介した迂回路通行に係る全村民対象の懇談会の後、6月7日から18日まで定例議会だった。8日の一般質問では、東村議員が「リニア連絡協議会のあり方について」という形で、JR東海が「村との窓口だと考えている」連絡協の開催頻度、検討・提案部分の強化、村民への周知をシステム化することなど質問し、私は「暫定的な迂回路の通行について」という形で、5月31日の懇談会、また上市場地区から暫定的な迂回ルート撤回を求める陳情書も出ていたので、その中で出てきた問題などを質問した。もう一つ、旧荒川荘残土置き場についても、県の助言に対するJRの対応方針が出されたので、工事完了後の管理等について質問した。また、北島議員は村内の残土置き場の安全性について質問した。
 上市場地区から出された陳情書については、工事車両の通行台数を増やさないという形で沿道の住民の了解が得られ、既に迂回路が運用されていたため不採択としたが、陳情書の趣旨を鑑み、議会として村に要望書を提出した。

 そして、昨日28日にリニア連絡協議会が開催された。JR東海と長野県から松川インター大鹿線改良工事の進捗状況等、JR東海から赤石岳公園線改良工事、南アルプストンネル工事の進捗状況等、また今回は中部電力から送電線計画についての進捗状況と今後の予定の説明があった。
 (仮称)西下トンネルは12月頃までの供用開始、(仮称)四徳渡トンネルは来年3月頃までの供用開始を目指すとのこと。昨年末崩落があった(仮称)四徳渡トンネルの坑口付近については、現在行われている崩落の復旧工事の他、長野県が坑口法面の補強工事を行うとの説明があった。
 南アルプストンネル工事は、除山非常口からは270mくらい、小渋川非常口からは600m弱掘り進んでいるとのこと。釜沢集会所における騒音振動の測定結果のグラフが出されていたが、掘削が進んでも騒音、低周波とも減っていない。実際、釜沢の友人に聞くと、やはり発破音が響くという。
 迂回路については運用開始から約1か月、この間の小学校付近で測定した騒音・振動、大気質(二酸化窒素、浮遊粒子状物質)のグラフが示された。ろくべん館前でローラー敷きならし作業を行ったときの騒音が突出しており(昼間50~54dBのところ、その日だけ63dB)、今後ろくべん館前の造成事業では騒音が懸念されるため防音対策を取るとの説明だった。
 青木川工区では宿舎の建設が9月頃から始まるとのこと。また、青木川工区、暫定迂回路で新小渋橋を通行することに関することを追記する変更確認書についても説明があった。
 大西グラウンド整備事業については、平面図だけでは分かりにくいということで、今回イメージ図が示された。(追記:6月30日の南信州新聞1面に絵が掲載されている)
 
 JRの説明についての質疑・意見交換の中で、商工会から、工事関連の車が普通車も含めてすべて迂回路を通るようになったら商店の利用がゼロになってしまうし、村内の業者がリニア関連の仕事を受けたら会社にも行けなくなってしまう、普通車は国道を通れるようにしてほしいという意見が出された。村からは、5月31日の懇談会でリニア関連は普通車も迂回路としたが、用事のある車は通ってもらっていいという説明があり(6月配布の村からのリニア情報でも「商店での買い物等のため、工事関係車両が市場通りを通行する場合があります」と書かれている)、意見交換が行われた。普通車は全部OKにするのか、用事のある車だけなのかでは随分落差がある。昨夜の協議会の中では普通車は全部OKの声が多かったが、鹿島JVの方から、いきなり全部OKでは混乱する、1か月くらい現状で様子を見ながら、区分けをはっきりしてほしいという話もあり、協議会に出ている自治会長さんだけでなく、自治会内での意見の取りまとめ、また保育所や福祉施設、小学校等々、国道を利用する人たちの意見も聞いていくという話に落ち着いた。

 中部電力からは、自主環境調査の結果がまとまってきたので、報告書の閲覧を8月6日~9月5日予定で行うという説明があり、環境調査結果の一部、フォトモンタージュなどが示された。報告書は役場か中電の飯田営業所でしか見られないそうで、コピーも駄目とのこと。JRだってWeb上で公開しているのにと思ってしまった。

 また、協議会前日の新聞で、2017年度の環境調査結果が公表され、除山非常口に隣接する残土の仮置き場の地下水の一部から、基準値を超えるヒ素とフッ素、ホウ素が検出されたことが記事になっていたので質問した。連絡協議会の設置要綱に協議会の連絡調整事項として、一番目に「事後調査、モニタリング調査などの情報の共有」とある。フッ素とホウ素については昨年報告があったが、ヒ素については何も聞いていない。観測井を掘ったときに基準超のものが出たが、その後、基準以下になっているので報告しなかったという返答だったが、それならそういう報告をすべきではないか。三遠南信などでもヒ素が出ているので、出ること自体は想定内の話だと思うし、対策をきちんと示してほしい話だと思う。同じ南アルプストンネルの向こう側、早川町では、つい最近も新たな要対策土の仮置き場計画が出されていた。

 今回はWebに掲載されている記事は中日新聞だけ。
「崩落箇所、7月に復旧」 大鹿村連絡協、JRが報告

 ちなみに、信毎は「残土最終置き場 大鹿村が造成図」、南信州は「運動場イメージ図示す」との見出しで、リニア残土で造成する大西グラウンドの話を主にした記事だった。

迂回路通行に係る住民懇談会

2018年06月01日 | リニア新幹線
 昨夜、交流センターで国道152号(市場通り)迂回路通行に係る住民懇談会が開催された。5月25日に文満地区で懇談会が開催された際、文満地区だけの問題ではない、全村に説明すべきだという意見が出て開催されたもの。大鹿村では残土運搬が本格化すると1日千数百台の大型工事車両が通行するとされているが、村中心部の影響回避のため迂回路が計画されている。そのために仮橋を3つ架ける計画だったが、1つしかできておらず、既存の橋を使った暫定ルートでの迂回路通行に切り替える計画が示され、今日から運用が始まった。25日の文満地区での懇談会では工事用大型車両の通行台数が1日154台という数字だったようだが、昨日の説明会では現状の68台に抑えるという説明だった。

JR「リニア工事車両の国道通行」提案 大鹿の沿線住民反発

リニア車両暫定迂回路きょうから通行 大鹿村民に説明会

 <昨夜の懇談会のやりとり概要>

住民:JR東海は確認書の約束を守り、3本の仮設の桟橋が完成してから残土を運搬するようにしていただきたい。そうでないと確認書を交わした意味がない。
JR:努力したが、結果として仮桟橋①は地権者と協議中、③も途中までしかできていない。現在の台数68台以下で何とかご理解していただきたい。
JR:迂回路が全線完成しているわけではないが、既に出来上がっているところは一部使わせていただくことによって、少しでも大河原地区の中心部を避けるような形で工事を進めていきたい。

住民:残土を運ぶのか。
JR:残土は桜橋を通る予定はない。村でグラウンド整備とろくべん館の方に整備事業を計画しているので、そちらについて新小渋橋の方から68台の中で対応していきたい。

住民:6月ということは明日からだ。明日からこのようになるということに対して、今日の説明は前日だ。こんな大事なことをこんなぎりぎりまで説明しないというのは村民を軽く見ているのではないか。もう少し早め早めに言ってほしい。
村長:そんなつもりで自治会懇談会や狭い範囲での説明をさせていただいた。4月中に文満地区の懇談会を予定したが、集まる方が少なかったので、5月半ばにもう一度お願いした。これだけ大きな変更が想定されるのに急になったことは誠に申し訳なく、お詫び申し上げる。今後は変更が想定される場合にはできるだけ早めに説明会を行っていく。

住民:これまでは新小渋橋から下に対して残土の受け入れはなかった。新しく残土を運ぶとなれば、沿道にはこれまでとは違う影響があると思う。そういう環境の変化にどう対応するのか。そういう心配がある限りは大西グラウンドやろくべん館前を村は提供すべきでない。
副村長:今の桟橋②や③について残土を利用している。ろくべん館前についても迂回路の整備に残土を利用している。赤石岳公園線の工事などもやっていかなければいけないので、残土運搬だけの台数になることはない。環境変化についても、今とさほど変わらないと思っている。
JR:環境変化についてご心配されるのはもっともだと思う。騒音、振動、大気質についてはモニタリングを行う。対策が不十分となれば、当然引き続き対策をしていく。
村長:グラウンドは何年か前からの研究の中で整備し直す計画が進んでいる。村の事業として取り組みたいということだ。
JR:粉じん対策として、ダンプに幌を設置したり、ヤードにタイヤ洗浄装置を設けてある。道路清掃や散水を行い、粉じんが上がるのを防ぐ対応はきちんとしていく。
副村長:今市場通りを走っている台数の通行について、いろいろと体感されていると思う。それ以上の負荷は影響が大きいと思うが、それはさせない。

住民:今まで警備員を二人配置していただいて通行しているが、他の車もたくさん通っているし、個人的にはそんなに影響が出ているとは通行していて感じない。上流側の橋梁が難航しているようなので、なるべく早く地権者の皆さんと話し合って、迂回路が早急にできるようにご努力をお願いしたい。
村長:しっかり努力していきたい。

住民:ガードマンの配置が今日まで、明日からは立たないと、今日聞いた。事業所の方に一切そういう説明がなかった。ぜひ継続していただきたい。国道も一部の車両が通るようだ。大きな車両だけでなく小さな車両でも何回か怖い思いをしたことがある。
JR:話がなかったことはお詫びする。そもそもガードマンは、こちらを1日1500台ほど車が通っているが、そのうち68台我々の車両を通していただくことの条件の一つとして配置させていただいた。6月1日から右岸側を車が通らないように切り替えることになった。
JR:何台かは引き続き市場通りを通らせていただくと説明したが、それは基本的に夜間の通行だ。昼間はセメントローリー車がどうしても物理的に通れないので、1日に2~3台通らせていただきたい。通学時間帯を避けるなどの対応はきちんとやらせていただく。
住民:乗用車は通らないのか。
JR:乗用車も含めて、リニアの関係の車両は明日以降、迂回ルートに回る。

住民:明日から実施なのか。文満団地の懇談会で、これはこの地区だけの問題ではないということで、いろいろな意見が出て今日になった。あの時点でも、5月25日で6月1日というのは住民を何だと思っているのか。
 確認書に書かれた内容はどこまで守ればいいのか。確認書の内容を遵守しないとしたら、確認書の意味はどういうことになるのか。
 5月に③の橋が架からないことが分かったというが、その前にあらかじめ分かっていた話ではないか。今日の明日というのは絶対あり得ない。なぜここまで住民への周知が遅れたのか。
副村長:3月のリニア連絡協議会の時に、今架けている③の橋について川の増水などで遅れ気味になっているので、もし通れない時には地元の自治会の皆さんに話をしてお願いするという話をさせていただき、リニア情報にも載せてある。住民懇談会の中でも4月から各地区の皆さんに同じことを話をさせていただいた。度重なる天候悪化で、実際5月に入って、できないということで、文満地区で話をさせていただいた。
JR:当然われわれも確認書を遵守する。確認書が守られない時は、地元や連絡協議会、村と協議をさせていただきながら、変更とか、対応を今後どうしていくかという協議をしていく。

住民:確認書が交わされたのは随分前だが、①の橋がいまだ地権者と協議中のため未着手とある。なぜこんなに長引いているのか。これからやって、年度内のできるだけ早いうちに全線ということは可能なのか。
村長:①の橋の用地については、意思の疎通がうまくいかない部分があるかなと思っている。これからは相手側のお話もしっかり承る中で進めていきたい。
JR:桟橋①は未着手だが、行政手続き等はすべて終わっている。渇水期に入って河川管理者の許可が出れば工事が着手できる。この時期に着手できれば、3月中には完了する計画だ。

住民:現在の68台の内訳を教えていただきたい。暫定的なルートが開通した場合、資機材運搬車、本体工事、ズリ、何台ずつなのか、予定を教えていただきたい。
 仮桟橋③が施工途中だが、そもそもの建設予定の場所から上流に変更されている。変更があったのに、なぜ説明がなかったのか。近隣の人たちにも何も説明がなく、突然工事が始まったと伺った。
鹿島:68台の内訳は、現時点では残土を運んでいないので、主に赤石岳公園線、トンネルの準備工とトンネルを進めるための資材、ダンプのような大型のものは3割程度、7割は資機材運搬になっている。資機材でも大型のものもある。逆に今度はトンネルの残土を動かすようにして、道路改良やろくべん館前を早く仕上げることによって運行路を確保する、赤石岳公園線に活用させていただくようになるので、そうするとほぼ半々か、6割ぐらいにダンプが増えてくる。
副村長:3月のリニア連絡協議会の中で、変更についてJRの方から説明をさせて、それを委員の皆さん、リニア情報でということだったが、地元の田んぼを持っている方やビニールハウスを持っている方に直接お話をしなかったのは、本当に村の落ち度だと思っている。それについては、個別にお話に行って今対応しているところだ。
住民:どうしてそうなったのか。説明しなかった理由を教えていただきたい。
副村長:村の方で、リニア連絡協議会で説明して、情報を流した、周知をしたと思い込んでしまったところが一番いけなかったと思っている。

住民:今まで中央部を通っていたのが迂回して通行量が少なくなるから、別にかまわないのではないか。通れるところから、なるべく住民負担をなくして通るという姿勢は、私は大いに買う。
村長:保育所、小学校入り口、福祉施設の辺にたくさんの大型車が通るというのが最大の懸念だった。今回の迂回ルートでメインのところは回避できると思っているし、できるだけ早く全体が通れるように努力していきたい。

住民:今日までガードマンが付いていて、明日から全くいなくなるというのは、あまりにも極端すぎるので、徐々になくしていく形を取ってもらいたい。あそこら辺は高齢の方たち、足腰の弱い方もいるので、いきなり極端になくなるのも心配なので考えてほしい。
 迂回路は大型車両に通ってもらうようにして、通勤の自家用車などは現状どおり国道を走ってもらっても何ら問題ないと思う。対岸は道が細くて、よけあいが不可能なところが結構あるので、通勤車両等は今までどおりでよいと思う。
JR:ガードマンについては徐々にというか、暫定的にもうしばらく今の状態で、2名が1名になるかもしれないが、急に減らさないようにする。通勤車両のお話は、我々も含めて全体で15台ほど自家用車がある。特に夜遅く、10時とか11時くらいになったりする。できれば、そういった時間帯と我々の通勤車については、国道を通らせていただければありがたい。
副村長:村として、自家用車も含めてリニアの関係は迂回路を通っていただくということだ。もちろん、夜遅くの数台については国道を通っていただいてもよいのではないかと思う。

住民:交通誘導員の追加をお願いしたい。桜橋下流に文満住宅があるが、ここは若いご家庭がたくさんいて、小さい子どももたくさんいるので配置していただきたい。また8月頃に建設中の道の駅が開業すると、ここも交通が頻繁になるので配置していただきたい。

住民:桜橋はダンプカーは通らないということでよいのか。リニア関連工事が始まって、大鹿村の来客者数がぐっと減った。観光協会でやっているJRとの懇談会の中でもそういう意見がたくさん出てきている。これ以上、観光客の通る場所に車両を増やしてほしくない。新小渋橋、大西桜橋は赤石岳が見えるとてもよいビューポイントになっていて、観光客が大鹿村は良い所だと一番実感できる場所ではないかと思う。桜橋は大西公園に行く大切な橋だ。この辺を無機質な物がばんばん走っていくのは好ましくないと思っているので、できるだけやめてほしい。
 防音パネルは住民の方が騒音や粉じんなどを避けるための施設だと思うが、景観に対する配慮、村全体が工事現場みたいになっていく。住民、工事の方、観光客が受けるイメージは非常にずれが出ている。今後これ以上工事を増やされたら、私たちの商売としても、商売がなくなれば、私たちもここに住めない。そういったことも考えながら、工事をやっていただきたい。
JR:観光は非常に大切な産業であると認識しているので、引き続き観光協会の方々とコミュニケーションを図りながら、いろいろ話をさせていただいて、何かPRできるようなことがあれば、ご協力させていただきたい。

住民:市場通りの住民負担を軽くするために、まだ完成していない迂回路を使うという話だが、新小渋橋も桜橋も観光スポットから言うと重要だ。まずやってほしいのは、①の交渉中の地権者と全身全霊かけて話をしていただく、それと③を架けて、整った状況で迂回路を気持ちよくできないものか。
 市場通りはまだ可能ではないか。今回の6月1日からという無理押しの方が、上市場の方の反対とか補償の問題とか、いろいろ出ていると思うが、すごい問題が絡んでいると思う。どうして6月1日にこだわってやらなくてはいけないのか。
JR:6月1日にこだわっているわけではないが、一日でも早く迂回路を回った方が、大河原の中を通らなくて済むので、そちらの方がよいのではないかと考えた。
副村長:村として今まで協議してきた内容だ。市場通りの皆さんの負担を減らさなければいけない。だが、どうしても①③ができないので、現状の台数で桜橋、新小渋橋を通らせていただいて、上市場は今も通っているので、現状なら大丈夫という話も聞いている。村としては迂回路ができたところから、68台を絶対に守っていただいて通すのが一番いいと判断している。
住民:いきなりの話で、いろいろな方の納得も得られていない。その辺の納得と承認を得てから、もう一回考えていただきたい。

住民:将来の見通しについて何も書かれていないことが不親切だ。もし仮橋①が地権者との関係等によって施工できなかった場合、遅れた場合、それができるまで68台以上には増やさないと理解してよいのか。
JR:引き続き誠意努力させていただく。一生懸命やりますというところしかお答えできない。仮の桟橋ができなかったときの代替案は当然考えてはいるので、当面は68台で対応させていただきたい。

住民:迂回路の回りに砂塵の被害は起きないのか。
JR:起きないようにいろいろな対応はさせていただく。
住民:砂塵の被害が出た場合は、どのような形になるのか。
JR:当然、被害があれば、それなりの対応はさせていただく。
住民:対応というのは金銭的な補償か。
JR:国の補償基準に基づいたものになると思う。
住民:松川インター大鹿線が崩れたときも個別補償をするということだったが、実際にどれくらいの件数の補償が上がってきたのか。
JR:個別の話なので控えさせていただくが、お約束したとおりきちんと対応させていただいる。
住民:何件くらいか。
JR:控えさせていただく。
住民:僕もガソリン代がよけいにかかっている。人によっては個別補償だと行きづらいとか、どんな補償を受けるのか分からなくて、一人で考える人が多いと思う。ぜひ村で補償の窓口を設けていただきたい。 
副村長:村に言ってきていただければ、JRにつなぐ。
住民:通すことありきで話が進んでいるが、これを止めることを検討した経緯はあるのか。
村長:現在、釜沢で赤石岳公園線の工事が3か所、上蔵の工事も計画されて、そろそろかかる。特に釜沢への道路については、現在生々しく掘削したり、鉄板で路面を補強したりということになっているので、ここで止めるということはできない。
住民:村民が被る迷惑と比較考量したときに、JRの作業をストップさせないことの方が、村民の被る被害よりも重かったということか。
村長:釜沢については一番孤立しやすい所だということが常に頭にある。あの道路をどう改良するかというのは県に何回も要望してもなかなかできなかった。二次的な産物かもしれないが、現在そういう対応がかなりなされてきていることを非常に重く受け止めている。その点で、工事の途中のままストップすることはできないと判断した。

住民:代替案も考えているとおっしゃったが、どういうものか。
 残土を68台の中で運ぶという話があったが、68台の中に残土運搬が混ざるのはいつ頃からか。
 通行時間について、8時から7時まで通ると聞いた。道の駅もできるし、7時まではかなり遅いので心配だ。桜橋や新小渋橋は観光ルートでもあり、できれば土曜日はやめてほしい。

JR:まずやるべきことは地権者さんと全力で当たる。具体的なことは控えさせていただくが、物事は何かあったときにどうしようと考えるのは普通のことかと思っている。そういうことも含めながら考えさせていただいているが、やはり地権者さんにぜひご協力していただいて、桟橋①を完成させていただきたい。
JR:土の運搬だが、7月上旬から行きたい。通行時間は7時から19時と考えている。
住民:8時からではなかったか?
JR:迂回路自体は夜間仮桟橋に一般の方の車が入らないようにゲートを付けさせていただく。そのゲートを設置している時間が19時から翌朝7時までと考えている。迂回路自体は7時から19時までの間開けておいて、我々の通勤車両も迂回路を回っていく。工事用車両については8時から19時の運用を考えている。
副村長:ろくべん館前にズリを資材として運んでいるのは既に運んでいる。7月上旬というのはグラウンドだ。
JR:工事カレンダーを連絡協議会でご説明させていただいている。土曜日もできるときは当然やりたいが、特に観光シーズンでここは配慮してくれということがあれば、できるだけ調整させていただきたい。
住民:3号橋の場所変更について3月の連絡協議会で説明したとおっしゃったが、12月の一般質問で村長に答えていただいている。12月の時点で分かっていたはずなのに、なぜ工事が始まるまで地元に説明がなかったのかというのは、本当にひどいと思っている。今後絶対にこのようなことがないようにお願いしたい。
村長:今後はそういうことがないようにする。

住民:粉じんの補償の問題で、国の補償基準でやるということだった。補償がどの程度されるのかが見えない中で被害が起きたときに、本当に補償してくれるのかということが不安なのだと思う。そこのところの責任の所在を、村がきちんとJRに対して、こういう場合はこういう補償をするというように今からやっておかないと、起きた後にやっても遅いと思う。そこを村が責任を持ってやってほしい。