「美しい村」の議員日記

南アルプス山麓・大鹿村在住。自給自足農業、在宅ワーカー、2011年春より村議会議員。

「リニアで南アルプスを壊さないで」登山者によるアピール

2016年07月16日 | リニア新幹線


 リニアによる自然破壊は、もちろん南アルプスだけでなく各地であるわけだけど、やはり南アルプスは象徴的だ。大鹿村も登山口だけど、特に静岡ではほとんど登山者しか入ることのなかった山の中が何百人規模の作業員が常駐しての大規模工事現場になり、大井川や支流の減水による河川の生態系の破壊が危惧され、燕沢という所では何十メートルもの高さに残土が積まれるなど、むちゃくちゃな計画だ。静岡のリニアを考えるグループには当初から登山者が多くかかわっていると聞いていたが、このほど南アルプスを愛する登山者としてリニアの中止を求めるアピールを公表し、賛同を募る運動が始まった。先日、東京のモンベル御徒町店で「リニアで南アルプスを壊さないで」登山者大集合と題して、そのスタート集会が開催された。リニア新幹線を考える登山者の会のブログに早速レポートが載っている。
 アピールの内容と呼びかけ人は以下のとおり。賛同はこちらのサイトから。問題をコンパクトにまとめたリーフレットも作られている。(上の画像はリーフレットの表紙。PDFファイルにリンクしています)

■呼びかけ文

私たちは南アルプスを愛する登山者です。
13の3000mのピークが連なる南アルプスは、日本を代表する山脈です。
その重厚さと山深さゆえに、自立した登山者を育んできました。
南アルプスを経て、今も多くの登山者がより高く遠い峰々を目指しています。
山脈南部は道路や送電線など横断する人工物のない、国内でも希少な地域です。
その豊かな自然を享受してきたのは、私たち登山者です。

JR東海が建設を進めるリニア中央新幹線は、その南アルプスを東西に貫きます。
人命を危険にさらす難工事は、同時に動植物の生息環境をも危険にさらします。
トンネル建設で大井川をはじめとした周辺河川が干上がり、排出される膨大な残土で谷は埋まり、赤石岳を望む美しい景観は、橋梁や鉄塔・送電線で台無しになります。
10年以上の工事で、ふもとの村々や登山口は一大工事プラントに変貌します。
工事で人のつながりや生活環境が壊され、自然を活かした地域づくりが損なわれます。
工事車両の通過のために、道路の大幅な改修が行なわれ、新たなトンネルが掘られます。
排出土は河川敷を埋めて、下流域の住民生活を危険にさらし、環境汚染を招きかねません。
しかも工事はいつ終わるともわかりません。
変わり果てた南アルプスを目指して、私たちは登山をするのでしょうか。

片道1時間で東京と大阪が行き来できることと、南アルプスの価値は引き換えにできません。
これ以上の速さと開発はたくさんです。
私たちは、リニア中央新幹線に関する、すべての工事の即時中止を求めます。
この手つかずの自然を、私たち登山者は後の世代に引き継ぐ責任があります。

■呼びかけ人
猪熊隆之(ヤマテン、気象予報士)
岩崎元郎(無名山塾、登山ガイド)
大島康弘(日本山岳会静岡支部長)
掛川義孝(聖平小屋、登山ガイド)
斉藤一男(日本山岳協会元会長)
志水哲也(写真家、山岳ガイド)
白鳥勝治(清水山岳会、日本山岳会静岡支部自然保護委員)
瀬畑雄三(渓の翁、源流釣り師)
高桑信一(作家)
竹本幸造(静岡県勤労者山岳連盟理事長)
田中裕之(ぶなの会代表)
寺沢玲子(同人パハール)
成瀬陽一(海外溯行同人、渓谷探検家)
西本武志(日本勤労者山岳連盟会長)
橋本利治(山岳会登研代表)
服部隆(南アルプスとリニアを考える市民ネットワーク静岡共同代表)
服部文祥(作家、サバイバル登山家)
前島久美(大鹿の100年先を育む会)
増本亮(クライミングファイト、クライマー)
松永義夫(静岡市山岳連盟会長)
馬目弘仁(信州大学学士山岳会、クライマー)
三宅岳(写真家)
山田哲哉(風の谷、リニア新幹線を考える登山者の会)
吉木真一(金峰山小屋主人)

野党共闘

2016年07月16日 | 非戦・平和・社会
 参院選について書こうと思いつつも落ち着いて書く余裕がないまま、1週間近くたってしまった。選挙の結果は改憲勢力3分の2超、無所属の追加公認で自民党単独過半数にも達してしまい、今後どうなっていくのかと思うと暗澹たる気持ちになってくる。一方で、今回の選挙では画期的な市民と野党の共闘の取り組みにより、全国32の1人区すべてで野党統一候補が実現し、ここ長野県をはじめ11の選挙区で野党の勝利となった。長野県では事前予測では野党統一候補の杉尾ひでやさんリードだったけれど、自民党側のひどいネガキャンや強力な組織固め、安倍総理が3度も来たりで選挙期間中の情勢予測では大接戦、互角と報道された。しかし、最終的には全国一の投票率となり、7万票以上の差で杉尾さんとなり、本当にほっとした。特に自民党側は「落下傘より健太さん」と、地元出身候補かどうかが最大の争点かのような言い方をしていて、移住促進に力を入れている時代に何を時代錯誤なことをと、産経新聞にまで批判的に書かれていたので、(私自身も移住者だし)県民の良識が示された結果に安堵した。比例区の方では脱原発やリニア問題はじめ、いろいろな市民運動でお世話になっている福島みずほさんが当選。社民党としては党首落選という厳しい事態で今後が気になるところだけど、生活の党と統一会派を組む方針とのこと。

 これまで選挙のたびに、野党側がそれぞれ候補を立てることで結果的に自民党が勝ってしまうことにさんざん歯がゆい思いをしていたので、今回の画期的な野党共闘の取り組みは本当に良かったと思うし、働きかけた市民、各地で決まっていた候補者を下ろした共産党をはじめ各政党の方々の努力に心から敬意を表したい。今の小選挙区制が続く限り、自民党に偏りすぎたバランスを取り戻すためにも野党共闘を進めていくしかないと思う。ただ、それには本当に丁寧な話し合いが必要で、一昨日告示された都知事選では、あまりに時間が少なすぎて、釈然としないものをたくさん残したまま選挙戦に入ってしまった。何とか選挙期間を通じて、その辺の溝が埋まっていくと良いなと思う。

 この間読んだWeb記事の中からいくつか。
 
 本当に自民党は大勝したのか?なんだか変なマスコミ報道。(竹村英明の「あきらめない!」)
 三宅洋平さんについては、市民からの要請を一度は断ったものを翻しての出馬にいろいろな評価があったと思うけど、生活の党の比例区での議席獲得には確実に貢献したと思うし、無関心層に目を向けてもらうきっかけが作れたとしたら、ぜひ次につなげてほしいと思う。

民主主義って何だ!?少なくともこれじゃない。ゼロから。これから。(OSHIDORI Mako&Ken Portal/おしどりポータルサイト)
 都知事選に関してはこんな声もあった。

明日に向けて(1279)参院選の結果から見えるもの・・・安倍政権を倒す可能性はここにある!

明日に向けて(1281)参院選の結果から見えるもの・・・平和を守るための与野党共闘を発展させよう!

 山奥の大鹿村では選挙期間中も、自民党候補が一度は来たようだが、街宣車が来ることもなく静かな日々だった。インターネットを使った選挙運動ができるようになり、私自身は応援する候補の情報を日々SNSでシェアするという手軽な方法にかなり依存していた。おかげでタイムラインは杉尾さんと福島さんと三宅さんばかりの日々になってしまった。しかし、SNSは基本的にお友達のネットワークなので、友達同士で盛り上がるだけになってしまって選挙運動としての宣伝効果は弱いなと改めて感じた。やはり大事なのはface to faceで、あるいは電話でも、直接話すことだろう。そして、一人一人が主権者として自ら考え、(同じ考えの人同士だけでなくて)身近な日常の中でもう少し社会のことを話題にできるような世の中にしていかないと、一部の人に任せて文句を言っているだけでは何も変わっていかない。自分のこととして動く人が増えていけばと思う。

【追記】「Rolling Stone」にこんな記事も。
2016年大統領選におけるバーニー・サンダースの静かなる勝利