「美しい村」の議員日記

南アルプス山麓・大鹿村在住。自給自足農業、在宅ワーカー、2011年春より村議会議員。

リニア連絡協議会

2018年03月30日 | リニア新幹線
 昨日(3月29日)リニア連絡協議会が開催された。
 まずは昨年12月15日に発生した小渋線の土砂崩落について、詳細な発生原因や復旧計画等について27日に県の検討会議で報告した内容について、改めて謝罪とともに説明があった。今回崩落した斜面の大部分は土砂のような状態で、「坑口部付近の斜面は岩盤中に土砂を内包する特異な地山状況であった」、また「崩壊発生以前にまとまった降雨や地震などの自然現象がなかったことから、発破による振動で不安定化し、崩壊に至ったものと考えられる」ということで、発注者であるJR東海の責任を認めた。補償についても、申し出があれば村の対策室を窓口にして個別対応で応じるとのこと。復旧計画については追加のモルタル吹付けを行い、コンクリート擁壁とロックボルトによる保護工の対策を実施するという説明だった。現在応急復旧で対面通行ができるようにはなっているものの、仮土留めが設置されて道幅が狭くなっており、本復旧の時期を問う質問が出たが、これから協議するので分からない、数か月程度という回答だった。資料等は下記の飯田建設事務所のサイト参照。

主要地方道松川インター大鹿線法面崩落について

 続いて小渋線の改良工事について、トンネルの供用開始時期は(仮称)西下トンネルが今年の12月頃、(仮称)四徳渡トンネルが来年の3月頃とのこと。そして、5か所の拡幅工事については、現在施工中の場所以外の4か所について、構造形式の変更や、保安林解除に時間を要していることから、当初の予定では平成30年度末までだったものが、平成32年度の第三四半期くらいまで延びるとの説明。27日に中川村のリニア対策協議会で説明した内容の信毎記事に「2年弱遅れ」という見出しがあったが、昨日のJRは「1年半」という言い方をしていた。今日の信毎記事では「1年8か月程度」となっていたが、大体そのくらい延びることになるらしい。残土の村外への搬出は小渋線の改良後となっているので、この「1年8か月」の間に生じる発生土をどうするのか、早川町で行われているみたいに発生土を積んだ上にさらに仮置きされても困るわけで、村内に仮置きする場所はないではないかと質問した。JRが半の沢や鳶ヶ巣に置けるので何とかやりくりできるという答え方をしたので、県からは「どちらもまだ決定していない」とも。この間に生じる残土の量についても質問したけど、「量は言えない」という返答だった。置き場所がなければ掘削をストップしてもらうしかない。

リニア残土行き先、懸念の声 県道改良遅れで大鹿の対策委(信毎Web)

 県道赤石岳公園線の改良工事については上蔵の集落内で道路付け替えや拡幅工事が始まる。

 南アルプストンネルは、除山非常口では現在110mくらい掘削が進んでいる。一昨日、釜沢地区の集会所で発破作業による騒音・振動の測定が行われた。ここでは12月に一度発破をかけたが、騒音・振動が非常に大きいという住民からの声があり機械掘削になっていたが、発破を再び始めるに当たって住民立ち会いの下で測定するということになっていたもの。

リニア発破の騒音・振動確認 大鹿で住民立ち会い(信毎Web)

 このときは記事にあるように、粘土が多い地質で火薬量も少なく、「あれがそうかな?」という程度の音だったが、早速翌日には午前午後の2回行われ、その音はもっとはっきり聞こえたという話も聞いている。
 
 当日参加された南信リニア通信の方とフリージャーナリストの樫田さんも詳しく紹介してくれています。
釜沢で発破の騒音・震動テスト、3月28日(南信リニア通信)
樫田秀樹さんのブログ

 除山非常口の奥の小河内沢を渡った釜沢非常口については、橋が架かったものの前後のすりつけはまだとのこと。ここからの掘削が始まると、集落の地すべりへの影響もさらに気になるところ。
 小渋川非常口については、斜坑1180mのうち425m掘削が進んでいて、土砂の搬出用にベルトコンベアが設置されたそうだ。(7月3日に機械掘削、8月29日に発破掘削を開始して、12月に350m程度ということだったので、この間あまり進んでいない?)

 また、保育所と役場前での環境調査結果が示された。今のところ騒音、大気質など、アセス時とほとんど差は出ていないけど、役場前の振動が<25だったものが30になっていた。また、4月からの1年間、今度は落合で県の移動コンテナ局による大気環境測定が行われるそうだ。

 もう一つ、3月定例議会冒頭の村長挨拶に出てきて新聞にも載った国道152号線迂回路の件。当初の説明では、この年度末までに仮橋を3か所かけて、保育所や商店等がある国道を通らずに小渋川左岸を通ることになっていたわけだけど、仮橋2つは現在施工中、最上流の橋については地権者の承認が得られていない状況。しかし、6月からは迂回路を使って、ろくべん館前や大西グラウンドに残土運搬を開始するということで暫定的に県道赤石岳公園線と新小渋橋を通行する、さらに最下流の橋も遅れぎみで、場合によっては大西さくら橋を通らせてもらうかもしれないという説明があった。新小渋橋を通行するのに伴う対策として、交通誘導員の配置や防音パネルの設置、環境モニタリングを行うとのこと。小学生の保護者から影響を懸念して、新小渋橋をいつまで使うのかという質問があったが、来年3月までに架かるように協議したいという回答だった。

大鹿村リニア連絡協議会開く(南信州新聞)

発破の振動が原因 昨年12月、中川の県道崩落(中日新聞)
 中日新聞の記事は観光関係への影響についても書かれている。リニア工事が始まり、確かに大型工事車両の通行は増えているけれども、まだまだ本格的な残土運搬が始まっているわけではない。
 村内の桜もぼちぼち開花し始めた。