「美しい村」の議員日記

南アルプス山麓・大鹿村在住。自給自足農業、在宅ワーカー、2011年春より村議会議員。

脱原発関連二日連続

2012年01月30日 | 脱原発
 一昨日の土曜日は松本市で開催された「NO!原発 脱原発 サラバ原発」県民集会に、昨日の日曜日は飯田市で開催された「食卓の放射能汚染から子どもを守るには」という講演会に参加。どちらも会場いっぱいの人が集まり、熱心に耳を傾けていた。

 土曜日の県民集会は、主催者「サラバ原発・変えよう暮らし方」の会の代表が民俗・日本思想史家の田中欣一さんが82歳、基調提言のお一人、信大元学長、宮地良彦さんは86歳、参加者の平均年齢もかなり高めで、高齢の方々のパワーを見せられた気がした。一方、飯田の集まりは「子どもを守るには」のタイトルなので、やはり若いお母さんたちが多く、原発問題への関心が世代を超えて広がっていることを実感する。横浜の脱原発世界会議にも本当にさまざまな世代の人たちが集っていた。

 県民集会の大会宣言では、原発事故について、政府、企業、科学者たちの責任を問うだけでなく、「同時に、私たち市民もまた自らの責任から目を背けることはできません。原発が生命の安全と相容れないことを知る機会は、これまで何度もあったはずです。にもかかわらず原発を容認し、あるいは無関心を決め込んで、電気を浪費する快適・便利な生活を享受してきたという事実への自覚、それに対する厳しい反省なくしては、ここから一歩も踏み出すことが出来ません」と言い、横浜の会議での福島の小学生のスピーチ「大切なものは僕たちの命ですか?それともお金ですか?」という問いに、大人たちは胸を張って「君たちの命に決まっている」と言う資格があるかと自らをも問う。その上で、
 「今全国各地で、大地から沸き立つように市民が立ち上がり、草の根的運動として声を上げていることは、大いなる希望です。多くの人がこの震災と原発事故をきっかけに、今までの暮らしを変えようと真剣に考え始めました。一人一人がどんな生き方を選ぶかを考え続けることによって、私たちはもっと健全で公平な新しい社会を作ることができるはずです。
 誰かを犠牲にしなくては産み出し得ない原発の電力に頼る生活は、もうやめましょう。すべての原発を停止し廃炉にすること、外国への原発輸出の計画を直ちにやめることを、政府に強く求めます」と続けている。

 基調提言のお二人の発言の中では、そうした生活のあり方、文明のあり方を問う中で、例として電気をたくさん使うリニア新幹線についても言及された。

脱原発へ県民集会 「生活変えよう」宣言(朝日)

 信毎主筆の中馬清福さんは、やはり基調提言の中で、この脱原発の動きが盛り上がっている今、行動に移さなくてはいけない、今はまだ点の状態であるものを線に、線から面に広げていかなくてはいけないとして、全国組織を作ることや、政治に働き掛けることなど、具体的に何をすべきかという行動提案もされた。

原発周辺の報告や避難者発表 「サラバ原発」の会松本で県民集会 (信毎)

 そして、「サラバ原発 3・11長野県大行進」の呼び掛けがなされた。

 日曜日の飯田の講演会は、先日発足した市民測定室の主催。長野県内でもここ飯伊地域では、原発事故による放射能はほとんど降ってきていないため、測定室での測定でも、この地域で生産された農産物からは不検出であることなどが、まず主催者から報告され、そういう地域で気をつけるべき点は何かという視点で講演が行われた。その点では、まずいたずらに不安を抱く必要はないのだということを、市民側の立場の専門家から聞けて安堵できる部分も多かったのではないかと思う。農業者が多い地域なので、土壌からの移行が気になるところだけれども、根を通してのセシウムの移行はとても少ないというお話もあった。今、市民測定室は全国で30くらいあり、もちろん行政や生協、流通業者、大手スーパーなど、いろいろなところでたくさん測定しているので、だんだんある種の傾向みたいなものも見えてきているそうで、重点的に測らなければいけないもの、ほとんど測定する必要もないものなど、測定の効率化につながる研究も今なされているとのこと。ただ、海の汚染は厄介だとも。
 その他、とても参考になるたくさんの情報があった。この講演はしっかり録画されているので、録画が公開されたら、リンクを貼り付けます。

【追記】参加者のメモより
 

大寒

2012年01月21日 | 田舎暮らし
 この冬は、つい先日まで雪が極端に少なく、14日のどんど焼きのときも周囲に全然雪がなく、火災が心配だからと、例年より小ぶりに作ったりしたほどだった。
 (でも、寒さの方は年内から平年以上に冷え込んでいたためか、地面が凍結して、どんど焼きで杭を打つときも打ち込めなかったりしたし、わが家では去年に続いて地中の水道管が凍ってしまい、水道屋さんに2日がかりで溶かしてもらう羽目になった)
 しかし、17日の朝、天気予報では曇り程度だったのに、起きたら一面の銀世界でびっくり。冬型のさらさらの雪で17センチも積もっている。これは乾燥しきった大地にも恵みの雪だなどと思いながら雪かきをしたけれど、昨日は今度はやや重たい雪が20センチ以上。昨晩の間にもまた少し降って、日陰などの積雪量は30センチの物差しがすっぽり隠れるほどになった。天気予報では、まだこれから明日にかけて降るみたいだし、さらにその後は冬型になって厳しい冷え込みになるらしい。

 雪景色は暖かい部屋の中から眺めている分には美しいけれど、今年は東京の八王子の雪からも微量ながらセシウムが検出されたという情報がネットに流れていた。北関東あたりでも、薪ストーブをたけば、灰からセシウムが検出されるみたいだし、本当に原発事故の影響は広範に、かつ長く続いていく。今年は冬鳥が少ないという声をあちこちで聞くことも、もしかして原発事故の影響があるのかないのか、すごく気になるところ。

【追記】八王子の雪からセシウムとヨウ素が検出された件は、スペクトルの読み違いで誤報だったようです。今は誤報でもネットで一斉に広まってしまうので、本当に情報を受け取る側にもリテラシーが必要で、まして拡散する場合には慎重にソースを確かめるなりしないといけないなと思う。薪からセシウムは、長野県内でも一部地域で検出されたのは事実だし、たき火自粛の話もあった。しかし、数値に対してどういう判断をするのかは、最終的には個人個人にかかっている。自分なりの判断基準を持てるようにするためには、やはりしっかり情報収集して学んでいくしかない。来週の日曜日、飯田で「食卓の放射能汚染から子どもを守るには」という講演会があります。

リニア環境アセス技術委員会(3回目)

2012年01月19日 | リニア新幹線
 昨日は県庁で行われたリニア新幹線の環境アセス方法書についての県の環境影響評価技術委員会の傍聴に行ってきた。9月27日に方法書が公告・縦覧され、10月になって各地で説明会が開催され、11月10日締め切りで一般の意見募集が行われたが、これらの意見も参考にしながら、今度は2月末までに長野県知事としての意見を出す。その知事意見を取りまとめるための委員会で、11月4日には現地視察の後、大鹿村で1回目の会議が行われている。当初の予定では、3回目となる今回で意見集約することになっていたので、どのような形でまとまるのか知りたいと思って傍聴に行ったのだけど、委員側とJR東海側との議論がかみ合わず、2月3日にもう一回開かれることになった。根本的な食い違いは、環境アセスに対する姿勢の違い。
 第2回審議での委員意見と事業者等の見解要旨の資料説明の後、まず片谷委員が、「気象調査は、1週間連続×4季の調査を基本としています。但し、常時監視局の分布、保全対象施設の分布、工事の規模、地形の状況等を考慮し、一部通年観測を行うことを検討します」とされていることについて、過去のアセスでも、そもそも基本は通年であって、現実的には条件によって1週間×4季になることはあるけれども、これでは逆だと指摘。
 また、塩田委員が騒音などの環境基準の地域類型が指定されていない地域についてどう考えるのかと質問。今回の対象地域は山岳地帯でほとんどが地域類型が指定されていない、非常に環境の良いところであることから、ただ基準を守ればよいとすれば、現状の環境を守れないことになる。それに対して、JR東海側からは「実行可能な範囲でできるだけ環境影響の低減・回避を図る」と、いつものパターンの曖昧な回答。
 次に富樫委員が、評価項目の選定で、工事の実施段階のトンネル工事部分について、評価対象に入っていない理由を、「地形・地質についてトンネル工事においては、工事完了時の改変範囲と大きな差異が生じないことから鉄道施設の存在に対して予測、評価を行うこととしています」としていることに対して、トンネルを掘るということそのものに対して、どうして予測・評価の対象から外してしまうのか、地表からは見えなくなるかもしれないけれども、トンネルを掘ることそのものが非常に大きな地形・地質改変であり、ほかの要素にも影響を与えるものではないかと指摘、環境影響評価項目の選定を示す表に○印を付けるべきだと主張される。JR側は、○を付けていないからといって、やらないという意味ではないと答えたため、きちんとやるつもりがあるなら、○を付ければよいではないかというやりとり。
 亀山委員長からも、景観や人と自然との触れ合いの活動の場という項目が、工事の実施段階で評価項目に選定されていないことについて、「工事中は、建設機械や工事用施設を配置することになりますが、工事延長が長く、機械や施設の配置状況も変化するため、景観や人と自然の触れ合い活動の場へ影響を与える同一の要因が永続的に存在するものではなく」と回答されていることに対して、工事期間が長く、沿線市町村からの意見でも工事中の景観影響を懸念する意見がいくつも出ていることからいっても、やはり評価対象にすべきと指摘。
 また、大塚委員からは、今回提出された動植物の既存文献調査結果資料の収集文献の中に長野県レッドデータブックの非維管束植物・植物群落編が入っていないこと、「植物の調査対象は、維管束植物であるシダ類及び種子植物を基本に考えていることから、『高等植物』と記載しています」とされていることに対して、納得できるものではないと言われ、「高等植物」ではなくて「植物」とすべきで、再度ご検討願いたいと。JR側は準備書において検討させていただきたいとの回答。

 などなど、方法書の評価項目について議論がかみ合わない。指摘された評価項目は18項目に及んだ。委員側が、あくまでこの方法書の段階で評価項目の選定の表に○があるかないかが重要だとするのに対し、JR側は、原則としては○を付けたものを中心に影響を予測・評価するが、それ以外のものを評価しないというわけではない、準備書において適切に対応するという回答に終始して、平行線の状態が続く。委員側から、これらの項目についても評価対象にして適切に予測評価するということを、準備書の段階でといわれても確かではないので、修正版を出すなり、はっきり明文化してほしいと要求。あるいは、他県に合わせるために方法書を変えられないというのならナンセンスで、それぞれの地域の実情に合わせて変えるべきだという意見に対して、○を付けたものと理解していただいて構わない、また他県と合わせるということではないが、いったん出したものを出し直すということについては、また18項目全部かについては検討させてほしいとJR側が返答を留保したため、次回もう1回となった。
 
 この会議は公開で行われているものの、審議が行われている県庁は現地から遠いせいか、傍聴に来ている人はごくわずか。ただし、当日の資料も含めて、ホームページで全部公開されている。少し時間差はあるけど、当日の資料と音声は比較的すぐにアップされる。議事録は11月のものがアップされている。現地視察の際のやりとりも文字化されていて、「青木川についてはこれから計画の中において明かりで行くのか、トンネルで行くのかといったことについて検討します」となっていた。中央構造線付近はトンネルと、8月5日に長野県分を加えて出された環境配慮書6-27ページに書かれていたはずだけど、こんな重要な項目についても未定ということか。ちなみに、今回は関係市町村からの意見や動植物の既存文献調査結果なども資料として出されている。

脱原発世界会議

2012年01月16日 | 脱原発
 1月14~15日の二日間にわたって横浜で開催された脱原発世界会議に、15日のみ日帰りで行ってきた。世界各国から大勢のゲストを迎え、脱原発をめぐるさまざまな視点からの会議をはじめ、写真展やポスター展、トークライブ、シアター、たくさんのもちこみ企画、ブース展示等々、本当に盛りだくさんの内容で、初日も6000人の人が訪れたそうだが、昨日も5500人の人が参加、合計11500人もの参加者で大盛況だった。特に印象的だったのは、若い人たちが大勢参加していたことで、子ども連れの人たちもいっぱいいて、子ども企画もとても賑わっていた。
 3階のメインフロアに設置されたネット中継「脱原発世界テレビ」のスタジオ。


 303号室に並ぶブースの様子。


 経産省前テント広場のブース。


 ジュゴン保護キャンペーンセンター。いろんなジュゴンのグッズがかわいい。


 こちらは3階ホール横のブース展示。


 通路には脱原発のポスター。


 交流広場に設置されていた「どこで○○やってるマップ」。参加者が「ここでこんなことをやってるよ」ということを書いたものが、日本地図にたくさん貼り付けてある。


 どの話を聴きに行こうかあれこれ目移りしてしまいながらも、一通り展示などを見て回った後、メインホールのセッションを聴きにいった。午後一のセッション「原発は止められる」では、浜岡裁判の弁護団長など長年各地の原発訴訟にかかわり、脱原発弁護団全国連絡会代表の河合弁護士が、まずパワーポイントで大きく映し出された世界の地震地図をバックに、地震大国である日本に原発をつくってはいけないということを世界の人に訴えたいとアピールされた。3・11以後、これまで裁判で訴え続けてきたことが現実になってしまい、裁判官の顔つきが変わってきたそうだ。そして、各地で原発差し止め訴訟、株主代表訴訟、さらに地元の知事や市町村の首長への働き掛け、国会議員に対する働き掛け、公開質問状、あるいはこうした集会やデモなど、みんながそれぞれできることをやっていくことが大事だとおっしゃっていた。本当にそう思う。

 私はもちこみ企画の発送電分離プロジェクトの中で、6月の一般質問で取り上げた大鹿村の電力事情について紹介してほしいと言われていたので、ごく簡単に、企業局の水力発電所があるので自然エネルギー自給率785.9%でありながらも、大雪などで全村停電が起こってしまうこと。非常時には切り替えられるようになってはいるものの、切り替えにも時間がかかる。山に囲まれた大鹿村では、村内で作られた電気が村内で使えるようになってほしいという話をさせていただいた。都市部のPPSから電気を購入する話とはまた違った視点から。
 それが終わってから、メインホールの首長会議に行ってみたら、整理券配布は終了していて、1000人入れる会場は既に満員で、通路にも人がいて入れない状態だった。同行者の中で私だけあらかじめ整理券をゲットしてあったので、様子だけのぞく。福島から南相馬の桜井町長と双葉町の井戸川町長も出席していた(写真、右のお二人)。


【追記】
 会議直後の公式発表。「原発のない世界のための横浜宣言」などが発表された。

チカラシバ

2012年01月05日 | 田舎暮らし
 お正月は1日の新年会を大鹿で過ごし、2日に上京、子どもたちがお世話になっているつれあいの実家、私の実家の双方に顔を出し、4日に帰ってきて、そのまま大鹿の100年先を育む会の新年会に出席。4日は東京を出るときは薄曇りだったけれども、岡谷を回って伊那谷に入ったぐらいから雪になる。新年会を早めに抜け出て帰宅。翌朝には4センチ程度の積雪になっていて、今シーズン初雪かき。
 写真は耕作放棄状態になってしまっているところ。年々植生が変化していて、何年か前には一面の菜の花畑になったかと思うと、それもほとんどなくなって、今はチカラシバがどんどん増えている。この草は硬いので、鹿が食べないせいで増えるみたいだ。ちょっとやそっとで引っこ抜けないほど根がしっかり張っているので、この草やススキだらけになると、再び農地に戻すのはとても大変になってしまう。と思いつつも、今年もたくさん種を落とすままにしてしまった。白くなっているのは穂の部分。つれあいが今の仕事を引退するまでは、この場所を活用することは考えられない。それまでの間にまたどう変化していくのやら。

新しい年の始まりに

2012年01月01日 | 田舎暮らし
 2011年は3月11日の東北地方太平洋沖地震、それに伴う福島の原発震災という未曾有の災害に襲われるという大変な年となりました。いまだ放射能は漏れ続け、多くの被災者が故郷にいつ帰れるかの目処も立たない被災生活を続けていることなどを思うと、とても「おめでとう」といった気分になれず、親戚に出した年賀状にも「謹賀新年」の文字を入れませんでした。でも、3・11を機に浜岡が止まり、脱原発の機運が大きく高まったことも確かです。今年は脱原発にはっきりと舵を切る年になってほしいし、これまでの経済成長優先の世の中から、もっといのち優先、人と人のつながりや助け合いが大切にされる世の中へ、脱成長、ブータンのGNHのような新たな価値観への転換の始まりだと思い直して、やはり新しい年の始まりを祝いたいと思います。国際情勢、国内情勢どれをとっても、2012年はまた大変な年になると思いますが、何としても、その先にひとすじの希望が見える年であってほしいと思います。そんなわけで、あらためて、
あけましておめでとうございます。

 昨年はまた個人的にも大転換の年でした。この大変な年に村議会議員という重責を担わせていただくことになったことに、ご支援いただいた方々への感謝とともに、とても身の引き締まる思いをしています。今後とも、いろいろな皆さんの声に耳を傾けつつ、自身の見聞を広めながら、いろいろな問題に対して取り組み、かつ情報発信もしっかりしていきたいと思っています。

 ブログとしては、議会報告的な内容や脱原発、リニアなどの話が多くなってしまって、日常的な田舎暮らしの身辺雑記的なものがなかなか書けなくなってしまっていますが、なるべく時間を割いて、「美しい村」の風景なども折々に載せていきたいと思っています。本年もどうぞよろしくお願いいたします。
(写真は今朝の中央アルプス)