「美しい村」の議員日記

南アルプス山麓・大鹿村在住。自給自足農業、在宅ワーカー、2011年春より村議会議員。

全員協議会

2012年02月21日 | 議員活動
 今日は午前中、全員協議会が行われた。
 協議事項の一つ目は、前回の議会の東村議員の一般質問の中でも取り上げられた大鹿線のバス運賃改定について。伊那大島から大鹿までのバスは、平成6年から廃止路線代替バス大鹿線として伊那バスに委託して運行してきているけれども、運賃については路線バス運行当時の運賃が引き継がれていた。近年、高齢化の進展や交通弱者の増加、CO2削減などの点で公共交通の重要性が見直され、各地で定額運賃による巡回バスやコミュニティバスが運行されるようになってきているのを受けて、村でも利用しやすい運賃体系に見直すことになったそうだ。今まで大鹿から伊那大島駅まで1000円弱かかっていたのを500円に、村内は一律100円としたい、また高校生については通学無料パスの発行を検討したいとのこと。それにより委託費は500万円ほど増えるが、高校生の無料パスにより通学補助が廃止になるので、300万円強の増で済む。そのくらい安くなると随分利用しやすくなるし、高校生のいる家庭も本当に助かる(今までは定期代1カ月25870円、村からの補助が18000円だった)。これは地域公共交通会議で決定し、この4月から実施される。
 次に、総合振興計画について、昨年の地方自治法の改正で議会の議決事項から外れたけれども、それでよいかどうか。正副議長・正副委員長の研修会のときに質疑応答の中で、「ぜひ議決事項に」と講師がおっしゃっていた。しかし、振興計画の策定委員会に議会から何人か入っているし、全員協議会の場でも十分協議ができる。本会議での議決といっても、10年前も形式的に質疑なしで可決されただけだったということで、議決不要の意見多数。
 あと、特別報酬審議会諮問についてということで、議員報酬が10%減額となっているけれど、そのままでよいかどうかという話もあった。これは本音をいえばみんな高い方がいいに決まってるけど、まあ仕方ないでしょうという意見多数。ただ報酬が安いために議員としての仕事が片手間になってしまうこと、あるいは兼業できる自営業者か年金生活者しか議員になれないなど問題はある。元村議の方から議員報酬は安くしては駄目だと強く言われたこともある。ちなみに去年新聞に出ていた議員報酬月額の最高額は東京都の103万3000円、最少額は平谷村の8万2800円。売木村が10万円。人口2000人未満の町村の平均は15万7577円。
 報告事項としては、平成24年度当初予算の概要についてということで、これは今日は本当に概要だけ。予算総額は16億4000万円で、昨年の当初予算に比べると1億6000万円の減。

ジオパーク

2012年02月19日 | 地域おこし
 今日は伊那市で行われたジオパーク交流集会に行ってきた。ここ大鹿村も、南アルプス(中央構造線エリア)として、日本ジオパークの一つに認定されている。村内には中央構造線の北川露頭、安康露頭や、鳥倉林道~塩見岳(さまざまな付加帯の岩石を観察できる)などのジオサイトがあり、解説看板も設置されている(中央構造線博物館のサイトもご覧ください)。とはいっても、南アルプスジオパークを構成する市町村(伊那市・飯田市・大鹿村・富士見町)の中で、伊那市はとても熱心だけれども、残念ながら、村の中ではジオパークの認知度がそれほど高いとは思えないところがある。あるいは、博物館に限定されたものと考えている人も多いのではないかと思う。
 今日の基調講演のお話にによれば、「ジオパーク」とは、ヨーロッパで始まった地質・地形を見所とする自然の公園で、地球と人類のかかわりを学べる「大地の公園」であること、また、地質・地形遺産を含めた自然遺産を保全するとともに、ジオツーリズムを通じて地球科学の普及と地域の振興を目指すという非常に広がりを持ったもので、審査基準の中にも、自治体、地域社会、観光協会、研究機関などが参加してボトムアップ的に設立された、しっかりした運営組織という文言が入っている(南アルプスジオパークでも、観光協会や教育委員会なども含めた関係団体による協議会が、来週24日に設立総会が開催されて正式に発足する)。
 ジオパークの関連事業の成果発表では、島原半島、糸魚川、南アルプスの三つのジオパークで行われた子どもキャンプの紹介があり、また、シンポジウムでは、磐梯山ジオパークの福島県北塩原村の小椋村長、阿蘇ジオパークの阿蘇市・佐藤市長、糸魚川ジオパークの糸魚川市・米田市長、そして南アルプスジオパークの伊那市・白鳥市長が、それぞれのジオパークの取り組みを熱心に紹介されていた。糸魚川市は世界ジオパークが発足する前から、市独自でジオパークという言葉を使っていたそうで、当時、箱物全盛の時代に、まずはソフトからということで学芸員を入れたというお話が印象的だった。
 ないものねだりではなく、地域資源を見直し生かすことで地域振興につなげること。理科離れがいわれる昨今の子どもたちに格好の自然体験教育、環境教育の場となること。もちろん子どもだけでなく、ガイド養成など、地域の人材の養成・発掘。さらには日本のジオパークの場合、火山や断層など一方で災害と結び付くものも多く、防災教育にもなること等々。あるいは、今まではばらばらに動いていたものが、ジオパークという切り口でチームプレーができるようになったというお話もあった。今、日本には既に20のジオパークがあり、今年もまた幾つか増えるらしい。東日本大震災の被災地では、環境省の三陸復興国立公園構想と共働した三陸ジオパーク構想もあるそうだ。
 さまざまな広がりを持ち得るお話を聞きながら、村でもこの「ジオパーク」という切り口をもっと積極的に位置付けて活用できればいいのにと思ってしまった。先日説明のあった第4次総合振興計画(案)の柱の中には、世界自然遺産やジオパークの文言もなくて、質問したら、「中央構造線博物館の活用」という中でやっていくとのことだったけれども、何かなあ・・・。 

※本文中、「南アルプスジオパーク」のサイトにリンクを貼ろうとしたら、「不正な書式」が含まれているとして投稿できなかったので、日本ジオパークのサイトの中の南アルプスジオパークの紹介にリンクしています。gooブログだけでの問題なのでしょうか?

雑穀料理の試食・調理体験会

2012年02月04日 | 地域おこし
 今日は楽姓クラブの人たち主催の雑穀料理の試食・調理体験会に参加してきた。楽姓クラブは10年ほど前に発足した上蔵地区の女性有志のグループで、地域の遊休農地を活用して花を植えたり、雑穀を作ったり、小学生の農業体験学習を受け入れたり、秋には「雑穀まつり」を行ったり等々、いろいろな活動を行っていて、一昨年には農水省の「豊かなむらづくり全国表彰事業」で、関東農政局長賞を受賞したりもしている。
 今回は食と地域の交流促進の補助事業の一環で、「大鹿村の雑穀で作った料理を食べながら伝統的な食べ方や現代的な食べ方を一緒に調理し学びましょう」という参加者募集のチラシを見て、うちでも以前はこきびを作ったりしていたこともあるけど、ご飯に炊き込んだり、きびもちにするくらいしか食べ方を知らなかったので、ぜひいろいろな食べ方を知りたいなと思って参加した。


 手前はたかきびのおはぎ。あんことごまのおはぎに、くるみだれがかけてある。左は炊いたこきびを入れたサラダ、汁物はこきび入り豆乳シチュー、右のお皿半分写っているのがフライビーンズ。


 こちらは炊いたこきびを使った肉巻きフライ。
 写真を撮ってないけど、さらにらゆで小豆のデザートもあった。

 伝統的な食べ方というよりは、楽姓クラブの皆さんが考案された現代的な食べ方が主だったけど、どれもとてもおいしくいただいた。雑穀料理というと、最近では「つぶつぶクッキング」が思い浮かぶけど、本当にいろんな食べ方の工夫の余地のある食べ物だと思う。ふりだし塾の人たちは、たかきびを使ってジャージャー麺風にしたのを、フリマのときによく売っている。それもひき肉みたいな食感で、かつヘルシーで、とてもおいしい。
 食後には雑穀についての講演もあり、雑穀の雑には多様性という意味もあると言われて、そのとおりだなと思った。
 参加者はIターンの人が多く、地域の人たちと一緒に料理しながら、いろいろ教わったり交流ができて、おなかも心も満たされる、とても良い集まりだった。



 本職のシェフの方も参加してくださって、ちょっとしたこつなどをいろいろ教えてくださる。



リニア環境アセス技術委員会(第4回)

2012年02月04日 | リニア新幹線
 前回の委員会で、アセスの評価項目の追加を求めたものに対し、どのような形で返答してくるか確認したくて、また県庁まで傍聴に行ってきた。その結果の新聞報道の違い。

「アセス追加項目 明記せず JR、リニア方法書に」

 これは信毎1面の見出し。さらに3面には「巨大開発 求められる責任」「リニア アセス項目明記見送り」「拘束力なし 技術委に限界」「評価項目 積極的好評を JR対応に消えぬ懸念」などの見出しが並び、亀山委員長の一問一答として「JRは意見重く受け止めて」とある。

 ところが、朝日新聞の長野(中南信)のページには、「環境アセス調査 18項目を追加へ JR 、リニア巡り」という見出しで小さい記事があるが、「委員から指摘を受けた工事用道路による地下水や景観への影響など18項目を、環境アセスに加える考えを示した」となっている。

 実際のところは信毎に詳しく書かれているとおりで、技術委ではこの方法書段階での追加が重要だとして強く求めていたのに対し、JR側は方法書はあくまでこのまま、準備書に向けて選定するが、検討の結果、影響が少ないと判断されれば、評価項目として「非選定」になる場合もあり得る。ただし、その場合は非選定になった理由は準備書に明記するという回答。「選定します」と言っておいて、「非選定の場合は」というのは分かりにくい、本当にやっていくのかという委員からの疑問に対しては、18項目すべて検討の俎上に載せるという回答。

 この18項目とは、説明会の際に配られた方法書のあらましの中にある「環境影響評価項目の選定」の表のうち、工事の実施の部分で、「資材及び機械の運搬に用いる車両の運行」における「文化財」「主要な眺望点及び景観資源並びに主要な眺望景観(景観等)」「主要な人と自然との触れ合いの活動の場(触れ合い活動の場)」、「切土工等又は既存の工作物の除去」における「低周波音」「地下水の水質及び水位」「水資源」「地形及び地質」「文化財」「景観等」「触れ合い活動の場」、「トンネルの工事」における「低周波音」「地形及び地質」、「工事ヤード及び工事用道路の設置」における「低周波音」「地下水」「水資源」「文化財」「景観等」「触れ合い活動の場」。
 文言を表の言葉どおり並べると分かりにくいけれども、例えば一番分かりやすく、特に村からも意見を挙げているものとしては工事中の景観。南アルプスのトンネルは難工事が予想されており、当然、長期間にわたって坑口の同一ヤードで工事が行われ、工事用道路を多数のダンプが行き来することになる。「美しい村」としての観光へのダメージを少しでも減らしていくために、とても重要な項目の一つ。JR側は第2回までの委員の指摘や市町村意見に対しても、「影響を与える同一の要因が永続的に存在するものではなく」として、評価項目から外していたが、前回の再度の指摘を受けて、方法書の表そのものの訂正はしないけれども、一応、評価項目として「選定します」という回答になった。こうした点は、「検討の結果、評価するほどの影響はない」と言わせないためにも、今後ともしっかり注視して情報公開を求め、影響の大きさを訴えていく必要があると思う。

【追記】

リニア計画 沿線の意見を尊重し(信毎・社説)