「美しい村」の議員日記

南アルプス山麓・大鹿村在住。自給自足農業、在宅ワーカー、2011年春より村議会議員。

不登校のこと

2005年02月28日 | 子ども・教育
 日曜日の朝日新聞に5年前に佐賀で起きたバスジャック事件で重傷を負った山口由美子さんのことが出ていた。事件を起こしたのは、不登校で高校を中退して、家に引きこもっていた当時17歳の少年だった。山口さん自身、お子さんの不登校を経験していて、自らが生死をさまよう重傷を負いながらも、「不登校で追い詰められている子ではないか」と直感したという。事件後、不登校児の親の会と、子どもたちの居場所を作ったそうだ。
「不登校になった子はみんな学校へ行かなければと思いながら、苦しんでいます。つらかったね、ありのままの自分でいいんだよ、と共感してあげる親や大人が必要だと思います」
 うちの長男も小学校高学年から中学3年までの約5年間、いわゆる不登校状態だった。最初行きしぶりだしたころは、世間の例に漏れず、わが家でも何とか行かせようと苦労したが、すぐに無理に行かせようとすることは彼を苦しめるだけだということに気づいて、彼の気持ちに添うように方針転換した。学校も周囲もそんな彼を温かく見守っていてくれたと思う。おかげで、じきに彼本来の明るさを取り戻し、今はいわゆるサポート校に通いながら自分の好きなことをやっている。
 不登校になった子は、具体的な理由ははっきりしなくても、その子なりにどうしても学校に行けない、無理に行こうとすると苦しくなる何らかの原因があるから不登校になるのだろうと思う。大阪では不登校半減を目指すそうだが、学校復帰だけを短絡的に目指した不登校対策は、かえって子どもを追い詰めることになりかねないと、わが子の体験からもつくづく思う。一人一人の子に寄り添った、広い視野に立った対策を切に望みたい。
 

大阪府「不登校半減」政策を問う緊急アピール

2005年02月25日 | 子ども・教育
先日の寝屋川の事件で逮捕された少年が不登校経験者だったことから、世間ではますます不登校への偏見が高まっているらしい。そんな中、大阪府では3年間で不登校を半減させる緊急対策事業を開始するのだそうだ。でも、不登校をしている子の事情は個々さまざまなので、画一的な施策で解決できる問題ではなく、場合によっては、かえって子どもたちを追い詰めてしまうことになりかねないと、フリースクールなど、不登校にかかわってきた人たちの中から疑問の声が上がっている。以下、アピールを転載します。
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 1月末、大阪府は「不登校を3カ年で半減させる」緊急対策事業を新年度から開始すると発表しました。私たちは、これに対し、ぜひ当事者の意見を訴えたいと、大阪府下の不登校の親の会、居場所、フリースクール、ホームスクーリング(ホームエデュケーション)ネットワークなどによる連絡会を結成しました。
 折しも、寝屋川市の小学校で殺傷事件が起き、逮捕された少年が不登校経験者だったことから、世間では不登校への偏見を含んだ扇情的なムードが強まっています。そうしたなか、不登校の子どもたち、あるいは家族への圧力が強まることにならないか、私たちは危惧しています。

●「不登校半減」の見直しを

 まず、私たちが訴えたいのは、「不登校を3カ年で半減」目標の見直しです。
 不登校をしている理由は、子どもによって、ほんとうに個々まちまちです。私たちは、長年、不登校の子どもたちと関わるなかで、子どもたちの、言葉にならない、ほんとうにさまざまの、そして深い思いに接してきました。文科省においても「不登校対策については、画一的な不登校像を安易に描いて論ずるのではなく、不登校児童生徒の将来の社会的自立を目指し、一人ひとりの状況を踏まえて、その最善の利益が何であるのかという視点に立ち、真剣に考えなければならない」と述べています(2003年4月「今後の不登校への対応の在り方について」)。府が大上段に「半減」を目標に掲げるのは、「子どもの最善の利益」を考える視点とは正反対のものだと言わざるを得ません。
 当事者の子どもたちと直接に関わる私たちは、このことに深く心を痛めています。子どもは学校に行っていてもいなくても、まったく同じように尊重されなければなりません。
 私たちは、不登校を経験した子どもたちから、「あのとき、もし学校に行き続けていたら、自分はどうなっていたかわからない」と言う声を数多く聞きます。子どもの権利条約第31条「休息の権利」、世界人権宣言第26条第3項「子どもの教育の種類の選択は親に優先権がある」にあるとおり、教育の種類は学校だけでなく幅広いものであり、その子に必要な休息を十分にとる権利も保障されているはずです。自分の意思に反して学校に行き続けることは、どの子にもあってはならないことです。
 不登校は、そのことで子ども自身の存在が否定されたり、「数を半減」されるべきものではありません。
 私たちは、「不登校半減」目標の見直しを求めます。

●地域から孤立させてしまう

 府は、緊急事業の具体策として、地域住民から選考した「不登校支援協力員」を活用して家庭訪問を行なうとしていますが、これは不登校の子どもや家庭を追いつめることになりかねません。私たちは、不登校の家庭への支援が必要という点では、認識を同じくするものです。不登校の子どもを持つ家庭は地域から孤立しやすく、支援はとても必要とされていると言えます。しかし、「半減」を目標としての地域住民の家庭訪問では、逆に、親子ともども地域から孤立させていくことになってしまいます。
 たとえば、担任でもなく、それまでの信頼関係もない地域の方が、いきなり家庭訪問したところで、子どもが心を開いて話ができるか、私たちの経験から言えば疑問です。「学校復帰」という結論ありきでは、いま現在学校に行っていない子ども自身は、自分を否定されたようにも感じることでしょう。不登校になったからといって、その家庭が地域から孤立しないことこそが、重要なことです。そのためには、「半減」目標を見直し、その子どもが不登校であることを認めたうえで、その子にとっての最善の利益を地域が支援するようにしなければなりません。
 たとえば兵庫県においては、民間フリースクールが県の委託を受けて家庭訪問事業を展開しており、不登校の子ども・家庭への支援を実現しています。私たちも、大阪府において、不登校の当事者に関わる市民と行政との連携を望みます。

●個人情報保護の問題

 緊急対策事業では、校内に設置するケース会議で「不登校児」「不登校の可能性がある児童」を把握し、個人カルテを作成するとしていますが、そこには地域住民から選考された不登校支援協力員が参加するため、生徒の個人情報が地域住民に知られることになります。その点について、府教委は「研修を行ない、守秘義務の徹底をはかる」ため問題はないとしていますが、不登校への偏見が根強いなか、地域の住民に不登校の情報が把握されるということは、個人情報保護の観点からも、大きな問題であると思われます。

●政策に当事者の声を

 「不登校を3カ年で半減させる」という目標は、昨年の府知事選の際に、太田房江知事の公約として掲げられたのですが、これは当事者の感覚ばかりではなく、学校現場の感覚からも大きく外れていると思われます。府は2002年に、不登校児童生徒への聞き取り調査を実施していますが、「何をしてほしいか」との問いに、一番多かった回答は「そっとしておいてほしい」(33%)でした(公立中学校)。
 大人たちがすべきことは、大人の側が「よかれ」と思うことを子どもに施すのではなく、子ども一人ひとりの思いや苦しみに真摯に向き合い、意志や気持ちをていねいに聞き、いっしょに考え合っていくことではないでしょうか。

 不登校に関わっては、現在、NPOや民間と行政との連携が全国的に進められています。私たちも、府と連携し、不登校の子どもたちにとって「最善の利益」となるような政策を考えていきたいと願っています。まずは、大阪府が、不登校政策について当事者と話し合っていく場を設置されることを求めます。
以上。

2005年2月22日
大阪府の不登校対策を考える市民連絡会
〒537-0025 大阪市東成区中道3-14-15
℡06-6973-5892/FAX06-6978-6626
e-mail: osaka@futoko.org

大鹿大豆

2005年02月19日 | 田舎暮らし
 昨日、大豆の加工流通研究会とやらに行ってきた。集まっていた顔ぶれは、やはり旅館や飲食店などの関係の人が多く、何か場違いな気もしたが、一応メニュー提案もしたので、会議に来るようにと言われていた。まだ、始まったばかりで、全く手探り状態だけど、どういった人をターゲットにしたらいいかといった話をしたあと、じゃ~ん、試食会となった。
 実は、今回「大鹿大豆」として商品開発しようとしているこの大豆を、私は今まで食べたことがなかった。ごく一般的な大豆のイメージで、アメリカのベジタリアンのレシピを紹介したのだけど、試食してみて、考えががらっと変わってしまった。ただシンプルに蒸しただけの大豆がすごくおいしい。以前うちで作っていたエンレイ大豆に比べて、驚くほど小粒で、味が濃く、甘みもある。蒸し大豆に山塩をちょっと付けて、食べ出したら止まらないというのは大げさにしても、豆自体が本当においしくて、下手に加工しないほうがいいんじゃないかと思ってしまった。豆乳もすごく味が濃かった。
 味噌、クッキー、ホットケーキ、おからのコロッケ風の料理、カスタードプディング、杏仁豆腐風のもの、炒った豆の表面に各種の味を付けたものなど、大鹿大豆だけではなく、他産地の物や市販の豆乳粉を用いた物などが並んでいたけど、あまり加工してしまうと、どこの大豆でも大して変わらないものになってしまう。それではちょっともったいないなと思った。
 さて、次回はどんな展開になるか。歌舞伎や桜祭りのイベントに向けて、具体的な商品になって動いていけるといいな。

山野草プロジェクト

2005年02月17日 | 田舎暮らし
 先日、村を発展させる会の設立総会が開催された。顔ぶれも人数も、昨年とあまり変わらなかったけど、新村長と議会の議長が来賓として出席していたのと、合併推進で動いていた議員のかたが見えていたので、少し広がった感じがした。具体的な分野に分かれて、いろいろな活動をしていく中で、また輪が広がっていくことを期待しよう。
 私は環境部会に入りたいという希望を出してきた。村外から来られた植物に大変詳しい方が中心となって、山野草の保護に取り組もうというプロジェクトがあったので、それに参加したいと思ったから。村に転入してきたときから、足元の山野草について知りたいと思っていたけど、思っているだけだった。そこから一歩踏み出せるのが、今から楽しみ。
 希少種などは盗掘の問題があるので、テープの仕事でも、植物の生息調査の資料なんかは取り扱い注意になっていたりすることもある。そういった支障のない範囲で、紹介していければと思っています。

県立高校の自己推薦入試

2005年02月10日 | 子ども・教育
 今日は長野県の県立高校の前期選抜(自己推薦型入試)が行われた。従来の学校推薦に代わり昨年から新たに導入された制度で、受験生が自己PR文を書いて応募し、調査書と作文と面接で合否が判断されるらしい。昨年初めてだったわけだけど、受験生が自由に応募できるといっても当然成績で振り分け指導されるし、高校側も作文なんて中学側の指導でみんな似たり寄ったりだし、たった15分程度の面接で生徒の人柄が分かるわけではなし、また前期選抜で採る枠は少ないので、結果的に競争率が高く、多くの子が不合格のショックを味わうなど、総じて不評だったような気がするけど、今年も同じシステムで行われた。うちは次男が中2なので来年だけど、すでに来年の日程も決まっているから、同じシステムなんだろうな。
 懇談会で先生から聞いた話では、例えばここらで一番の進学校に自己推薦で合格するためには、オール5が必須なのだそうだ。そんな子なら、別に試験を受けても楽に合格するように思う。いまいち、このシステムのねらいがよく分からない。学力試験だけでは分からないユニークな子を採るとかいうことではないみたいだ。本命はやっぱり後期選抜ということなら、あまり意味がない気がする。
 システムの改革は必要だとしても、それに振り回される子供たちは本当にいい迷惑だ。学力低下が言われて、ゆとり教育や総合学習、生活科などの見直しが言われているが、まだ始めたばかりなのに、これらを始めたときのポリシーは一体どうなってしまったのかと思う。確かに、総合学習は地域特性や先生の力量などで、ものすごく差が出そうな気はするが、それなりの良さはあるのに。結果的に、この何年間かの子供たちだけが、いろいろなことを習わなかったなんてことにされてしまうのかもしれない。


男女共同参画調査

2005年02月09日 | 非戦・平和・社会
 数日前の新聞に男女共同参画調査の結果として、「夫は仕事、妻は家庭」という考え方に、反対が48.9%、賛成が45.2%と、初めて反対が賛成を上回ったとの記事が出ていた。これからの少子高齢化社会を考えれば、好むと好まざるとにかかわらず、女性と外国人の労働力には頼らざるを得ないだろう。それなら、女性が結婚・出産後も安心して子育ても仕事もできるような環境作りに力を入れることが、少子化対策にもつながるはずだと思うし、実際、意識も変化しつつあるが、現実はまだまだ落差があって、家事分担もほとんど妻というところは変わらない。「夫は仕事、妻は家庭も仕事も」というところだろうか。
http://www8.cao.go.jp/survey/h16/h16-danjo/index.html
 今を去ること?十年くらい前、某国立大学の受験会場で、クラスメートの男子に、「結婚や出産で仕事を辞めるかもしれないような女性が国立大学に行くのは、税金の無駄遣いだ」と言われたことが忘れられない。均等法のはるか前の話で、私が「仕事を続けたいと思っても、状況によって続けられないことだってあるかもしれない」と言ったら返ってきた言葉だ。彼も今となっては意識は少しは変わっただろうか。

元音声のない要約作業

2005年02月07日 | テープ起こし
 先日久しぶりに要約の仕事をした。それも、テープはなく、ほかの方が起こされたものを半分くらいに縮める作業だった。テープを起こして、それを要約する作業は経験があるが、起こされた原稿だけというのは初めて。原稿そのものは内容を把握している人が起こされたと思われ、専門的な言葉や固有名詞などもきちんと入っているものだったのだけど、それでも幾つか疑問に思える箇所があって、元のテープがあれば確認できるのにと思った。
 半分くらいにする作業というのは、単に冗長な部分をすっきりさせたりする程度では無理で、かなり枝葉の部分を刈り込んでいかなくてはいけないので、どこを落とすか悩んでしまう。自分がある程度精通している分野の話であれば、その判断もできるが、不案内な分野だと本当に悩む。内容をきちんと把握しないと、できる作業ではない。結局かなり夜更かしをするはめになってしまった。

寒波

2005年02月02日 | 田舎暮らし
 このところ連日、本当に寒い。日本海側は大雪で列車が脱線したり、中越地震の被災地も大変な状況だろう。ここは長野県の山の中とはいえ、どちらかといえば太平洋側なので、雪自体は大したことなく、またさらさらの粉雪で除雪も楽だが、とにかく寒い。どのくらいかというと、大体マイナス10度台。北海道の内陸の人から見れば笑われそうだが、北海道は住宅も二重窓など寒冷地仕様になっている。これが信州になると、今でこそ断熱材もしっかり入って、うちも窓には二重ガラスが入っているが、昔は「夏をむねとすべし」だから、こちらに越してきた当初に借りて住んでいた家は本当に寒かった。家の中のものが何でも凍るので(野菜類はもちろん、卵やサラダ油まで)、凍るのを防ぐために冷蔵庫に入れたりした。若かったので、ほとんど我慢大会みたいな世界で過ごしていたが、もう無理だろうな。
 明後日は立春だが、そのころには寒波も緩んでくるだろうか。