「美しい村」の議員日記

南アルプス山麓・大鹿村在住。自給自足農業、在宅ワーカー、2011年春より村議会議員。

飯舘村の酪農家・長谷川健一さん講演会

2012年05月27日 | 脱原発
 昨日は、伊那市で開催された、福島県飯舘村の酪農家、長谷川健一さんの講演会を聞きに行った。昨年夏、お隣の中川村で飯舘村の皆さんをお祭りに招き、報告会には大鹿村・議会も共催の形で参加した。同じ「日本で最も美しい村」連合の一員であり、また、平成の大合併のときに住民投票で自立を選択し、独自の「までい」の村づくりを進めてきたところが、原発事故により本当に理不尽な状況に置かれていることに心を痛めてきた。ネット等で見ていると、いろいろ気掛かりな情報も目にし、昨年12月に長野で行われた長谷川さんの講演をまとめた冊子も読み、ぜひ生の声をお聞きしたいと思って出かけた。
 長谷川さんは飯舘村の中では原発から遠い前田という行政区の区長さんをされている。原発事故直後の早い段階から、京大の今中さんや外部のジャーナリストの人たちから飯舘村の空間線量がとんでもなく高いという情報を得ていたが、村はそうしたデータを公表してくれるなという姿勢で、逆にこの高い放射能を浴びながら暮らすすべはないのかと聞いたそうだ。御用学者がどんどん入ってきて、安全だ、マスクも要らないといった話をしていったが、そうした話の翌日に計画的避難区域に指定されることになった。人は避難することになったけれども、牛には移動制限がかかっていた。酪農組合の理事をしていた長谷川さんは、酪農家をみんな集めて話し合い、苦渋の決断で廃業を決めたり、20km圏内で餓死する牛の映像を見て、何とか牛を殺させないためにと国会議員にも働き掛けるなどして奔走されたことなど、本当に生々しいお話をたくさんお聞きした。
 飯舘村の話を聞くとき、さまざまな理不尽な話に憤りを感じるとともに、もう一つ思うのは首長の判断という問題だ。菅野村長の進めてきた「までい」の村づくりの話は本当に学ぶところが多く、去年の報告会の後も、励ますつもりが逆にこちらが励まされたという感想を聞いた。その方が、去年の原発震災以来、高い線量が検出されたことを口どめさせたり、国と一緒になって「除染」まっしぐらで、村民の声に耳を傾けようとしないという話を聞くと、一体どうして?と思ってしまう。本当に情熱を込めて独自の村づくりを進めてこられただけに、村がばらばらになってしまうことを何とか避けたいという思いも人一倍強いのだとは思うが。同じ酪農家出身の村長として応援してきたという長谷川さんは、村長の気持ちも分かるとおっしゃりつつ、しかし、「思い」だけでは駄目だ、「現実」を見なくてはとおっしゃる。
 実際、除染は自衛隊や大成建設などによってさまざま進められているけれども、あまり効果は上がっていないという。新聞等で発表される飯舘村の空間線量は0.9μSV程度。それは「いちばん館」という場所に国が設置した計測器の測定結果で、そこは徹底的に除染が行われたそうだ。しかし、そこから10メートル離れると、2.4μSVになったりするという。昨日、資料として配られた村内各地の空間線量を見ると、例えば前田字古今朝地内で、地上1mの値が2月16日2.96μSV、2月23日は3.42μSVに上がっている。さらに、最新の「広報いいたて」を見ると、5月10日で4.61μSVになっている。
 最近、飯舘村がまとめた避難指示区域の再編案によれば、帰還困難区域(年間被曝線量50mSV超)は長泥行政区だけになっているけれども、その長泥地区では5月10日9.35μSV。村の案では帰還困難区域とされていないけれども、指定を求めているという蕨平行政区も8.39μSVと高い。
 除染が思うようにできなかった、やはり帰ることは難しいとなったときのために、飯舘村を離れるという選択肢も考えて、今から移住先を探しておかなくてはいけないのではないかということは、誰もが感じるところだと思う。
 村民アンケートを取るべきだと何度も言い、そのたびに「取ります」と返答するけど、いつまでたっても取らないというお話があったが、先ほどの「広報いいたて」を見ると、「飯舘村民の避難生活実態及び帰村意向等に関するアンケート調査への協力のお願い」とあって、ようやくアンケートが発送されたようだ。
 講演の後の質疑応答では、「長谷川さんが村長になってはどうか」という質問も出たが、長谷川さんは今の村長にちゃんと村民の声を聞いてもらうようになってほしい、責任を取ってもらわなくてはと言って否定された。今秋には村長改選があるそうで、移住派と移住反対派に分かれてしまうと、また村ががたがたになってしまう、それは避けたいとおっしゃっていたのが印象に残った。
 
 

大西山・植物観察会

2012年05月19日 | 田舎暮らし

 今日は伊那谷自然友の会と大鹿の100年先を育む会共催の自然探索いきものツアー「大西山登山・植物観察会」が行われた。天候に恵まれ、すがすがしい新緑の中、とても心地よい山歩きを楽しみながら、いろいろな植物の観察もできた。大西山の山頂は、写真の崩壊地の上ではなく、左の方のピークになる。林床は鹿に食べられてしまっていて、あまり草はなく、主に樹木を見て歩いた。イヌブナやシナノキの実生の芽生えがたくさんあって、かわいらしい。キビタキやオオルリ、ヒガラ、サンショウクイなどの鳥の声も。

 大西山の登山道は展望はあまりないと聞いていたけど、標高の高いところはまだ芽吹きの状態で、木々の間からも結構南アルプスの姿が楽しめた。


 山頂の手前には展望の利く場所があって、南アルプスの北岳から赤石岳までがずらっと見渡せる。


 山頂は展望はない。1741メートル。ここは大鹿小学校の高学年が遠足で登っているところで、子どもたちの登頂を示すプレートが2枚ほど残っていた。


 帰路、登山道を外れて、カツラの大木を見にいく。急斜面を滑りそうになりながら下りていくと、大きな木が何本もあったが、この木が一番立派だった。大きくて全体が収まらない。




 植物を見ては「これ何?」と立ち止まりながらの道中だったので、標準的なコースタイムよりだいぶゆっくりで、朝9時から歩き始めて、車に下りてきたのは6時近かったと思う。とても充実した一日だった。参加者の中には大鹿保育園の年長さんの子もいたけど、とても元気に歩いていて、みんなに感心されていた。

新緑

2012年05月14日 | 田舎暮らし
 ブログを始めて、時々村の景色の写真を撮るようになって8年目。だんだん、もっときれいな写真が撮りたい、もっと高倍率のカメラが欲しいと欲が高じてデジカメを買い替えてきた。それでも、一眼レフは大きくて手軽に持ち歩けないし、金額的にも高額だしということで、ずっとコンデジを愛用してきた。しかし、ミラーレスの登場で、やはり一眼が欲しいという気持ちがふつふつと高まってきて、先日ついに買ってしまった。ミラーレスの比較サイトであれこれ検討した結果、画質も携帯性もそこそこ、かつボディ内手ぶれ補正ありというところで、カメラ女子専用の感もあってやや気恥ずかしいけど、PEN miniに。最初は取りあえずオートで撮っていたけど、少しずつ使い方を研究中。
 うちの周囲の芽吹きから新緑の変化を撮ってみた。

5月4日


5月5日


5月11日


5月16日


 パソコンの画面で見ると画質の違いは歴然としているけど、ブログ用にサイズを縮小するとあまり代わり映えしないかも。


臨時議会

2012年05月10日 | 議員活動
 昨日は臨時議会が開催された。3月定例会の直前から病気療養中だった松下議長から、療養がやや長引くことから議長職についての辞職願いが出されたため、(議長の辞職は、議会の許可を得なければならないので、まずは辞職の許可を起立採決した後)、議長選挙が行われた。まず全員協議会の中で副議長の熊谷議員が推薦され、他に立候補、推薦はなく、投票を経ずに熊谷議員が議長に選任された。次に、副議長が議長となったため、空席となった副議長の選挙が行われる。こちらは総務社教常任委員会の矢沢委員長が立候補し、他に立候補、推薦はなかったため、やはり投票なしで矢沢議員が選任される。次に総務社教常任委員会の中で委員長、副委員長が互選され、副委員長だった伊東議員が委員長に、東村議員が副委員長となる。何しろ議員は8人しかいないので、ほとんど自動的に人選が決まった感じで、みんなが何かしらの役職に就くことになる。今年は下伊那北部ブロック町村議会の当番村になっているので、研修会等が大鹿村で開催される。少人数だけれども、新体制でしっかり力を合わせてやっていかなくては。そして、前議長が早期に回復されることをお祈りします。
 臨時議会ではその他、専決事項の報告案件が9件あった。報告第1号は地方税法の改正などに伴い、大鹿村税条例の一部を改正するもので、一つは村民税の税率の特例等として、平成26年~35年までの各年度分の個人の村民税に限り、均等割の税率は、現行の税額に500円加算した額になる。これは県民税も500円加算されるので、合計で1000円加算されることになる。また、村たばこ税の税率が上がるが、これは県たばこ税が同額下がるので、たばこ税の総額自体は変わらない。その他、震災関連の特例の拡充等。第2号は国民健康保険税条例の一部改正で震災関連の特例に関するもの。第3号~第8号は一般会計、特別会計の補正予算の専決処分に関するもので、事業実績等、額の確定によるもので、特に質疑もなく承認。第9号は物損事故の損害賠償。
 

原発ゼロ

2012年05月05日 | 脱原発
 こどもの日の今日、50基ある日本の原発の中でただ1基稼働していた北海道の泊原発が定期点検に入り、稼働中の原発がゼロになった。
 昨年の福島第一原発の事故以来、原発の安全神話は崩壊し、脱原発は多くの人の願うところとなった。にもかかわらず、原発全停止を避けたい政府があまりに拙速に再稼働を急いだために、結果的にもたらされた「原発ゼロ」という感はあるけど、以前からずっと脱原発を願い続けてきた者として、まず素直にうれしい。もちろん、諸外国に比べれば少ないとはいえ、日本でも脱原発デモなどで意思表示をする人が格段に増えたことも大きな力になっていることだろう。これから夏に向けて「電力が足りない」という再稼働に向けてのキャンペーンはますます強まるだろうけど、みんなの知恵と工夫で夏を乗り切って、何とかこのまま原発を再稼働することなく廃炉にできればいいなと願う。
 原発は、苛酷事故の恐ろしさは去年誰の目にも明らかになったけれども、今すぐすべての原発を廃炉にしたとしても、既に生み出されてしまっている膨大な廃棄物の処理のめども立っていない。フィンランドでは地下に最終処分場を建設中だけれども、地震列島である日本に何万年も安全な場所はあり得ない。ウラン採掘から最終処分に至るまで、労働者や施設周辺の人々、未来世代に犠牲を押し付けることによって成り立つものだ。電気が足りるかどうかという問題ではなく、原発に依存しない社会にしていくしかない。自然エネルギーの活用だけでなく、オール電化に象徴されるような、電気でなくてもできることまで何もかも電気に頼る生活を見直すだけでも、電力需要は相当減らせるのではないかと思う。
 ちなみに、わが家で3年ほど前に屋根に載せた太陽光発電パネル、直近の3月12日~4月10日までの売電量は349kWhで、使用量は167kWh。これまでに13664kWh発電してくれている。

未来を築く人たちへ こどもの日に考える(中日新聞・東京新聞社説)

声明:わたしたちがエネルギーを選ぶ新しい時代へ(原子力資料情報室)

5月5日、「全原発運転停止」から「脱原発依存」に方向転換を(保坂展人世田谷区長のブログ)

 今夜は月が地球に接近して14%も大きく見える「スーパームーン」。原発の停止した日本列島を普段より30%以上も明るく照らしてくれているそうだ。