「美しい村」の議員日記

南アルプス山麓・大鹿村在住。自給自足農業、在宅ワーカー、2011年春より村議会議員。

長野県環境影響評価技術委員会

2011年11月04日 | リニア新幹線
 今日は長野県環境影響評価技術委員会の人たちによるリニアの現地調査が行われ、その後、大鹿村で方法書についての会議が開催された。会議は傍聴できると聞いていたので、聴きに行った。
 この委員会で、専門的、科学的な見地から方法書について審議して意見をまとめ、その意見に基づいて、知事がJR東海に対して意見を提出することになる。委員会は12月、1月と、3回開催され、知事意見は来年2月ごろ出されるそうだ。ちなみに、今、11月10日までの日程で、広く一般住民からの意見募集が行われているが、JR東海はそれらの意見をまとめたものを県と関係市町村に送付する。それは次のこの委員会で示されるそうで、住民の意見にも配意して審議されることになる。
 初めに事業者から事業概要と方法書の内容説明があった。といっても、一般向けの説明会で使われたナレーション付きのスライドを30分に縮めたもので、当然、方法書を十分読み込んでおられるはずの委員の方々に対する説明として、ふさわしいものなのかと疑問に思ってしまった。さらに若干の補足説明の後、質疑に入ったが、委員の先生方からは方法書の不備を問う指摘が相次いだ。
 まず、昆虫が専門の中村委員が方法書82ページの表4-2-1-64「対象事業実施区域及びその周囲で生息が確認された昆虫類」について、資料が不備だとして、長野県の環境影響評価技術指針のマニュアルにある必要な文献から挙げられていないと指摘された。これまでの環境アセスの方法書で、これほど重要な種が挙げられていないものは初めてだともおっしゃっていた。続いて、大塚委員からも、動植物についても、重要な種が挙げられていないという指摘があり、亀山委員長も、早急に方法書の段階で文献調査をしっかりすべきで、特に猛禽類については、長野県は希少な猛禽類が多いところでもあり、繁殖情報が確認された鳥類ではなく、生息情報でリストアップすべきだと、JR東海側に求めた。
 さらに、片谷委員からは、大気質の現地調査として、連続1週間×4季では明らかに足りない、通年のデータが得られるようにすべきとか、手法として、平地のモデルでは十分ではないという指摘があった。また、塩田委員からはトンネルの工法について、機械で掘るのか、発破をかけるのか、ダイナマイトを使うなら、その影響も含めて評価すべきということや、土砂の運搬に関する質問などがあった。鈴木委員からは、水についてあまり記載がないということで、地下水や水資源、特に温泉など、水量をきちんと現地調査すべきだといった指摘。富樫委員からは、地形地質に関しての評価項目の選定で、工事の実施段階で「工事施工ヤード及び工事用道路の設置」以外の項目は考慮しないことになっているので、評価項目に加えるべきということ、図面集において、表層地質図など図面の半分近くが空白になっており、資料収集不足であること、猿庫の泉を回避するのに集水域を回避するのではないとしたら、それで回避したと言えるのか、実際のルートの線形はいつ決まるのか、それがないと影響をきちんと評価できないといった3点の指摘があった。植物が専門の佐藤委員からは、ここは日本を代表する植物帯であり、山梨県、長野県、岐阜県、生き物は全部違うので、同じ方法では守れないといった指摘、花里委員からは工事による濁水などに関して質問があった。
 そこまでで予定時間を過ぎてしまい、会議は終了。次回は12月14日、長野県庁にて。

 今日の議事録は後日、長野県のホームページで公開される。議事録の公開前にも音声を公開するとのことだった。(テープ起こし屋としては、今日の会場でクリアな録音が取れたか、やや不安)
【追記】当日の会議録・資料

リニア、県環境影響評価技術委がアセス方法の不備指摘(信毎Web)

動植物リスト「不十分」 リニアアセス方法書(中日新聞)

リニア 県環境評価委が現地視察(読売)

県のアセス技術委が大鹿でリニア計画の審議(南信州)