「美しい村」の議員日記

南アルプス山麓・大鹿村在住。自給自足農業、在宅ワーカー、2011年春より村議会議員。

植物調査(今年度最終)

2012年10月27日 | 自然・環境
 今日は大鹿の100年先を育む会の植物調査、今年度最終回で、鳥倉林道奥のヤツガタケトウヒとヒメバラモミを見にいった。鳥倉林道は先日の赤石岳初冠雪のときから3回目。こんなに短期間に何度もここまで来たのは初めてで、紅葉の変化をしっかり堪能させてもらいながら、きれいな赤や黄色の正体を教えていただく。
 この道沿いに赤が目立つのはカエデの仲間がたくさんあるせいで、今日確認したものは11種類に上った。例えば下の写真は登山口の駐車場のところだけど、ここだけでハウチワカエデ、コハウチワカエデ、オオモミジ、エンコウカエデの4種類あるのだそうだ。


 これも右側と左側のカエデは種類が違う。ハウチワカエデと・・・、もう写真だけではよく分からなくなってしまったけど(^^;)、どちらも里でよく見かけるイロハモミジとは葉っぱの形が少し違う。


 きれいな黄色の一つはオノオレカンバだそうだ。
 

 これまでここを訪れたのはほとんど午後だったので、午前中は光の当たり具合で、また表情が違って見える。土曜日ということで、写真を撮りに訪れている方も何組もいらした。


 今日の屏風岩の紅葉具合はこんな感じ。


 さて、今日の目的。ヤツガタケトウヒは八ヶ岳と南アルプスにしかない希少種。針葉樹の見分けは難しくて、教わって何となく分かった気になっても、すぐあやふやになってしまって、なかなか覚えられないのだけど、球果は普通のトウヒとはっきり違った。樹形はクリスマスツリーの形。


 ヒメバラモミもやはりトウヒ属の針葉樹で、八ヶ岳と南アルプスと秩父山地にしかない希少種。


 今年は、育む会の植物調査のおかげで、随分山歩きを楽しませていただいた(肝心の植物の名前の方は、教わっても教わってもなかなか覚えられないけど)。来年も続くので、また楽しみだし、せっかくの機会なので、参加者がもう少し増えるといいなと思う。
 

紅葉の鳥倉林道

2012年10月24日 | 山の風景


 今朝はこの冬一番の冷え込みとなり、畑にも霜が降りた(既に13日にごく部分的に霜が降りているので、初霜ではない)。まだ、夏野菜が枯れてしまうほどの強い霜ではなかったけれども、次の冷え込みまでだろうか。先日初冠雪だった中央アルプスや南アルプスも再び雪化粧。快晴の青空に映える南アルプスと、一段と進んだ紅葉を見たくて、先週行ったばかりだけど、また鳥倉林道まで出かけてきた。そうしたら、先週もお見かけした松川町在住の写真家、佐藤信一さんが、またいらっしゃっていて、カラマツの黄葉が進むと、もっとすごくなるとおっしゃっていた。また行かなくては。






南アルプスリレー講座

2012年10月19日 | 自然・環境
 昨夜は富士見町で開催された第2回目の南アルプスリレー講座に行ってきた。今回は「南アルプスの動物の価値と危機」というタイトルで、信大の竹田謙一先生によるお話だった。竹田先生はシカの専門家で、大鹿のシカ対策にもご協力いただいている方なので、きっと南アルプスの高山植物に危機をもたらすシカの話が中心だろうと思って聞きに行く。
 南アルプスの生物多様性という点からいうと、いわゆる希少種で、ここにしかいない種類というのは、哺乳類では特にいないが、アズミトガリネズミとホンドオコジョが南限種になるそうだ。あと、鳥類のライチョウも南アルプスが南限。両生類ではアカイシサンショウウオが環境省の絶滅危惧1B類で、南アルプス南部にしかいない。
 特別天然記念物にもなっているライチョウについては、国の保護計画も進められているが、その生息域を脅かしているものの一つがシカの高山帯への進出。南アルプスではシカが高山のお花畑などに壊滅的な被害を与え、最近では防護柵で保護したりしている状況だけれども、ライチョウも高山植物を食べるので餌がなくなってしまう。スライドでは塩見岳の1979年のお花畑の写真と、同じ場所が2005年には花が全くなく草原になった状態、2010年には緑も失われ、裸地化しているところも目立つ状況になっている写真などを見せていただいた。この夏につれあいが塩見岳に行ったときには、同じ場所に土砂流出を防ぐための植生復元マットが敷設されていたそうだ。ダケカンバがシカの口が届く範囲はすべて葉っぱが食べ尽くされて、ブラウジングラインが形成されている写真なども見せていただいた。
 今やニホンジカの影響は、個別的な作物の食害などの農業被害から、林業被害、表土流出による土砂崩れ被害、さらには生態系改変をもたらす国民的な被害へと拡大しているという言い方をされていた。
 ニホンジカはカモシカと異なり、なわばりを持たないそうで、だから生息密度が高くなる。メスは定着傾向が強く、入笠山の牧場などもメスばかりだそうだ。一方、オスは広範囲を移動し、北沢峠にいた個体が、冬は白州まで下りて、夏はなんと塩見岳まで移動していたそうだ。
 長野県では十万頭以上生息していると推計されるシカを、5年後に3万5000頭まで減らすという管理計画を定めているが、猟師さんも高齢化し、数も減っている中で、いかにして?という問題も大きい。この管理計画を受けて、今年は大鹿村でもくくりわなを仕掛けて、シカをたくさん取っているけれども、食用に搬出できないので、穴を掘って埋めている状態で、それも心が痛むし、また別の影響も心配される。
 世界自然遺産ということでいうと、知床世界自然遺産においてもやはりエゾシカの採食圧による自然植生への影響が大きいため、エゾシカの保護管理計画が定められている。ここではエゾシカの増加要因が生態的過程か人為的なものかは判断できないとされているが、竹田先生は南アルプスにおいては人為的なものだとされた。人為的な要因でシカが増えて、生態系に甚大な影響が生じている現状に対して、人間の手で何とかしなくてはということなのだろうけれども、下手に人間が関与すれば、また別の問題を生み出すこともあるだろうし、難しい問題。最近、シカの天敵となるオオカミを導入したらどうかという話があるが、それについては竹田先生は否定的だった。よく成功例として挙げられるイエローストーンでは、すべてのオオカミに発信器を付けて管理しているそうだ。でも、日本の地形ではそれはとても無理だろうと。
 シカの話を聞いた後の帰り道、いつにも増して、たくさんのシカたちに遭遇した。

※今日は南アルプス赤石岳などが初冠雪。こちらに写真をアップしました。

備忘録

2012年10月18日 | その他
 気が付いたら2週間以上もブログを放置してしまった。サイドバーに貼ってある植林ブログパーツ「gremz」が、1週間更新しないと木がへなへなになってしまうので、以前は1週間過ぎると気になっていたのだけど、すぐに目に入らない位置に移動したら、あまり気にならなくなってしまった。もっと放置すると枯れてしまうのだろうか?

 それはともかく、twitterやfacebookの記事は消えてしまうので、とりあえず備忘録として記録しておきます。
 10月4日は産業文化祭の実行委員会があった。今年の産業祭は11月11日(日)に開催。この日は東京の「反原発100万人大占拠」行動をはじめ、各地で原発ゼロを目指すアクションが予定されているので、行けたら行きたいと思っていたけれども、実行委員の一員なので村の産業祭が優先。原発を何としても維持したい勢力の巻き返しがすごいけど、民意の多くは脱原発であることを、やはり明確に示したい。アクションに参加できる方はぜひ。
 7日は村民運動会の予定で前日に準備もしたけれども、夜に雨が降り、グラウンドコンディション不良のため中止。
 9日は議員で集まって、議会報告会の開催について話し合う。今月の全戸配布に入れてもらったとおり、来月11月4日(日)と6日(火)に議会報告会を開催することになった。今、各地の地方議会では議会改革の取り組みが進められているが、大鹿村の議会でも、議会がどんな活動をしているのか知っていただき、また村民の意見をお聞きして、議会や村政を身近に感じていただくための試みとして、とにかく一度開催してみようということになった。去年は女性議員二人だけの報告会を2回ほど開催したけれども、そうではなくて、議会全体としての報告会。今後も継続して開催できるように、ぜひ多くの人に参加していただいて有意義な場にできればと思う。
 11日は豊丘村で北部事務組合の地域活性化講演会。松本大学観光ホスピタリティ学科の佐藤博康先生より「新しい観光の形を考えよう―地域の再活性化のために―」と題して、地域活性化のテーマ、スタートは身の回りから、持続可能な観光の理念、観光産業は平和な産業であるといったお話をいただいた。ここでも、活性化のためにリニアというのは本当か、都会の人間は首をかしげるといったお話があった。質疑の中で、直接情報発信することが大事で、そのためのプラットフォーム、ポータルサイトという話があったが、大鹿村のWeb発信は本当に遅れている。
 13日は、9月30日のリニア沿線住民の交流集会を受けて、横浜で代表者会議が開かれることになっていて、飯田のリニアを考える会の方々が車を出すから大鹿からもと言われて、代表でも何でもないが、参加してきた。その日は緑の政治フォーラム・かながわ「原発再稼働してまで、リニア新幹線は必要なの?」という集会があって(川崎市議の猪股美恵さんが司会をされていた)、その後に会議が行われ、「リニア新幹線沿線住民ネットワーク(リニア沿線ネット)」として、とりあえず東京、神奈川、山梨、長野、岐阜各県の5団体により連携組織が発足することになった。長野県からは飯田・リニアを考える会が参加。愛知県と静岡県がいないので、今後加わってくれると心強い。これまでNO!リニア連絡会でも署名活動をしていたけれども、沿線で統一した署名活動を行うことになり、文案のたたき台が示された。
 15日~16日は富士吉田に住む友人が、やはりリニア問題で大鹿を見たいという人たち2人と一緒に来る。山梨県では今、リニア活用基本構想骨子(案)に係る意見交換会が開催されていて、3人は富士吉田で開催された意見交換会に行ってきたそうで、資料をお土産に持ってきてくれた。資料にはどう考えても過大としか思えないリニアの需要予測結果が示されていた。いずこも同じ。 

リニア沿線住民交流集会

2012年10月01日 | リニア新幹線
 昨日は甲府でリニア沿線住民の交流集会が開かれ、東京、神奈川、山梨、長野、岐阜の各地で活動するグループや個人が一堂に会した。台風17号の接近が予想され、朝から特急が運休するような状況だったけれども、午前中の実験線延伸工事現場見学ツアーから大勢の人が集まった。
 実験線の工事現場見学は私自身は3回目。去年の夏に行ったときは、まだ橋脚の工事をしている段階だったけれども、どんどん工事が進んできている。
 ここは上黒駒のトンネルから谷越えの地域で、既に高架橋は完成し、防音フードで覆われていた。


 視察の人が必ず行く花鳥山展望台から。手前の方は足場も外れてきている。去年初めて来たときに、民家のすぐ近くで橋脚の工事が進められているのに驚いたが、そのときはいずれ移転するのだろうと思っていた。でも、どうやらそうではないみたいだ。写真の左の方には、まさに高架橋の直下に民家が幾つも建ち並んでいるのが見える。防音フードで基準値以下の騒音になれば、それでよしとされてしまうのだろう。


 あと、境川の土捨て場にも行く予定となっていたようだが、主催者の想定以上に参加者が多く、十数台の車を連ねての見学で時間が押してしまい、花鳥山で昼食後すぐに交流集会の会場へ向かう。それでも、ぎりぎりの到着で、南アルプスの静岡側の写真なども持参したのだけれども、展示する時間的余裕がなかった。残念。会場はほぼ満席状態(参加者172名だったそうだ)。


 前半は各県の現地報告会ということで、リニア新幹線を考える東京・神奈川連絡会の天野捷一さんから始まって、神奈川、山梨、長野、岐阜、各県からの報告が続いた。大鹿からも大鹿の100年先を育む会が賛同団体となっていたけれど、昨日は育む会と伊那谷自然友の会の共催行事、小渋川上流の自然散策会があったり、また中学校の歌舞伎発表もあったりで、育む会の代表は参加できなかったので、私が簡単に報告させていただく。台風が迫っているということで、なるべく簡潔にと言われていたこともあって、また、ここに集っている人はリニアに疑問を持っていて、ある程度問題点は共有している人たちだと思ったので、大鹿固有の状況に話を絞った。(結果的に言うべきことをかなり落としてしまった。育む会のみんな、ごめんなさい)
 後半はリニア計画とどう向き合うかということで、リニア市民ネットの川村晃生先生の司会で、天野さん、中津川の野田契子さん、笛吹市議の野沢今朝幸さん、高森の松島信幸先生によるシンポジウム。

 皆さんのお話の中で個人的に特に印象に残ったのは、現在、実験線延伸工事が進められている笛吹市からの報告で、リニアは「夢の」と言われてきたけれども、工事が進んだところでは、どんどん夢から覚めてきて、疑問の声が出てきているというお話。特に問題になってきているのは、一つは湧水への影響。また、騒音防止のフードがかけられることで、想像以上に日照権の問題も大きくなっているとのこと。そして、景観の問題。また、最近いわれるようになっているのは、あれだけの構造物が立ち並ぶために、風の流れが変わり、霜害も問題になってきているとのこと。これはまだ工事が始まっていない地域の人たちに、ぜひ広く知らせていきたいことだと思った。写真のように、本当に民家の直上も通っていく。延伸工事が完成して実用仕様で走行実験が行われるようになって初めて明らかになるかもしれない問題は、来年秋の準備書には反映されない。私たちは山梨の状況を見ながら、想像力をうんと研ぎ澄まさなければならないと思う。

 パネラーのお話の後、会場にいらしている人の中から、司会者の指名で、「週刊金曜日」編集委員の本多勝一さん、『必要か、リニア新幹線』を書かれた橋山禮治郎先生、「岳人」「世界」などでリニアの記事を書かれている宗像充さん、JR東海労の渕上さんにお話ししていただき、さらに会場から飯田・下伊那地域から参加された2人の方が発言。
 松川町出身の本多勝一さんは、突然指名されて一言、「南アルプスは残された日本最大の自然であり、リニアはその日本最大の自然に対する最大の破壊計画だ」とおっしゃっていた。
 いずれにしろ、沿線だけでなく国民全体に広く問題の周知を図ることが必要で、そのためにはメディアの役割が大きいということで、メディアへの方々への期待も寄せられた。また、今後も沿線の団体で連携して統一的な全国的な運動にしていかなければいけないということで、各地域の代表委員を募って議論を進めることが確認された。最後に「リニア新幹線は要らない」甲府アピールを採択して閉会。