「美しい村」の議員日記

南アルプス山麓・大鹿村在住。自給自足農業、在宅ワーカー、2011年春より村議会議員。

リニア鉄道館+リニモ

2012年03月26日 | リニア新幹線
 つれあいに「青春18切符が2枚余っているから、どこかへ行こう」と誘われ、幾つか候補を検討の結果、去年の春オープンして、1年足らずで入館者100万人を突破した「リニア・鉄道館」を見にいって、さらに磁気浮上式のリニモにも乗ってみようということになった。つれあいは新幹線や高速道路が嫌いで、学会などで遠くへ行くときも、よほどのことがない限り、車で下の道を行くか、青春18切符を使って鈍行を乗り継いで行く。つい先日も仙台まで行くのに青春18切符を使って、2回分余ったのだそうだ。
 名古屋に行くのに、飯田線の始発に乗って、秘境駅を幾つも通り過ぎながら、4時間以上かかって豊橋へ。大鹿村は標高の低いところでようやく梅が咲き始めたくらいだけど、天龍村の伊那小沢駅ではカンザクラが咲いていた。豊橋からは東海道本線、名古屋からあおなみ線に乗って、リニア・鉄道館に着いたのは正午前。あおなみ線の車内で、一駅手前が、環境アセスまで行っていたごみ埋立処分場の計画が撤回された藤前干潟であることを知って、そこにも行ってみたいと思ったけれど、野鳥観察館は月曜休館だったので、時間的なこともあって断念。車内から見る限り、いったいどこにそんな干潟があるのかと思うようなところだったけれど、幾つかのビルの壁面に野鳥の姿が描かれていた。都市の中にわずかに残された本当に貴重な場所なのだろう。
 さて、リニア・鉄道館は名前からリニアの宣伝がメインなのかと勝手に思い込んでいたけれど、「~夢と思い出のミュージアム~」とサブタイトルが付いていて、蒸気機関車から始まって、過去の在来線や新幹線の車両の実物がいくつも展示してあった。東海道線の歴史を学べる展示もあって、子どもから中高年までそこそこ楽しめる場所になっている。春休みということもあって、平日にもかかわらず子ども連れで賑わっていて、シミュレータなどは行列ができていた。リニアの展示については、まずはリニアの実際の車両。去年、山梨に行ったときは見学センターは休みだったので、今回初めて実物を見ることができた。車内にも入れる。あと、図だけでは分かりにくいリニアの磁気で動く仕組みが、実際に模型を浮かせたりしながら学べるような展示もあった。もちろんマイナス面の展示は何もないわけだけれど、こういうものを見ると、多くの人たちはやはり鉄道の高速化の延長上に素直にリニアを位置付けて、「夢」を感じるのだろうなと思った。
 名古屋に戻って、今度は地下鉄で藤が丘まで行って、リニモに乗ってみる。愛知万博のときに建設された日本で唯一の磁気浮上式鉄道の実用路線(東京の地下鉄大江戸線などもリニアモーターだそうだが、鉄輪式)。確かに、浮上走行しているため、普通の電車に比べると静かだと思った。ただ、リニモと超電導の中央新幹線とはスピードも電磁波も全然違う。
 帰りは八草から高蔵寺に出て、中央西線、塩尻回りで伊那大島9時14分着。リニアの中間駅ができるらしい美乃坂本駅付近は、やはり田んぼが広がる用地買収が楽そうな所。
 木曽谷の風景を暗くなるまでぼんやり眺めていたら、途中から前の席に座った人たちが地域の過疎・高齢化の話をしている。いずこも同じ。

3月定例会終わる

2012年03月19日 | 議員活動
 3月定例会が今日で閉会。今回は報告1件、議案が新年度予算など25件、請願・陳情はなし。議案はすべて原案どおり可決。
 報告は林道走行中の事故の損害賠償の専決処分。
 議案1~3号は議員や特別職、一般職の給与や手当などの減額についての条例改正で、23年度にとられていた減額措置をほぼ同様に実施するもの。議案4号はCATV施設の設置及び管理に関する条例、5号は後期高齢者医療に関する条例の一部改正で、文言の修正や追加など。議案第6号は介護保険条例の一部改正で、介護保険料の引き上げ。基準額38400円を44400円に、月額にして3200円を3700円に、500円引き上げる。議案第7号は大鹿村鳥獣被害対策実施隊の設置に関する条例の制定。これは鳥獣被害防止特別措置法の交付金を受ける際の配分基準の要件の一つになるもので、実施隊を置くことで有利になるとのこと。議案第8号は村営住宅管理条例の一部改正で、公営住宅法の改正に伴うもの。入居者の資格として同居する親族があることとなっているが、高齢者、障害者、生活保護法の被保護者、配偶者暴力の被害者などは、この限りではないとするもの。あと、次の第9号の単独住宅管理条例の一部改正とともに、周知の方法にケーブルテレビとホームページを加えるもの。議案第10号~14号は一般会計、特別会計の補正予算。
 議案第15号~20号が24年度の当初予算。一般会計の予算総額は16億3000万円で、前年当初比1億7000万円の減。主な事業としては、個人的に特にうれしいインターネットの高速化事業。中部電力の光ファイバーケーブルを活用する。また、先月の全員協議会のところで書いたが、公共交通確保事業として、路線バス運賃を改定して、大鹿村~伊那大島駅・日赤病院・松川インターを500円、村内100円に。また高校通学バス無料化。ハザードマップの作成や災害弱者の把握を的確に行う防災情報システムの整備。若者定住促進に向けて、若者プチ移住ツアー開催支援。空き家の活用を促進し定住者の増加を図るため、家財片付けや空き家の改修補助、また倒壊の恐れのある空き家の取り壊し補助として350万円。子育て支援として保育料は平均20.2%の減額。農林水産物の六次産業化事業、有害鳥獣対策として獣害防止施設設置の8割補助など。林業では工作館の整備、カラマツ活用事業など。あと、図書室の検討、計画立案に200万円とってあり、いよいよ計画が具体化する。
 その他いろいろあるが、この当初予算の概要やポイント、主要事業一覧などが近くホームページ上で公開される。(追記・こちらに公開されています)
 この一般会計の当初予算案の中で、県支出金の震災等緊急雇用対応事業のうち里山市場組合へ支出される200万円について、里山市場組合へは過去3年間にわたって補助金が支出されており、また補助金を出すのはおかしいのではないかという趣旨の質問が初日の議案提出の際になされた。産業建設委員会の中でも厳しく突っ込んだ議論になったが、高齢化したブルーベリー農家の営農支援などの役割を担っており、雇用も創出しているといった説明があり、コスト削減などしっかり経営改善を図ってもらうよう、役場としてもきちんとチェック・指導していただくということで今回は委員会として可決すべきとした。今日の本会議でも委員長報告に対する質疑、また反対討論もあったが、反対2人、賛成4人で可決された。

原発震災から1年

2012年03月17日 | 脱原発
 今日は久しぶりにカレンダーに何も予定のない一日。朝から雨降りなので、家でゆっくりしている。去年のあの衝撃的な原発震災から1年たった。1年たっても、原発の状況はいまだに収束には程遠いし、原発事故さえなければもっと復興が進んでいるはずなのに、いつまでも先の見えない避難生活を強いられている大勢の人たち。そして、食品汚染やがれき処理の問題など、放射能への不安は事故による放射性物質がほとんど飛来しなかった地域にまで広がっている。原発は電力の3分の1を占めているから原発がないと電気が足りなくなると、これまでさんざん脅されていた割には、今、稼働中の原発は2基になったけれども、別にみんな普通に生活できている。先日の朝日の世論調査でも定期点検で止まっている原発の再稼働に57%の人が反対していて、特に女性は賛成15%に対して、反対が67%にもなっている。にもかかわらず、政府は何とか再稼働を図ろうとしている。
 この1年、原発がこれまでいかに安全性をないがしろにして進められてきたかということが次々に明らかになってきた。先日も、文科省の地震調査研究推進本部で、宮城県沖では貞観地震津波のような巨大津波が繰り返されてきた可能性を指摘する評価が完了していたのを、3月11日の地震の直前に事務局が電力会社と会合を持って、電力会社の要望によって表現を修正していたことが明るみに出た。もしこの評価結果が地震前に公表されていれば、原発の津波対策は間に合わないにしても、もっと高い所に逃げて助かった人もいたことだろう。今日の東京新聞では、原発事故に備えた防災重点区域の拡大を検討していた原子力安全委員会に、保安院長が直接圧力をかけていたという話が報じられていた。
 あるいは、今回の原発震災で特にひどいと思ったのは、SPEEDIで北西方向に放射能が拡散することが予測できていたにもかかわらず、知らされなかったために、かえって放射能汚染の深刻なところに逃げてしまった人たちさえいたこと。チェルノブイリのときに情報が隠されていたために被曝量を多くしてしまった経験が何も生かされなかった。本当に何のためにSPEEDIにお金をつぎ込んだのかと思う。(R-DANはそうした事態を見越して、自分たちで放射線を測定するネットワークを持とうとしたわけだけれども、残念ながら圧倒的に少数だった)。政府や原子力村、マスコミ等々への不信が膨らむばかりの1年だった。
 
 一方、各地の脱原発デモには、これまでデモなどに参加したことのない人もたくさん集まっている。世界各地と比べれば、まだまだ少ないと思うけど、東京の杉並のデモなど、子どもたちからお年寄りまで、右翼も左翼も無党派も、脱原発の一点で本当に多様な人たちが集まり、多様な形で脱原発の思いを表現していたみたいだ。長野県でも松本、長野では、市民団体が前面に出る形で、原水禁系と原水協系の人たちが一緒に参加したとか。「さようなら原発1000万人アクション」の署名はまだ目標数に達しないため、5月まで継続することになったそうだが、やはり、いろいろな立場の違いを超えて「脱原発」の一点で思いを合わせていかないと、本当に原発を止めるための大きな力にはなっていけないだろうと思う。

 村では、ちょうど3月11日に「福祉と健康の集い」で放射線の健康への影響についての講演会が行われた。講師はベラルーシへ医療支援に行かれてもいる長野県立こども病院副院長の中村先生。放射線はDNAを傷つけたり、体内の水分子に当たると活性酸素を発生させる。DNAは特に細胞分裂のため二重鎖が1本になっているときに危険が大きいので、細胞分裂が盛んな胎児や子どもは影響を受けやすい。南アルプスに遮られて放射性物質はほとんど飛来していないと思われるこの地にあっても、検査体制の粗い網をくぐり抜けて、広域流通網に乗って汚染食品が出回っている可能性はある。妊婦や子ども、授乳中のお母さんには、現在の測定体制では、安全を期すには産地で選ぶしかないので、地元産の安心なものを食べさせたい。子どもを守ることは日本や地球の未来を守ることだと強調されていた。
 今、問題になるのは主にセシウムだが、セシウムは体が必要とするものではないので、排せつされる。セシウム137の物質的半減期は30年だけれども、体内半減期は109日。放射性物質を外部から取り込まないようにするには、手洗い、うがいなど冬の感染症の予防と同じ、あるいは、野菜をよく洗い、皮をむくなど、農薬の害を減らす方法と同じといった分かりやすい説明。あと、内部被曝の影響を減らすためには、セシウムはカリウムと似た性質を持っているので、カリウムが不足していると、セシウムを取り込みやすい。あるいは、ストロンチウムはカルシウムと似ているので、カルシウム不足だとストロンチウムを取り込みやすい。カリウムを多く含む野菜や果物、食物繊維をたっぷり含むもの、カルシウムをたくさん含む物を食べるとよいというお話だった。りんご2個分のペクチンは放射性セシウムを4.5倍排泄するとも。
 農地についても、やはりカリウム不足の田んぼで汚染米が出ているというお話を紹介いただいたが、ちょうど講演会前日のETVで放映していた農業再生の話(「放射能汚染からの農業再生~福島・南相馬市~」)でも、チェルノブイリ救援中部の河田昌東さんの助言で稲への放射性物質の移行を減らす取り組みを行ってきたことが紹介されていた。その中でも、カリウム肥料をまいたり、また用水の取り入れ口にゼオライトを置いたりしていた(これは後ほどリポートとして詳しい内容が載るみたいだ)。
 夢なら覚めてほしいと思うけど、現実に3・11が起こってしまったわけで、日本に住む私たちは多かれ少なかれ放射性物質と向き合って生きていかざるを得ない状況に置かれている。そのことを、1年たった今、あらためて重い現実として受け止めつつ、決してこれ以上、処理のめどのたっていない放射性廃棄物を増やしてはいけないし、そのためにも原発をもう動かしてはならないと強く思う日々です。
 

一般質問

2012年03月09日 | 議員活動
 昨日から3月定例会が開会。議長が病気で欠席されていて、代わりに副議長が議長を務めている。昨日は村長あいさつの後、一日がかりで議案説明と質疑。二日目の今日は一般質問だった。今回の質問者は4名。毎回良い質問をされる熊谷議員が議長役のため、今回はお休み。東村議員が小渋橋近辺の整備と活用について、北島議員が高齢化に伴い大鹿の水田農業をどう支えていくか、小沢議員が空家、遊休農地の活用について。私の一般質問の通告書の内容は次のとおりです。

1.自治会担当職員の活用について
 現在、各自治会に役場の担当職員が配置されているが、どのような活動をされているか。担当職員には各自治会と行政との連携の役割が期待されていると思うが、これは自治体側からの要望に応じて動く形になっていて、現状は要望が上がってこないために、あまり活動できていない状況だと伺っている。待ちの姿勢ではなく、例えば、にこにこ集会のような自治会の集まりに担当職員も出席するなどして、地域の課題を一緒に話をする中で把握することによって、集落ぐるみのより実効的な対策を共に考えることができると思うが、いかがお考えか。

2.大鹿村のレッドデータブックについて
 このたび策定された生物多様性ながの県戦略では、県民総参加で長野県の生物多様性調査に取り組むとされ、県レッドデータブックの改訂が計画されている。そして、可能な限り地域住民の参加を得て情報収集するとされている。一方でリニアの環境アセスの現地調査も行われるこの機会に、村として、村内の自然資源を把握し、その保全に努めるためにも、また村内の自然資源に詳しい人材を育てるためにも、大鹿村のレッドデータブック作成を目指す取り組みを基本計画の施策の中に位置付けてはどうか。

3.再生可能エネルギーの研究について
 原発事故により再生可能エネルギーへの転換がいわれる中、長野県でも一村一自然エネルギー構想が打ち出されている。総合振興計画の中でも、地域再生可能エネルギー施設の研究が掲げられており、村内では小水力や木質バイオマスなどいろいろ考えられると思うが、現在のところ具体的にどのような再生可能エネルギー施設をどのような形で開発していくことをお考えになっているかお伺いしたい。

 大鹿村の議会では一人の持ち時間は20分。今まで質問事項を二つにしてきたけれども、今回三つに増やしてみた。結果的には、自分の中で一つ一つの質問について十分に練れなかったように思う。やっぱり二つまでが妥当かなと思った。

3月定例会の日程

2012年03月01日 | 議員活動
 今日は議会運営委員会が開催され、3月定例会の日程が決まった。

3月8日(木)午前10時~ 本会議開会、議案説明、質疑、審議、常任委員会付託
3月9日(金)午前9時~ 一般質問、常任委員会
3月12日(月)~16日(金) 常任委員会
3月19日(月)午後4時~ 本会議

 今回は平成24年度の一般会計、特別会計の予算についてなど議案が25件、
 報告1件、請願・陳情なし。一般質問は5名。
 私はレッドデータブックのこと、再生可能エネルギーのことなど質問する予定。