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随筆 僕の渓流釣り・クライマックス その2   文科系

2024年05月21日 00時07分17秒 | 文芸作品
 前回に引き続き、その2回目も描いてみたい。今度は渓流釣りといえるかどうか、木曽川中流の川鯉51センチの体験である。これを自慢すれば、この鯉を0・6号の糸でつり上げたこと。
 場所は、愛知県北西、尾張一宮市の北・川島町の大きな橋のすぐ西下、中州における出来事だ。この鯉の魚拓で確認してみると、時は1971年5月18日。

 0.6号の糸でシラハエの脈釣りをやっていたのだが、初めから多くあった魚信に、合わせてみたその瞬間に釣り糸が切られてばかり。
「水中で何事が起こっているのか!」
 昨日までの雨で濁った水の底で起こっていることが、皆目見当もつかないのである。そこで思い出したのが、釣り本にあったこんな記述。
「大きすぎる魚は、無理に寄せないこと。ただ竿をためて耐え忍び、向こうから上がってくるまで待て。魚の口が水面上に出てくるまで待って、魚が空気を吸えば弱ってくる。それを岸辺に引き寄せれば良い」
 とこの教えを思い出し、その通りにやったら、以降ちゃんと釣れたこと! 30~35センチほどのウグイがどんどん上がってきた。この日この場所は、雨後の増水で流れ出た餌が特に多いポイントだったのだろう。そこらへんの大きな魚が集まっている感じだった。ただ、この失敗と成功の体験があったからこそ、以下のことも可能になったのである。

 初めて見たこんな大きなウグイを20本も上げたころだったろうか、針にかかった魚が、濁った水の上方になかなか浮き上がってこない。その間中、僕は大きく曲がった竿を立てて構えたまま、大川の中州の縁をあちこちと上下移動するだけ。
「これは、今までの魚とは違う! 一体何者なんだ?」
 なんせ天下の木曽川、それも愛知・岐阜両県を結ぶ大きな橋のすぐ下の「竿立て・ウロウロ」。こんな姿はどうしても人目を呼ぶ。橋の上には人がずらり、見世物見物を決め込んでいる。その衆目注視の中の「うろうろ」、おおよそ20分、水面直下に黒っぽい身体の下半身だけがほんの一瞬翻ったのが見えた。
「これは鯉だ。よほど慎重にやらないと先ず上げられないだろう。シラハエつりとて、手網も持って来なかったし」  
 それからまたウロウロがどれだけ続いた時だったか、今度また糸が緩んできて、水面上に大きな口と一緒になったぎょろっとした目が浮き上がってきた。いい加減糸を引っ張り続けるのに、魚も疲れてきたのだ。その後やっと、竿を寄せることができたのだった。手網を持っていなかったので、最後は中州の砂の上にずるずると滑らせて引き上げたものだ。

 後でつくづくと思ったのが、このこと。この鯉を釣り上げるに至るまでのウグイ釣りの失敗・成功がなかったら、先ずこの鯉は上げられなかったろうな。なんせ、普通の鯉よりは細いとはいえ、51センチ。これを、0・6号の通し糸でつり上げたのである。
 ちなみにこの鯉、普通の鯉と違う川鯉だが、その日のうちに連れ合いの実家でおばあさんに味噌汁にしてもらった。確かに鯉そのものの味がしたもので、その美味しかったこと!


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