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書評、前置きと予告「平成金融史」と「平成経済 衰退の本質」    文科系

2019年05月01日 11時49分40秒 | 文化一般、書評・マスコミ評など
 今、2冊の本を同時進行で読んでいる。1冊は「平成金融史ーーバブル崩壊からアベノミクスまで」(西野智彦著、2019年4月25日発行、中公新書)と、「平成経済 衰退の本質」(金子勝著、同4月19日発行、岩波新書)だ。いずれも、僕のこういう動機から購入することになったもの。「アベノミクスの破綻が今後どう成り行くか?」ということ。
 例えば、西野本の「金融史」の決定的瞬間を覗いてみると、有名な安倍・日銀闘争の場面もある。白川方明総裁を中心とした日銀を、安倍政権が屈服させた結果の産物「黒田バズーカ」以降の今を築いた、その決定的瞬間のことだ。

『(2013年)1月22日、金融政策決定会合で2%の物価目標設定が決まり、このあと財務省、内閣府との連名で共同声明が発表された。声明には・・・・・1ヶ月以上の長い調整過程で白川がこんな言葉を何度か漏らしたのを、周囲が記憶している。
「この様な文書で、後世歴史の評価に堪えられるだろうか」
 2月5日夕、白川は官邸を訪れ、四月の任期満了を待たず、副総裁の任期が切れる3月19日に繰り上げて辞職する、と安倍に伝えた』

 さて、この時日銀を押し切ってまで強引に決まった「2%」方針が一向に成果を上げられないままの2018年、政権内部ではどんな問題整理論議をしているのか。その下りがまた、非常に面白い。
『「黒田さん、達成時期が何度も先送りされるというのはどうですかね」
 「達成時期」とは2%目標の達成期限のことである。2%はアベノミクスの「御旗」であり、黒田も就任時に「2%程度を念頭において、できるだけ早期に実現する」と約束していた。だが、5年経っても達成されることはなく、既に6回先送りされてきた。
 安倍の問いかけは、実は「2%の達成時期にこだわる必要はない」というシグナルだった。』

 この2%目標こそ、2013年白川が日銀と自分の職とを賭けてまで「後世歴史の評価に堪えられるだろうか」と政権と論争した結末を悔やんでいるその焦点の文言なのである。この論争が、当時白川が述べたことの方が正しかったと安倍が認めざるを得なくなった瞬間でもあった。「黒田バズーカは敗北する」と言った通りの現状を認めたその瞬間に安倍が「期限などどうでもよい」と開き直るように、大転換したわけであった。
『実際、首相官邸ホームページの「アベノミクス3本の矢」の欄から物価に関する記述はいつしか消えていた』というのだから、日銀からこんな声が上がるのも無理はないという無責任さなのである。
『日銀幹部の1人は「政治とはこういうものなのかと驚いた」と回想する』
 そりゃそうだろうと思うばかりだ。物価目標第一を掲げて日銀を罵倒し、屈服させた政権が、そんな目標どころか物価という言葉さえどうでも良いと鮮やかに転換したのだから。開き直ったこの鮮やかさに接すれば、誰でも唖然とするだろう。

 ただし、こういう平成日本金融史を唖然として見ているばかりではとうてい済まないのは、言うまでもない。日銀(の独立性)を押さえ込んでまで作り上げた政府方針を数年実践して失敗に終わったとあらば、その後遺症が小さいはずがないのである。それがいわゆる「量的緩和、官製バブルからの出口が大変」という難問なのだ。タイ経済バブルがはじけたことに端を発するアジア通貨危機や、リーマンショックの時のような結末? これだけ無責任な政権ならば、軍事大増強(経済)の末に大破綻を来したナチスや、同じく物作りを駄目にして保護貿易を強行しながら70兆円にまで軍事費だけは膨らませているという今のアメリカの行く末と同様に、その悪循環の果てはただで済むわけはないと見ざるをえないのである。
  
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「革命輸出支援するマスコミ」の好例  文科系

2019年05月01日 10時55分52秒 | 国際政治・経済・社会問題(国連を含む)
 今朝の中日新聞のこの記事は、一体なんなんだろう。「政治工作を支援するマスコミ」とか「革命輸出を支援するマスコミ」の好例に思える。それも、アメリカ当局の発表通りに報道したことが丸分かりと言う代物だ。

 新聞の見出しはこうだ。
『ベネズエラ軍一部兵士反旗 グアイド氏 蜂起呼び掛け』
 そして、この見出しの記事内容を示す表現はとよく読むと、肝心な箇所はこうだ。

『グアイド国会議長は30日、ツイッターにベネズエラ軍の兵士とみられる集団を従えた動画を載せた』

『グアイド氏は「軍は正しい決断をした。国民側についた」と主張。・・・・軍兵士らを伴ったクーデターの可能性もあるが、どこまで広がるかは不明だ』

 さて、
『ベネズエラ軍の兵士とみられる集団を従えた動画』?
「兵士とみられる集団」画像って、本当に軍の兵士だったのか否か? それも、グアイドが従えたのは70人ばかりと書いてあるが、これでもって『軍が国民側についた』?? 
 だからこそ、記事は、こう書かねばならなかった。
『軍兵士らを伴ったクーデターの可能性もあるが、どこまで広がるかは不明だ』

 さて、これでもってこんな見出しが付けられているのである。
『ベネズエラ軍一部兵士反旗 グアイド氏 蜂起呼び掛け』
 グアイドが「軍の兵士」と語っただけの70人の武装部隊をその通りに事実と述べ、今にも大きく広がっていくような書き方をしている。事実がこれだけのことならば、アメリカが一部亡命将軍らを使って、従来から述べさせてきたことに過ぎないのである。

 
 どうだろう。「針小棒大」とか「大山鳴動して鼠一匹」とかに当たる書き方ではないか。さらには、その幻かも知れぬ針が大きな棒に膨らんだように、あるいは幻想のネズミ一匹を大山のように描くやり方。とあっては、いわゆる煽動、それも今世界で流行させてきた「革命輸出煽動」というものだ。シリアなどでもやってきて失敗したのと全く同じやり口である。だからこそ、この記事中には、アメリカ側のこんな煽動、否「善導」も入っている。
『グアイド氏を支持する米国のボルトン大統領補佐官はツイッターで「ベネズエラ軍は憲法と国民を守らなければならない。民主主義の侵害にあらがい国会を支えるべきだ」と呼び掛けた』

 要するにこの記事は、『ニューヨーク=赤川肇』と冒頭記名があるように、真実を何も確かめることなく、アメリカ側の発表のままを、寝て書いたような原稿なのである。何の実証もなく『ベネズエラ軍一部兵士反旗』と言う幻かもしれないものを読者に伝えるような革命の輸出(支援)と言う他はない。
コメント (12)
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