原左都子エッセイ集

時事等の社会問題から何気ない日常の出来事まで幅広くテーマを取り上げ、自己のオピニオンを綴り公開します。

認知症高齢者達が繰り広げる“割れガラス同士”の交友関係

2019年07月05日 | 人間関係
 (写真は、昨日高齢者施設に暮らす義母訪問及び病院付き添い後に、いつも恒例の“一人酒”を嗜んだ場面の一風景。)


 持って生まれたDNA資質に後押しされた“真性飲兵衛”でアルコール度が高い酒しか飲まない私にして、何故昨夜ビールなどを注文したのかと言えば、それには辛い訳があった…。

 実は、昨日朝からかなり激しい下痢に苛まれていた。 朝から下痢症状が出る事が日頃からあるにはあるのだが、大抵は午前9時頃には収まっている。
 ところが、昨日は午後を過ぎても下痢症状が続いた。 昼飯は“おかゆ”にするがいいか?と亭主に問うと、それを喜んで食べると言う。 (普通のご家庭のご亭主の場合、こういう場合「お腹でも壊しているのか?」と聞くものだろうが…  我が家に限ってそういう“儀式”は無い事を重々承知しているため、私側も説明責任が免除されて良しとしている。

 亭主が私の3倍量のおかゆを平らげた後。
 何だかふらつくが正露丸を飲んだら何とか下痢症状が収まった事に安堵して、義母が住む高齢者施設へ私一人で向かった。
 (冒頭写真の恵比寿ビールの話題の続きは、本エッセイの最終章にて述べます。)


 話題を表題に戻そう。

 本エッセイ集2019.07.01公開の「友達がいないと嘆く60代女性が何とも多い事!」と題するバックナンバー内に、私は以下の記述をしている。

 朝日新聞“悩みのるつぼ”回答者であられる三輪明宏氏が紙面にて語られた回答の一部を、以下に再掲載させていただこう。

 あなたが幸せでいる時には遠くから眺めて応援してくれる。 病気の時には看病してくれ、悩み事、金の貸し借りも相談に乗ってくれ、愚痴や泣き言も受け入れてくれて、腹蔵なく欠点をさらけ出しそれを全部受け入れてくれるような「悩みのゴミ箱」みたいな人はこの世に存在しない。 それを求めるから、皆が迷惑に思い逃げて行く。
 腹心の友とは、人生に一人か二人現れれば幸運な事。 今、高齢化社会で孤独死する人が多い。その理由を友達がいないせいと考える人が多いから悩むのだ。  世の中が「絆」「絆」と言って美談を宣伝したりドラマ化しているが、実際はそれ程甘いものではない。
 趣味や何らかの集いで「心の友」を探そうとしても難しい。 向こうも“人に寄りかかりたい”故だ。 こちらから寄りかかっていくと相手は離れる。 相手にすべてを受け入れてくれる“鉄の扉”を要求しようが、実質両者共に“破れ障子”状態だからだ。
 相手にばかり見返りを求める人には感謝がない。
 (以上、本エッセイ集バックナンバーより、一部を再掲載したもの。)


 昨日まさに高齢者施設内で、この“割れガラス”(“破れ障子”)同士のいざこざ事件に触れる機会が到来した。

 昨日は、高齢者有料介護施設に暮らす義母の“定例耳鼻科受診付添日”だった。
 必ずや義母のケアマネージャー氏より義母の日頃の暮らしぶりに関する報告があるため、約束時間より早めに施設へ到着すると。
 “待ってました!”とばかりに、ケアマネ氏が私に近づいて来る。 そして開口一番義母の保証人である私に告げるには。
 「お義母様が、施設内で交友関係トラブルを起こし、ここ数日間ケアマネの私は大迷惑しています!」(話を分かりやすくするために少しデフォルメさせて頂いたが、決してそのような表現はされない優秀なケアマネ氏であられる事は私も十分評価申し上げている。 要するに、今回義母が施設内で起こした“交友トラブル”がケアマネ氏にとり筆舌に尽くし難い程の迷惑度だった事実に私はすぐに想像が付いた。)

 ケアマネ氏のご報告を私なりの解釈にて説明すると。
 施設での3度の食事は時間こそは定めているものの、当然のことながら入居者の自由行動を尊重して下さっている。 それでも友達同士で食事をしたい入居者の立場も尊重し、その席を配慮して頂いてもいる。
 その“友達同士の席順”に関し義母がケアマネ氏に不満を訴えたとのトラブルだ。 
 この事件の結論から書くと、そもそも主体性無き義母が施設内にて単独行動が苦手な事実に話が遡る。
 “飯ぐらい一人で食えよ!”と20代半ば以降よりずっと叫びたい私にとっては実に“くだらな過ぎる”トラブルなのだが…。 
 それでも誠心誠意ケアマネ氏が義母の訴えに寄り添って下さったことに感謝申し上げ、お詫びするしか無いだろう。

 それを私に告げて下さった後ケアマネ氏が義母の部屋を去った後にも、義母は私相手に戯言を繰り返す。
 「この施設ねえ。最初入居する時には“普通の高齢者”(要するに義母は“認知症状が無い高齢者”との意味で言っているのだろうが)が入居していると聞いていたのよ。 ところが実際入居してみると、私以外は“頭がおかしい人”ばかりなのよ。 何でこんな施設へ入っちゃったのかしら。 こんな事ならば自分の家で暮らしたかったわ。」 

 この義母の発言は、義母に会う都度聞かされている。
 その時々の義母の心理状態を読みつつ返答しているのだが。
 本音を言うと、(施設内で同様の交友トラブルを多発し、ケアマネ氏に迷惑をかけ続けている義母の貴方こそが一番認知症状が重いように私は思いますよ!)なのだが、まさか義母にとっては他人の身としてそれを義母に直言する程の非常識者でも無い。
 今回の場合、ケアマネ氏よりのトラブル報告直後でもあったため、義母の心情を思いやり、とにかく耳鼻科へ急ぎましょう! と話題をずらした。

 
 ここで、高齢者施設に於ける入居者達の交友関係の実態を想像しまとめるならば。
 
 まさに“割れガラス”同士の交友関係なのだろう。 こちらも認知症ならばあちらも同様…
 ただおそらくそんな入居者内で交友関係を築ける同士とは、要するに高齢域に達して尚致命傷的な疾患には無縁で、今後まだまだこの世に生き伸びられる“幸運な人材”なのだろうと想像する。

 車椅子生活を余儀なくされたり、はたまた“寝たきり”状態の高齢者にとっては、“交友関係”などまさに死語と化す事でもあろう。

 そう考察してくるに、義母自らが置かれている高齢との立場にして、未だ“交友関係”がある事自体に感謝すらしつつ日々を暮らして欲しいものだが…


 などと考察しつつ義母の施設からの帰り道、いつも恒例だが“一人酒”と相成った。

 私自身が高齢域に達した暁に、そのような思考が未だ叶う人間で是非いたいと欲しつつ。
 昨夜は朝から下痢を患った我が身を大事にせんと志し、日本酒冷酒2合と写真の恵比寿ビール一杯に抑える“勇断”を下した!
 いや、これが最高!! 元々恵比寿ビールの長年のファンだが、冷酒の締めに恵比寿ビール、これ実に粋でした!
 
 昨日は帰り道の駅近で我が好みのファッションショップへ立ち寄り、衣類とバッグを購入した。
 さすが酒の量が少ないとその選択能力が冴えていたようで、今見てもベストセレクトだ!!

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