50代半ばの飲食店のマスターは、奥さんと離婚してから、賃貸マンションで一人暮らしをしています。胃がんから多臓器不全を発症し、週3日の人工透析と週1日の抗がん剤治療を続けています。
自らの体調から考えて、いつ死んでもおかしくないと考えています。でも、孤独死は何とか避けたいと思っています。「死んでから、何週間もたって発見されたら、遺体は腐敗していますし、腐臭もひどいことでしょう。大家さんにも多大な迷惑をかけます。そんな事態は、なんとしても避けたい」と強調します。
そこで、ゆるいつながりの友人、「ゆる友」のネットワークをつくることにしました。マンションには、50~60代で一人暮らしの男性が3人おります。ゴミ出しで会った時などに、それとなく孤独死の話をしますと、どの男性も「私はそれが一番の悩み」と打ち明けました。
4人が集まって話し合った結果、それぞれが2日に1回、決められた時間に相手の無事を確認する電話をすることになりました。男性でいえば、3人のうち、1人ずつ2日に1回、確認の連絡をするというわけです。
そうなれば、もし自宅で亡くなったら、2日後にはゆる友の電話があり、異変が見つかるはずです。「死亡した翌日に発見されれば、関係のみなさんに大きな迷惑をかけなくて済むのでは」と男性は言います。
もし、飲食店でもしものことがあれば、私をはじめお客さんが見つけるので、「安心して」と伝えました。