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きょうは映画のお話です。
映画鑑賞の後 トークショー 左から 松本紀彦さん 雫境監督 通訳さん
南米のコロンビアからアルゼンチンの南端ウシュアイアまで総移動距離1万km。
耳の聞こえない松本紀彦さんが、バックパッカーとして手話を操り旅をするドキュメンタリー。
コロンビアやアマゾンの聾者とも、(手話も国によって違うのに)手話を駆使して意志を通じ合わせる姿は、圧巻。
まるで耳が聞こえず手話で話したほうが、耳が聞こえ言葉を話す我々よりも万能に近いのではないか、と思えるようになってくる。
それにしても、高山に登り、長距離バスを使い、川を遡り、厳しい自然を克服する松本氏のタフさにびっくりしてしまう。
映画自体はほとんど音が流れないで進行するが、それが松本さんの世界なのだ。
自分も南米をひとり旅したことがあったが、松本さんの方が何倍もすごい旅をしている。
「知らない言語を母語とする現地の人と関わると、コミュニケーションに支障を来しますが、手話でのコミュニケーションになると障壁がグンと低くなるのです。〈言葉以外のメッセージ〉を通じて相手や周りの人々に伝わっていきます。そこに“耳が聞こえない”なりの旅の楽しみ方があると思います。僕がこの旅で感じた〈音〉を、たくさんの人に感じてもらいたいです。そして南米で出会った“友”と、出会えなかった多くの人々にもこの映画を見ていただきたいです」(松本紀彦)
映画のあとに、松本紀彦さん本人と 監督の雫境さんのトークショーがあったのだが、その時も驚いた。
というのも 観客の半分がじつは聾者だったのだ。
みんな 耳の聞こえない仲間の映画ということで、各地からわざわざ渋谷に見に来たのだろう。
通訳さんが質問を呼びかけると、さっと手が上がる。
聾の人なので、質問も手話だ。それを通訳が同じ手話をしながら、同時に音声で日本語に直す。
観客はみんな同じ方向、つまりステージを向いているから、手話による質問が見えない。
だから、耳の聞こえない人には通訳が手話で質問を再現して知らせ、同時に健常者には声で通訳しているのだ。
そのやりとりがすごく新鮮で、感動してしまった。
最後に、松本さんと雫境監督に拍手を送るとき、我々は拍手をしたが、ろう者の人はみんな手を上にかざしてきらきらぼしのようにひらひらさせていた。
これが視覚による拍手なんだとわかった。
聾者のボクの南米見聞録 https://www.youtube.com/watch?v=Y1k-NPJptqY
僕なんかこの人に比べたら足元にも及ばない・・・。
なお、この映画渋谷のアップリンクで上映されていましたが、先週で終わりました。
上映情報はこちらを。http://eiga.com/movie/88800/