夢逢人かりそめ草紙          

定年退職後、身過ぎ世過ぎの年金生活。
過ぎし年の心の宝物、或いは日常生活のあふれる思いを
真摯に、ときには楽しく投稿

湧き水の想いで・・♪    《初出2006.7.14.》

2008-05-02 21:52:51 | 幼年・少年時代の想いで
東京の郊外の私の住む周辺には、昭和30年の頃までは湧き水が見られた。

昭和28年に父,祖父が亡くなるまでは、農家をしており、程ほど広い田畑を耕していた。
田圃(たんぼ)の一帯の脇に蓮専用の田圃があり、
その付近に湧き水があった。

湧き水の周囲は、いつも小奇麗に手入れがされており、ミソハギが植えられていた。

夏のお盆になると、仏間の仏壇は閉じられ、
位牌等が座敷の一角に、四方を竹で囲み、真新しい茣蓙(ござ)の上に移行されて、
蓮の花、淡いピンクの咲いたミソハギが飾られていた。

私は湧き水を観るのが好きだった。
春の季節であっても、冬の時節に於いても
淡々と湧き出る水を不思議そうに眺め、飽きることがなかった。


小学五年生の頃、下校の途中で廻り道をしている時、
雑木林の斜面を下り立った処に池があり、その端に湧き水があった。
この家の主人と思われる老人が池を眺めていた。
私がときたま通る時、よく見かけていた・・。

『池のある処の・・お爺さん・・いつも難しそうな顔しているなぁ・・』
と私は友達に話したりしていた。

後年、私が高校に入学し、小説を読みはじめた頃、
本の中に、このお爺さんの写真があり、
武者小路実篤、と付記されていたのには、
私は驚いていたりした。


私が結婚した後、家内と湧き水を観に旅行をしたりした。
富士山の伏流水が湧き出る三島郊外の柿田川、
或いは忍野八海の湧き水を観に行ったりした。

三島市の近くにある国道一号の脇の湧き水は、
壮大な眺めであったが、馴染めなかった。

伊豆地方の湯島に宿泊した時、湯ヶ島にある山葵(わさび)が植えられている処があり、
杉木立の斜面の外れに湧き水があった。
小さな湧き水が四箇所あり、淡々と湧き出て、小川となっていた。

私は小さな湧き水が好きであり、
私の小学低学年に観た実家の湧き水を思い出し、
心のふるさとを求めているのかしらと思ったりしている。




☆このサイトに昨年の5月に投稿した原文を大幅に加筆した☆


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