日本人の平均寿命は延びているが、
健康寿命との差は「不健康な期間」を意味するとされ、
この期間を短縮するには、運動器の障害により歩行などの移動機能の低下をきたす
状態「ロコモティブシンドローム(ロコモ)」への対策が重要だ。
横浜市スポーツ医科学センター(港北区小机町)のスポーツ版人間ドック(SPS)では、
ロコモに関する体力要素を測定し、専門家がアドバイスを行うことで、
健康寿命の延伸に取り組んでいる。
☆要介護・要支援の原因は
2022年の統計で、日本人の平均寿命は、男性81・05年、女性87・09年である。
一方、健康寿命は、男性72・57年、女性75・45年であり、
日常生活に制限のある「不健康な期間」が生じている=上図。
この期間を短縮するには、早い時期から疾病・介護予防に取り組むことが大切である。
厚生労働省の国民生活基礎調査によると、
要支援になった原因の上位にあがるのが、骨、関節、筋肉といった運動器の障害。
日本整形外科学会は、運動器の障害により歩行などの移動機能の低下をきたした状態を
「ロコモティブシンドローム(ロコモ)」として提唱している。
ロコモが進行すると、将来介護が必要になるリスクが高まる。
要支援、要介護になる原因のトップは、
転倒、骨折や関節の病気などの運動器の故障であることは、あまり知られていない。

☆ロコモ度を測定
便利な移動手段の多い現代社会では、日常生活に支障がないと思っていても、
ロコモになったり、すでに進行していたりする場合もある。
また、高血圧など生活習慣病のある人は、
比較的若い頃から、ロコモの原因となる病気にかかりやすいこともわかっている。
自身の状態は、ロコモ度を測ることで、簡単に判定することが可能。
すでにロコモの場合も、それ以上進行させないことが重要だ。

☆専門家から専門家からアドバイス
横浜市スポーツ医科学センターのスポーツ版人間ドック(SPS)では、
ロコモに関する体力要素である。
歩行速度、脚筋力、バランス能力、柔軟性、骨量、体組成などの測定を実施し、
利用者の体力年齢を測定する。
判定後は、医師、管理栄養士、スポーツ科学員などの専門スタッフが、
スポーツ医科学に基づいたアドバイスを行う。
検査内容は、血液検査・尿検査・血圧/脈拍・胸部レントゲン・安静心電図・
運動負荷心電図・骨量・内科診察・食事調査・身長/体重・体脂肪率・
全身反応時間・片脚立ちバランス・脚筋力・脚伸展パワー・長座体前屈・握力・
最大歩行速度・運動問診と多岐にわたるが、
検査・測定から結果返却まで1日で終わるのが特徴。
一人ひとりの結果に応じて、運動や食事を含む生活習慣の改善に向けた
具体的な個別アドバイスを実施する。
同センターのスポーツ科学員、吉久武志さんは
「スポーツや運動をしている人の利用も多いですが、逆にほとんど運動習慣がない人もいます。
また働く世代もコロナ以降の在宅ワークなどで出勤の機会が減り、
運動量が減っている方もいます。
身体機能の低下で将来寝たきりにならないためにも、
体力年齢を気にしてほしいですね」と話す。
同センターには、各種運動・スポーツ教室やプール、トレーニングルーム、
医師の診断に応じた運動療法を行う「メディカルエクササイズコース(MEC)」が設置されており、
結果を受けたアフターフォローも可能としている。
SPSの料金は、横浜市民は1万5000円、
65歳以上(横浜市民)の高齢者は半額の7500円になる(保険適用外)。
予約・問合せは、同センター【電話】045・477・5050へ。
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