ウィトラのつぶやき

コンサルタントのウィトラが日頃感じたことを書いていきます

政府の緊急経済対策について

2008-10-31 09:48:12 | 経済
政府が緊急経済対策をまとめ、麻生総理自らが昨日発表した。今日はこれについて書いてみたい。

私の感想は「麻生総理やるな、中身は大したことないけど」である。まず、麻生総理やるな、の部分である。

まず第一点は総理自らがこれを発表したことである。内容の巧拙は別にして総理のやるきが前面に出てきている感じがする。福田総理の時と比べて総理大臣の存在感が増していると感じるのは私だけだろうか。

2点目は財源として「埋蔵金」を使う一方で、将来の消費税増税に言及した点である。増税はいつでも不人気で、政治家として言い出すには勇気がいる。しかし、多くのコメントが将来の消費税増税は止む無し、としている点を考えて、経済対策とセットで打ち出したというのはうまいやり方である。これで野党が消費税を財源にして色々言うことがやりにくくなった。消費税財源は自民党、ということを強く印象付けた。

3点目は解散先送りである。解散先送りには賛否両論あるようだが、私は筋論としても、自民党の戦術としても正しいやり方だと思う。筋論としてやたらに解散すべきではないというのは何度か述べているので戦術論を少し述べてみる。

これは野党から見ればフラストレーションのたまるやり方である。いつ解散するか分からない、すでに選挙に向けてかなり動いているのに長引くとだらけてしまうかもしれない。マスコミはこれで国会対策がやりにくくなると報じているが、野党が、内容にかかわらず引き延ばすような理不尽な動き方をしたら、そこで「この日本が大変な時期に野党は党利党略しか考えていない。国民の信を問う」といって解散すればよい。野党としてもインド洋の給油問題とか、ガソリン暫定税率問題、日銀の人事問題のような対応は取りにくくなっていると思う。

一方、中身は大したことない、に関しては以下のようである。

最も大きな金額は一律給付であり、これに2兆円を使うことにしているが、これは2兆円使って最大で2兆円の効果しかなく、貯蓄に回ってしまえば効果は2兆円を切ってしまう。政府の対策は経済活性化の呼び水となるべきであるのに、つまらない使い方だと思う。公明党主導の政策であるが、これは今後各方面からたたかれる可能性があり、自民党と公明党の間に影響が出そうに思う。

高速道路一律1000円というのは多少ましではあるが、ETS普及以外の効果はほとんど期待できないと思う。裏で道路族が暗躍している感じがしている。

住宅ローン減税の増加は最も効果のありそうな方法だと思っている。これで住宅市場が活性化すれば波及効果は大きい。

全体として、土木、建設といった従来型、内需型の産業に対する対策が目立つが、本来は円高で苦しくなる国際競争力の強化に目玉が欲しいところである。円高を容認する一方で国際競争力強化にきちんと予算をつける、となれば首尾一貫している。例えば、機械、電機、情報通信、素材、あるいは総理の好きなコンテンツなどの産業である。

しかし、これらの分野で良いアイデアが出なかったのは総理の問題というよりは官僚の問題だろう。輸出型の産業はこれまであまり政府に頼らずやってきているので、詳しい政治家も少ない。これからの政治家ではこのような輸出産業に詳しい人材が重要であると思う