伽 草 子

<とぎそうし>
団塊の世代が綴る随感録

『ガキ使』

2020年01月10日 | エッセー

 かつて憐れにも討死を繰り返していた『コント55号の紅白歌合戦をぶっ飛ばせ! なんてことするの!?』に比べ、同じ日テレの令和初『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!大晦日年越しスペシャル!』は大将首とはいかないまでも副将首ぐらいは上げたといえよう。見事な大健闘であった。午後6時半から延々深夜0時30分まで、15%強の視聴率を取った。紅白は40%弱をうろうろ、前年から3~4ポイントダウンでまたもや最低記録を更新した。
 ダウンタウン他3名が「青春ハイスクール」を舞台に、次から次へと笑いのトラップを仕掛けられる。だが「絶対に笑ってはいけない」。笑うとスポンジ系で重みのあるケツバットが容赦なく見舞われる。トラップによっては本物のキックボクサーが蹴りを。臀部とはいえ、これには床に倒れ込み悶え回る破目に。スタッフ総数約500人、カメラ総数210台を駆使して撮ったというから、執念だか怨念だか知らぬが鬼気迫るものを感じる。ゲストは豪華で多彩、テンポよし。稿者もついつい最後まで見入ってしまった。
 なんといっても、真骨頂は繰り出されるトラップの中身だ。本稿でも○○の羅列になって、さすがに言語化いたしかねるものばかりだ。だが好きか嫌いかと問われれば、もちろん大好きである。
 それにしてもよく考える。どうすればあのような発想が湧き出(イ)ずるのか。頭が下がって尻が上がる。今回は『行列のできる法律相談所』などの人気番組を手がけるプロデューサーに担当を替えたそうだが、狙いは当たったといえる。
 「ガキの使い」とは、用事を託した相手が「子どものお使い」のように頼りない場合をいう。番組内容とは直接結びつかないが、浜田雅功の口癖をタイトルにしたらしい。「あらへんで」だから、自らの冠番組を成功させようとの意気込みを込めたものか。曲折はあったものの、「大人の使い」を果たしたといってよい。
 ところが、いまだに「ガキの使い」を繰り返している御仁がいる。某国総理のアンバイ君だ。30回近い首脳会談を重ねても一向に埒の明かない北方領土。昨年6月にはイランとの橋渡し役を買って出て訪問した直後、本邦タンカーが爆撃されるという赤っ恥。近いうちにまたぞろ中東諸国を回るという。今度は傷口に塩を塗るつもりであろうか。韓国とは「ガキのいじめ」に終始して、「お使い」どころの騒ぎではない。中国ともギクシャク、春にやっと大親分をご招待とか。拉致問題はNKとの話の糸口さえ見えない。トランプには貿易交渉で丸め込まれ、高い武器をかわされる始末に。ポチだからしょうがないとはいえ、「Win、Win」だなどといってごまかす。「ガキの使い」、「ガキの強がり」そのものだ。
 早い話が、記録的長期にわたって記録的不作の外交、「ガキの使い」を繰り返していたことになる。ケツバットの5発や6発では済まない。キックでもまだ足りない。この際、桜を見るかい?なんて言わずにとっととどいていただいて大好きな外遊をなさっては。行き先? 絶対、ベイルートがお勧めです。 □