伽 草 子

<とぎそうし>
団塊の世代が綴る随感録

善場・高市 対決

2021年09月12日 | エッセー

 今月5日の拙稿「ぶっちゃけて言えば」でこう呵した。
〈T市早苗。日本会議の大立て者にして、最古参の安倍ガールズだ。あのいかにも巫女然とした面容が怖い。安倍が推すらしい。安倍のゾンビか! あー、キモい!〉 
 案の定だ。物価上昇目標2%の達成を目指す『サナエノミクス』はアベノミクスの、「新たな日本国憲法制定に力」は安倍の悲願の忠実な継承である。安倍が女ゾンビとなってルサンチマンを晴らす。やっぱり、怖い! 
 その女ゾンビとTBS「報道特集」のキャスターを務めるフリーアナウンサー膳場貴子が対決した。正確を期すため、Yahooニュースをそのまま引用する。
〈元NHKアナウンサーで現在はTBS「報道特集」のキャスターを務める膳場貴子アナが8日、自民党総裁選に立候補した高市早苗前総務相の出馬会見に出席。厳しい質問で迫った。
 質疑応答で指名された膳場アナは「TBS報道特集の膳場です」と名乗ると、高市氏は初めてその存在に気付き「あ、膳場さんですか。こんばんは」と思わず、驚きの声を上げ、笑顔を見せた。
 膳場アナは「こんばんは」と早口で応じたあと、「政権構想では、経済的な弱者や格差の解消にほとんど言及されていないので、どういうお考えなのか是非、おうかがいしたいと思います」と質問すると見せかけ、「ちなみに、高市さんは2012年の『創生』日本の研修会で、社会保障を考える文脈でこういうことをおっしゃってます」と続けた。
 そこから「『さもしい顔をしてもらえるものはもらおうとか、弱者のフリをして、少しでも得をしようと、そんな国民ばかりいたら日本が滅びる』こういう風に発言してらっしゃいます。あの、困窮する国民をどういう目でみてらっしゃるのか、確認をさせてください。その上で、この発言について弱者への視点が欠けている不安、批判の声があるが、どう受け止めているか聞かせて下さい」と迫った。
 人気アナの戦闘モードに、最初は笑顔だった高市氏も次第に表情はこわばった。「恐らくその発言は、民主党政権の期間中に、生活保護の不正受給が非常に多かったという問題にどう取り組むか、という議論を自民党の「創生」日本の有志でしていた流れででの発言だと思う」と注釈。さらに「現在も残念ながら新型コロナウイルスで痛んでいる事業者のみなさまへの支援の不正受給があるけれど、あのころ、いろんな方法で生活保護の不正受給をするという方がいた。でもこれはみなさまの大切な税金ですので、私はこうした福祉は公正公平が原則であるべきと思っている」と話した。
 続けて、「本当に努力しても働けないときは働けない。ケガをして入院して働けなくなる方もいる。急に自分が務めていた会社がつぶれてしまって、そのあといくらハローワークに通っても仕事がない。年齢的にもなかなかしんどいとか、そういう方もいる。それから難病を抱えてらっしゃって、短い時間しか働けないという方もいる。介護や子育てをしながら働いてる方もいる。一つはベビーシッター減税や家政士を使った場合の代金を税額控除が一番いいのでしょうが、補助金、クーポンという形もある。しっかり支援をしていきたい」と政策を述べた。
 また「子供の貧困対策も重要」とし「中所得の世帯を対象に第2子3万円、第3子以降6万円の現金給付というものを確立する。高等教育の無償化も、第2子の所得要件を緩和、第3子以降は要件を撤廃をする。育児休業時の実質手取りをさらに引き上げていく」など生活困窮問題などへのさまざまな政策を並べることで、回答した。
 その上で、「私に対して非常に色がついていると見られるというご指摘だが、これが私です。私は私の信念を持って、政策を発信してまいりましたし、実行もしてきた。今のありのままの私を、みなさまがどう評価していただけるのか、あんなんじゃダメだぞと言われるのか、そのまま自然体でいていいんだよと言って下さるのか、それは分かりませんが、これまでのことも含めてこれが私でございます。わりと素直な方で、同僚議員のアドバイスにも柔軟に対応してきた方です」と情感に訴えた回答でかわした。〉(9月8日23時半配信)
 「これが私です」「自然体」は態のいい開き直りではないのか。色がついた「私」や「自然体」に疑義を呈しているのにトートロジーに誘い込む。「先ほどから何度も申し上げているように」を常套句に煙に巻く安倍流そのものだ。戦前志向勢力は女性に違和感を抱くどころか、「天照大神の再来」と持て囃すネトウヨもいると聞く。拙稿で「巫女然とした面容が怖い」と評したように、それほど彼らの琴線に触れる「巫女然」たるものがあるといえる。思考停止した脳みそには屈折した感性しか残ってはいないのだから。
 善場家は「世田谷三大地主」のひとつ。下北沢の地を開墾した一族である。父親は商社勤務で、7歳まで当時の西ドイツで過ごした。東大医学部健康科学・看護学科卒。
 高市早苗は熱心なT理教信者で裕福な両親の元で育つ。在米経験もあるが、強い戦前志向を持つ。黒い噂は数多い。神戸大学経営学部経営学科卒。
 学歴で決まるわけではないが、俚諺は氏より育ちと訓える。両方備われば文句なし。勝負は明らかであろう。 □