バークリー予防歯科の概要：５１

宝塚仁川/山田歯科エクセレンスクリニック　歯科医師・山田忠生


誰でもが自分の歯は守りたいのだという意見に対し、多くの歯科医師は異議を唱える。患者が歯を除去してほしいとオフィスを訪れてきたということを、ほとんどの歯科医師は一度ならず経験している。しかし悲劇的なことに、私たちは歯の除去と義歯の製作にあたるには十分すぎるほどの訓練は受けているのだが、患者を内省的に診断する訓練をほとんど受けていないために、このような患者の気持ちを変えることができないのだ。

歯を“抜いて”ほしいという患者は、除去するか治療するかの二者択一を迫られるのである。費用の面で、将来にわたって何度も治療が必要になってくると思うと、必ず歯の除去を選択する患者が存在する。換言すれば、歯を除去してもらう患者が多いのは、歯科医師の予防能力に疑問を抱いているからである。歯をすべて抜いてしまえば、少なくとも医療費を節約できるであろうし、欲求不満も減ると患者は考えるのである。