極東アジアの真実 Truth in Far East Asia

I am grateful that I can freely write my daily thoughts

デジタル技術と新型コロナ・ウイルス

2021-06-25 14:50:25 | 日記

以下文はPRESIDENT Online(2020年6月8日)、倉澤治雄『中国、科学技術覇権への野望-宇宙・原発・ファーウェイ』(中公新書ラクレ)、ウィキペディア等の記事を参考にした素人文です。

 

著者の倉澤治雄氏は1952年、新潟県生まれ、開成高校卒、早稲田大学理工学部建築学科中退、1977年東京大学教養学部基礎科学科卒、1979年フランス国立ボルドー大学大学院修了(物理化学専攻)、1980年日本テレビ入社。報道局に配属され科学、警察、司法、防衛を担当。その後、北京支局長、経済部長、政治部長、ネットワーク戦略部長、メディア戦略部長、メディア戦略局次長、フォアキャスト・コミュニケーションズ代表取締役社長(日本テレビから出向)を経て2009年メディア戦略局主幹に就任年2011年3月11日東日本大震災の影響による原発事故が発生したことにより解説委員兼務となり、事故発生当初からニュースの解説をつとめています。

 

中国人口14億人・・・新型コロナ・ウイルス感染者・死者数は6月23日現在、感染者91669人、死者4636人(日本、791699人、死者14618人・・・この数字には感染者数には、感染者とは何の関係もない陽性者も含まれ本当の感染者数は1/3~1/5程度かも知れません。この陽性者を含んだ感染者数が日本を可笑しな方向に進める主因であり、国外では考えられないことで、医療利権のための策であると言われる所以です。更に本当の死者数はエクモネット等を見る限り1/3未満?だと思われます。)抑えられ大きな成果を上げていると思います。この数字に否定的な意見もありますが、NHKが使用している、米国・ジョンズ・ホプキンス大学の集計でもあり信頼度は高いと思います。

何かと新型コロナ・ウイルスに対しても批判が多い中国ですが、これまで新型コロナ・ウイルス対応のため最大・最新のデジタル技術を採用し、今日、新型コロナ・ウイルスを克服、押さえ込んでいることは欧米等先進国にも大きな影響を与えていると思います。日本も、尾身会長の非科学的・論理的な心情・感情論等の意見に惑わされ、振り回され、不安を煽るようなことが無いような科学的・論理的な最新のデジタル技術が活用出来ないものか、中国から学ぶべきことはあったかも知れません。

 

コロナ封じ込めに立ち上がったIT事業者達・・・

中国の最新デジタル技術は2019年末に中国・武漢市で発生が確認された新型コロナ・ウイルスとの闘いでも威力を発揮しています。

中国国内で事態の深刻さがはっきりと認識されたのは2020年1月20日、この日武漢に派遣されていた感染症研究の第一人者鐘南山氏が、テレビでヒトからヒトへの感染が起きている可能性があると語っています。鐘南山氏は2003年のSARS(重症急性呼吸器症候群)を抑え込んだ国民的英雄と言われています。

中国政府は直ちに医療関係者の大量派遣や臨時病院の建設を決定する一方、アリババ、テンセントをはじめとする中国のITプラットフォーム事業者が感染封じ込めに立ち上がりました。

医療系ベンチャー企業の、丁香園氏は感染者数と地域分布をWeChatの公式アカウント上で可視化しました。これに政府系メディア人民日報のデータが加わったことから、瞬く間にネット上で拡散し、利用者が急増しました。丁香園氏はその後わずか数日で、医師による遠隔問診システムやデマ情報チェックサイトなどを立ち上げています。

当時、武漢を脱出した約500万人の足取りを特定、春節前々日の1月23日、1100万都市武漢の封鎖が決まると、人口の約半分が脱出しています。脱出者追跡に威力を発揮したのは監視システムの天網と雪亮です。

2月12日付の南華早報電子版は、監視システムが武漢を離れた約500万人の足取りを特定したと伝えています。2月11日、アリババの本拠地、浙江省杭州市では、支付宝健康コード(アリペイ健康コード)がリリースされています。僅か1週間で全国100都市以上に広がり、3月半ばには200以上の都市に広がっています。人民網によるとアリペイ健康コードは、いわば個人の健康状態を証明するデジタル証明書です。

ユーザーがアプリで個人情報と健康状態、移動情報を申告すると、公的機関が持つデータと照合されて、感染のリスクが緑、黄色、赤のQRコードで表示されます。緑の表示は通行可能、黄色は7日間の隔離、赤は14日間の隔離です。隔離が正常に終わると緑に変わります。都市間の移動や公共的な場所への出入り、高速道路での通行などで許可証として使われるほか、感染者が出るとたちどころに濃厚接触者が特定される仕組みです。

 

死者数をとどめた背景には、統制とデジタル技術があった・・・

医療現場ではAIを使った画像診断システムが威力を発揮しています。肺炎の診断に使われるCTは1回の撮影で数百枚の画像が生成され、医師の判定には数時間かかります。武漢の病院に持ち込まれたYITU(YITU Technology(依図科技)は中国の大手AI企業で、2012年にマサチューセッツ工科大(MIT)卒業生のLeo Zhuによって設立されています。)のAI画像診断システムはこれを数秒に短縮しています。他にもドローンによるパトロール、無人配達車による自動配送、音声認識技術を使った問診ロボットなどが投入されています。

新型コロナ・ウイルスによる感染を封じ込めるため、中央政府と地方政府は感染者情報、交通機関情報、医療リソース情報などを提供、アリババ、テンセント、百度(バイドゥ)、京東(ジンドン)、ファーウェイなどの先端企業がそれぞれのプラットフォームで情報を可視化して、二次感染、三次感染を防いでいます。

ほぼ全土に広がった都市の封鎖や交通規制によって、仕事はテレワーク、授業はオンライン、買い物はネットショップ、食事は出前、医療は遠隔診療となり、パトロールにはドローンが導入、人口14億人の中国で死者が数千人にとどまった背景には、中国共産党による有無を言わせぬ統制と共にデジタル技術の存在が大きかったようです。

中国のデジタル技術事情に詳しい倉澤治雄氏は中国は超監視社会と呼ばれるシステムを作ってきたと述べ、昨今のコロナとの戦いでは、中国は有無を言わさぬ統制+デジタル技術の存在が大きいと述べています。

世界で最も監視カメラ数が多いのは英国、ロンドンと言われ超超監視都市と言われていますが、ロンドンに設置されている街頭監視カメラの数が500~600万台と言われ、ロンドン警視庁が設置している監視カメラは6万台と言われています。これは度重なるアイルランドの過激派武装組織によるテロに悩まされてきたため、政府主導で設置が行われてきたようです。ロンドン市では監視カメラが防犯目的ではなく、犯罪発生時に容疑者を特定することを目的として設置されています。

 

今後、中国が世界一のAI等監視社会となるのは間違いないと言われています。

中国では2020年現在、1億7600万台以上の監視カメラを配備済みです。中国政府は現在、全国民14億人を1秒で特定できるAI監視システムの構築を進めていると言われています。

都市部を中心に配備されている、天網(てんもう)と農村部で村民が共同運用する、雪亮(せつりょう)です。天網は英語でスカイネットと呼ばれ、既に2020年に完成しているようです。天網とは、簡単に言えば監視カメラの映像とAIによって中国国内の人々を特定してしまうシステムで、現在1億7600万台以上の顔認証機能付き監視カメラが配備され、2020年までに6億2600万台以上に増強しています。

天網を構成するのは顔認証機能付きの監視カメラのほか、通信ネットワーク、それにスーパーコンピューターです。これらの構築にはファーウェイ、ZTEをはじめ、中国の有名ハイテク企業が参加しています。

中国では身分証明書の携帯が義務付けら、ベースとなるデータはすでに集約されています。今後5G普及が進み、4K8K映像の伝送が汎用化すれば精度はさらに上がると言われています。

専門家の話では中国は圧倒的にデータ量が多く、ディープラーニング(対象の全体像から細部までの各々の粒度の概念を階層構造として関連させて学習する手法)による精度向上が容易だと語っています。信用スコアが低いと航空券のチケットさえ買えない、天網の名は天網恢恢(てんもうかいかい)疎にして漏らさずに由来しており、悪事を見逃さないという中国公安当局の強い意志を表しているようです。

一方の雪亮は農村部の小さなコミュニティーでの監視システムです。自宅にモニターが置かれ、村に見慣れぬ車や人物が入ると通報するシステムで、日本にかつて存在していた隣組のデジタル版です。

中国で顔認証と並んで人々の行動に変化をもたらしつつあるのが信用スコアです。一言で言えば、人間の格付けシステムでSNSでの発信履歴、友人関係、購買履歴、ルール違反や犯罪歴などをもとにポイントが決められます。ポイントが高いと融資やデポジットで優遇措置があり、低いと鉄道や航空機のチケットさえ買えないと言われています。

信用スコアではアリババ・グループが始めた、芝麻(ゴマ)信用のシェアが大きく、学歴や職業などの身分特質、支払い能力の履行能力、クレジット履歴などの信用歴史、交友関係などの人脈関係、消費の嗜好を表す行為偏好を独自のアルゴリズムで350点~950点の範囲で点数化しています。男女の交際や結婚相手の判断にも使われると言われています。普及度や利用度はそれほど高くないとも言われています。

 

中国で電子決済が一気に普及した背景・・・

もともと中国では信用(誠信)という概念が希薄で、ネット通販の黎明期には、偽物や不良品を送り付けられるリスクが高かったようです。このためアリババの支付宝(アリペイ)では、買い手の代金を一時的に保管し、受け取った商品に問題がなければ売り手に代金を渡す第三者決済サービスを始めています。これによりネット通販の信用度が上がるとともに、銀行を通さない決済が一気に普及したそうです。クレジットカードの普及が一部の層にとどまったことも、信用スコアと電子決済が急速に普及した理由の一つと考えられています。

中国でのクレジットカードの保有率は2016年の統計で13.8%です。一方、中国政府は詐欺や脱税、虚偽報告、不正取引などが社会全体の信用度と国家の競争力を妨げているとして、社会信用システムの構築に動き始めました。

2013年1月、中国国務院は信用情報を活用するための征信業管理条例を発表、2014年には社会信用体系建設計画綱要を策定して、2020年までに信用システムを構築することを決定しました。社会信用システムの適用範囲は政務誠信(行政の信頼)、商務誠信(取引の信頼)、社会誠信(社会の信頼)、司法公信(司法の信頼)を中心として小売り、製造、交通、医療、観光、スポーツ、環境など、社会全体の活動に及びます。

 

SNSの発信履歴から交友関係まで紐付けるシステム・・・

中国人民銀行は2015年1月、芝麻信用を含む8社に、個人信用ビジネスへの準備を促進する通知を発表しましたが、狙いはこの8社から政府の社会信用システムを担う企業が出現することでした。しかし金融取引、税、犯罪などにかかわる企業や個人の情報が含まれることから、公平性を担保できないなどの理由で、これら8社に機能を担わせることを断念、8社と中国互聯網金融協会が出資する百行征信(バイハンクレジット)に対して信用情報業務の免許を発行しています。

政府の社会信用システムには借金踏み倒しなどの情報だけでなく、食品や医薬品の安全性、環境汚染などの情報に加えて、地方政府が保有する行政罰、判決情報、納税・社会保険料情報、交通違反情報などが組み込まれる予定です。信用を失墜すると企業は株の発行、税制優遇措置、融資などが受けられなくなるほか、個人は航空機や高速鉄道に乗れなくなるなどのペナルティーが発生、現実にブラックリストに載った500万人以上が搭乗を拒否されたと言われています。

社会信用システムにより、身分証や戸籍情報、宗教・民族、学歴・職歴、口座情報、納税・保険情報、顔認証を中心とした生体情報、位置・移動情報、SNSを通じた発信履歴や交友関係、購買履歴、通信履歴、閲覧履歴などが紐づくことになり、欧米メディア・研究者による超監視社会の出現というディストピア(反理想郷・暗黒世界)論の根拠となっています。昨今の中国は更にデジタル技術は進み、洗練されていると思われます。

欧米、中国のデジタル技術、日本と比較した場合、その差は極めて大きく、個人の主権、権利等ばかりを重視している日本は世界から大きく遅れを取ることは明白で、菅政権のデジタル庁設置は遅まきながら良策だと思います。この技術の差が新型コロナ・ウイルス対応に大きな影響を与えているかも知れません。

デジタル庁は、2021年9月1日に設置される予定の日本の行政機関の一つでデジタル社会の形成に関する内閣の事務を内閣官房と共に助け、その行政事務の迅速かつ重点的な遂行を図ることを目的とし、内閣に設置されます。国・地方行政のIT化やDX(デジタルトランスフォーマション:ITの浸透が、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させるという概念)の推進を目的としてIT分野を担当します。人員は500名程度とする計画で、そのうち100名程度を民間から登用予定です。人権、権利ばかりが公益をも無とする日本の現状、やはりバランスが大切だと思います。

来月にはオリンピック・パラリンピックが開催されます。これらに対し、何かと重箱の隅を突くようなメディア、専門家等々と批判一色ですが、本当に日本はこれらに対する、対応がお粗末かと言うと世界から見たら間違いなく奮闘、成果を上げています。陽性者を除いた感染者数、エクモネット等の死亡者数を考慮した場合、本当の日本の新型コロナ・ウイルス感染対策は功を奏していると思います。世界から見たら、日本は感染対策で成果を上げており、この結果がオリンピック・パラリンピック開催に繋がっていると言う見方は、海外のスポーツ報道等を見た場合、多くの世界の見方です。日本のメディア、反開催者等の意見は海外から見たら、大きくかけ離れています。

世界が新型コロナ・ウイルス下の困難に直面している中での、オリンピック・パラリンピック開催は日本だからこそ開催可能だと思います。感動、夢、未来への夢等々を育み、歴史に残る開催になるでしょう。今こそ私達は国家行事の達成に必要な、ワン・チームと言う言葉の重みを考えたいものです。

 


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする