想い出の小箱Ⅱ : 徒然草子

日常生活の中で感じたことを、徒然なるままに記述する。
OCNブログ人「想い出の小箱:レコード・コレクションからの続き。

BACKHAUS  beethoven sonatas (LONDON MR 5104)

2011-09-14 17:21:35 | 音楽

ベートーベン: ピアノ・ソナタ全集、第7巻

ピアノ・ソナタ 第21番、22番、24番、25番

ピアノ:ヴィルヘルム・バックハウス

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中国の天才少年、牛牛(にゅうにゅう)のピアノ演奏を聴いた。前に聴いたのは、約2年前、彼が12歳の時で、まだ子供ぽかったが、14歳になり、背も伸びて、170cmを超えた少年になっていた。現在、アメリカの音楽院に在籍して勉強中という。

演奏曲目は、リストの「ラ・カンパネラ」、ショスタコーヴィッチのピアノ協奏曲第1番と中国の作曲家による「穏やかな湖面に映る秋の月」であった。

「ラ・カンパネラ」は、良く知られた超技巧曲であるが、こともなげに弾いていた。ただ、私の印象では、フジコ・ヘミングの独特の雰囲気には、まだ及ばないような気がした。

次のショスタコーヴィッチ作曲のピアノ協奏曲は、初めて聴いたが、見事であった。

最後の「穏やかな湖面に映る秋の月」は、月の光は世界中どこも同じであろうが、ドビッシーの名曲「月の光」と違う、桂離宮で観る「中秋の名月」を思わせる、とても気分を落ち着かせてくれる素晴らしい曲で、東洋に共通する空気が感じられた。

14歳で、これだけの異なる曲を弾き分ける才能には感心させられる。今後の成長が楽しみである。

日本にも、将来を期待される小学生がいる。10月2日に、「未来の大器2011」と題して紹介される、牛田智大(ピアノ)、服部百音(ヴァイオリン)も、姿を見ずに、CDで聴いたら、とても小学生の演奏とは思わないだろう。

この年齢で、これだけ感情豊かな演奏ができるとは、全く恐れ入る。

今日のレコードは、ヴィルヘルム・バックハウスによるベートーベンのピアノ・ソナタ集である。リストの直系の弟子であるヴィルヘルム・バックハウスは、若い頃、「銀盤の獅子王」と呼ばれ、卓抜な技巧とスケールの大きな演奏であったようだ。

1905年のピアノ・コンクールで優勝したが、2位がバルトークで、彼はピアニストの道をあきらめ、作曲家の道を歩んだという。


MAX ROACH DRUMS UNLIMITED (ATLANTIC SD 1467)

2011-09-10 17:30:07 | 社会・経済

マックス・ローチ : 限りなきドラム

フレディ・ハバート(tp)、ロニー・マシューズ(p)他

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9月ともなると、やはり、風がさわやかである。日本の気候は本当に恵まれているが、今度の台風12号の被害は、東北の津浪にも匹敵する位ひどいようだ。

アフリカや中国の一部では、ほとんど雨が降らず、干ばつの被害が出ている一方、一時に1000ミリもの雨が降れば、水害になっても不思議ではない。

地球の環境破壊が進展し、このまま進むと、地球の自然バランスは確実に変化し、いずれ、大変なことになるのであろう。既に、その兆候は表れている。

東日本大震災の復興のための増税が必要との議論が出ているが、今度の台風被害に対しても、同等の支援が必要になるのだろう。

円高で苦しんでいる中小企業他、支援を必要としている者は、少なくない。

増税するとなると、どこから取るかということになるので、いろいろな声が出るのは当然である。

たばこ増税を打ち上げた小宮山大臣に対して、喫煙派の野田、安住、藤村といった重要閣僚が、議論の前に反対という。自分がヘビー・スモーカーだから、タバコ増税は反対だと思われても仕方がないご都合主義の大臣の増税要請を国民は受けるだろうか。

私見を言えば、たばこ増税には理があると思う。1箱700円以上にすると、税収が減るというが、国民の健康被害とたばこによる医療費の増大を考えれば、たとえ減収になってもプラスの方がはるかに大きいだろう。

たばこ村は、原子力村と似たところがある。

皆が、自分は嫌だと思うことを認めないとなれば、増税の議論は前へ進まない。

議員定数の削減、議員歳費の削減、公務員制度改革、増税の前に、先ずやらねばならぬことが山ほどある。

権力の座に座ったとたん、「ぬるま湯にドジョウ」では洒落にならない。

マックス・ローチは、モダン・ジャズ・ドラマーの最高の一人であろう。

ある評論家が、彼のことを「ドラムでメロディーを叩くことのできた最初のドラマー」と評したが、このレコードの6曲中3曲は、ローチのドラムだけの演奏である。



GOLDEN SONNY ROLLINS (PRESTIGE SMJX-10025)

2011-09-07 11:07:38 | スポーツ

テナー・サックス : ソニー・ロリンズ

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世界陸上2011が閉幕した。今大会は、まさに、ボルト劇場であった。

ボルトは、世界新記録が期待された100mで、まさかのフライイングで失格となって、世界中をがっかりさせ、最後の400mリレーで、世界新記録を出して閉幕となった。

ジャマイカ・チームは、なんと、37秒04という驚異的な記録である。

ボルトの100mの世界記録、9秒58を4人足しても、38秒32であるから、とにかくすごい記録だ。夢の36秒台が実現するのだろうか。

この期間中、ほとんど毎日、2~3時間、TV録画で、ほぼ全種目を観戦したが、予選から通して見ると、面白さが倍加する。

また、オリンピック、世界陸上を継続して見ていると、個々の選手についても、馴染みになり、応援したくなる。

走り幅跳び、三段跳び、円盤、ヤリ、ハンマー投げは6回の試技のチャンスがあり、ベスト記録の勝負なので、平均して良い記録を出しても、メダルが取れない場合がある。

今大会の室伏選手は、6回の試技すべてに好記録を出し、本当のチャンピオンといえる。

走り高跳びと棒高跳びは、3度、同じ高さに挑戦できるが、駆け引きが面白い。

それに比べ、100mや110mハードルは、スタートの一瞬が勝負を分けるので、とても厳しい。

来年のロンドン・オリンピックで、彼らが、どのようにレベル・アップして登場するか楽しみである。

ソニー・ロリンズは、モダン・ジャズのトップ・レベルのミュージシャンの一人である。

彼のレコードは、多々あるが、このレコードの中に、最高傑作といわれる、1956年の「サキソフォン・コロッサス」の中の「モリタート」他の名演が収められている。


THE BENNY GOODMAN TRIO PLAYS FOR FLETCHER HENDERSO

2011-09-06 16:24:04 | 社会・経済

ザ・ベニー・グッドマン・トリオ

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新しい民主党の代表に野田前財務大臣が選出され、総理大臣となり、新しい内閣の顔ぶれも決まった。ベストとは思えないが、ベターな選択なのであろう。誰がやっても、難しいかじ取りであり、マスコミは、足を引っ張るより、盛りたてることが必要である。

しかしながら、党役員、内閣の顔ぶれを見ると、党内バランスを最優先したのであろうが、特に経済閣僚のメンバーには、一抹の不安を感じると共に、副大臣、政務官も順送り配分で、自民党と変わりがない。

先日、ムーディーズが日本国債の格付けを1ランク下げた。すでに、今年の2月に示唆していたので、大震災を考えると、別に不思議ではない。理由の一つに、政治の不安定を挙げていたが、新内閣をどう見ているのであろうか。

格下げにもかかわらず、政治家も経済界もほとんど反応がないし、市場も反応しなかった。

本当は、国債の価値が下がれば、金利が上昇し、財政を圧迫、特に、金融機関は保有資産の価値が下がるので、深刻な問題である。

ただし、格付けの妥当性については、格付け会社が、その評価内容を公表していないので判らないが、スペインやイタリアが、日本より上とも思われない。

円高の悪い面ばかりが強調されるが、通貨が強いことは、悪いばかりではない。

アメリカが現在の地位を得ているのは、ドルが基軸通貨であるからであり、戦前、日本が、朝鮮銀行を通じて、円を発行し、円経済圏を拡大しようとした事に、金融資本主義経済の通貨戦争を垣間見ることができる。

野田氏は、増税派とされているが、財政赤字問題は先進国の共通課題であり、地震対策と同じで、手遅れにならないうちに対応する必要がある。

問題の深刻さを考えれば、利害を捨てて、やらねばならぬことは多々あるはずだが、今の議員に、それだけの認識と覚悟を期待するのは無理だろうか。

新しい内閣に、少しばかり期待して、このレコードを選んだ。

ベニー・グッドマンのレコードは膨大な数にのぼが、「ベニー・グッドマン・トリオ」が最上の演奏の一つであることは間違いない。

1951年の演奏で、重病におちいった名アレンジャーであるフレッチャー・ヘンダーソンの基金募集のために行われたもので、テディ・ウイルソンのピアノ、ジーン・クルーパのドラムである。


The DIZZY GILLESPIE Story (GLOBE MJ-7062)

2011-09-04 10:22:16 | アート・文化

モダン・ジャズの誕生 : ディジー・ガレスピー楽団

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昔から、二百十日には、台風がよく来たもので、9月1日は「防災の日」となっている。

大型台風が直撃するというので、国立西洋美術館に「古代ギリシャ展」を見に出かけた。最近の企画展は、混雑して、ゆっくり見ることができないが、さすがに、この日は予想が的中して、ゆっくり見ることができた。

混雑の一因はイヤホン・ガイドにあるのではないかと思う。展示品の前で、作品を見もせずに、ガイドを聴いている輩が多く、なかなか前に進まない。

ルーブル美術館で、「ミロのヴィーナス」を観たときは、周りに4,5人しかいなかった。

私は、まだイヤホン・ガイドを使ったことはないが、確かに、知識がない場合、ガイドは役に立つと思うが、先ず、自分の目で観て感じる方が良いのではないかという気がする。

会場に入る前に、紹介ビデオを見て、一通りの知識を持って、閲覧後にもう一度見れば、見方も変わり、混雑も緩和するのではないだろうか。

最も、主催者は、イヤホンの収入が減るので、面白くないであろう。

中学生の頃から、ギリシャ神話に興味を持っていたので、楽しみな展覧会であった。

今回の展示の目玉である、「円盤投げ(ディスコボロス)」、「アフロディテ(ヴィーナス)像」は、男性と女性の極められた人体美を見せてくれた。

西洋美術館の常設展に足を運んだが、ゆっくり観ると、良い作品がたくさんある。

「日曜美術館」で、地方の美術館が紹介されているが、雰囲気がよく、訪れてみたい所が多々ある。

今日のレコードは、私たちに、いろいろな想像を湧きたててくれる演奏である。

ギリシャ彫刻が後の彫刻芸術に大きな影響を及ぼしたように、ガレスピーのモダン・ジャズにおける貢献は大きい。

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