ロシア民謡のすべて
大学に入学した昭和35年は、学生運動の盛んな時期であった。いわゆる「全学連」の全盛期である。「破防法反対」、「安保改定反対」とデモに参加したものだ。 少なくとも、当時の学生には「我々には世の中を良くする責任がある」といった気概のようなものがあったような気がする。 京都には、昔から学生を大事にする気風があるが、学生にもその期待に応えようという気持ちが生ずるのかもしれない。 道路の両端で、市民が学生のデモ行進を拍手して迎えるといった光景も度々あった。 円山公園で約一万人の聴衆を静まらせた北小路(委員長?)に感心したのを覚えている。 デモの時に皆で歌ったのが、革命歌「インターナショナル」や「エルベ河」と云ったロシア民謡であった。 ロシア民謡は、この頃から、「歌声喫茶」の全盛時代とともに、大流行することになる。 この頃のソビエト映画に「人間の運命」、「誓いの休暇」と云った名作がある。 ソ連には、第二次世界大戦終戦後、家の前に3日3晩、進駐してきた多数の戦車の怖い印象が残っているが、文化的には、文学、音楽、映画、美術館ほか魅力的なものがいっぱいある。 ロシア民謡に心が安らぐのは、童謡と共通するものがあるからだろうか。