Mrs.Uponwaterのブログ

日記です♪

ピアニスト中村紘子の記憶 高坂はる香(集英社)

2018-05-12 17:05:12 | 日記
あっちこっちの雑誌や中村紘子の書いた物から引っ張り出してきてまとめた本でこう言ったものは好きではない。しかし中村紘子の事はあまり良く知らなかったので読んでみた。キュートな笑顔の中に鋭い眼が光り、演奏中の彼女の背中の筋肉が凄かった事を思い出す、エネルギッシュにいつも弾いていたと思う(テレビのチラッと見です)。日本の教育は高校の半ばまでしか受けていないそうだが浜松国際ピアノコンクールの審査委員長や若手を育てる事に情熱を注いだ事は周知の通りです。作家の庄司薫の”赤頭巾ちゃん気をつけて”に書かれた縁で彼と共に歩く事になるが母親譲りの目標に向かって突き進む強い意志と祖母の優しい温厚な人柄を受け継ぎ、誰からも愛される世界の中村紘子が存在したのですね。そして心が動かされる芸術とは「99%の神聖なるものへの奉仕、献身と1%の悪魔の血の一滴の混じったもの」と言っています。含蓄のある言葉です。才能ある彼女でも70歳になった頃「頭が真っ白になり暗譜が飛んじゃう」と悲しんでいたそうですから、増してや凡人の私など当然かあ…。