Mrs.Uponwaterのブログ

日記です♪

第2図書係補佐 又吉 直樹(幻冬舎よしもと文庫)

2015-08-21 13:43:57 | 日記
フリー・ペーパーに連載していた本の紹介コラムをまとめた物らしいが、この時点で芥川賞の芽生えが既にあったように感じた。本を読んでいたから考えられた事、救われた事と常に彼の生活の傍らには本があった。うだつの上がらない毎日の中で「夏なのに眼の前に青い実が落ちた、この一瞬の些細な事に驚けたのが嬉しかった」と本当に繊細な感覚の持ち主に共感を覚えた。また「好きな本を何回も読んでいるとその本を喰いたい衝動に駆られる」と言う事はとてもよく解る。私は感動した本を読み終わるといつも本を撫でて撫でて、撫でまくる。(そうです!そうです…ってね。)
彼には双子の姪がいてある時、彼女たちにスーパーで「好きなものを買ったげる」と言ったら一人が600円もするおもちゃを持ってきた。「高いなあ」とぶつくさ言っていたら、帰宅後「直樹今日頑張ったからこれあげる」と持って来たのが500円と同じ穴あきの5円だった。500円の気持のこもった5円を貰いながら姪に愛しさと哀歓を感じた…とナイーブでお笑い芸人とは思えない人柄に彼の未来を放って置けないと思った。文学とは美しいとか素晴らしいなどの感情は勿論、複雑で細かくて曖昧すぎる、またスケールが大きくて捉えられない、などを的確な言葉で抽出する事だと彼は考えている。”天声人語”7月18日では”彼は言葉の人”と言っています。そう言えば三島由紀夫は表現する言葉を探して絶えず苦しんでいたと読んだ事がある。