Mrs.Uponwaterのブログ

日記です♪

孤愁(サウダーデ) 

2013-01-22 12:16:12 | 日記

新田次郎と藤原正彦親子の共著(文芸春秋刊)を読んだ。ポルトガルの軍人、外交官、文筆家で日本を愛し日本を紹介したヴェンセスラオ・デ・モラエス。1889年兵器購入のため来日し、日本に魅せられ”日本通信”として日本の歴史、文化、精神などをポルトガルの商業新聞に掲載し日本紹介に尽くした人の話です。新田次郎が1979年毎日新聞で連載していたが、急逝による突然の断筆、32年が経った今、息子が父の思いを胸に丹念に足跡をたどり完結させた一冊です。やはり山岳文学者父の書いた部分は硬く、息子の書いた部分は物語として軟らかい感じがした。藤原正彦ファンの私は、父親とは違う彼らしい筆致で良かったと思う。日本の四季折々の風情に感動し愛する者や故郷へのモラエスの繊細な思いは”サウダーデ”、過去を思い出し甘く悲しい切ない感情に浸る。モラエスは日本でサウダーデに生き、サウダーデに死ぬことを決めた。ポルトガルの民謡”ファド”もサウダーデだと思う。ファドに憧れポルトガルへは二度も言ってしまった私、再びファドに身を沈めて見たくなった。(ポルトガルのお皿に”サウダーデ”を乗せてみた)