Mrs.Uponwaterのブログ

日記です♪

「耄碌寸前」(もうろくすんぜん)

2011-02-17 18:46:52 | 日記

森 於莵著「耄碌寸前」みすず書房発行を読んだ。ドッキとするようなタイトルです。森 鷗外の長男のエッセイ。於莵は父と同じように医学の道に進み解剖学者になった。しかしそのDNAは潜んでいて於莵にも極上のエッセイを書かせた事を知りました。「人生を茫漠たる一場の夢と観じて、それを模糊たる霞の中にぼかし去るには耄碌状態が一番よい」と言っていますが、耄碌状態で生活がうまくまわるならそれに越した事はない。鷗外ゆかりの”観潮楼始末記”など多くの文人が出入りし華やかなりし時代もあったがその終わりは余りにも惨ましく、於莵の魂の故郷であるにもかかわらず胸が痛むと言っています。みすず書房はこうした貴重なものを掘り起こし、出版している奇特な出版社でこれも”大人の本棚”シリーズの一冊です。