”農”と言える!?

元・食推おばさんのソムリエ日記

なぜ「伝統」が付くの?伝統大蔵大根

2023-01-03 00:24:56 | 在来種 伝統野菜

ナムルかき揚げでいただいた伝統大蔵大根。

なぜ、わざわざ「伝統」と付けるのか疑問に思っていました。

 

調べてみると、これがまた大蔵大根の歴史と関係がありました。

お時間のある方、よろしかったらお付き合いください。(^-^)

  

 

大蔵大根の「大蔵」は大蔵原(現在の世田谷区大蔵付近)を指しており、

世田谷区の特産品となっていますが、ルーツは世田谷とは別の地域にありました。

  

●大蔵大根のルーツは練馬

練馬辺りで作られていた白首系早生種の「秋づまり」という大根がありました。

江戸時代に豊多摩郡(現在の杉並区付近)の源内という農民が

「秋づまり」をもとに品種改良し「源内づまり」という晩生種の大根を生み出しました。

この「源内づまり」が大蔵原に伝わったのです。

 

  

●「源内づまり」の品種改良、そして「大蔵大根」の誕生

明治時代に入って、大蔵原の石井泰治郎氏が、

「秋づまり」と「源内づまり」の自然交配雑種から耐病性のあるものを選抜育成し、

「大蔵大根」を生み出しました。

この「大蔵大根」は1953(昭和28)年に名称登録され、

昭和40年代までは世田谷の至るところで栽培されていました。

  

  

●「大蔵大根」の衰退

・宅地化が進んだ。

・昭和49年 病気に強く、比較的栽培しやすい「青首大根」が登場した。

これらの理由で「大蔵大根」は衰退し、その姿を消してしまいました。

  

 

●「大蔵大根」の復活 そして「伝統大蔵大根」になる

平成になり、各地で伝統品種が見直される中、

世田谷区内の農家たちが1997(平成9)年から復活に向けて栽培を始め、

2002(平成14)年には本格的に栽培されるようになりました。

ところが現在、種苗メーカーからF1品種としての「大蔵大根」も種が販売されています。

そこで、それらとの混同を避けるため、

2011(平成23)年から「伝統大蔵大根」として出荷されるようになったのです。

   

 

大蔵大根に「伝統」という冠が付く理由がやっとわかりました。

こうなるまでには、江戸時代、明治時代に品種改良を行った農家の方、

昭和の時代に栽培に携わった農家の方々、

そして一度衰退した後、平成になって復活させた農家の方々、

皆様の努力が「伝統」の二文字に繋がっていると実感しました。

  

今日も長々とお付き合いいただき、ありがとうございました。

 


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