”農”と言える!?

元・食推おばさんのソムリエ日記

F1 固定種 在来種

2016-04-26 12:16:33 | 在来種 伝統野菜

先日、「F1品種、固定種、在来種の明確な定義がわからない。」

と、質問を受けました。

だしかに、固定種と在来種を

「固定種・在来種」と並べて表記されているものも多く、

もう一度、きちんと確認してみようと思います。

   

まず、固定種から

野菜も、もとは野生の植物でした。

その野生のものから、食べられる部分が多く、安全で、

安定的に収穫できるものを選抜することによって、

食用に適した野菜が生まれました。

これが固定種です。

 

でも、固定種にもデメリットはあります。

 ・自家採種の手間がかかる。

 ・品質が安定しない

 ・種の選抜方法によって、品種の特性が変わる。

 

    

そこで、生まれたのがF1品種です。

親Aと親Bを交配させることによって、

親とは全く違う「いいとこ取り」をした品種が生まれます。

(私は、自分の講座では「ダメ親とダメ親から、ものすごい天才が生まれる。」

 と説明していますが、少々乱暴な表現ですね。)

これが、F1品種です。

  

F1品種は、品質が揃いますので、

商品価値の高い作物を作ることができます。

ただ、品質が均一ということは、

ある特定の病害虫に弱いという心配もあり、

病気が大量発生してしまう恐れもあります。

また、「いいとこ取り」のF1品種ですが、次の世代では種自体があまり取れず、

取れたとしてもその「いいとこ取り」の形質は受け継がれません。

基本、一代限りの品種なのです。

 

   

さて、それでは、最後に残った在来種ですが

・固定種の中で古い時代から栽培されているもの

・特定の地域で、昔から種を守り継がれているもの

という位置づけになるのでしょう。

   

例えば、「金時薯(きんときいも)」というじゃがいもがあります。

これは、来歴も不明なじゃがいもです。

この金時薯は、呼び名は違っていますが、同じ品種のものが

全国に存在していることがわかりました。

 

例えば、静岡県では次に挙げるものは、すべて金時薯と同品種なのです。

 ・井川おらんど

 ・水窪じゃがた

 ・梅ヶ島の地芋

 ・玉川じゃがたら

 

【右の葉っぱと一緒の方が井川おらんど 左が水窪じゃがた】

  

つまり、井川おらんどと水窪じゃがたは同じものだったのです。

でも、食べ比べをしてみると、

井川おらんどと水窪じゃがたは明らかに違っています。

それもそのはず、選抜を繰り返すことによって、

井川には井川に、水窪には水窪に合ったものが残ったのですから。

   

大雑把なまとめ方ですが、じゃがいもを例に挙げると

 F1品種・・・男爵、メークイン

 固定種・・・金時薯

 在来種・・・井川おらんど、水窪じゃがた

ということになります。


   

F1品種、固定種、在来種を図で表現すると、

静岡大学大学院教授 農学博士の稲垣栄洋先生が示された

こちらが一番わかりやすいのではないかと思います。

   

以上、自分自身の復習の意味も込めて、まとめてみました。(*^_^*)


コメント (1)
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