3年前の12月に、東京の知人が静岡の病院で、
患者さんを励ますシャンソンライブを行った。
その病院は、母が最期を迎えた場所だったので、
正直、出掛けて行くのは気は重かったが、
患者さんたちの後ろの方に座って聴いているうちに、
心が浄化していくような気持ちになった。
その時、一番前の席に座っている男性に目がいった。
弟の奥さんの父親、H氏であった。
ライブ終了後、
病室に向かうエレベーターに乗り込もうとするH氏に声をかけた。
もう1ヶ月ほど入院していると言う。
ただ、ご自分の病気については語ろうとなさらず、
急に背が伸びた孫の成長痛の心配ばかりされていた。
そのH氏が先日亡くなられた。
眠るような静かな最期だったという。
3年前のライブの最後、
全員で「川の流れのように」を合唱した。
マイクを向けられた時のH氏の力強い歌声と
堂々とした歌いぶりが忘れられない。