旬刊・上原直彦 「浮世真ん中」の内『おきなわ日々記』」アーカイブ版

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おきなわ日々記[名言・迷言・いい話]

2013-01-10 01:25:00 | ノンジャンル
 ※【若年から・・・】
 新年の挨拶言葉に「若年から取みしぇーびたがやぁ=若い歳を選んで取りましたか」。
 もちろん、年配者に対する敬語である。
 「年齢は、重ねるにつれ、自分から好んで取るものではない。向こうから勝手に寄ってくるものだ。だから“年取りとは言わず、年寄り”というのだよ」。
 歌者登川誠仁の名言。

 ※【人それぞれ】
 歌者嘉手苅林昌曰く。
 「歳とぅカーギや、なあ前々」
 年齢と容貌は、人それぞれの持ち合わせ。他人のそれと比べることはない。一生付き合う固有財産であるというのだ。彼は「ワシの財産は、親からもらったこのカーギと、自分で重ねた年齢と歌と三線だけだ」と、付け加えた。

 ※【女房の肥満】
 *トゥジ=刀自。妻、女房、妻女の意=。
 「トゥジは、太っていた方がいい。他人は、楽をさせていると見てくれる。ヨーガリ〈やせているさま〉でいると、苦労させていると勘ぐる」
 そう言って納得している歌者山内昌徳の奥さんは見た目に肥満。

 ※【きれいだね】
 10代の子ならいざ知らず、20代の子には「かわいいね」よりも「きれいだね」の方が受けがいい。子ども扱いしてはもらいたくない心理が働いているらしい。スタジオ入りする際に、顔を合わせる若い女性スタッフには「今日もきれいだね。気合を入れて行こうぜ」と、声掛けをするようにしている。
 「きれいだね」が、50代以上の女性に同価値観で感受してもらえるかどうか、まだ実験したことはない。

 ※【元気ですか。大丈夫ですか】
 私事に過ぎるが、昨年5月9日から6月4日まで脊椎症性脊髄症の手術で入院をしていた。見舞いにきてくれた歌者山里ゆき、饒辺勝子の第一声。
 饒辺勝子「元気ですか」。
 「ありがとう」の後に心の中でつぶやく。〈元気でないから入院しているのだよ。勝ちゃん〉。
 山里ゆき「大丈夫ですか」。
 これにも無言で応える。「にふぇーどう=ありがとう=大丈夫でないから手術したんだがなあ」。
 ヘソがまっすぐではない小生だからそう思うのだろう。とかく見舞い言葉も難しい。

 ※【祝儀袋】
 これも見舞人のひとり。キャンパスレコード社長備瀬善勝の所業。
 見舞金が祝儀袋に入っていた。そして曰く。
 「おめでとう。お前さんは、ちょいと走り過ぎたから、神様が〈少し休め!〉と、特別休暇をくれたんだよ」。
 50余年来の古馴染みの照れ隠しのシャレが嬉しかった。

 ※【地方語の発音】
 琉球放送でニュースキャスターとして活躍し、いまはフリーアナウンサーの宮城麻理子女史。担当の音楽番組出だしの挨拶を沖縄口で語りたかったのだろう開口一番、自信を持って言った。
 「グソーよお。今日拝なびら=ちゅう うがなびら」。
 しかし、「グソー」は、後生=ごしょう=あの世のこと。「あの世の皆さん」では、放送にはならない。「皆様」の丁寧語は「グスーよお=御衆様」である。以来、彼女は沖縄語のマスターを真剣にしている。

 ※【人ごとではない!】
 小生にも覚えがある。民謡番組を担当し始めのころ。節名さえよく知らなかった。リクエストハガキに「白骨節」あるのをそのまま読んだ。「ハツコツぶし」。
 正しくは「シラクチぶし」。芝居歌謡のひと節。
 「知ったかぶりで放送するなっ!あやふやな事柄は、常にたしかめよっ!」。
 上司にこっぴどく叱責されたのは言うまでもない。

 かくして、多くの先輩後輩と交わりながら今年の日々をこなして行くことではある。

 1月後半の行事。
 ◇第35回 本部八重岳桜まつり
   期間:2013年1月19日(土)~2月3日(日)
   場所:八重岳桜の森公園(本部町)

 ◇第6回 今帰仁グスク桜まつり
   期間:2013年1月19日(土)~2月3日(日)
   場所:今帰仁城跡(今帰仁村)

 ◇第4回 美ら島オキナワセンチュリーラン2013
 開催日:1月20日(日)
 場所:恩納村コミュニティセンター (恩納村)

 ◇第51回 名護さくら祭り
   期間:2013年1月26日(土)~1月27日(日)
 場所:名護城 (名護市)