透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

ブックレビュー 1905

2019-05-31 | A ブックレビュー





 読み終えた本を書棚に順番に並べていく。それを写真に撮ってダイアリーに貼っておく。以前はこのような簡単な方法で読んだ本の記録に代えていた。ブログを始めてからも同様の方法を続けてきている。



令和元年の5月は5冊の本を読んだ。

『新聞記者』望月衣塑子/文春新書 

新書より文庫の方がふさわしいのではないかと思う。本書を原案にした映画が6月に公開される。公開されたら観たいと思う。

『桜』勝木敏雄/岩波新書

桜の分布種と分布域について書かれた本。分類に関する考え方は大いに参考になると思う。

『虫や鳥が見ている世界 ―紫外線写真が明かす生存戦略』浅間 茂/岩波新書

『僕って何』三田誠広/河出書房新社

著者の講演を聴いて、およそ40年ぶりに再読した青春小説。

『三四郎』夏目漱石/新潮文庫

三田さんの講演で取り上げられた小説。50年ぶりの再読か。**三四郎は何とも答えなかった。ただ口の中で迷羊、迷羊と繰返した。** (337頁) 

5月、ストレイシープ・・・。


6月は『3001年終局への旅』アーサー・C・クラーク/ハヤカワ文庫、「宇宙の旅」シリーズ完結篇 の再読から。

 


「2010年」

2019-05-27 | E 週末には映画を観よう

 昨日(26日)の早朝「2010年」をDVDで観た。この映画は「2001年宇宙の旅」の続編として制作された。

木星探査用の宇宙船だったディスカバリー号はどうなっているのか、HAL9000は? 9年経過した2010年、ディスカバリー号とHALの機能を回復することはできるのか・・・。

失敗に終わった木星探査計画で、科学者3人と副船長は死亡。ボーマン船長の生死は不明だが、死亡したと推定されている。

この計画の責任者だったフロイド博士はディスカバリー号の設計者、HALの設計者とソ連の宇宙船レオノフ号に乗り込んでソ連のクルーとに木星に向かう。 

木星の衛星イオ付近にディスカバリー号は回転しながら停留していて、近くには巨大な(長さ2kmもある)モノリスが。クルーたちはもうひとつの衛星エウロパにクロロフィル(葉緑素)を発見し、探査を試みるが謎の電磁波の妨害を受ける。この妨害はディスカバリー号の船長だったボーマン船長からの警告だった。この辺りは理解しにくいが、ボーマンは人間から別の生命体となっていたということだろう。

ボーマンは人の姿になって、フロイドのところにも出現するし、姿は消しているが病身の母親のところにも出現(したことを暗示的に描いている)、ボーマンの奥さんが見ていたTV画面にも姿を現す。

この映画では神の領域に人間は立ち入ってはならないということ。それからモノリスは生命の誕生と進化を司る存在であることが「2001年 宇宙の旅」より分かりやすく描かれている。



両映画の原作者、アーサー・C・クラークは「宇宙の旅」シリーズの完結編として『3001年終局への旅』ハヤカワ文庫 という作品も残している。ちなみにこの作品の発行は2001年。 



再読しよう。






 


懐かしの味

2019-05-27 | A あれこれ

 

 スパゲッティの店、キッチン ヤマナミは僕が高校生のころ既に松本駅前にあった。駅前の店が閉店して久しいが、穂高にヤマナミの味を引き継いだ店がオープンしたということを最近知った。店の名前も同じ「キッチン ヤマナミ」。

昨日(26日)、穂高に所用で出かけたので、ヤマナミで食事をすることに。別荘や小さなカフェなどが点在する林の中にオシャレな外観のヤマナミはあった。

注文したのは「スパゲッティ ハンブルグ風」。昔駅前の店で時々食べた懐かしのメニュー。何十年ぶりかで味わう甘めのソースがかかったやわらかい麺とハンバーグ。

歳を取ると、未来を考えるより過去を振り返り、懐かしむことが多くなるのかな・・・。




 


― 「奥深い魅力のとりこに」

2019-05-26 | A 火の見櫓っておもしろい




 某ブロック紙(と言っても全国で4紙しかないから、直ちに特定されてしまうが)の熱中人(ねっちゅうびと)というシリーズで紹介していただいた。紙面一面の上半分の大半を割いた、大きな記事になっていてびっくりした。

記事には「奥深い魅力のとりこに」と「県内外の火の見やぐら巡りブログで紹介」という見出しが付けられている。記事は一人称で書かれていて、最後は**多くの人が興味を持ってくれるとうれしいです。**と結ばれている。

私が火の見櫓巡りを始めるきっかけとなった大町市美麻の木造の火の見櫓(過去ログ)と黒四ダム建設の際、砕石プラントの監視塔として使われた後、穂高に火の見櫓として移築された火の見櫓の写真が載っているが、穂高の火の見櫓の写真を見て驚いた。常念を背景に写真が撮れるのか・・・。

今日(26日)の午前中、早速出かけてきた。


常念岳を背景に立つ安曇野市穂高の火の見櫓 

火の見櫓は一度見たからといって満足してはいけない。**デザインが多彩な上、同じものでも、見る場所や季節、天候、時間帯で全く異なる趣きを見せる**のだから。


私の冗長な話しを上手くまとめて記事にしていただいたK記者に感謝したい。
 


「セメントの記憶」を観た

2019-05-25 | E 週末には映画を観よう

破壊と創造の映像表現 

  内戦で周辺国に逃れたシリア人。隣国レバノンの首都ベイルートの建設現場で働くシリア人たちを描いたドキュメンタリー映画「セメントの記憶」。 この映画について予備知識は何もなかったが、タイトルが気になって昨晩(24日)に観た(*1)。

以下チラシより引用。

**シリアと同じく長い内戦(75年―90年)を経験したベイルートは、近代建築と歴史的建造物が混在した美しい街並みで多くの観光客を魅了しているが、建設ブームに沸く海岸沿いは超高層ビルの乱開発が進んでいる。内戦で家を奪われた多くのシリア人は、これら建設現場の劣悪な環境で労働を強いられている。 **


高層ビル建設現場の足場 後方はべイルートの街並みと地中海

中東のことは何も知らない。ああ、無知の悲しさよ。 


*1 アイシティシネマ 5/17(金)~5/30(木) 2週間限定上映

「映画を観よう」というカテゴリーを設け、過去ログを移した。思いの外、映画に関する記事が多かった。



線描を活かした淡彩画

2019-05-24 | A あれこれ



 絵を描くことは子どものころから好きだった。

今まで描法について技術的なことを学んだことはなく、全くの自己流で描いてきた(頻繁に描いてきたわけではないが)。先日書店で『風景を描くコツと裏ワザ』野村重存/青春出版社を見つけた。

私は、この本で紹介されている**ためらい線や補助線をたくさん描いて、形にしてく いきなり正しい線を描こうとしないのがコツ**という方法とは真逆の描き方をしている。建物でも何でもペンで一気に描く。一発勝負、修正はできない。描いた後、プロポーションがおかしいとか、線が曲がっているとか、位置関係が不自然ということが分かっても直せない、直さない。

彩色方法について、基本的なテクニックを知っておこうと思って買い求めた本だから、線描については参考にしない。色は重ね塗りをしない。重ね塗りをすると、透明感が損なわれるから。

この本で紹介されている雲や樹木の彩色の方法については参考になる。


14年10月 塩尻市内にて

今年は火の見櫓のある風景を描こう。描けば気がつくことが色々出てきて、うまくなるだろう・・・。


 


円い切手を見て考えたこと

2019-05-24 | D 切手



 恋文(表現が古いか)はメールでもらうより手紙でもらう方が好いと思うが、今の若い人たちはメールなのだろうか。手紙は机の引き出しにそっとしまっておけるけれど、メールはどうする・・・。電子本より、紙の本が好いということを人に説くときにこの話が有効ではないか、円い切手を見て考えた。

先日届いた封書(中身は書類)に円い切手が貼ってあった。円い切手を見るのは初めてではない(過去ログ)。この円い切手に描かれている魚はニッコウイワナだと記されている。魚の尻尾が枠にはみ出しているが、この辺りがデザイナーの「センス」。

スタンプも円で、なかなか好い感じ。 切手の中に入った2本の曲線は水の流れを連想させる。デザイナーはこのことを想定していたのだろうか・・・。想定していた、と私は思う。

何か加わることで更におもしろくなるデザイン、より魅力的になるデザイン。完結的でないデザインの魅力、意義・・・。このような観点から世の建築デザインをチェックしてみよう、と円い切手を見て考えた。建築こそ、自己完結的でないデザインであるべきではないか。


付記:「切手」をカテゴリーに追加した。
 


久しぶりに小説を読む

2019-05-23 | A 読書日記



 19日(日)の午後、塩尻のえんぱーくで作家・三田誠広さんの講演を聴いた。三田さんが講演の中で取り上げた夏目漱石の作品を読み始めた。このところ新書ばかり読んでいた。久しぶりに読む小説が夏目漱石、というのは良いかもしれない。  

新潮文庫のカバー裏面に**あなたは余っ程度胸のない方ですね**というこの小説の登場人物のせりふがキャッチコピーのように載っている。このセリフは三田さんも紹介していた。

自室の書棚にこの小説を探したが見つからなかったので買い求めた。定価340円(税別)を見てびっくり、安い・・・。

奥付けによると、平成二十八年十一月十日 百五十三刷。 やはり名作は読み継がれる。この際、「坊ちゃん」もまた読むか。


 


「僕って何」

2019-05-19 | A あれこれ



 2012年(平成24年)に始まった「本の寺子屋」。その本年度最初の講演会を今日(19日)の午後塩尻のえんぱーくで聴いた。講師は作家の三田誠広さんだった。

三田さんは『僕って何』で1977年(昭和52年)に芥川賞を受賞している。今から40年以上も前のことだが、当時私は僕は芥川賞受賞作品が単行本になると買い求めて読んでいた。

カオスな書棚から難なく『僕って何』を探し出すことができた。芥川賞受賞作品の単行本はまとめて並べてあるが、手前に並べた別の本に隠れてしまっている。だが、なんとなくその位置を覚えていたから。

奥付けに昭和五十二年七月二十九日初版発行とある。この作品について江藤淳は三四郎と同じだという評価をしたそうだ。このことを今日の講演で三田さんが語っていた。そしてこの指摘は当たりだと。自宅に帰ってからネットで調べると、中村光夫も同様の指摘をしていた。

この際、「僕って何」と漱石の「三四郎」を再読してみるか。


本年度開催予定の「本の寺子屋」(←HPはこちら)で聴こうと思っている講演は次の通り

 7月  7日  外岡秀俊 記者と作家のあいだで
 9月29日  藤澤 周 文学なんて、知らなかった。
 10月27日  角野栄子 魔法はひとつ
 11月17日  鵜飼哲夫 新聞書評と読書
 11月24日  穂村 弘 言葉の不思議
   3月  8日    堀井正子 人に出会い、ことばに出会う

過去にはこんな企画も。



 


本のデザイン 章の扉

2019-05-19 | H 「あ、火の見櫓!」


左から『虫や鳥が見ている世界』浅間 茂/中公新書 
   『ふしぎな国道』佐藤健太郎/講談社現代新書 
   『雲を愛する技術』荒木健太郎/光文社新書

 各章の扉のデザインも気になる。

今読んでいる『虫や鳥が見ている世界 ―紫外線が明かす生存戦略』浅間 茂/中公新書 の中扉には大きく写真を載せ、章題の白抜き文字を四角く囲み、右上に配置している。横フレの写真を2カット縦に配置しているが、下の写真は紫外線カメラで撮影した画像。なるほど、こういうデザインもあり、だな。

私はここに火の見櫓のある風景のスケッチを使おうと思っているが、うまくできるかどうか・・・。そろそろ、表紙や扉のデザインの案が提示されると思う。

追加や差し替えをお願いした写真のレイアウトは上手くいっただろうか。明日、担当のT君に進捗状況を聞いてみよう。




 


祝国宝指定 旧開智学校

2019-05-17 | A あれこれ

■ 旧開智学校校舎の国宝指定のニュースをテレビで見た(17日)。旧開智学校については既に何回か書いている。国宝指定を祝し、過去の記事の写真を再掲する。


松本市中央図書館3階から見る旧開智学校の裏側(北側)


こちらがおなじみの正面(南側)


旧開智学校のレアなマンホール蓋 市内でこのデザインのマンホール蓋はたぶんこれのみ。


過去ログ1  
過去ログ2  
過去ログ3


 

 


「鳥や虫が見ている世界」を読む

2019-05-17 | A 読書日記

■ 『桜』勝木敏雄/岩波新書を読み終えた。著者のプロフィールを見ると専門は樹木学、植物分類学、森林生理学とある。本書には桜の分類について、桜の分布域について書かれている。著者は植物の分類が専門とのことで、桜の分類について詳細に説明している。桜には栽培品種があり、また多くの雑種・変種があるために分類が難しいという。分類に関する記述は、別の対象の分類を考える際に大いに参考になるだろう。

*****

さて、次は『虫や鳥が見ている世界 ―紫外線写真が明かす生存戦略』浅間 茂/中公新書。

この様なテーマには関心があり、類書も読んでいる(過去ログ)。書店でこの本を目にし、目次を見ることもなく、内容も確認しないで買い求めた。掲載されている写真は全てカラーで、本の用紙が上質で厚く、ページを繰りずらいことが少し気になるが、読んでいるうちに慣れるだろう。

虫や鳥たちも同じ世界に棲んでいながら見ている世界は全く違う。興味深い内容の本。しばらくはこの本の世界に浸ろう・・・。 


 


「フェルメール 光の王国展」

2019-05-17 | A あれこれ



■ フェルメールの作品の画像素材を最新技術により、再創造(リ・クリエイト)した作品を展示した「フェルメール 光の王国展」が6月2日までの会期でアイシティ21で開催されている。同展は2012年に東京で開催されていて、その時に鑑賞しているが(過去ログ)、先日(11日)出かけてまた鑑賞してきた。


「窓辺で水差しを持つ女」 写真撮影可能な会場内で撮影した。

フェルメールの作品(全37点 *1)の大半は室内画で、掲載画の「窓辺で水差しを持つ女」*2 のように左に窓があり、外光が室内に射し込んでいる。最も有名な作品で、チケットにも採用されている「真珠の耳飾りの少女」も左からの光。

ただし「赤い帽子の女」(右向き)、「レースを編む女」(右向き)、「ギターを弾く女」(左向き、ただし体は右向き)は右側から光が人物に当たっている。「眠る女」は左右どちらからか、判然とせず、正面から光が当たっているようにも見える。

右利きの人が犬や猫を描けば、頭が左に、しっぽが右になり(お試しあれ)、横顔を描けばチケットの絵のように左向きになる(*3)。となると、左からの光が自然だろう。フェルメールの絵の自然な構成は脳が受け入れやすい(たぶん)。受け入れやすい絵に脳は、いいね!という反応をするだろう・・・。全作品が載っているリーフレットを見ていて、こんなことを考えた。

人物写真にも同じことが言えるだろう。ポートレートの顔は少し左向き(撮影者からみて)と覚えておこう。光も左から、でもないかな・・・。紙幣の人物もやはり少し左を向いている。


*1 真贋定まらない作品もあり全作品数は確定していないようだ。 
*2 作品のタイトルは本展で配布されたリーフレットによる。
*3 「ヴァージナルの前に立つ女」(左から光)、「赤い帽子の女」(右から光)、「レースを編む女」(右から光)は右向きの女性を描いた作品。


梯子乗り

2019-05-17 | A あれこれ

■ 5月12日の午後に飯山市の飯山小学校グラウンドで行われた飯山市消防団の梯子隊による梯子乗りを見てきた。しばらく前に新聞で最後の観閲式だと知り、是非見たいと思った。この日が最後となったのは団員の減少などにより、継続が難しくなったから、とのこと。


飯山小学校のグラウンドで行われた梯子乗り











消防団員や地域の人たちが大勢見守る中、5人の団員がそれぞれ違う技を次々披露した。上掲写真はその様子。




まとい 右から栄村、野沢温泉村、木島平村、山ノ内町。左の瑞は飯山市にある瑞穂地区のものだと思う。







1191 飯山市静間の火の見櫓

2019-05-15 | A 火の見櫓っておもしろい


1191 飯山市静間 4脚8〇型 撮影日190512

■ 電線が邪魔。電柱も火の見櫓も道路沿いに建てられることが圧倒的に多いので、こんなことになってしまう。





この写真では分かりにくいが(撮影方向が悪いから)、正面(道路側)のみ開口が確保され、櫓内部に出入りできるようになっている。ここはやはり脚としてのデザインをして欲しい。


12日に出合った火の見櫓は11基。本稿でそれら全ての紹介終了。