透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

サピア・ウォーフの仮説

2006-06-30 | A あれこれ
「サピア・ウォーフの仮説」という興味深い仮説があることをごく最近知った。あることについて検索していたのだが、その関連でヒットした。都合よくこの仮説を解釈すると、言語が世界の見え方を規定する、別の表現をすれば認識の仕方を規定するという仮説で、言語(言葉)に無いものは知覚されないというもの。

これは、知性と感性とによってものは知覚、認識されると私がこのブログに書いてきたことと同じ内容ではないか・・・。知性と言語は、同義と考えて差し支えない。 但し、感性によって知覚されるということについてはどうなんだろう。言語化されていないことの知覚、このことについてもこの仮説は触れているようだ。

アメリカの二人の研究者によって唱えられた説のようだが、欧米人は日本人のように、例えば虫のなきごえを「いいな!」と感ずるような感性による知覚、認識は難しいようだから、言語、換言すれば知性に偏った説になったのかも知れない。 きちんとこの仮説について調べたわけではないので理解がまだ浅い。テキストを探して勉強してみたい。 

虹を見る

2006-06-27 | A あれこれ
しばらく前に友人がブログに「虹が見えた」ことを書いていた。虹は気象条件が整えば出現するが、その虹が見えるためには更に条件が付加される。都心部ではビルなどに視界を遮られてしまって虹が見えないことも少なくないだろう。だからビルとビルの間に虹が見えたとなるとなんだかハッピー!という気持ちになるのも頷ける。

きれい! 虹をそう見るのは感性による知覚だが、虹を七色と見るのは知性による知覚だ。虹は空気中の細かな水滴によって太陽光が分光された結果出現するもので、色は連続的に変化していくから無数にあるはずだ。それを便宜的に七色と「みなしている」に過ぎない。虹は七色という知識によってそう知覚しているだけなのだ。

七色を赤橙黄緑青藍紫(せきとうおうりょくせいらんし)と教わった。もし藍という名前がなくて六色と教わっていれば、六色しか「見えない」はずだ。 前に建築に限らず「もの」は知性と感性とによって受容されると書いたが虹はそのことを示す好例だと思う。

繰り返しの美学

2006-06-26 | B 繰り返しの美学
○持送り 鎌倉にて路上観察    

持送り: 外壁から外に突出した部分を受ける支え板のこと。機能的には単純な三角の板で事足りるが、このようにかなり装飾化されたものが多い。モチーフにも様々な種類がある。雨戸の戸袋の側板を持送り状にしたものなども見かけることがある。 同じデザインのものを繰り返し使うと美しい、と繰り返し書く。

なんだか寂しい・・・

2006-06-25 | A あれこれ
○国立駅(060625) 

すっかり様変わりしてしまった国立だけれど、君は昔と変わらず凛としていた。もう一度会いたい・・・、そう思って来てみた。

20代の頃、僕は毎日君と会っていた、10年間も。 松本の街から、常念岳が見える。その山容がなんだか君に似ている、僕は前からそう思っていた。似ているのは三角の形だけではない。常念はこの地方のシンボル、そして君は国立のシンボル。そういう象徴としての意味合いまで似ている。山の姿を是非君にも見て欲しい。今度写真を撮って送るから・・・。

それにしても君がまもなく姿を消してしまうかも知れないなんて。僕の懐かしい思い出まで消えてしまいそうで、なんだか寂しい。

約束

2006-06-23 | A 読書日記

○秀作を聴く(060623) 

**「約束を忘れなかったのか」「忘れるもんですか」 激しく、ほとんど叫ぶようにお蝶は言った。「一日だって、忘れたことはなかったのよ」**

藤沢周平の『橋ものがたり』新潮文庫は江戸の橋を舞台とする出会いと別れのものがたりだ。

橋は川によって分断されているふたつの土地を結ぶ、そして人の心も・・・。 この短編集に収録されている「約束」をCDで聴いた。朗読は倍賞千恵子さん。

幼なじみの幸助とお蝶。奉公に出ることになったお蝶が幸助を仕事場に訪ねてくる。

**「五年経ったら、二人でまた会おう」(中略)「どこで?」「小名木川の萬年橋の上だ。お前は深川から来て、俺は家から行く。 そして橋の上で会うことにしよう」**

五年後・・・お蝶を待つあいだ、幸助は考える。五年前の約束だ。お蝶が覚えているとは限らない・・・。今ごろ知らない男の女房になっているかも知れない・・。 約束の時刻を三時間も遅れてお蝶が幸助の待つ橋の上に現れる。そして、冒頭の台詞。さすが女優の倍賞さん、上手い。「約束を忘れなかったのか」のあと、「忘れるもんですか」と涙声で叫ぶ。この台詞にぐっときてしまった。目頭が熱くなり、涙、涙・・・。この手の話にはとにかく弱い。

手元にはもう1枚、『静かな木』がある。藤沢周平晩年の作品。2枚のCDを貸してくれた友人によると落語家 柳家三語楼の朗読がなかなかいいらしい。深夜、静かに聴こう。

本と建築

2006-06-22 | A 読書日記
○最近の本 最初の本(060622)

本格建築家で、本書く建築家の代表の二人、黒川紀章と宮脇檀。

『情報列島日本の将来』第三文明社は1972年の発行、この年黒川さんは38歳。たぶんこれは私が一番最初に読んだ建築家の著した本だ。

カバーの折り返しにはこうある。**人間環境の将来は、ハードな部分を占める個々の建築物よりも、それらをつなぐコミュニケーション、交通、エネルギーといったソフトな情報的部分が、より重要になると予想する(中略)ユニークな情報空間論。**

今から34年前黒川さんはこう予想していた。さすがと言うほか無い。パラパラとページを繰ってみると、文章のあちこちにサイドラインが引いてある。懐かしい本。

『最後の昼餐』新潮社 友人に教えてもらって、書店に注文した本。伝票の書名欄には「最後の晩餐」と書いてあった。美大卒の根津りえさんのカラーのイラストがなかなかいい。私が最近読んだ、建築家の書いた本。

黒川さんは既に100冊以上の著書があるらしい。宮脇さんが何冊くらい本を出したかは分からないが、文章のうまい方だった。何冊か文庫になっている。

二人とも優れた建築作品を設計したけれど、初期の作品の中には既に解体されてしまったものもある。黒川さんの先の本はもうとっくに絶版になってしまっただろう。

この国では、優れた建築や本でも寿命が短い。建築や本の寿命の長短は、国の文化度をはかるものさしとして有効かも知れない・・・。

国立駅舎の保存困難に

2006-06-21 | A あれこれ
今朝の産経新聞に「国立駅舎 保存困難に」という見出しの記事が載っていた。JR中央線の高架化工事に伴って駅舎が取り壊されるかもしれないということは以前から知っていた。駅舎の保存運動が起こっていたことも。

**市は、文化財として現駅舎を残すことを希望しているため、最終方法として、JR東日本からは曳き家の再考を提案されました。現在、曳き家について実現できるよう、関係者と協議しております。**国立市のHPにはまだこのように書かれているのだが・・・。

曳き屋に必要な補正予算が市議会で承認されなかった、と今朝の新聞は報じていた。 急勾配の赤い屋根と三角形の壁面、半円形をした大きな窓が特徴的なこの美しい駅舎が消えてしまう・・・。この駅を起点として3本の通りが放射状に延びている。その要の駅舎はこの街のシンボル、ランドマーク的な存在だと思うのだが。

国立市はしばらく前に高層マンションが景観を損なうとして、住民が訴訟を起こしたところ。景観や建築文化の保全にも関心を寄せる住民が多いのだろうが、なんとも残念な結果だ。

人が過去の記憶を失ってしまうこと、都市が過去の記憶を失ってしまうこと、どちらもとても悲しいことだと指摘する人も少なくないが、どうやら欧米に比べて後者を深刻なこととして受けとめることが社会的には少ない傾向のようだ。いとも簡単に都市の記憶を消し去ってしまう。

東京駅や奈良駅のように取り壊しを免れた駅舎もあるが・・・。 もはや、国立駅舎の保存は、サッカーで日本がブラジル戦に勝利するより難しいかもしれない。せめて、新しい駅舎には現在の国立駅舎の記憶を少しでも継承するような配慮をして欲しい。

○取り壊される前に写真を撮るつもり。

暖房費ゼロの建築

2006-06-20 | A あれこれ

△ 無暖房建築(060615)    

△ 躯体の厚さ15cm、断熱材の厚さ30cm

しばらく前にスウェーデンの建築家 ハンス・エーク氏の講演を聴く機会がありました。冬期間、暖房用エネルギーを使わない住宅、いわゆる「無暖房住宅」の紹介でした。

最近日本でもこの「無暖房住宅」の研究が進み、施工事例が雑誌などに紹介されるようになりました。 先日、茅野市内で現在建設中の「無暖房建築」を見学してきました。地域密着型小規模多機能介護サービス施設で、鉄筋コンクリート造、2階建て。写真には鉄骨が写っていますが、小屋組みだけ鉄骨造です。この規模の無暖房建築はいままで日本では建設されておらず、この施設が最初の実施例とのことでした。

躯体の外側の白い断熱材の厚さは30cm、一般的な建築の断熱材の厚さは5cmくらいですから6倍の厚さです。尤も北海道ではもっと厚い断熱材(10cm位でしょうか)が普通に使われているようですが。窓はトリプルガラス入りのプラスチック製サッシとペアガラス入りのアルミと木の複合サッシを場所によって使い分けています。

建物の断熱性能を高くすることで冬期間、人や家電製品、調理機器などから発生する熱を屋外に逃がさないようにしています。また換気によって熱が屋外に逃げないように効率のよい熱交換換気設備を設置しています。これで暖房用のエネルギーが不要!になるというわけです。

厳寒期、外気温がマイナス10℃位になっても室温は20℃位に保たれるそうです。但し夏季の冷房用設備は必要です。熱負荷が軽減されますからそれほど能力の高い設備は必要ないでしょうが。

イニシャルコスト(建設費)がアップしますがランニングコスト(暖房代)がかかりません。この施設の場合、確か10年位で建設費の増加分を回収できるとのことでした。

化石エネルギーの枯渇などを考えると、このような「無暖房建築」が標準仕様になる日も遠くないかも知れません。 この断熱材をつくる過程でどのくらいエネルギーを消費するのか、将来解体する際に、きちんと処理できるのかなどについては気になるところです。

完成時にまた見学会が開催されるそうですから、これらの点を確認したいと思います。

2006-06-19 | A あれこれ

○町名の由来(060610) 

先日文庫本を購入した際、店員さんがしおりをはさんでくれました。コマクサの写真のしおりです。コマクサといえば、高山植物の中でもポピュラーな名前。しおりの裏にはこんな説明が・・・。

**ケシ科。北海道と本州の中部以北の高山の砂礫地に分布する。花期は七~八月。つぼみが馬の顔に似ているのでこの名がある。**

名前をつけた人はこの可憐な花を見て馬(駒)の顔をイメージしたんでしょうね。 名前の由来を知ってしまうとなんだか興ざめです。

以前、合併でできた市町村の新しい名前について、その意味をきちんと説明しておくべきだと書きました。地名も文化だと思うからです。説明するような理由は特にありません、ではさみしい。

松本の旧町名の由来を説明する石碑が市内にいくつかあります(写真)。貞享3年に起きた貞享義民騒動、多田加助ら一揆の首謀者の赦免状を携えて江戸を発った鈴木伊織、彼の乗った早馬がこの辺で骨折してしまって、処刑に間に合わなかった・・・。

駒町という町名は、この悲劇を負っています。旧町名があまり使われなくなってしまったこと、これも文化の喪失、そう思います。

今夜はもう一つ駒について。「ひょうたんから駒」を私は長い間「ひょうたんから独楽」だと思っていました。 あ~らら。

法隆寺の謎を解く

2006-06-18 | A 読書日記

 今夜はサッカー、クロアチア戦。夜はブログが書けないから、朝書いておこう。

世界最古の木造建築、法隆寺には謎が多いらしい。例えば、焼失して再建されたのかどうか。このことについて、論争が続いていたらしいが、発掘調査などにより今日では再建説で決着しているようだ。

『法隆寺の謎を解く』武澤秀一/ちくま新書   書店に平積みされていた。

この手の本を見つけるとうれしい。創建当時の法隆寺は塔や金堂などの伽藍配置が縦一列だったことが発掘調査で分かっている。ところが再建されて今日に残る法隆寺では金堂と、塔が横に並んでいる。縦から横へ配置を変えたのは一体何故か。そこには一体どんな意図があったのか・・・。

そういえば「前方後円墳」について松本清張は□と○が前後ではなく横に並んでいると捉えるべき、と唱えていたと何かで読んだ。縦と横の配置上の違い、この意味は大きい。

著者は法隆寺の中門の中央に柱があることにも注目して、伽藍配置の変更の謎について空間論的な視点も取り入れて解釈を試みている。その結論はここには書かない、推理小説の犯人やトリックを書いてしまうのと同じ事になるから・・・。

それにしても、法隆寺の中門だけが何故、中央に柱があるのか。梅原猛や伊東忠太ら、多くの人たちが唱えるいくつかの説を紹介しているが、著者の説は私を十分に説得してくれた。

縦から横への変更についての見解にも説得力があって、なるほど!と納得した。歴史ミステリーに関心のある方にはおすすめの一冊。

オーストラリア戦はアサヒで×だった、今夜はキリンで応援しよう!


もっとコロッケな日本語を

2006-06-18 | A 読書日記
『もっとコロッケな日本語を』東海林さだお/文春文庫 漫画とエッセイ、ふたつの分野で活躍しているショージさんのユーモアあふれるエッセイ集。タイトルに惹かれて購入。収録されているどのエッセイも面白い。

○ドーダの人々「ドーダ!」の自慢話をする人たちの観察記。銀座のクラブには、「ドーダの人々」が集まって「ドーダ博」が開催されている、とショージさんは書く。飲食費がべらぼうに高いから、功成り名遂げた人しか入場できない、とショージさんは続ける。客の一人が自慢話をして、「ドーダ」、もう一人の客が「こんなドーダは、ドーダ」と応じる・・・。

○野菜株式会社 リストラ篇会社の役員がカボチャやジャガイモ、モヤシなど野菜社員をリストラするために会議を開く。会議で交わされる会話の記録。

モヤシ役員A モヤシというのはどうかね。
役員C 日陰で育ったんだろ。
役員D 体弱そうだよね。
ニラ役員D あれ、日もちしないよね。社長  レバーなんかとイチャイチャすんじゃねーよ。
キュウリ役員E 栄養とかあるのか、おまえは。
役員C ワカメとキュウリの酢のものくらいでいい気になるんじゃねーよ。
社長  おいしいけどね。 

*以上本文から適宜省略して引用。 ○青春の辞典これはここには書けないな~。放送コードじゃないや、なんていうのかな・・・ 何とかに触れる・・・書店で手にとってみて下さいな。 それにしてもショージさん、本いっぱい出してるナ~ッ!

深志教育会館

2006-06-17 | A あれこれ

 
①施設外観  コンクリート打放し撥水剤塗布仕上げ

松本深志高校創立130周年記念事業で計画されたという「深志教育会館」、設計者は同校OBの建築家 柳澤孝彦さん。 


②ホール内観 

注目は天井。鉄骨と木のHPシェル・トラスとでも表現 したらよいか・・・ 天井の仕上げについて、知人と意見を 交わした。  設計者の柳澤さんが小さく写っている(右)。  設計意図、設計プロセスについて講義をしていただいた。 このホールは二枚の可動間仕切り壁によって分割すること ができ、講演会場やコンサートホール、自習室など多様な 用途に対応できるという。


③ホワイエから 屋外を見る 

大開口とコンクリートの庇、 事務室の横長の窓 砕石敷きの外構。  いずれも柳澤さんが好んで使うボキャブラリー。 外断熱した外壁、仕上げの羽目板は唐松と聞いた。 


④ホール上部 開口部の外の壁柱、これも柳澤さん好み。


読書に疲れた時の読書

2006-06-16 | A 読書日記
○山根さんのエッセイ集 (060616)

NHKアナウンサーの山根基世さんのエッセイ集。

『であいの旅』毎日新聞社を読んだのは1988年のことだ。帯の文字が読みとれるが、これは山根さんの最初のエッセイ集。 先日『ことばで「私」を育てる』講談社文庫を書店で手にして、迷うことなく購入した。実に18年ぶりに山根さんのエッセイを読んだ。 仕事柄、ことばに関心を寄せ、ことばを大切にしている山根さんのことばにまつわるエッセイ集。

ブログを書くようになって、「!」なところなどに付箋をつけるようになった。 読書に疲れた時の読書には、やはりエッセイがいい。