透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

「オクトパシー」

2018-07-29 | E 週末には映画を観よう

週末には映画を見よう

■ 007シリーズ「オクトパシー」をレンタルDVDで観た。オクトパシーを英単語で表記すれば、このタイトルの別の卑猥な意味が分かるが上品なブログ故、控える。いや載せる、「OCTOPUSSY」。

ドイツのベルリン(まだ「壁」が撤去される前のこと)のアメリカ空軍基地で行われているサーカスで、人間ロケットの発射装置に本物の核爆弾をセットして爆発させようと考えたソ連の軍人・オルロフの陰謀。アメリカ空軍基地で起きた核爆発なら、ソ連の軍人が仕掛けたなど疑われることは無い。彼はこれをきっかけにヨーロッパ支配を目論む強硬派の将軍。

彼はインドの王族・カマルと手を組んで、クレムリンの宝石を偽物とすり替えてバレないように偽装し、本物をサーカスを隠れ蓑に密かに西側に流していた。サーカスを主宰するのがカマルの愛人・マグダで、今回のボンド・ガール(以上、間違っていないと思うが・・・)。

ハラハラ・ドキドキは小型飛行機をボンドが馬で追いかけて離陸する瞬間に乗り移り、空中で格闘するシーンや列車の屋根の上でのアクション。でもピエロのボンド、ヒッチハイクするボンド、観光船に助けられるボンド、今回は情けないボンドという印象の方が強く・・・。で、結局これってB級コメディという評価。ラストのは今回も船上。




 


「世界の路地裏を歩いて見つけた「憧れのニッポン」」

2018-07-25 | A 読書日記



 『世界の路地裏を歩いて見つけた「憧れのニッポン」』早坂 隆/PHP新書を読む。世界各国の人たちは日本を日本人をどう見ているか。著者が世界各国で触れあった人たちのニッポン像にも触れる紀行エッセイ。

**「日本? 行ってみたいけど、絶対に無理だろうな。僕はマンホールからも出られないんだから。日本なんて夢の国だよ。僕だって日本みたいな豊かな国に生まれたかった」**(40頁)モンゴルの12歳の少年の言葉

**「日本か。素晴らしい国なんだろうな。まるで夢の国みたいだ。(中略)日本で働けたらどんなに幸せだろう。世界は不公平だね」**(61頁)ルーマニアの19歳の青年の言葉

**「日本の首都は東京だよね。東京は道路が五重六重にも交差していて、そこをピカピカのホンダやトヨタが走っているんだ。テレビで観たことがあるんだよ」(中略)「僕は日本に生まれたかった。なぜこんな国に生まれてしまったんだろう」**(65、66頁)ルーマニアの18歳の青年の言葉

**東日本大震災の際、ヨーロッパ諸国の中で最も素早く日本への支援を開始したのがセルビア共和国だった。**(120頁) なぜ?
**ユーゴ紛争時の日本による支援への恩返し**(120頁)



本書で取り上げている国は写真の通り。


 


大暑

2018-07-23 | A あれこれ


撮影日180723

 今日は二十四節気の大暑。熊谷市で国内観測史上最高の41.1℃を観測したそうな。今朝ラジオで聞いたが、この暑さは太平洋高気圧にチベット高気圧が重なっていることが原因なんだとか。これって、掛け布団を重ねたようなもの? 


 


防火貯水槽の蓋

2018-07-19 | B 地面の蓋っておもしろい


撮影日180719 木曽郡木祖村小木曽(漢字表記は木曽村ではなく木祖村)で見かけた道路上の防火貯水槽の蓋

 この蓋のデザインはなかなか好い。 蓋の外周に並ぶパターンは「火」という漢字をデザインしたようにも見えるが、防火貯水槽の蓋に火はないだろう。では何をモチーフにしたのだろう・・・。


 


あっ 本当だ

2018-07-18 | D 切手

■ 時々読んでいるある方のブログに今年の年賀状のお年玉切手シートのことが載っていました。で、早速今年のお年玉切手シートを取り出して確認してみました。お年玉の引き換え期間は昨日(7月17日)までです、念のため。

この切手シートを見て何か気がつくことがありますか?

切手周囲の穴(切り取るための穴の名前、何て言うのでしょうね *1)に注目。

それぞれ1ヶ所骨の形になっていますね。犬が銜えている両側が握りこぶしのような形の骨、よくマンガで描かれますよね。


*1 周囲に入れられる連続した小穴を「目打(めうち)」ということを知りました。



松本清張短編全集

2018-07-17 | A 読書日記

 1 西郷札  180622
 2 青のある断層 180716
 3 張込み 180328
 4 殺意 180711
 5 声 180318
 6 青春の彷徨 180531
 7 鬼畜 180630
 8 遠くからの声 180707
 9 誤差 180317
10  空白の意匠 180608
11  共犯者 180320

松本清張短編全集全11巻読了 満足 


 


清張作品のタイトル

2018-07-14 | A 読書日記



■ 松本清張短編全集全11巻を読んできたが、あと1巻『青のある断層』を残すのみとなった。

この巻に収録されている推理小説研究家・山前 譲氏の「松本清張と人生」には松本清張が19歳の時に印刷所の見習いになり、広告図案に興味を覚えたこと。1940年(昭和15年)に朝日新聞小倉支社の広告部の嘱託となり、2年後に正社員となったこと。デザイン関係の展覧会を愉しんでいたことなども記されている。

松本清張は今でいうグラフィックデザインに興味があったのだ。作品のタイトルにもこのことが表れていて色や幾何学的な用語をタイトルにしたものが少なくない。本巻のタイトルには「青」がついているし、この作品は画家、というか画業がテーマだ。若い人妻に思慕する参謀長と軍医が相争うという、本巻収録作品のタイトルは「赤いくじ」。

「黒い樹海」「黒の回廊」「黒い福音」「黒革の手帖」など、清張のイメージカラーとも言われる「黒」がタイトルに使われている作品は多い。「蒼ざめた礼服」「黄色い風土」「赤い氷河期」「白と黒の革命」「白い闇」等、色がタイトルに使われている作品が挙がる。

清張の代表作の「点と線」過去ログ 「ゼロの焦点」過去ログ をはじめ「球形の荒野」過去ログ 「渦」「偶数」などは幾何学的なタイトルだ。「蒼い描点」や「虚線の下絵」というタイトルはデザイン的だし、ずばり「空白の意匠」というタイトルの作品もある。

関心事は意識しないでも表に出てしまうものなのかもしれない。尚、松本清張はスケッチも上手かったし、写真も上手かった。


 


支柱 控え柱 つっかえ棒

2018-07-12 | A あれこれ

 学術用語であればきちんとした定義があり、使い分けができるだろう。だが、日常的に使われる言葉には明確な定義が無く、違いがよく分からないことが少なくない。タイトルに挙げた支柱・控え柱・つっかえ棒、これらの言葉の違いを明解に説明できるだろうか・・・。

控え柱とつっかえ棒の違い。控え柱もつっかえ棒も工作物(場合によっては建築物)の転倒防止のために設置されるもの。両者の違いは、控え柱は建設当初から設置されているのに対し、つっかい棒は工作物(建築物)の転倒を危惧して後から設置した仮設的なものというイメージ。このふたつの言葉について知人に訊くと、同じではないかという答え。

最近控え壁という言葉を見聞きして、控え柱(単に控えとも言う)という言葉があることに気がついた。火の見梯子の場合、建設当初から設置していたと思われるものでもつっかえ棒、あるいはステーと書いていたが、上記の理由から控え柱に改めた。

支柱と控え柱の違い。支柱は荷重を支える主たる柱、控え柱・つっかえ棒は支柱の傾き、転倒を防ぐ補助柱というのが私の理解。支柱は垂直に立っているというのが同知人の見解だが、斜めの支柱もあるのでは。

支柱・控え柱・つっかえ棒については今のところこのようなイメージ。このイメージを示す写真を撮りたい。それから、支柱・控え柱・つっかえ棒の違いを言葉で明確に説明したい。


 


「白い闇」

2018-07-10 | A 読書日記



 松本清張短編全集 第4巻『殺意』を読み始める。

収録作品の「白い闇」は北海道に出張したまま失踪した夫を捜す妻が主人公の推理小説。松本清張の代表作「ゼロの焦点」(過去ログ)も失踪した夫を捜し、夫の過去を知ることになる結婚間もない妻が主人公。両者ストーリーは当然違う。だが漂う雰囲気は似ていなくもない。

「白い闇」には事件に深く関わる田所常子という女性が出てくる。田所という名前は別の清張作品にも出てきていたような気がする。「ゼロの焦点」ではなかったか、と思い調べてみたが違っていた。田沼久子という女性だった。田所という名前の女性が出てくるのは「砂の器」、主人公の和賀英良の婚約者が田所佐知子という名前だった。

「砂の器」については何回か書いているので繰り返さない(過去ログ)。この作品は映画化(1974年)されたが、田所佐知子を演じたのは山口果林だった。ちなみに和賀英良を演じたのは加藤剛さんだった。

その加藤さんが先月亡くなったことを新聞が報じている。**野村芳太郎監督の「砂の器」では、暗い過去を隠して自らの立場を守ろうとする天才作曲家を熱演し、代表作となった。**(0710付信濃毎日新聞朝刊第二社会面) 謹んで哀悼の意を表します。 


 


「遠くからの声」

2018-07-08 | A 読書日記

 松本清張短編全集 全11巻を読んでいる。既に9巻読み終え、残すところあと2巻となった。第8巻『遠くからの声』を読み終えたが、収録されている8作品では「いびき」と「一年半待て」がおもしろかった。

「いびき」

**「仙太、おめえのいびきは娑婆にいる間は泰平だがの、いったん牢にへえったら、無事にはすまねえぜ。」**(129、130頁)
**「いびきの高え奴も同じこと。おれの知った奴ぁ、ただの一晩でうるさがれて、あくる朝は仏さまに早変わりよ。(後略)」**(131頁) 仙太はつまらぬことから博打うちを一人殺し、牢屋入りに。一晩でも無事に牢屋の中で過ごせるかと思うと気が気ではない。

奉行所の判決で三宅島遠島となり、仙太は喜ぶ。いびきがうるさいからといって殺されることはない。三宅島では平穏な日々が続く。だが半年後・・・。

「一年半待て」

裁判の一時不再理、判決の確定したものに対しては、あとで被告に不利な事実が出てきても裁判のやり直しはしない。このことを逆手に取った女。夫に嫌気がさし、別の男に好意を抱いた女がしたこととは・・・。


松本清張は発想力・構想力に秀でた作家だった、と思う。


「ユア・アイズ・オンリー」

2018-07-08 | E 週末には映画を観よう

週末には映画を観よう

■ 今朝(8日)1981年公開の007シリーズ「ユア・アイズ・オンリー」を観た。

漁船を装ったイギリスのスパイ船がアドリア海(たぶん)で活動中、機雷で沈没。この船にはミサイル誘導装置・ATACが搭載されていたから、さあ大変。イギリスは海洋学者にATACの引き上げを依頼するも学者夫婦は作業中に銃殺されてしまう。そこへソ連が出てきてATACを入手しようとする。で、ボンドにATAC回収指令が。

ボンドガールのメリナは海洋学者の娘で超美人。彼女は殺害された両親の復讐を誓っている。ボンドと出合ってその日にというお決まりの流れにならないところが好い。また、ボンドに一目ぼれした女の子(オリンピックで優勝を目指すフィギュアスケートの選手)の誘惑を無視するところも好い。

例によってカーチェイスあり、スキーチェイスあり。加えて本作はロッククライミング、海中アクションまである。CGを多用する昨今の映画界だが、これらは、スタントの演技による実写だから凄い。

ロジャー・ムーアが演ずるボンドのドタバタ喜劇的と書けば書き過ぎかな・・・、そんな作品も好きだが、本作はそのようなテイストが無い。

ミッション完了後、ボンドはイギリスのサッチャー首相(本当によく似ていた)のお礼の電話を無視、メリナと


 


火の見櫓が出てくる文学作品

2018-07-06 | A 読書日記



 久しぶりの朝カフェ読書。松本清張短編全集8『遠くからの声』に収録されている時代ミステリーの「左の腕」を読んだ。

**卯助はいつものようにおあきに途中まで送られ、油堀を渡って裏長屋のわが屋に帰った。陽気がよくなったので寒くはない。彼は手拭いをさげて夜風に当てられながら、少し歩いたが、途中から足を変えて、火の見櫓の下を通って、少し遠い熊井町の亀の湯に行った。**(115頁)

お! 松本清張の作品にも火の見櫓が出てきた。 熊井町は江戸深川の町だ。

火の見櫓は島崎藤村の『夜明け前』(過去ログ)や 宇江佐真理の髪結い伊三次捕物余話「心に吹く風」の2編目の「雁が渡る」(過去ログ2)、北杜夫の代表作『どくとるマンボウ青春記』(過去ログ3)などにも出てくる。漱石の作品にも出てきたような気がするが確認出来ていない、勘違いかも知れない。


 追記 『硝子戸の中』に出てきていた。



買物らしい買物は大抵神楽坂まで出る例になっていたので、そうした必要に馴らされた私に、さした苦痛のある筈もなかったが、それでも矢来の坂を上って酒井様の火の見櫓を通り越して寺町へ出ようという、あの五六町の一筋道などになると、昼でも陰森として、大空が曇ったように始終薄暗かった。(新潮文庫 51頁)


 


「日本の醜さについて」

2018-07-06 | A 読書日記



■ 『日本の醜さについて 都市とエゴイズム』井上章一/幻冬舎新書を読む。

日本人は集団主義的で協調性があり、欧米人は個人主義的だという指摘は都市の景観には全く当て嵌まらない。欧米の都市景観は「和を以って貴しと成す」という協調性に支えられ、日本の都市景観は極めて個性的な建築から成り、協調性は認められない。前記の対比は逆転しているという、なるほど確かにと納得できる指摘。もっとも最近、ヨーロッパにも既存の都市景観に協調しない個性的な建築が出現しつつあるが・・・。

**『京都ぎらい』の著者による、言ってはいけない日本人論!**(帯より引用)


 


1024 控え柱

2018-07-04 | A 火の見櫓っておもしろい


1024 南巨摩郡早川町





 大阪北部地震(180618)で高槻市の女子児童が倒壊したブロック塀の下敷きになって亡くなった。この事故以降、控壁の無い建築基準法違反のブロック塀が時々メディアで取り上げられている。

建築基準法施行令第62条の8にコンクリートブロック造の塀に関して次のような規定がある。
第1号 高さは2.2m以下とすること。
第2号、3号、4号 省略
第5号 高さ1.2mを超える塀には長さ3.4m以下ごとに、径9mm以上の鉄筋を配置した控壁で基礎の部分において壁面から高さの1/5以上突出したものを設けること。
第6号、7号 省略

控壁から「控柱」という言葉を思い出した。そう、控柱! 今までバックステーとしてきたが控柱に改める。ただし表記は控え柱とする。

この火の見櫓は柱2本の梯子型に手すり兼用の「控え柱」を2本設置している。 こちらに背を向けて梯子を登り、見張り台でこちら向きになって半鐘を叩くことになる。

赤はモダンな印象を与える。