透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

年越し本「復活の日」

2020-12-27 | A 読書日記

320

『みすゞと雅輔』松本侑子(新潮文庫2020年)は500ページを超える長編伝記小説だから、年越し本になるだろうと思っていたが、読み終えてしまった。それで昨日(26日)年越し本を求めて長野道安曇野インター前のスワンガーデンにある平安堂あづみ野店まで出かけた。松本駅近くにある丸善に行きたいところだが、車の場合には不便だ。

平安堂あづみ野店では文庫を出版社別ではなく、作家別に並べている。あ行の作家から順番に見ていき、か行で小松左京の『復活の日』が目に入った。角川文庫とハルキ文庫のどちらにもこの作品があり、どちらを買おうか迷った。

定価は角川文庫が760円+税、ハルキ文庫が800円+税だが、ハルキ文庫を買うことにした。用紙は角川文庫の方は白く、ハルキ文庫は少し黄みを帯びている。読みやすいのはハルキ文庫の方、紙質は大事だ。

ハルキ文庫にした理由はもうひとつ、解説を渡辺 格氏が書いていること。渡辺氏は分子生物学者で、私は『人間の終焉』(朝日出版社1976年)と氏が翻訳を担当した『偶然と必然』J.モノ―(みすず書房1973年第4刷)を昔読んでいる。

 

『復活の日』は1964年に発表された長編SF小説。カバー裏面には次のような紹介文が載っている。**MM-八八菌(*1) ― 実験では、摂氏五度で異常な増殖をみせ、感染後五時間で九十八%のハツカネズミが死滅! 生物化学兵器として開発されたこの菌を搭載した小型機が冬のアルプス山中に墜落する。やがて春を迎え、爆発的な勢いで世界各地を襲い始めた菌の前に、人類はなすすべもなく滅亡する・・・・南極に一万人たらずの人々を残して。人類滅亡の恐怖と、再生への模索という壮大なテーマを描き切る感動のドラマ。** 

類書にマイクル・クライトンの『アンドロメダ病原体』があるが(過去ログ)、『復活の日』の巻末に収録されているインタビュー記事で、小松左京が両作品の関連性について、面白いことを語っている。

この作品は年明けも読み続ける年越し本になるだろう。


 


火の見ヤグラー この一年

2020-12-27 | A 火の見櫓っておもしろい

 世界を覆い尽くしたコロナ禍、その影響は広く個々人の生活にまで及んでいるが、私の火の見櫓の広報活動にも影響が出た。



□ 4月12日(日)に実施される予定だった「BOOK×TRAIN 走る!しましま本店」、各地から10組+αの本屋さんが集まり、おすすめの本300冊余りを乗せた特別列車が上高地線の松本と新島々の間を一往復する! という企画がコロナ禍の影響で中止(延期?)となった。

この企画では列車内にパソコンを持ちこみ、普段は案内用に使われている車内の画面に映像を写して、火の見櫓講座をすることになっていた。実現すればよかったと思うけれど、リハーサルだけで終わってしまった。7月に松本市内で予定されていた火の見櫓講座も中止になった。


□ 秋に安曇野市豊科のカフェ2店を会場に火の見櫓のある風景 スケッチ展を開催させていただいた。BELL WOOD OFFEE LABの会期は9/30~10/25、野田園 カフェギャラリーお茶の間は10/28~11/15だった。

BWCLでは芳名カードに記載された方だけでも100名を超えていた。私の知り合いだけでなく、多くの方に観ていただいた。また、両店で火の見櫓講座を開催させていただいた。両カフェのスタッフの皆さん、お運びいただいた方々に改めて感謝申し上げたい。「ありがとうございました」


▲ BELL WOOD COFFEE LAB


▲ 野田園 カフェギャラリーお茶の間



▲ 会場のマルチメディアセンター

□ 11月20日(金)に朝日村社会福祉協議会主催の高齢者ふれあい学習で「火の見櫓の魅力」についてお話させていただく機会を得て、無事開催することができた。

当日は雨降りにもかかわらず、会場のマルチメディアセンターには30人もの方々が集まってくださり、中には『あ、火の見櫓!』を持参された方も。




□ 昨秋(2019年9月)自費出版した『あ、火の見櫓!』が日本自費出版文化賞に入選した。 11月28日に予定されていた表彰式はコロナ禍で中止に。

で、表彰状が送られてきた。代表理事の中山千夏さんと言えば、昔NHKテレビで放送されていた「ひょっこりひょうたん島」で博士の声を担当し、ヒット曲「あなたの心に」を歌った方だが、その方と友に私の名前が記された表彰状。長い人生にはこんなこともあるんだな~。



2020年はこの3冊

2020-12-26 | A ブックレビュー



 今年も残すところあと6日、本当に時の経つのは早い。読んだ本の中から、今年2020年の3冊を選んだ。


『桃太郎は盗人なのか?』倉持よつば(新日本出版社2019年)

倉持よつばさんが小学5年生のときに「図書館を使った調べる学習コンクール」で文部科学大臣賞を受賞した作品を書籍化したもの。

**桃太郎が、鬼が島に行ったのは、鬼の宝を取りに行くためだったということです。(中略)宝の持ち主は鬼です。鬼の物である宝を、意味も無く取りに行くとは、桃太郎は、盗人(ぬすっと)ともいえる悪者です。**(14頁) 福沢諭吉がこのように「桃太郎が盗人だ」と非難していることを知り、桃太郎を正義の味方だと思っていたよつばさんは、びっくり(私もびっくり)。

よつばさんは**桃太郎がどうして盗人だと言われているのか、そして、どうして鬼はいつも悪いと一方的に決めつけられているのかを調べてみたくなりました。**(7頁)と研究の動機を書いている。

それからがすごい。図書館の司書に桃太郎本探しのサポート受けて、桃太郎の読み比べをする。よつばさんはあくなき探求心から平成から大正・明治・江戸の本まで、なんと200冊以上の本を読む。

よつばさんは江戸時代の桃太郎は桃からではなく、おばあさんから生まれたことを知り(桃を食べたおじいさんとおばあさんが若返って、おばあさんが妊娠、桃太郎を出産したという回春型)、桃太郎が桃から生まれるのは明治以降ということを知る(果生型)。また、桃太郎が鬼が島へ行くのは、悪い鬼を退治するため、と理由付けがされたのは明治の後半(27年ころ)からで、それ以前は、鬼の宝を取りに行くためとなっていることを知る。それで福沢諭吉の「桃太郎盗人論」に納得する(私も納得)。文献調査の成果だ。

更によつばさんは鬼の正体に迫っていく。このプロセスが分かりやすく書かれていて興味深い。

この本にまとめられているのは研究論文と呼ぶにふさわしい論考だと思う。(2020.01.23の記事再掲)


『はやぶさ2 最強ミッションの真実』津田雄一(NHK出版新書)

はやぶさ2のメンバーは次々難局に直面する。**挑戦のレベルは絶望的に高かったが、メンバーはその状況を良い意味で楽しんでいた。探査機の運用は時々刻々重要な判断を迫られ、一つの間違いが大事故につながる。メンバーはそういうプレッシャーを常に感じながら、その状況を前向きな力に変えていた。(後略)**(256頁)

**あるプロジェクトメンバーが、はやぶさ2がリュウグウを離れるときに、次のような感想を漏らしました。「このミッションは誰もが『自分がいなければ成功しなかった』と思えるミッションだよなあ」私はその言葉に目頭が熱くなりました。**(268頁)

優れた組織(チーム)とはどんな組織か。組織としての意思決定はどのように行われたのか。組織論としても読むこともできるだろう。

*****

はやぶさ2は想定を大幅に上回る5.4グラムものサンプルをリュウグウから持ち帰っていた。多量のサンプルを分析して、どんなことが明らかになるのだろう。


『流れる星は生きている』藤原てい(中公文庫2008年改版)

「子供を死なせてなるものか」、という母親の執念。終戦直後満州から幼い子供3人を連れて日本に引き上げてきた藤原ていさん。藤原さんの我が子への深い愛情と生き抜くという強い意志に感動。人生の応援本。この本は2009年にも「今年の3冊」として選んでいる。子育てしている特にお母さんにおすすめの1冊。


 


ブックレビュー 2020.12

2020-12-26 | A ブックレビュー

320

 コロナ禍が全世界を覆い尽くしてしまった。年末年始は巣ごもり読書で過ごそう。12月のブックレビュー、読了本は新書4冊、文庫3冊。

『近代建築で読み解く日本』岩田秀全(祥伝社新書2020年)
建築に表された時代、建築という視点から近代日本の歩みを読み解く、という試み。「国会議事堂のてっぺんはなぜ“霊廟”になったのか」 興味深い指摘になるほど。

『日本文化の核心』松岡正剛(講談社現代新書2020年)
**これまでの日本であれば、グローバルスタンダードを独特のジャパン・フィルターを通して導入していたはずのものが、西洋の政体と思想と文物をダイレクトに入れることにしたとたん、つまり「苗代」をつくらずに、フィルターをかけることなく取り込もうとしてしまったとたん、日本は「西欧化」に突入することになったのです。**(56頁)
ざっくりとしたこのような分かりやすい括り方は好きだな。

『実践 自分で調べる技術』宮内泰介・上田昌文(岩波新書2020年)
タイトルに「実践」とついているように、調査研究における資料の探し方、活かし方を具体的に説いている。卒論を書く大学生には役立つと思う。

『はやぶさ2 最強ミッションの真実』津田雄一(NHK出版新書2020年)
はやぶさ2プロジェクトがどのように進められていったのか、さまざまな問題・困難をどのように解決していったのか、プロジェクトのリーダーが紹介する内容は堅苦しくない。楽しく、興味深い読み物。

『砂の女』安部公房(新潮文庫1981年)
読み継がれるこの名作にも火の見櫓が出てくる、監視塔として。

『おもかげ』浅田次郎(講談社文庫2020年)
浅田次郎の涙小説。人生の幕を下ろすとき、こんな体験ができたらいいなぁ。

『みすゞと雅輔』松本侑子(新潮文庫2020年)
物語の主人公はみすゞではなく、みすゞの実弟・雅輔。2014年に発見されたという雅輔の日記などの資料をもとに、ふたりの日々の暮らし、心模様が詳細に綴られている。ふたりとも薄幸な人生だったな、と思う。みすゞが幼い我が子を残してなぜ自ら命を絶ってしまったのか、運命としか言いようがない理由(わけ)が明かされる。

私が好きな「夕顔」という詩について、松本さんは次のように書いている。**空の高みから冴え冴えと遠く光り続ける星は、作詞家に転身して華々しい八十であり、地上で乳色の花を咲かせ、しぼんでいく孤独な夕顔はテルだろうか。(後略)**(381、2頁)

筆者注 テルはみすゞのこと。


「夕顔」過去ログ


「みすゞと雅輔」

2020-12-22 | A 読書日記

360

 『みすゞと雅輔』松本侑子(新潮文庫2020年)を読み始めた。今年の11月8日に塩尻のえんぱーくで行われた松本侑子さんの講演の際、この本のことを知り、是非読みたいと思っていた。

講演を聴いて松本さんの取材の凄さに驚いた。この小説を書くために行われた調査のことや参考文献が巻末に掲載されているが、やはり凄い。

本の帯によると、みすゞの実弟・上山雅輔の直筆資料が2014年に発見され、松本さんはこれを数年にわたって読み解き、この伝記小説を書きあげたという。僕は金子みすゞの詩が好きで、ブログにも書いている(過去ログ)。

読み急ぐことなく、じっくり読みたい。


 


「照らす」

2020-12-22 | A あれこれ

 

 長野県朝日村の有志(*1)がつくった特別純米酒「照らす」が昨日(21日)発売になった。朝日村役場隣のファミマまで出かけて買い求めた。自宅で試飲した。酒の味を評する言葉を持たないから、美味い酒だったとしか言えない・・・。敢えて言えば、濃い、というか粘性が強いというか・・・、口に含んで存在感のある酒。

なお、販売店は朝日村内のJA松本ハイランド朝日支所、ファミリーマート信州朝日店、吉平酒店。限定350本 720mⅼ 1,980円(税込)。


*1 朝日てらすファ―ム
     


キミの名は?

2020-12-21 | D キミの名は?



 松本城では40種類くらいの野鳥が観察できる、と聞いたことがある(正確な情報かどうか分からないが)。今日(21日)の昼、松本城で見かけた野鳥を撮った。さて、キミの名は? コゲラだっけ。この季節、キミたちは何を食べて暮らしているのかな・・・。


 


33会の旅行 来年は中止に

2020-12-20 | A あれこれ

 33会(中学の時、3年3組だったことに因んでつけた名前の親睦会)で2006年に初めて京都旅行をした。その後、ブランクがあったが、2013年に東京へ。以降1年おきに2015年に奈良、2017年に大坂、そして昨年(2019年)は出雲へ。

来年、2021年は旅行の年だが、コロナ禍で中止することになった。私の一存で決めるわけにいかないので、今日(20日)、女性陣ふたりと相談して決めた。今年は暑気払いも、忘年会も中止。

コロナ禍は人と人の距離を広げてしまう。こんな事態になることなど想像することすらできなかった。コロナ禍は収束していくのだろうか、終息宣言が発せられる日は来るのだろうか・・・。まあ、悲観的にならない方が良いな。

360
2017年大阪旅行 密な飲み会はもうできないのかも・・・。


 


「おもかげ」読了

2020-12-20 | A 読書日記

320

 写真には複数の写真を組み合わせて観る人にテーマを伝える「組み写真」という表現手法があるが、浅田次郎の『おもかげ』(講談社文庫2020年)を読んで、これは「組み小説」だなと思った。私が読み取ったテーマは母、そして母の愛。

定年退職して送別会帰りに地下鉄の中で倒れた竹脇正一。病院の集中治療室。意識不明、重篤な容態で、雪の夜のレストランでディナーをしたり、夏の静かな海岸を歩いたり・・・。年齢の異なる女性たちが正一を導いてくれる。リアルな臨死体験? 夢? 幻?

彼女たちは誰なんだろう・・・。最終章で明かされる正一の出自。若い、いや幼い母親と約束を交わしていたことが明らかに、そして彼女たちの正体も・・・。

久しぶりに読んだ浅田次郎。雪降る夜に読むのにふさわしい涙小説。


こぶし咲くあの丘

2020-12-19 | D 切手



 数日前に自宅に届いた封書に貼られていた84円切手、コブシの花がデザインされている。初めて見る切手だ。「おもてなしの花シリーズ 第15集」で12月14日に発行された切手だということがネットで調べて分かった。

コブシは早春に白い花を咲かせる。コブシで思い出すのは千昌夫の大ヒット曲「北国の春」。こぶし咲く あの丘北国の あゝ北国の春 と歌われている。作詞したのはいで はく さん。北国の春の歌詞は1番から3番まであるが、 いでさんはいずれも歌詞の最後を あの故郷へ 帰ろかな 帰ろかな と結んでいる。迷っているようだが、帰ることにするだろうと思わせる歌詞だ。

コロナ禍でこの年末に家族の待つ故郷に帰ろうかな、どうしようかな、と迷っている都会暮らしの人も多いだろう。既に帰らないと決めた人も多いに違いない。

**県は感染拡大地域からの帰省や、感染した場合に重症化の恐れのある高齢者らがいる家庭への帰省について「慎重な判断」を呼び掛けている。**(信濃毎日新聞19日付朝刊3面)

ああ、世の中がこんなことになるなんて・・・。


 


ワークライフバランス

2020-12-18 | A 読書日記

 ワークライフバランスということばのワークは仕事、ライフはワークの対義語として生活と訳されることが一般的で、それぞれの時間のバランスと解してよいようだが、ライフ・生活は曖昧で具体的にどのようなことを意味しているのか、分かりにくい。仕事の対概念として、生活を家庭生活と限定的に捉えることもできるかもしれないが、どうもしっくりしない。

私の場合、ライフを自由に過ごすことと捉えるとしっくりする。日々の暮らしにおいて、仕事に割く時間と自由に過ごす時間のバランスポイントは、仕事に関する考え方、即ち仕事観や人生観によって違うだろうし、同じ人でも経年による変化もあるだろう。私に限ったことでもないと思うが、30代、40代のころと比べて、仕事時間を減らし、自由に好きなことをして過ごす自由時間を増やさないとバランスしないようになった。

今日明日休みを取った、それだけのことを理屈っぽく書いたが、要は休みたいな~と思ったから休みを取った、ということ。で、どう過ごしたかというと、夕方4時ころに風呂に入り、「もうパジャ」(ってすごく早い時間にパジャマに着替えてしまうこと、ちなみに朝遅くまでパジャマを着ていることを「まだパジャ」という)して、ビールを飲みながら本を読んでいた。 

安部公房の『砂の女』を読み終えてから、浅田次郎の涙小説『おもかげ』(講談社文庫2020年11月13日第1刷発行)を読み始めた。

320

朝カフェ読書もワークライフバランスを保とうとする行為だと気がついた。


 


朝カフェ読書

2020-12-17 | A 読書日記



 日常の中で非日常なひと時を過ごすつもりで始めた朝カフェ読書だったが、週2回のペースの今ではすっかり日常、となった。今朝(17日)は「ホットのショートをマグカップで」とオーダーした。馴染みの店員さんではなかったから。

2階のいつもの席に着き、店内に流れるクリスマスソングを聞きながら『砂の女』を読む。シュールな小説だからなのか、パサパサ乾いた印象だ。こういう作品ってフランスあたりで受けるんじゃないかな、と思った(*1)。

**薄らいだ光のなかに、火の見櫓は、妙にひょろひょろと、傾(かし)いで見えた。意外に貧弱だし、距離も遠かった。だが、相手は双眼鏡でのぞいているのだ、距離に期待はできない。もう見つけられてしまっただろうか?・・・いや、気がついたらすぐに、半鐘を鳴らすはずだ。**(165頁) 

読み進むとこのように監視櫓としての火の見櫓が出てきた。前回読んだときはまだ火の見櫓巡りを始めていなかったから、火の見櫓を気にも留めず読み進んだと思う(って、またどうでもいいことを書いてしまった・・・)。


*1 調べてみてフランスで1967年度最優秀外国文学賞を受賞していることがわかった。


書棚の本を増やさないために

2020-12-17 | A 読書日記

 以下、2018年7月の記事にいただいたコメントへの私の応答。

小説は思考の実況中継と言った作家がいるそうですが(町田康でしたか)、ブログ然りでしょう。
知性と感性をさらけ出す覚悟がないと書けません。
かなり前、蔵書目録作成を試みたことがありましたが、途中2,000冊くらいで断念しました。
処分して500冊、更に200冊くらいまで減らし、自己確認をしたいのですが叶いません。

本はできるだけ手元に置いておきたいものですが、本人以外不要の場合が多いですね。
いつか意を決して処分しなくては、と思っています。

2年前に書いたものだが、この頃から、いやそれ以前から自室の本の処分を考えていた。ようやく今年の4月に実行できた。だが、再び本が増え始めている。来週あたり書棚の本を増やさないために本の入れ替え作業をしたいが、どうなることやら・・・。


 


「砂の女」

2020-12-16 | A 読書日記

 今月(12月)の読書は新書が4冊続いたから次は小説を読もうと思い、書棚から安部公房の『砂の女』(新潮文庫1981年2月発行)を取り出して読み始めた。

320

『砂の女』の初読は1981年の3月。このブログの過去ログを調べて2008年12月にも読んでいたことが分かった。

読み始めて**いつまでたっても海は見えなかった。地面のうねりで、見とおしがわるいせいか、同じような風景が、際限もなくつづくのだ。それから、とつぜん視界がひらけて、小さながあらわれた。高い火の見櫓を中心に、小石でおさえた板ぶきの屋根がむらがった、貧しいありふれた村落である。**(8頁)という火の見櫓が出てくる件があることに気がついた。火の見櫓を村落のランドマークとして捉えた描写だ。

そうか、安部公房の『砂の女』にも火の見櫓が出てくるのか・・・。

今後再読するなら北 杜夫と夏目漱石、それから安部公房の作品だろうと思い、書棚に残しておいた。既に書いたことだが、安部公房の代表作といえばやはり『砂の女』だろう。

**砂丘へ昆虫採集に出かけた男が、砂穴の底に埋もれていく一軒家に閉じ込められる。考えつく限りの方法で脱出を試みる男。家を守るために、男を穴の中にひきこめておこうとする女。**(カバー裏面の本作紹介文からの引用)

前衛的な作品だ。


火の見櫓が出てくる文学作品(過去ログ