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■ 所用で長和町(小県郡の長門町と和田村が合併して誕生した町)へでかけた。役場の近くで火の見櫓を見かけた。細身な櫓で上部のブレースにフラットバーが用いられているのは東信地方の火の見櫓の特徴。
方形(ほうぎょう)の屋根の避雷針のくるりんちょな飾りとわらび手。
秋のフォトアルバム 火の見櫓の背景に黄葉した落葉松林を配した。
長野県朝日村にて 撮影日121125
■ 里山の落葉松が黄葉している。 この漢字をあてるのがいいのか、紅葉とすべきか、まあ色からして黄葉でいいだろう・・・。日の当たり具合で木々が黄金色に輝いて実に美しい光景となる。
マルコ・ポーロは東方見聞録で日本を黄金の国ジパングとヨーロッパに紹介したそうだが、黄金色に輝く稲穂の波を目にしてそのように評したのだという説や、宮殿や民家が黄金でできていると聞いて、それを伝えたという説があるようだ。このことを証拠立てることができるのかどうか・・・。私は心情的には前者を支持したい。
落葉松が黄金色に輝く里山の様を見てもそのように評することになったのかもしれないとも思う・・・。
■ 高卒40周年の記念行事が行われたことは既に書いた。2、3年の時の担任だったI先生は80歳を超えるご高齢にもかかわらず大変お元気で、式典と懇親会にご出席いただいた。
当日受付で先生は私に手を差し出して握手を求めて下さった。40年も昔の出来の悪い教え子のことを記憶しておられることに驚きと感謝の念を抱いた。
私が撮った写真をお送りしたところ、昨日(16日)お礼の手紙と本を2冊いただいた。
川端康成の小説は文庫で何編か読んだが、ノーベル文学賞受賞記念講演の全文『美しい日本の私』/講談社現代新書は読んだことがなかった。また島崎藤村も長編の『夜明け前』はじめ、やはり文庫で何編か読んだが、『藤村詩抄』/岩波文庫は読んだことがなかった。
『幕末史』半藤一利/新潮文庫を読み終えたら、送っていただいたこの2冊を読もうと思う。
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塩尻市宗賀の火の見櫓
撮影日 121113
■ 119番 消防署への通報番号に因んで11月9日から15日までの1週間は秋の全国火災予防運動の期間だった。期間中、写真のように広告塔と化した火の見櫓を見かけた。
塩尻市宗賀の火の見櫓にも赤いフンドシのような(おっと、このような品のない表現はやめよう、だが他に何に喩えよう・・・)垂れ幕が掛けられていた。消防団員が火の見櫓に登って掛けたのだろう。
こんな様子から、火の見櫓が今も地元住民と関わりを持っていることが知られ、何だかうれしい。
火の見櫓に取り付けられている銘板には寄贈者と共に、施行者の若林鉄工所という名前が記されている。残念ながら、施行年月は記されていない。
『日本の思想』 丸山真男/岩波新書
■ この本に収録されている「「である」ことと「する」こと」という論文は確か高校の教科書に載っていた。具体的には書かないでおくが、思うところあって、この論文のみ再読した。1980年の3月に読んで以来32年ぶりの再読だった。
**自由人という言葉がしばしば用いられています。しかし自分は自由であると信じている人間はかえって、不断に自分の思考や行動を点検したり吟味したりすることを怠りがちになるために、実は自分自身のなかに巣食う偏見からもっとも自由でないことがまれではないのです。逆に、自分が「捉われている」ことを痛切に意識し、自分の「偏向」性をいつも見つめている者は、何とかして、ヨリ自由に物事を認識し判断したいという努力をすることによって、相対的に自由になり得るチャンスに恵まれていることになります。**(156頁)
引用したこの文章の中の言葉を適宜別の言葉に置き換えることで、人生訓として読むことができるだろう・・・。
筆者注:本文中の傍点をアンダーラインとした。
2977
■ 8日、駒ヶ根へは中央道を使わず、国道153号線で行った。もちろん途中で火の見櫓観察をしようという目論見で。また火の見櫓・・・、などと思わないでお付き合いください。
1 伊那市福島の火の見櫓。なかなか整ったフォルムだ。脚部の形もよい。 400
屋根の骨組みはがっしりしていて、丈夫そう。
2 これは同じく伊那市、上牧の火の見櫓。全形は整っているが、脚の部分が1の火の見櫓とは違う。
両者の脚を比較するとやはり1の方が美しい。 401
脚部としてのデザインがなされておらず、櫓部分のブレースがそのまま脚部にも用いられている。残念!
1、2とも山浦鉄工所の製作。火の見櫓を数多く手掛けている鉄工所だから、細部まで洗練されている。
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撮影日 121108
■ 駒ヶ根市内で所用を済ませての帰路、駒ヶ根インターの近くの北割で見かけた。火の見櫓の後継、防災無線柱とのツーショット。櫓はかなり錆びた状態、そのうち撤去することになるのかもしれない。
屋根の骨組みがよく分かる。なるほど、こうなっているのか・・・。反りのついた方形の屋根の骨組みにもいくつかの組み方があると思うが、これはその一例。隅木(木造の呼称)をそのまま伸ばして蕨手にしているものもある。
踊り場に設置されている手回しのサイレン。初めて見た。
銘板に北割耕地(地名)と、昭和三十一年三月建設、それから山浦鉄工所製作建設と記されている。南信地方には山浦鉄工所で製作された火の見櫓が多い。調べてみるとこの鉄工所は大正9年の創業で現在のヤマウラ(建設会社)の前身。
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上伊那郡中川村にて 撮影日121108
■ 今日(8日)は所用で駒ヶ根まで出かけた。少し足を延ばして中川村へ。そしてこの火の見櫓に遭遇した。そうか、確かにこれでも機能的に問題は無いな、と納得。
火の見櫓を構成する要素はそれほど多くないのに、デザインは実に多様だと実感する。
まだまだいろんなタイプの火の見櫓がボクを待っているだろう・・・。
397 富士急行線の都留市駅前に立っている火の見櫓 撮影121104
■ 今月4日、別荘からの帰路偶然見つけた。駅前広場に車を停め、急いで全形を撮った。4角形の櫓に4角形(方形)の屋根と見張り台。オーソドックスなタイプの火の見櫓。反りのついた屋根に飾りつきの避雷針と4隅の蕨手。櫓内に収まった踊り場、短めの脚。
この火の見櫓を紹介しているブログで昭和41年9月の建設だと知る。
■ 『「大発見」の思考法』山中伸弥 益川敏英/文春文庫 読了。ノーベル賞を受賞したふたりの科学者の対談(ただし、対談が行われのは山中氏が受賞する前)。できれば高校生に読んで欲しい。
さて、11月の読書、まずは『幕末史』半藤一利/新潮文庫。
**黒船来航から西郷隆盛の敗死まで。波乱と激動に満ちた25年間と歴史を動かした男たちを、著者独自の切り口で、語り尽くす。**本書の折り込みチラシの紹介文より引用。
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■ JR大月駅から国道139号線を通って富士河口湖町にあるKG山荘(仮名)へ。途中で見かけた火の見櫓を撮った。本稿では全形写真を載せるに留めておく。所在地は正確に分からないので記載を省略する。
山梨県内にも火の見櫓が数多く存在するという印象を受けた。
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防災無線のスピーカーとアンテナが付いている。梯子が櫓の外に設置されていて、踊り場もないから、昇り降りは怖いだろう。水平ブレースにリング式ターンバックルを使用している。
防災無線塔
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脚部が短い。
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端正なフォルムの火の見櫓
―
実にユニークなフォルム!
火の見櫓 みんなちがって みんないい!
山梨県富士吉田市上吉田の火の見櫓 392
■ 前稿で書いた通り、先週末(3日)、M教授(大学時代の恩師)とFさんとJR大月駅で待ち合わせ、私の車でKG山荘(仮名)に向かった。途中で火の見櫓を何基か観察したが、1番の感動モノはこの火の見櫓。今まで見た中でもユニークな形の火の見櫓のひとつ。
手前の道路から後方の施設まで敷地内通路を確保するためにこのような「がに股」の火の見櫓にしたのではないかと推察する。敷地の左側も道路に接しているが・・・。火の見櫓に正面ゲートの役目も持たせたのかもしれない(ホントかな~)。
ちょうど火の見櫓の隣で消防団詰所の工事中だった。そのために仮囲いがしてあって、脚部がすっきりとわかりやすくないのは残念。
櫓の上部はオーソドックスなタイプ。踊り場にも半鐘が吊るしてある。方形(ほうぎょう)の屋根は後年新しくしたのかもしれない。
それにしてもこの脚部はユニーク。よく分からないけれどこの形で構造的にはバランスしているのだろう。富士吉田のアールヌーボー!
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■ 木曽谷は火の見櫓が少ない。先日火の見櫓センサーが働いてこの火の見櫓を見つけることができた。所在地は木曽町日義(旧日義村)。スレンダーな火の見櫓で、梯子が櫓内に収まらなくて外に設置されている。昇降するのがとても怖いと思う。
見張り台の大きさに比して屋根が小さい。
簡易な踊り場
脚部としてのデザインが施されていないのは残念。消火ホースを掛けるフックと巻き上げ用のウインチ。
■ 11月になった。今年も残すところあと2ヶ月・・・。先月の読了本はこの4冊。
『夜明けの縁をさ迷う人々』小川洋子/角川文庫
小川洋子の小説には海外作品のような雰囲気があるが、この短編集に収められている9編の作品もやはり同様。「曲芸と野球」は曲芸師と野球少年の交流を描いた作品。「教授宅の留守番」は驚きのラストのミステリー。
「イービーのかなわぬ望み」はエレベーターの中で生まれた少年が主人公というユニークな設定の作品。「涙売り」という作品もまた涙を売って暮らしを立てていた女性が主人公というユニークな作品。読みようによってはかなり不気味に感じる内容。
『錦繡』宮本輝/新潮文庫
何年ぶりかの再読。元夫婦の交わす書簡のみによって構成した作品。全てを失った男の再生物語として読んだ。
『忘却の河』福永武彦/新潮文庫
何回も繰り返し読む数少ない作品のうちのひとつ。初読は1981年。この作品のキーワードは「孤独」。
**御自分が寂しい人だから、わたしみたいな寂しそうな女を見ると親切にしなくちゃ気がすまないのよ。**(54頁)
『あの日からの建築』伊東豊雄/集英社新書
「建築を自然に近づける」「内と外の関係を考えなおす」「建築の形式性を崩す」 以上「第五章 私の歩んできた道」の小見出しの一部。建築について書かれた新書はできるだけフォローしたい。